時空を超えた逆転 1 成歩堂編‐捕らわれの検事‐
作者: 太郎   2008年10月22日(水) 14時16分24秒公開   ID:JsAhK5blwlg
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「ずっとモニター番してたんですか?」
「当たり前だョ!アンタ!オバチャンはプロの警備員だからネ!」
「…。(きっと御剣を舐めるように見た後はヒマだから、羊羹でも食ってたんだろう…)分かりました。次お願いします。」
「フン。分かってるョ。それでずっーとモニターをチェックしてたんだョ。んで12時25分頃だったかねぇ。ミッちゃんがまたうつったんだよ。クルマの前で荷物を入れようとする愛らしい姿がねぇ!」
「…はぁ。」
「そこで映像がイキナリ消えちまったのサ!オバチャンは心配になってミッちゃんの元へ走ったんだョ!」
「モニターが…消えた?」
「あぁ、そうサ!イキナリだョ!破損したワケじゃなかったけど、カメラは警察に持ってかれちまったョ。」
「なるほど…。警備室から現場までどれくらいですか?」
「1分くらいだネ。」
「近いですね…。警察には誰が?」
「他の警備員に決まってるだろ!画面がへんになってからスグに通報してたョ!」
「…それで現場にでたら、オバチャンがさっき言ってた状態になってたんですね?」
「そうだョ!…約束どおり全部言ってやったんだから、さぁ、ミッちゃんのプロマイドを渡しな!」
「オバチャン、ありがとう!」
成歩堂はオバチャンに御剣のプロマイドを渡した。
「アンタ、明日は覚悟することだねェ!」
そういうと、オバチャンは御剣のプロマイドをにぎりしめ、警備室に戻って行った。
「(…警備室のカメラ映像が切れてからオバチャンと脇役さんが現場に現れるまでの1分の間にオドロキ君は御剣を助けようとしたが、銃を持たされて罪を着せられた…。そして目撃者2人の証言の小さな違い…どうやら見えてきたな。)」

同日 某時刻 警察署 刑事課ー

「おっ!アンタ、来たッスか!」
「イトノコさん!どうでしたか?!」
「キーには御剣検事の指紋しかなかったッス。ただ検事のクルマは基本ボタン式ロックなのでキーについてる指紋はごくわずかッス!それに“ボディ”の部分に一番クッキリと鉛筆を持った時と同じ形で指紋が付いてたッス!つまり、クルマに刻み込まれてたカーナンバーは御剣検事が書いたコトになるッス!」
「…なるほど。じゃぁ、カーナンバーのほうは?!」
「…残念ながら、カーナンバーは盗難ッス。」
「と、盗難車…!(サイアクだ…)」
「あと、試しに調べてみたんスが、偶然で、あのクルマは中古で、前の持ち主は脇役邦夫つぅ今回の事件の目撃者ッス!」
「!!!(わ、脇役さんの?!)」
その時、成歩堂は脇役邦夫は事件に無関係ではないと。確信した。
「イトノコさん、この指紋とこの足跡をオドロキ君のと一致するか調べてもらえますか?」
「被告のッスか?」
「はい。すみませんがお願いできます?」
「了解ッス!これなら、スグに分かるッス!あ、アンタにこれを渡しておくッス!」
イトノコは、裁判所の地下駐車場の見取り図と防犯カメラの解剖記録をくれた。
「ありがとうございます!イトノコさんっ!…カメラはハッキングによる中枢の破壊及び故障…?!」
「そうッス。当日何者かによってハッキングされてたッス!」
「録画映像とかはないんですか?!」
「みんな消えちまったッス。あとは警備室にいたオバチャンの証言だけになるッス!」
「え…(嘘だろっ?!)」
成歩堂はため息をついた。
「とりあえず、自分は指紋と足跡を調べるッス!少しそこで待つッス!」
「すみませんねぇ、イトノコさん…!」
成歩堂は応接テーブルに案内され、ソファーに座った。そこに、無防備に検察局の極秘資料が封筒の中からバラまかれてた。
「…イトノコさんか。無防備だな…。」
成歩堂は極秘資料を封筒の中にしまいはじめた。
「極秘が極秘じゃなくなっちゃうによ…。…っっ!!…と、時を越えるコトができる“超時石”?!」
成歩堂は資料を読み始めた。
[“超時石”…検事局が管理してる、極秘物体。石の強烈で特有な磁力を調節することによって、過去や未来に通じる空間を作る…]
「“空間”って、確かオドロキ君も言ってたぞ!確か彼は、裁判所にあった空間に吸い込まれてこの世界にきた…とか…!」
成歩堂は読み続けた。
[この極秘物体は検事局の上級検事が1人検事局長から指名され、無期限任期で管理する。]
「じ、上級検事…!!御剣もそうだったよな…。」
そこへニコニコお茶とお菓子を持ったイトノコが現れた。
「も少し時間がかかるッス!今、掃除のオバチャンから大福貰ったから、一緒に食べるッス♪」
イトノコはご機嫌だったが、成歩堂が手にしてる資料を見て、急に叫びだした。
「…あ、アンタ!それは極秘資料ッス!!」
「極秘も何も、ここにバラまかれてましたよ。」
「…むぅぅ。」
「イトノコさん、これって…?!」
「あの被告がタイムスリップしたって言ってたのがとても引っ掛かったッス。だから調べてみたッス!…ま、いずれアンタにも知らせるつもりでしたッスが…。まぁ今あげるッス!」
極秘資料を法廷記録に挟んだ。
「ありがとうございます!イトノコさん!
「久しぶりに役に立った気がするッス!」
「この管理者の検事局・上級検事って…」
「御剣検事じゃないッスよ!」
「そうなんですか?」
「ッス。それに確認したら、検事局に石はちゃんとあったッス!」
「えっ!そ、それは本物ですか!?」
「間違いなく本物ッス。」
「そ、そんな…」
「考えられるのは、その被告の時代…。つまり7年後の世界で検事局から盗まれた…ってコトッスね。」
「7年後の管理者…それって調べられないんですか?!」
「今からじゃ、明日の法廷には間に合わないッス…。特別審査、手続きが必要ッスから…。それにヘタに法廷では取り上げられないッス!傍聴人に漏れたら大変なコトになるッス…!」
「うぅ…。」
「一応、自分はその管理者の検事にとりあってみるッス!」
「すみません…イトノコさん!ありがとうございます!」
「そろそろ、鑑定結果出るから持ってくるッス!あ、後、これも渡しておくッス!」

同日 某時刻 留置所ー

成歩堂は法廷記録を読み返していた。
「(イトノコさんが調べてくれたこの指紋と足跡はオドロキ君のと一致した!そしてイトノコさんに貰ったこの駐車場改装記録と、白線に使用されたペンキのデーター…。これで御剣の誘拐に関与してないと立証できる…。あとは彼の話しを聞こう…)」
「成歩堂さん!」
「あ、オドロキ君!どうだいチョーシは?」
「…留置所って静かですネ。狂ってしまいそうです。」
「あぁ確かにね。ボクも入ったことあるからわかるよ!…もう二度と入りたくないなぁ…」
「ですよねー。(残念ながら7年後に入ることになるなんて言えないよな…)」
「んで、君に何点か聞きたいコトがあるんだよ…。」
「なんでしょう?」
「…これは君のペンかな?オドロキ君。」
成歩堂はオドロキに成歩堂法律事務所と刻印された折れたペンを突き付けた。
「あぁ!それは…オレのです!成歩堂さんから貰った…(というかあの時ペンがなくてパクった…)」
「これは、世界に1本しかないんだ。綾里法律事務所が成歩堂法律事務所になった時、業者さんが記念にくれたんだ。そしてこれは、現場から15m程離れた所から発見されたんだ。」
「…つまり、オレが御剣さんを拉致した集団に最初からいなかった事を立証できる証拠になりますね!」
「その通り。そして君の足跡も白線から見つかってる。それに、トイレ前の排水官からも君の指紋が発見されたから、信憑性が増すだろうね。(さすが弁護士なだけあるな…)」
オドロキは成歩堂に礼を言った。
「…礼なら無罪判決を受けてからだね。ところで、君が御剣の誘拐現場に駆け付けた時、他に人はいたかな…?」
「スミマセン、成歩堂さん。オレ、夢中で…周りは見てなかったです。」
「そうか。分かったよ。…それとあと一つ問題があるんだ。」
「…オレのタイムスリップについて、ですよね?」
「うん。そうなんだ。さっきイトノコ刑事に調べてもらったんだけど、どうも“超時石”っていう、タイムスリップができる石が原因らしいんだ。」
「い、石?!」
「うん…。その石の特殊で強烈な磁力で過去と未来を繋ぐ“空間”をつくるらしい。キミはこの世界に繋がってる空間に吸い込まれたワケだ。」
「…な、なるほど…。(なんじゃそりゃっ?!。)」
「その石は検事局で管理してる一部の人間しか知りえない極秘物体なんだよ。オドロキ君。」
「…ってコトは明日の審理では…」
「そう。一応、イトノコさんを通して検事局と交渉してるけど、難しいんだ。立証するのが。」
「うぅ…。」
「そしてもう一つ。今現在、検事局にはこの石は存在している。つまり…キミが来た“7年後の世界”から使われた可能性が高いんだ。」
「…そうなると7年後の世界にいる人間が関わってる…ってコトになりますね。…マッタク読めませんね。犯人の行動が」
「あぁ。まず何故、御剣を誘拐したのか?それを何故わざわざ7年前の世界に引きづり出したキミに罪を着せたのか?そして犯人の要求が何故キミの弁護なのか…?…すべて明日の審理で明らかにしてやる!」
「…メボシはついてるんですか?」
「…まぁね。とりあえず、明日はそいつが証人だから、追い詰めて自白させてキミの無実を立証する!そして一刻も早く御剣を助け出す…!」
「御剣さん…必ず助けましょうっ!」
「オドロキ君。キミは被告人であろうと弁護士だ!何かムジュンを見つけたら、バンバン発言してくれっ!」
「あっえっ…イイんですか?」
「明日の裁判長は意見に流されやすいからね…!言ったもん勝ちさ!」
「…その裁判長って、ツルッパゲで、ヒゲの…ですか?」
「えっ!あぁそうだよ!…なんでオドロキ君、知ってるの?」
「…オレん時も多分その裁判長です。」
「うぉっ!そうなのか…あの裁判長…いくつだ…?」

同日 某時刻 アジトー

その頃、御剣は相変わらず、アジトである雑居ビルの一室に縛られて監禁されていた。彼が監禁されてる部屋の外には見張りがいて、24時間監視体制だ。そこに仮面男が現れた。
「御剣は大人しくしてますか…?」
「今の所は大人しいです。もう観念したのでは…?」
「…気をつけなさい。彼は成歩堂の友人だ!ヤツの影響でいきなり破天荒な行動をとる可能性がある!…気を抜いてはいけませんよ。」
「はっ!」
「では、通してください。」
ドアの開く音で御剣は顔を上げた。そこにはまた仮面男が立っていた。
「検事殿、どうですか?居心地は?」
仮面男はわざとらしく御剣に尋ねた。
「…とても居心地がいいな、ここは。」
それに対して御剣も皮肉をたっぷり込めて返答した。
「それはそれは…。」
仮面男はまたしても優しく言った。
「…今度は何の用だ?」
御剣は冷たく仮面男に尋ねた。
「フフ…明日は王泥喜法介の法廷がありますね…。成歩堂龍一がどのような作戦にでるかが、非常に楽しみだ…」
「…どうゆう意味だろうか?成歩堂に不可能はないぞ。」
仮面男に対し、御剣は強気に答えた。
「フフ…忘れたんですか…?被告人・王泥喜法介は、7年後の世界からタイムスリップした“ミライジン”なのです。それをどうやって法廷で立証するか…ですね。」
「成歩堂は霊媒についても見事に立証した…!キサマごときが考えるような弱い男ではないっ!」
御剣は強気に返した。
「フフ…もしかして検事殿は知らないのですか…?超時石…について…。」
仮面男は御剣を見下すように言い放った。
「!!(なんだ…ウワサで聞いたことがある…タイムスリップを可能にする石…ま、まさか?!)」
「検事局の一般の上級検事でさえ、その存在を知らされていない超時石!今回はこれを使ったんですよ…!」
「な、なんだって?!」
「超時石は検事局が管理する、極秘物体…!検事局長が極秘に無期任期で上級検事1人を管理者に任命し、世間へ漏れないように管理してる…。この意味が分かりますか?」
「傍聴人がいる法廷では…話題に出せない…」
「その通り。しかも、この超時石は7年後の世界のを使いました…。つまり今現在、検事局には存在してるのです…。今から7年後を調査するにも、特別な手続き、審査が必要になってくるので明日の法廷には間に合わないでしょうね。」
御剣は仮面男を鋭く睨みつけた。
「キサマは一体、その青年と成歩堂になんのウラミがあるというのだ!?」
「フフ…彼らは私の“誇り”に風穴を開けた…とでも言っておきましょうか。」
「…“誇り”…だと?」
「そうですよ。御剣検事殿。成歩堂と王泥喜は今から7年後の世界で私の“誇り”をねじまげたのです。これは、彼らに対する私の“復讐”…なのですよ。」
「…7年後…。つまりキサマも未来から来たというのか?!」
「その通り。知人の検事が管理者でね。実にたやすかった。この石を手に入れるのに…。」
「そのくだらない“復讐”とやらの為にキサマは重罪を犯したのか…?!」

⇒To Be Continued...

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