時空を超えた逆転 3 成歩堂・王泥喜編‐霊媒師の罪‐ | |
作者:
太郎
2008年10月22日(水) 14時15分57秒公開
ID:JsAhK5blwlg
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「はぁ…。」 オドロキはため息をついた。 「おどろきくん…?」 春美は心配そうに見つめてきた。 「今回も…牙琉先生が絡んでるかもしれないと思うと…やっぱり気が重いな…。」 オドロキはソファに座った。 「牙琉霧人…か。確か、2人を殺した…って言ってたね。」 成歩堂がオドロキの隣に座っり、春美は成歩堂のヒザの上によじのぼった。 「はい。それと未遂が1人です。牙琉先生の初犯は…オレの助手、みぬきちゃんの実の父親の殺害でした。」 「そう言ってたね…。(成歩堂みぬき…ぼくの養女、か。)」 「ひどい方ですわ!そのがりゅうって方は!みつるぎ検事さんを誘拐したのも…その方なんですか?」 春美が成歩堂とオドロキに聞いてきた。 「そうだよ。その牙琉って男は真宵ちゃんの事件の糸も引いてるかもしれないんだ。」 成歩堂が怒りを込めて言った。 「でもその殿方…タイホされたのですよね…?」 春美が親指の爪を噛みながら言った。 「牙琉霧人はね、すべてを完璧なロジックでコトを運ぶ人なんだ…。現に刑務所にいながら彼は人を1人殺している。」 オドロキは静かに言った。 「まぁ!なんて…人なんでしょう!」 春美が叫んだ。 「オドロキ君…。(悔しいだろうな…自分の師匠だもんな。)」 「…オレの初法廷の時、成歩堂さんとオレで牙琉先生を告発しました。あの時のショックは忘れません…。オレは初めての法廷で職場も師匠も失ったんです。(そして、証拠を偽造した成歩堂さんにも幻滅したっけ…)」 オドロキは腕を組んで言った。 「そうだったんだ…。(だから、牙琉はぼくに復讐を…。)」 「こんなに多くの人を巻き込むなんてオレは…許さない!必ず、真宵さんを助けて、牙琉霧人まで漕ぎ付けてやる!」 「そうです!おどろきくん!真宵さまを助けなければ!」 春美は相当熱くなってる。 「あぁ。やつのロジックを打ち崩すまで、だね。」 成歩堂も静かに言った。 「待たせたな。」 御剣が部屋に帰って来た。手にはたくさんの資料を抱えている。 「御剣!その資料は…?」 「あぁ。今回の事件の資料だ。局長に話したら、牙琉を引っ張り出すのなら、弁護士の方にもこの資料を渡しておくように…とのコトだ。」 御剣は資料をオドロキに渡した。 「ありがとうございます!」 「トコロで…。検事の方は狩魔冥にできたのか?」 成歩堂が御剣に聞いた。 「あぁ。亜内検事になってたからな。変更しておいた。冥は明朝に日本に着く。」 「なるほど。とにかく…現場に行こう!御剣!」 「うム。そうしよう。」 同日 午後12時28分 検事局・地下駐車場ー 「お前が残したこの手掛かりが、ぼく達の切り札になったんだよな…。」 成歩堂が御剣の車のトランクに刻まれた、カーナンバーを見つめながらしみじみと言った。 「それにしても…良く残せましたね。オレなら、抵抗するコトだけを考えますよ!」 オドロキが関心しながら言った。 「あの時、銃を突き付けられた時点で、何されるか分かったからな。防犯カメラを確かめたら動いてなかった…。だから、せめてカーナンバーを残しておけば、助けが来ると思ったんだ。」 御剣は運転席に乗り込みながら言った。 「みつるぎ検事さん!わたくし、じょしゅせきに座ってもいいですか?!」 春美が目を輝かせながら御剣に言った。 「うム。乗りたまえ。春美君。」 「わぁ!うれしい!わたくし、お車初めてです!」 春美は助手席に乗ると、シートベルトをした。オドロキと成歩堂も後部座席に乗り込んだ。 「今なら、道が空いてるから…そうだな。1時間弱で着くだろう。二人とも、資料に目を通しておくんだぞ。」 御剣はオドロキと成歩堂に言った。 「あぁ。(保護者かオマエは…。)」 「ハイ!大丈夫です!」 「よし。じゃぁ行こう。」 御剣は車を発車させ、倉院の里を目指した。 7年後 午後12時31分 警察署 取調室ー 「牙琉。真宵ちゃんをハメたのもキミなんだろう?」 7年後の成歩堂が牙琉霧人を取り調べている。 「フフ…。面白いですね…成歩堂龍一。何度問いただしても無駄ですよ。」 牙琉霧人が不敵に笑った。 「あの観光客とは、繋がりはあったの?」 茜が聞いた。 「ないですよ。モチロンね。」 牙琉は笑顔だ。 「うぅ…。腹立つ!」 茜はかりんとうを食べだした。 「でも真宵ちゃんには動機もないし、彼女はそんかコトをする様なコじゃないんだ。」 成歩堂は牙琉を睨みつけた。 「フフ…。動機?知ったコトじゃぁありませんね。私は、無関係ですから。それに…あのチャイニーズが綾里真宵に何かしたのかもしれませんよ…?」 牙琉はコーヒーを飲んだ。 「ムカつくわね。アンタ。」 茜のかりんとうを口に入れる速度が早くなってきた。 「…分かった。ちょっと休憩にしよう。ぼくも疲れた。看守さん。ぼく達お昼食べに行きますから、牙琉をよろしくお願いします。」 成歩堂が看守に言った。 「逃げるのですか…?成歩堂。」 牙琉は相変わらずクールな態度で言ってきた。 「少し、休むだけだよ。行こう、茜ちゃん。」 成歩堂は茜を連れて、取調室を出た。 「成歩堂さん…。現段階で科学的にもまだ今回の真宵さんの事件と牙琉霧人のツナガリがまだないです…。少し調査してから…」 茜が最後まで言い終える前に成歩堂が口を挟んだ。 「茜ちゃん。牙琉はさっき、重要なコトを言った。彼は無関係じゃない!牙琉検事に連絡してくれ!」 「は、はいっ!」 7年前 午後1時43分 倉院の里ー 「着いたぞ。」 御剣は車を駐車し終わって言った。 「…。(何だココは…?!スゴク、アヤシイ…。)」 オドロキは倉院の独特な雰囲気にコトバを失った。 「ま、まぁ行こうよ。現場に!春美ちゃん、案内してくれる?(オドロキ君、倉院の里に圧倒されてるみたいだな…)」 「はい。分かりました。」 春美の表情も険しくなっていた。 「それでは、現場に行くとしよう。」 同日 午後1時50分 修験者の間前ー 「さすがに刑事さん多いなぁ…。入りにくいよ。」 成歩堂が言った。 「むう…。私がなんとかしよう…。」 御剣が進んで前に出た。 「あっ、ありがとうございます!御剣さん!」 オドロキが御剣に会釈した。その時だった。 『だから、ウチはジャーナリストやって言ってるやん!!さっきからっ!』 「駄目だっ!帰りなさいっ!」 『なんや!?オッサン!その言い方はっ?!』 聞き覚えのある関西弁だった。 「成歩堂…アノの声、聞き覚えがある。」 御剣は立ち止まって成歩堂に言った。 「わたくしもあります。」 春美も続いた。 「ま、まさか…。」 「えっ何?何?誰ですか?」 オドロキだけカヤの外だ。 「あっ!ナルホドー!」 イキナリ目の前にアフロヘアーの女が現れた。 「それにおじょーちゃんやないか!…おおっ!検事っ!」 女は御剣を見つけるやいなや彼の元へ飛んで行った。 「むっ、キミはっ!」 御剣は後退したが、女は御剣をガッチリ捕まえた。 「検事!アンタ、誘拐されたんやってな!いやぁ〜無事で良かったわ!」 女は御剣の左肩をポンポン叩いた。 「う゛っ!そこは銃弾を受けたから叩かないでいただきたい!」 「おっ!スマン、スマン!…じゃぁナツミさんがアンタをスクープしたるわっ!“誘拐された天才検事、ドクター・ストップ無視し、活動開始!”ってのはどうや?」 女は満面の笑みで御剣に聞いた。 「私はドクター・ストップを受けてないぞ。」 御剣が返した。 「ナツミさんの記事にはフィクションも組み込まれるんや!そうしないとつまらんやろ?!…ん?」 女がオドロキに気付いた。 「アンタ、初めて見るな!」 「えっ…。(何なんだよコノ人…。)」 オドロキが困惑してると、成歩堂が耳打ちしてきた。 「(オドロキ君。あの人には絶対、キミが未来から来たって言っちゃダメだぞ…)」 『こらっ!ナルホドー!何耳打ちしてんねん!』 女はオドロキに近づいてきた。 「あっ、どうも…。」 「アンタ、名前と職業!」 「その…王泥喜法介…弁護士です。」 オドロキは恐る恐る答えた。 「ナルホドー!アンタいつの間に弟子作ったん?!」 「あっまぁそんなトコです。」 成歩堂が適当に答えた。 「この髪のトガリ具合もよう似とるわ!さすが弟子やな!」 「はぁ…。」 オドロキは力無く返事した。 「ウチは大沢木ナツミ、芸能&オカルト・ジャーナリストやっ!」 ナツミはオドロキの肩をポンポン叩きながら言った。 「どーも…。(芸能&オカルト・ジャーナリスト…?)」 オドロキは愛想笑いをした。 「トコロでなぜキミがここにいるんだ?」 御剣がナツミに聞いた。 「アンタこそ何で検事のクセして弁護士と調査に来てるん?仲良しやなー!」 「むむ…まぁ色々あってな。」 御剣は適当にごまかした。 「なぜ、こちらに?」 今度は春美が聞いてきた。 「おじょーちゃん、ウチは芸能&オカルト・ジャーナリストや!倉院での事件はナツミさんのモノやっ!」 「はぁ…。」 春美は親指の爪を噛みはじめた。 「まぁ、ウチ昨日からここにおってな!…オカルト取材の方で。で、また、真宵はんがタイホされてしまったやん!それを取材しよーとしたら、ケーサツに拒否されてしまってん!」 ナツミは腕を組みながら言った。 「ナツミさんも昨日、いたんですか?!」 成歩堂が聞いた。 「おったわ!…いやぁ、出版社にな、心霊写真撮ってこれたら、高額で買うって言われてな!」 ナツミは頭を掻きながら言った。 「心霊写真…。」 オドロキは呟いた。 「心霊=ココや!と思ったん!んで、ナルホドーは今回も真宵はんの弁護するんやろ?」 「あっ、今回は…その、事情があって、オドロキ君が弁護するんだ。真宵ちゃんの。」 成歩堂が小さい声で言った。 「何やて〜!!ナルホドー、何があったん?」 「まぁ色々と、ね。」 成歩堂は素っ気ない。 「それで、キミは何か目撃したのか?」 御剣が冷静に聞いた。 「あれ、アンタ、担当検事やろ?何で聞いてないん?ウチ、検察側の証人やで?!」 「えっ!?う、うムまぁそうだったような…。それで?(ここは、担当ってコトにして情報を…)」 御剣の一瞬の動揺をナツミは見逃さなかった。 「はは〜ん。アンタ担当検事やないな?ウチの目はごまかせへんで!」 ナツミの目がキラリと光った。 「う゛っ…!」 御剣は凹んだ。 「ナツミさん、また検察側の証人なんですか…?!」 成歩堂も汗だくだ。 「そや!さっき決まったトコやで!」 ナツミは笑顔だ。 「あ、あの!目撃したコト教えてもらえませんか?!」 オドロキが聞いた。 「アンタ新人やな!ナツミさんはタダで情報はあげへんよ♪」 「え゛っ?!」 成歩堂はオドロキの肩をポンっと 叩いた。 「ナツミさんから情報を得るには、まずぼく達自身で情報を得なきゃ前に進まない…!」 「さすがナルホドー!良く分かってるやん!まっ、事件はそこの修験者の間で起きたらしいから、見ときや!じゃっ!ウチの情報欲しけりゃ、代わりになるもん持ってき!」 ナツミはそう言うと庭の方へと走って行った。 「嵐のようなネーチャンですね…。」 オドロキが言った。 「アノ人が証人か…。またイヤな予感がするな…。」 成歩堂はため息をつきながら言った。 「むう…。とにかく情報を集めよう。」 御剣はそう言うと、入口に立ってる刑事に話しかけた。 「検事局の御剣と申すが明日の法廷にそなえて調査に来た。入れてもらえるか?」 刑事は御剣の顔を見た。背の高く、イトノコ刑事と違い、威圧感のある男だ。 「御剣…。あぁ、検事のね。私は鬼野正道(オニノ マサミチ)。この事件の初動捜査を担当している刑事です。」 鬼野刑事は威厳たっぷりに御剣に自己紹介した。 「よろしくお願いする。」 御剣も威厳を込めて返した。 「(あの刑事さんです!真宵さまをタイホしたのは!)」 春美はヒソヒソ声でオドロキに言った。 「(そうなの?!てか…怖ぇよ。あの人。)」 オドロキもヒソヒソと言った。 「(イトノコ刑事はあの人の10/1以下だな…。イゲン。)」 成歩堂もヒソヒソと呟いた。 「御剣検事…。あなたは誘拐されたと聞いていますが?」 鬼野は威厳を込めて言った。 「昨日、救出された。この通りモンダイはない。調査してもいいだろうか?」 御剣も腕を組んで威厳を込めて言った。 「(アイツ、勇気あるな…!)」 「(さすが御剣さん…!)」 成歩堂とオドロキは同時に思った。 「明日の担当は狩魔検事と聞いているが…?」 「狩魔冥は今アメリカから、こちらに向かっている。今日は私が代理で調査をする。」 御剣も一歩もひかない。 「…わかりました。どうぞ。」 鬼野は調査を許可した。 「ご理解、感謝する。鬼野刑事。…あとそこにいる彼ら、綾里真宵の弁護士にも調査を許可してくれまいか?」 鬼野は成歩堂とオドロキを睨んだ。 「あっ、弁護士の成歩堂龍一です。」 成歩堂は真宵の依頼状を見せながら言った。 「助手の王泥喜法介です!」 オドロキはとっさに言った。 「えっと…あの真宵さまのイトコの春美と申します!」 ⇒To Be Continued... |
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