レイトン教授×逆転裁判 暗闇の時計塔 逆転旅行 [3]
作者: たこやきDJ   URL: http://gyakutensaibansaikoudesu.rakurakuhp.net   2011年01月22日(土) 12時38分45秒公開   ID:MR.JAqBDX.k
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「コリコリ…!?」

先生は何か思いついたかのように手をたたくと、マリアンティア夫人に向きなおって。

「マリアンティア夫人。もう一度目撃したことを教えてください。」

「いいざますよ。何度でも聞かせてあげるざます!!」

マリアンティア夫人はかなりやる気のようです。それにしても…先生、いったい何を思いついたのでしょうか…コリコリ…あ!!…僕にも、少しわかった気がします。

「わたくし、間違いなくあなた達が犯人だと思うざます!!」
「シルクハットのあなたはいいとして…問題はあなた達ざます!!」
「私はばっちり見たざます!!というか教えてもらったざます!!」
「あなたとそこの少年がいつも一緒に行動していることを!!」
「それに!!第一発見者があなた達とくれば、もう怪しいざます!!」
「なんざますか?これでもう何も言えないはずざます!!」
「なんなら、他に怪しい人言ってくれたっていいざますけど。」

       異議あり!!

(人物ファイル・クロシメジ・ヤコウダケ)

「…マリアンティア夫人。あなたは、コリコリという音を聞いたのですか?」

「ざます。」

な、なんですかその返事。変です。非常に変です。

「それって…キノコの音…でしたか?」

キノコ…やっぱり、先生も、ヤコウダケ予算管理人が怪しいと思っていたんですね。

「…言われてみれば、あのコリコリとした音、ふわっとにおう香しい香り。あれはキノコだったざますね。」

…殴られる直前に、そこまで分かったとは…すごいです。

「やはり…マリアンティア夫人。あなたが言った通り、私は他に怪しい人を知っています。」

「なに!!それは本当か!!」

チェルミー警部はかなり驚いた様子で言いました。よほどマリアンティア夫人の証言に自信があったんでしょうか。

「はい。これは推測ですが、私は、ヤコウダケ予算管理人も、少し怪しいと思います。」

先生ははっきりと言いました。

「…誰だ?それは?」

チェルミー警部は首をかしげながら言いました。そう言えば、まだチェルミー警部は、ヤコウダケ予算管理人のことは知りませんね。

「ヤコウダケ予算管理人…モレントリー急行の予算を管理している人です。」

うん…そのままですね。分かりやすいです。

「それに…予算管理人は、えらく挙動不審でした。十分怪しいです。」

「…だがなレイトン、マリアンティア夫人は実際に見たというのだぞ。お前の姿を。」

そうでした。マリアンティア夫人は見たんです。先生と、キノコらしきものを食べていたというアロマさん。ま、嘘でしょうけど。

「うーん…私、キノコを食べた覚えなどありません。」

アロマさんは首をかしげています。というより、食べているほうがおかしいです。いや、食べていたらダメです。

「あー…どうする?」

美雲さんはかなり考え込んでいます。うーん…ここは考えてもどうにもなりませんね。

「…確かに、マリアンティア夫人は私を見ました。…この、シルクハットだけね!!」

…あ、そう言えば、マリアンティア夫人は先生のシルクハットを見たと言いました。そして、僕とアロマさんは一緒に行動しているから怪しいと言うだけの言いがかりです。被害者の証言という事で、僕たちは信用しすぎていました。

「何が言いたいざます!!」

「簡単に言います。あなたはシルクハットを見ただけで私を犯人と決めつけました。アロマやルークに至っては、一緒に居るだけという事で犯人の仲間だと…これは、言いがかりと言っていいでしょう。」

清々…いや、先生がやる気モードに入っています。清々…いや、先生。あー、清々じゃなくて…

「ななななななななな、なにになにになにがいいいいいいいたいざます!!」

マリアンティア夫人は、少し冷や汗をかいています。先生の言い分で、結構まいっているようです。

「要するに!!あなたが見たシルクハットをかぶっていた人とは、私とは限りません!!」

「ざ、ざますぅぅぅぅぅ!!そんなバカなことが!!み、見たざます!!私は…」

「シルクハットをかぶった人物…ですよね。私ではなく。」

そう言うと、マリアンティア夫人は頭に手を当てて、冷や汗を垂れ流しています。なんか清々しますね。

「ま、マリアンティア夫人。落ち着いてください。」

チェルミー警部は言いましたが、マリアンティア夫人はくらくらして、そのままドタッと倒れてしまいました。

「ま、マリアンティア夫人。くそ、レイトン!!またあとで来るからな!!」

そう言ってチェルミー警部は部屋を出て行こうとしました。

「チェルミー警部!!待ってください!!…ヤコウダケ予算管理人を、少し調べておいたほうがいいですよ。」

先生は、チェルミー警部にヤコウダケ予算管理人のことを調べておいたほうがいいと言いました。…いりませんね。この描写。そのまますぎです。

「…ふん。」

チェルミー警部は不愛想に返事をすると、マリアンティア夫人を抱えて、バートンさんと一緒に部屋を出て行きました。

「…レイトンさん。結局…アロマさんやルーク君。レイトンさんの状況は、何か変わりましたか?」

美雲さんは、チェルミー警部が出て行き、一息ついた空気の中で、一番最初に声を出しました。

「そうだね…とりあえず、この場は切り抜けることができたよ。」

先生は帽子を深くかぶりながら言いました。

「へー…要するに、まだ疑いは晴れていないんだね。」

「…そうなりますね。」

僕は、少しためらいましたが、はっきりと言いました。

「先生…これからどうします?」

「そうだね…ルーク、また君達で調査に行ってみないか?」

「え!!いいんですか!!」

僕とアロマさん。ついでに三雲さんも同時に言いました。

「ああ、冒険心は大切だからね。」

「…でも、先生はどうするんですか?」

僕は尋ねました。予想としては、また調査に行く…とかでしょうか?

「…また、独自で調査させてもらうよ。」

やっぱり、先生は先生で調査するようです。

「ルーク達は、この後どうするつもりだい?」

「そうですね…そういえば、まだトランプを返していません。タチミサーカスの部屋にでも行ってみます。」

僕がそう言うと、後ろで美雲さんがキャーキャー喜んでいます。

「そうかい…ちなみにルーク、タチミサーカスとはいったい…」

そうでした。先生はまだタチミサーカスのことを知りません。僕は大体のことを説明しました。

「なるほど…そうだ、証拠品はルークが持っていてくれないか?」

「え、なんでですか?」

僕は尋ねました。正直、子供の僕が持っている理由が分かりません。

「…ルーク。私はそろそろ行くよ。」

と言って、先生は部屋を出て行きました。僕の質問はスルーされましたが。

「ル・ウ・ク♪」

すると、後ろからぞっとするような声が聞こえてきました。

「ななななななな、なんですか!?」

「ルーク…タチミサーカスに会いに行こう!!」

という訳で、僕たちはタチミサーカスの部屋へ行くことにしました。美雲さんも妙に張りきっていることですし、トランプも返さなければいけませんし。

7月26日午後3時15分 タチミサーカスの部屋

僕たちは部屋に入りました。しかし、部屋の中には、マックスさん。一人しかいませんでした。

「…おや、ハニー達か。」

マックスさんは、耳につけていた、ヘッドホンをはずして、こちらにやってきました。

「あの…なんの曲を聞いていたんですか?」

僕は尋ねずにはいられませでした。

「聞いてみるかい?」

そう言って、マックスさんは、僕の耳にヘッドホンを付けてくれました。…なるほど、いい曲ですね。歌詞は…


静寂の街 ゆらぎに満ちて
道標さえ まるで幻
求めても 焦がれても
掴めない 遠い空は
すべてを 抱きとめて 染めあげてゆく

世界分かつ空に 耳を澄ませば (a brave new world)
招く声が響く

世界分かつ空を 振り仰ぐとき (a brave new world)
ドラマは幕明ける

交差する新世界 惹かれあう
光も闇も やがて溶けてひとつになる

地に落ちる影 大地をいたち
道しるべすら 意味を失う
悲しくて 切なくて
眠れない 白い夜が
静かに ひた向きに
ただ過ぎていく

遠いこの空が 世界をわかち
そして生まれる新世界

世界分かつ空を 振り仰ぐとき (a brave new world)
ドラマは幕あける

だから今は迷い払い 今は振り返らずに
歩きだそう 続く空へ

腕に力 胸に祈り 風に心 散らさないで
明日の夢と願い抱いて 新世界をともに駆けよう


…ですね。ナムコクロスカプコンのオープニングテーマ、すばらしき新世界のフルバージョンですか。僕はヘッドホンをはずしました。

「どうだい。いい曲だろう?」

マックスさんが尋ねてきました。

「はい。テンポがよかったです。」

「ゴージャスゴージャス。ハニー達も聞いてみるかい?」

そう言って、マックスさんはヘッドホンを、美雲さんとアロマさんに手渡しました。

「え、いいんですか?ありがとうございます。」

そう言うと、美雲さんはヘッドホンを耳に着けました。アロマさんも、早く聞きたそうにしています。

「あ、そうそう。トランプ返しておきます。食堂車に落ちていましたよ。」

そう言って、僕はトランプを返そうとしました。しかし…

「いいよ。予備があるし、それあげるよ。」

予想外の返事に、僕は多少戸惑ってしまいました。

「え、いいんですか。…気前がいいんですね。」

「ああ、昔よりは…だいぶ変わったと思うよ。」

マックスさんは、なにか考え込んでいます。

「なにか…あったんですか?」

僕がそう言うと、マックスさんはポツリとつぶやきました。

「…ハニー…あの弁護士さん達、成歩堂さん達のおかげで、今、僕は生きているんだ。」

僕は予想外の返事にまた戸惑いました。ここで…成歩堂弁護士の名前が出てくるなんて…

「…そう言えば、マックスさん以外の人たちはどこへ行ったんですか?」

僕は臨機応変に尋ねました。

「…みんな、どこかへ行ったよ。ただ…スタッフの人ならそこに居るけど。」

え…ふとマックスさんの指をさした方向を見てみると…うずくまって機材を整理していた、スタッフの人、由美子さんが居ました。

「ア…」

僕はつい、あ…と言ってしまいました。だって、うずくまっていて、見えなかったし、作者も存在を思い出して急いで書いたんですから。

「…私の存在、覚えていてくれましたか?」

僕はいきなりの質問にびっくりしてしまいました。いや、戸惑ったと言ったほうが早いですけど。

「え、あ、はい。覚えていましたよ。ええ、覚えていましたとも!!」

僕は精いっぱいの弁解をしました。これが通じてくれるといいのですが…

「無理しなくていいですよ。」

はっきりきっぱりと言われました。ううう…無理したのがばれてしまいましたか。

「ゴージャス、ゴージャス、ハニー、人のことを忘れるのはどうかと思うよ。」

ハニーって…僕のことですか?

「ううう…」

僕はつい黙り込んでしまいました。

「ふ〜…いい曲だったね。」

そんな状況の中、美雲さんとアロマさんが曲を聞き終えたようで、こちらにやってきました。

「なにか…つい歌いたくなるような曲でした。」

同感ですね。すばらしき新世界と検索して、一度聞いてみることをお勧めします。

「どうだい。いい曲だっただろ?」

「はい。とてもいい曲でした。」

美雲さんが答えました。このまま話が盛り上がっても仕方がないので、話を元に戻すことにしました。

「マックスさん。他のみんなはどこへ行ったか…分からないんですか?」

僕は話を軌道に戻しました。

「ああ、おおかた、トイレにでも行ったんじゃないかな。」

トイレ…ですか…ありえなくはありませんね。

「で…どうするんだい。これから。」

マックスさんがそばの椅子の背もたれに肘を置きながら話しかけていました。

「そうだな…どうする。アロマさん。」

美雲さんは、アロマさんに話を振りました。

「え、いや、どうしますルーク。」

今度は僕に話を振ってきました。突然に質問に、僕はオロついてしまいました。

「…そうだ。運転席へ行こう。寝室ではなくて運転席へ行こう。」

僕はなんとなく運転席へ行きたくなりました。本当になんとなくで、自分でもなぜ運転席へ行きたくなったか分かりませんでした。

「ルークさん…寝室ではなくって…どういう意味ですか?」

スタッフの人が不思議そうに話しかけてきました。この元ネタが分かる人は…ある意味すごいです。

「あ、私知ってるよ。青鬼でしょ♪」

美雲さん。見事正解です。そうです。青鬼です。検索すればあっというまに出てきます。

「で、運転席へ行くんですよね。」

アロマさんが藩士を…話を元に戻しました。

「はい。なぜかプランクトンさんに話を聞いてみたくなりました。」

僕はそこまで言いきって、プランクトンさんのことを思い出してみると、少し苦笑いしてしまいました。陸の運転手ではなく海の船長になりたかった人。やたら海の言葉を使いたがる人。思い出せば思い出すほど苦笑いしてしまいます。

⇒To Be Continued...

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