時空を超えた逆転 5 王泥喜編‐霊媒師の罪‐
作者: 太郎   2008年10月22日(水) 14時17分06秒公開   ID:JsAhK5blwlg
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「だとすると…犯人は彼女に証言して欲しくないコトがあった…そして、昭子さんの喫煙グセについても知っていた。」
「だから、タバコに毒を盛ったのか…」
御剣と成歩堂がシンケンなカオをして言った。
「そーゆーコトだね。まぁ、どちらにしろ彼女の尋問はムリだ。」
「では、今日のサイバンはどーなってしまうんですか?!今日延びてしまったら、おどろきくんが!」
春美が涙目で牙琉に叫んだ。
「大丈夫だ。モチロン次の証人は用意してある。ぼくがこれで終わらせると思うかい?」
「…と、ゆーコトは…?」
「モチロン、鬼野刑事を証人として新たに登録したよ。」
「お、オニノ…」
「そう言えば、メイの登録した証人は綾里昭子までだったな。」
御剣は資料に目を通しながら言った。
「牙琉検事、1つ聞いていいですか?」
「…なんだい、おデコ君?」
「前から気になってたんですけど、ナゼ、5日までしかタイザイ出来ないんですか?」
「あぁ、それはね、カンタンだよ。そーゆー法律があるんだ。」
「ホーリツ…?」
「超時石法みたいなのがあってね。人が他の時代にタイザイ出来る期間は最高で5日。それ以上いてしまうとその人の存在がその時代に移されてしまうんだよ。」
「そ、その時代に…移される?」
オドロキは恐る恐る聞き返した。
「あぁ。もしおデコ君が明日もこっちにいたら、“王泥喜法介”という存在がこの世界に移されるんだ。そうなるとモチロン、7年後の世界にはキミはまだ存在しないワケ。」
「な、な、なんてオソロシイ…!」
春美は手を口に当てて驚いていた。
「なるほど…(考えただけでもゾっとするぜ…)」
「これで、ハッキリしたな。」
「あぁ。だから、今日中にコタエを出さないといけないワケだ。」
成歩堂も御剣もミケンにシワを寄せて呟いた。
「…分かってるね?おデコ君。」
「え?」
「この裁判はモチロン、歴史には残らない。しかし、ぼく達は限られた時間内で真実を見つけだし、正当な判決を下してもらわなきゃならないんだ。…ゼッタイにネ。それが使命だってコトをゼッタイに忘れちゃイケナイ…!」
「モチロン分かってますよ。牙琉検事!」
オドロキは笑顔で答えた。
「良かった。そのコトバが聞きたかったんだ。じゃぁ、ボクは行くよ!アトで法廷で会おう!」
牙琉はそう言うと部屋を出て行った。
「…予想以上に優秀な検事だな。カレは。ダイジなコトが分かってる…!」
御剣は牙琉をホメた。
「タマには出てくるんだね…そーゆー検事。」
「タマにはとはなんだ!成歩堂!」
「アハハ。ゴメン、ゴメン。」
「トコロで、オドロキ君。」
「何でしょう?」
「さっきのスゴかったな。証人のウソを見抜いた…アレが。」
「あ、ありがとうございます!」
オドロキは照れ笑いした。
「あの“チカラ”があれば、きっとあの刑事の証言も崩せるハズだ!ガンバレよ!」
「ハイ!大丈夫ですっ!…トコロで、イトノコさんはどこに…?」
「そう言えば、いらっしゃいませんわ!おひげの刑事さん…」
春美はあたりを見回した。
「イトノコギリ刑事は先程、メイを迎えに行ったぞ。…ゲンツキで。」
「なんでまた…?しかも原付きなんて…」
「予想以上にクルマが動かないらしいのだよ。だから、少しでも早く法廷に着くタメにメイはカレを呼び出したのだ。」
「(カワイソーなイトノコ刑事…)」
「確かに、ジャラジャラの検事さんはアクマでも“代理”。…しかも非合法的にね。狩魔検事のイチ早い到着がカギを握るわネ…」
茜が冷静に言った。
「(確かに…オニノは牙琉検事が検事席に立ってはいけないコトを知っている可能性が高い…もしカレがそれをバクロしたら、牙琉検事はその場で退廷かサイアク、法廷侮辱罪だ!それまでにカルマ検事には到着してもらわないと…!)」
「…そろそろジカンかもね。廊下が慌ただしいわ。」
「…そうですね。ソロソロか…!」
オドロキがそう呟くと、御剣がカレの肩をポンと叩いて言った。
「オドロキ君、ポイントは3つだ。1、昭子さんは何を見たのか?2、ナゼ、王氏は殺害されたのか?3、犯人はどうして真宵君に罪を被せたのか?、だ。」
「鬼野は刑事だ。告発はムズカシイだろう…だけど、キミが攻撃を止めれば、その時点で負ける…!だから、何があっても前に進むんだ!」
「…分かりました!ガンバリます!」
「弁護人!準備が出来ました!出廷して下さい!」
そこへ係官が入ってきて、審理の再開を告げた。
「よし、行ってこい!オドロキ君!」
「ハイ!行こう!真宵さん!」
「うんっ…!」
真宵は目をこすり、オドロキと供に、法廷に入って行った。

同日 午前12時16分 地方裁判所 第4法廷ー

カンっ!

「それでは、審理を再開します。牙琉検事!証人・綾里昭子さんの容態を報告して下さい。」
「証人・綾里昭子は、ある猛毒の中毒症状で今、病院にはこばれている。一命は取り留めたが、ヨダンは許されない状況だ。…よって、彼女への尋問続行は不可能、だ。」
「なんとゆうコトでしょう…ちなみに、牙琉検事。その“ある猛毒”とはなんですかな?」
「ジカンがなくて、まだ調査結果は出てない。だけど、極めて殺傷能力の高い猛毒と言えるよ。」
「ふむう…なるほど。…キノドクなコトです。」
「マッタクだね。」
「しかし、私はこの審理はもうジューブンだと考えます。検察側の立証にはスジが通っていました。もう判決の準備はできています。検察側に異議がなければ、ここで下したいと思ってるのですが、いかがですかな?」
「…!(裁判長の心証はカギリなく検察側に傾いているぞ…!)」
「おジイさん、判決にはまだ早いよ。この事件はナゾが多すぎるからね。…そこで、検察側は最後の証人を召喚したいと思うんだけど?」
牙琉は相変わらず、笑顔だ。
「分かりました。いいでしょう。」
裁判長は首を縦に振った。
「ありがとう。裁判長さん。それじゃぁ、検察側はサイゴの証人を入挺させよう!この事件の初動捜査を行った刑事をここへっ!」
「いよいよヤツが…証言台に!!」
「オニノ刑事だね…!」
「必ず、バケの皮をハガしてやる!」
牙琉の指示で鬼野刑事が入挺し、証言台に上がった。
「それじゃぁ、証人。名前と職業をお願いするよ。」
「…鬼野正道。刑事をやっています。」
鬼野は牙琉とオドロキを一瞬、睨みつけて言った。
「(こ、怖ぇー…)」
「…どうゆうコトですか、検事さん?私はこの事件を糸鋸刑事に全て引き継いだハズだが…?」
「ここに呼ばれた理由はアンタがイチバン、分かってるんじゃないかな?刑事さん。」
「なんだと…?!」
鬼野はスゴイ形相で牙琉を睨みつけた。
「(うわぁー…昨日の御剣さんも、すげぇと思ったケド…牙琉検事もすげぇな…)」
「まぁ、まぁ。熱くならないように!」
裁判長が軽くチュウサイに入った。
「…それで?私はナニを証言すればいい?」
「被告のお嬢さんをタイホしたのはアンタだ。彼女のタイホした理由をクワシクお願いするよ。」
「ちょっと待って下さい!牙琉検事!そのコトは先程、イトノコギリ刑事が証言したでしょう?しかもホトンド手を加えずに次の証人にうつったのでしょう?」
裁判長が目をパチクリさせながら、牙琉に言った。
「あの刑事クンには必要最低限のコトを証言してもらったまでさ。聞くなら、本来の担当刑事の方が詳しいだろ?」
「(そーゆーコトだったのか…!短いと思ったよ…イトノコさんの尋問…)」
「本来の担当刑事…確か、イトノコギリ刑事が言っていましたな。違法捜査をした、と…」
「私は、違法だとは思っていない。捜査妨害を防いだだけだ。」
鬼野はオドロキを睨みながら言った。
「(ニラムなよ…怖ぇじゃん!)」
「はぁ…そうさぼうがいねぇ…」
「ま、話すと長いから、ココでの説明は省略してもらうよ。じゃ、証人。証言をヨロシク!」
「分かりました。」
〜証言開始〜
「私が被告人をタイホした決め手は、写真や目撃者の証言もあったが、毒の入ったコビンを所持していたコトだ。」
「綾里真宵の身体検査をしたトキ、彼女の着物のタモトから、コビンが出てきた。」
「そのコビンの中身は、トリカブト毒の粉末、外側には被告の指紋がベッタリ付着していた。」
「以上の点から彼女をタイホした。この上なく、メイハクな理由だ!」
「ふむう…極めてメイハクですな。それでは、弁護人。尋問をお願いします。」
「ハイ!(オニノが関わってるとしたら、この証言は、アキラカにウソついてるコトになる!…イッキに崩すんだ!王泥喜法介!)」
〜尋問開始〜
「私が被告人をタイホした決め手は、写真や目撃者の証言もあったが、毒の入ったコビンを所持していたコトだ。」
「待った!」
「ほう…?」
「あ、あの。毒の入ったコビンって…真宵さん以外の人の指紋はなかったんですか?」
「ない。」
「…。(一蹴された…)」
「じゃぁ、そんな諦めきれないカンジのおデコ君のタメにコレを提出するよ!被告人・綾里真宵の指紋でコーティングされたコビンさ。」
「受理しましょう!」

●毒の入ったコビン。
真宵の指紋だけ付着している。彼女の装束のタモトから発見。

「そんなの、ネツゾーだよ!あたし、そんなコビン、身体検査で見つかるまで見たコトもないよぉ!」
「そうだね…ヤツは何か工作をしたに違いない!ゼッタイにアバいてやる!」
「ヤクソクだよ!オドロキ君っ!」
「あぁ!大丈夫!(…だよな?ホースケ!)」
「…続けてもよろしいかな…?」
「お願いしますぞ!」
「綾里真宵の身体検査をしたトキ、彼女の着物のタモトから、コビンが出てきた。」
「待った!」
「…」
鬼野は無言でオドロキを睨んだ。
「(うっ…やっぱハクリョクあるよ…このオッサン!)鬼野刑事、アナタが被告人の身体検査をしたんですか?」
「アタリマエだ。…だからなんなのだ?」
「いえ、大丈夫です。次、行ってください…(い、イアツが…)」
「オドロキ君!大丈夫?!コシが引けてるよ!」
「あ、ゴメン…(鬼野が真宵さんの身体検査をした!ツマリ、工作ができた可能性がある!しかし、証拠がない…。)」
「(本当に大丈夫なのかな…オドロキ君…)」
「そのコビンの中身は、トリカブト毒の粉末、外側には被告の指紋がベッタリ付着していた。」
そのシュンカン、鬼野のコブシに力が入った。
『そこだっ!』
「?!な、なんだ、イキナリっ!」
「オニノ刑事…アナタは今、動揺していましたね?」
「…なんのコトだ?コンキョのないハッタリはやめてもらいたいモノだな。弁護士クン…。」
「コンキョのないハッタリかどうか…それは、ご自分がイチバン分かっているハズですよ。」
オドロキはふてぶてしく笑いながら、ウデを組んだ。
「な、なんだと?!」
「…おもしろくなってきたねぇ。おデコ君。」
「鬼野刑事。あなたは、“外側には被告の指紋がベッタリ付着していた。”と証言するトキ、無意識にチカラが入り、アナタの左手の甲の血管が浮き出るんです。…お気付きですか?」
「フン。だからなんなのだ?」
「…コビンの外側にベッタリと被告の指紋が付着していた…しかし!被告人はそんなコビン、身体検査で発見されたトキに初めて見たと言っています。つまり!」
オドロキはチカラ一杯、机を叩いた。
「そのコビンに付着した指紋は、捏造された可能性があるっ!」
『な、なんですとぉぉぉぉぉっ?!』
そのシュンカン、傍聴席から大きなザワメキがたった。
『ナニを言ってるんだ?!あの弁護士!』
『刑事が証拠品の捏造!?ありえねぇよっ!』
『どんなハッタリだよ!』
『被告の言うコトなんて、ウソに決まってるじゃない!』
「…勝負にでたな。オドロキ君。」
「この流れをどうやって自分のモノにするか…だな。」
「確実に鬼野刑事は今、予想外なテンカイに戸惑っているハズだわ!イキナリあんなダイタンなハッタリを言われちゃぁ、ね。」
「おどろきくん…!」

カンカンカンっ!

『静粛に!静粛に!静粛にぃぃぃぃっ!』
裁判長は木槌を連打し、大声でドナり続けた。
「どうゆうコトだ?弁護士…」
「弁護人!アナタは今、とんでもないコトを口走りましたよっ!納得の行く説明をしなさいっ!」
「いいでしょう。」
オドロキは静かに首を縦に振った。
「だ、大丈夫なの?オドロキ君!そんなコト言っちゃって…」
「大丈夫だと思う…!オレの中で今ナゾが少しずつだけど、繋がりつつあるんだ!ここで止まるワケにはいかない!」
「…分かった!信じるよ!オドロキ君を…!」
「あぁ!大丈夫だ!」
オドロキは心配する真宵に親指をたてた。
「それじゃぁ、おデコ君。お願いするよ。」
「ハイっ!…鬼野刑事。もう一度確認します。アナタは1人で、綾里真宵の身体検査を行ったんですよね?」
「…そうだ。」
「まさか、おデコ君。キミはこの刑事が捏造したその証拠を身体検査のトキに、被告のお嬢さんの着物のタモトに潜り込ませた、とでも言いたいのかい?」

⇒To Be Continued...

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