時空を超えた逆転 6 王泥喜編‐霊媒師の罪‐ | |
作者:
太郎
2008年11月22日(土) 11時22分08秒公開
ID:NSaAlxEcU.A
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「た、たしかに…その通りです…!!」 「もし、王さんの靴底に綾里家の庭と同じ成分のドロがフチャクしていなかったら…このアシアトは、“ベツジン”のモノになりますよね?狩魔検事…。」 オドロキは強気で冥を攻めた。 「ぐっ、ぐぅ…!」 冥は悔しそうに、検事席にへばりついていた。そしてひたすら、オドロキを睨みつけた。 「確かに。弁護側の言い分にはスジが通ってます!…狩魔検事っ!」 「な、ナニよ?!裁判長っ。」 「被害者の靴底の調査は、済んでいますか?」 「…ザンネンながら、まだよ。」 冥はしぼり出すように言った。 「ふむう。……狩魔検事、15分で足りますかな?」 「えぇ。十分だわ。」 カンッ! 「分かりました!それでは、ここで、15分間の休憩を取りたいと思います!…よろしいですかな?弁護人。」 「ダイジョーブですっ!」 「よろしい。検察側は、クツゾコのケンサを済ませておくコト!」 「…心得たわ。」 「それでは、休廷っ!」 カンッ! 同日 午後2時45分 被告人第2控室ー オドロキは真宵をイスに座らせて、話しをしている。どこと無く、2人とも、ヤワらいだ表情をしていた。 「オドロキ君、スゴイよっ!メイちゃんのムチを止めた弁護士なんて、他にルイを見ないよっ!」 「そぉ?エヘヘ…。(でも、当たった時は、死ぬかと思ったけど、な。)」 オドロキは、頭をかきながら、照れ笑いをした。 「で、結局は、鬼野刑事が全部やったってコトなの?」 「この事件の“主犯”は、ね。彼に間違いないと思うよ。」 「しゅはん…?」 その時だった。控室のドアが開き、成歩堂と春美、イトノコと茜が入ってきた。 「真宵さまぁ〜〜〜〜〜!おどろきくーん!」 「オドロキ君!真宵ちゃんっ!」 「あ、成歩堂さんっ!」 「ハミちゃーん!」 春美は真宵の元に飛び込んでいった。 「なかなか良かったね!オドロキ君!凄いよ、キミ!」 成歩堂は、オドロキの肩をポンポンと叩きながら、笑顔で言った。 「あっ、どーも!(この頃の成歩堂さんにオレの弁護を褒められると、スナオに嬉しいなぁ!)」 「狩魔冥のムチを止めるなんて!本トすごいよ!」 「…はぁ。(なんだ、またそのコトか…。ベンゴのコトではないのか。)」 「おどろき君、とてもかっこよかったです!!わたくし、ホレボレしましたわ!」 春美は頬をアカラめながら、ピョコピョコ飛び跳ねながら言った。 「わぁーっ!春美ちゃん!ありがとう!(なんか、すんげぇ、いい気分♪)」 「サクサクサクサク…ズイブンサクサクサクサクサク…攻めたサクサクわね。サクサクサクサクサク…アンタ。サクサク…あのサクサクサクサクサク…刑事と狩魔サクサクサクサクサク…検サクサク事相手に。サクサクサクサクサク…」 茜はツギツギとカリントウを口に運んでいった。 「………。ナニ言ってるか、サッパリ分かりません。(とりあえず…褒めてくれてるのかな…?アカネさん…。)」 「とりあえず、攻撃をやめなかったコトは大きかった。あの狩魔冥を黙らせたなんて、凄いコトだよ。だけど、ここでアンシンをしてはいけないよ。キミは、“次”に進まなきゃいけない!」 成歩堂はオドロキの目をじっと見つめながら、静かに言った。 「次、ですか?」 「そうよ。オドロキ君。次の手を考えなきゃね。」 「あ…!チヒロさんっ!(相変わらず、シンゾーに悪いな…。“レーバイ”ってのは…。)」 真宵の横にいたハズだった春美が、いつの間にか、また千尋になっていた。 「凄いケド…サクサク…カガク的サクサクサクサクサク…じゃないわね…サクサクサクサクサク…ヤッパリ。」 「でも、キレイッス!美人ッス!」 イトノコは、ポーと千尋を見た。 「多分、ココから先、鬼野刑事の犯行を立証するコトは、そう難しいコトではないわ。…モンダイはその次よ。」 「そう。誰が黒幕か?だね。」 成歩堂が千尋に続いて言った。 「くろまく…お兄さん、だよね?ガリュー検事の…。」 「9割方そうよ、真宵。鬼野刑事だけだと、“動機”が考えられないもの…。それに牙琉検事が言ってたみたいね?」 「あっ、ハイ。牙琉先生が絡んでる可能性が出て来たって、そーいや言ってたな…。」 「そうよ。それが次の攻撃のキーよ、オドロキ君。誰が“クロマク”なのかが?ね。」 「それを証明できれば、いいんですよね?(…と言っても…どう証明すればいいのやら…。)」 「そうよ。オドロキ君!アナタなら出来るわ!そうよね?なるほど君!」 「そうですね。オドロキ君なら、きっと大丈夫だね!」 成歩堂はニコッ、と微笑んだ。千尋は、成歩堂の返答を聞くと、静かにオドロキの肩に手をポンっとおき、微笑んだ。オドロキは、ワケも分からず、赤面した。 「…ガリュー検事…か。」 真宵は、“ガリュー”っていう単語に反応した。そして、顔を伏せてしまった。 「ま、真宵ちゃん…。」 「(ヤッパリ引きずっちゃうよな…。成歩堂さんのコト…。)」 成歩堂とオドロキが、シンパイそうに真宵を見つめた。特にオドロキは、真宵を気遣ってか、イヤにソワソワしている。 「…もし」 「えっ?!」 オドロキはカビンに真宵のコトバに反応した。 「…もし、あたしが、ガリュー検事にケーキを作ったら、食べてくれるかなぁ?」 「は……?(ホレてたの…?)」 「けーき…?」 オドロキと成歩堂がチカラなく聞いた。 「あのジャラジャラのチャラ検事にケーキなんかあげなくていいわよ!真宵さんっ!まーたチョーシにノッちゃうカラ。」 茜は、口にカリントウを放り込みながら言った。 「えぇー。でも、ガリュー検事、カッコイイし…。本当に…」 「ダメです!真宵さまっ!アナタには、なるほどくんがいるじゃぁ、ありませんかっっ!それなのに…他の殿方に“けーき”などっっ!!」 「ちょっ!」 「は、ハミちゃん!ちょっとっ!」 真宵はセキメンしながら、叫んだ。 「えっ?!成歩堂さんと真宵さんって……(そんなカンケーなのか?!)」 「…付き合ってどのくらいなんですかっ?!」 オドロキと茜が、春美の一言に、ガッツいた。 「そりゃもう、今のお2人が出会う前…そう、前世から…」 『ハミちゃん!違うからっ!』 「もう、真宵さまったら、照れちゃって!わたくし、羨ましいですわっ!」 『ハミちゃんっっ!』 興奮する春美を真宵が、必死になって止めようとしてる。 「…で成歩堂さんジッサイは…?!」 オドロキがニヤニヤしながら、成歩堂に聞いた。 「ザンネンだけど、それはないよ。春美ちゃんは、ナゾにピンクな所があるんだ。」 「ぴんく…。」 「へぇー…。なんだぁ。つまらないの。」 茜が、頬をプーっと膨らませながら言った。 「春美ちゃん、今にアカネちゃんと、牙琉検事の関係も勘違いしてくると思うよ。」 成歩堂はニヤニヤしながら言った。 「えぇっ?!私とあんなチャラ検事ですか?!イヤですよ!勘違されるなら、御剣検事とのカンケーの方がウレシイわっ!ダンゼン。」 「みつるぎ…(そーいや、アカネちゃんはアイツのファンだと公言してたっけ…。)」 「まぁ!アカネさんはみつるぎ検事さんと?!」 春美はカビンに反応し、嬉しそうに聞いてきた。 「そうよ!チェックしといてね!」 「ハイっ!それはもう!わたくし“ちぇっく”しますともっ!」 『………。(楽しそうだ…。)』 茜と春美以外、一同、そう心の中で思った。 「……でも、わたくし、てっきりアカネさんは、がりゅう検事さんと…と思ってました。」 「あんなジャラジャラなチャラ検事と一緒にしないで!私の理想はあくまでヒラヒラの御剣検事さんなんだから!!」 「(だから、“チャラチャラ”、ね。)」 「(“チャラチャラ”と“ヒラヒラ”…。ミゴトにあの2人の検事を表すコトバだな。)」 オドロキと成歩堂はオノオノそんなコトを考えていた。 「まあ!愛らしいコト!憧れます…!!」 春美は、興奮ぎみにピョコピョコ跳ねている。 「…。(ヤッパリ、ついていけないな…。春美ちゃんに…。)」 「そーいえば、御剣検事と牙琉検事いないね!」 真宵があたりをキョロキョロしながら言った。 「あぁ。御剣検事と牙琉検事なら、検察側の控室にいるッスよ!なんか、狩魔検事のチョーシがアンマリよくないとか2人して言ってたッス!」 「確かに、狩魔冥は今日、アンマリ思わしくないよな…。」 「えっ?!そーなんですか?!(こっちとしては、思わしくない方がウレシイんだけどな…。)」 「…ま、トニカク、それは、検察側に任せて、今は“次”のを練りましょう!」 「そうですね!(てか、そんなコト言ってるけど、アカネさんはどっちかと言うと…立場的に検察側、だけどな。)」 同日 午後2時52分 検察側 証人第1控室ー ワリっと広いこの控室のハシにあるソファーに、冥が腕を組みながら座っていた。彼女の前には、御剣と牙琉が立っていて、さらに彼女のむかいには、鬼野刑事が、脚を組みながらタバコをふかしていた。 「どうしたんだ、メイ。今日は、なんだか、キミらしくないぞ。おされっぱなしじゃないか。」 御剣が、シンパイそうに冥に話しかけた。 「フン。シンパイは無用よ。御剣怜侍。私はいつも通りやってるわ。ただ…長旅で疲れてるだけよ。王泥喜法介なんて、この私の相手ではないわ。」 「メイっ!イキオイは大切だが、弁護士との勝敗はカンケーないと言っただ…」 バシッ! 「がはっ!!(どこが“疲れてる”だっ!?)」 冥の鋭いムチが、再び御剣を襲った。 「うるさいわよ。御剣怜侍。何度も言わせないで!私はいつも通りやってるのよっ!」 冥はムキになりながら言った。 「…そうだね。狩魔検事。キミは、いつも通りだ。」 「えっ…?!(彼は、法廷での私を見たコトあるのかしら…?)」 「ただ、ね。もっと肩のチカラを抜いてもいいんじゃない?」 牙琉が、前髪をいじりながら、笑顔で言ってきた。 「…チカラを…抜く?確かにね。必要かもしれないわね…。」 「………へっ。」 冥のヒトコトを、鬼野は鼻で笑った。 「今度はなんだい?刑事さん。」 「マッタク、笑っちゃうゼ。狩魔検事はどうみても今日は思わしくないだろうが。」 「な、ナニよっ!」 「キサマ…ナニがいいたいんだ?」 冥をかばうように、御剣は冷たく鬼野に聞いた。 「狩魔検事。本来のアナタなら、もう、有罪判決を頂いていても、おかしくはないだろう?時間的にも。」 「えっ…それは…」 冥は顔をユガメた。 「よく喋る刑事さん、だ。いいかい?キミはおデコ君から、告発を受けてる身なんだよ?少しは自覚したまえよ。」 「ハッ!牙琉検事サマは、弁護側の味方かい。」 鬼野は吐き捨てるように、牙琉に言った。 「…言っとくけど、刑事さん。法廷に“敵”も“味方”もないんだよ。大切なのは“真実”だからね!」 「はん。良く言うぜ。オレも言わせてもらうがなぁ。あんなメチャクチャな新人弁護士の策略にハマる程、オロカではないんだぜ?ハッハッハッ…」 鬼野は余裕の表情をした。そして、フトコロからまた1本、タバコを取り出し、火をつけた。 「弁護士の策略じゃ済まされぬホド、キサマはボロを出してるではないか!」 「まァ、ちょっと待ってよ。御剣検事サン。」 御剣がスルドい口調で言い放ったが、それを牙琉がとめた。 「牙琉検事…?」 「ほう…。ヨーヤク、マトモな行動に出ましたねぇ。検事さん。」 鬼野は相変わらず、イヤミったらしい笑顔を浮かべている。 「ハッハッハッ…。ボクはね、刑事さん。今のキミのコトバを聞きたかったんだよ。」 「っっ?!」 「どーゆーコト、なの?!牙琉響也っ!」 余裕だった、鬼野の表情が、シュンジに曇った。 「牙琉検事。どーゆーコト、だろうか?」 「…さっきから、言おう言おうと思っていたんだけどね。なんで、アンタは、おデコ君が新人弁護士だと言うコトを知っているんだい…?」 「なっ…?!」 牙琉のそのヒトコトで、鬼野はコトバを失ってしまった。 「(ムゥ。なるほど…。牙琉検事は、この“ヒトコト”を狙っていたのか…。)」 「確かに、彼は新人弁護士だ。だが、知ってのとおり、おデコ君は今から数えて、7年後から来たんだよ?アンタが知っているハズはないんだ。彼が新人弁護士だってコトをね。」 牙琉はクールに言った。 「確かにそうね…。」 「な…それは…。」 「なんだ、刑事。早く答えたまえ。」 口ごもる鬼野に対し、御剣がせかした。 「それはだな、…。あの弁護士、見るからに若いだろ?だからだ。彼を新人だと思ったのは。」 「ふーん。…でも狩魔検事だってまだ10代だし、ボクらもまだそこそこ若いよ?キミには、新人に見えるかい?」 牙琉が笑顔で言った。 「しかし…私は、彼を新人だと思ったんだよっ!!」 「我々はその“理由”を聞いているんだ。」 御剣がすぐさま言った。 「理由、だと…?」 トントンッ! その時だった。控室のドアに誰かがノックをしてきたのだ。 ガチャッ! 「失礼しますッ!狩魔検事は、いらっしゃいますか?」 ⇒To Be Continued... |
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