時空を超えた逆転 3 成歩堂・王泥喜編‐霊媒師の罪‐ | |
作者:
太郎
2008年10月22日(水) 14時15分57秒公開
ID:JsAhK5blwlg
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茜が続けた。 「御剣の中傷をしたから、カッとなっちゃって…。だから、オドロキ君に真宵ちゃんの弁護をお願いしたいんだ…です。」 成歩堂が釈明した。 「しかもその証人は牙琉先生の手下だった。多分入れ知恵されたんじゃないかと思うんですよ…。御剣さんの中傷をすれば、成歩堂さんが怒るってのを…。」 オドロキは腕を組み、ユビで眉間を押しながら言った。 「牙琉…霧人か…。すべてヤツの“ロジック”だったのかもしれないね…。牙琉検事、ぼくからもお願いするよ。真宵ちゃんの弁護をオカシラ君に!」 「オドロキです。」 オドロキは反射的に言い返した。 「あっごめんごめん。そのオドロキ君に。」 「(ゼッタイにワザとだ。)」 「オーケイ!ボクから検事局長に掛け合っておくよ。ガリューウェーブのベスト・アルバムもつけてね!」 「ありがとうございます!」 「ありがとう!」 「礼を言わせてもらうよ…。」 みんな一斉に牙琉にお礼をした。 「検事さん!ありがとうございます!」 春美がぴょこぴょこと牙琉に近づき、抱きついた。 「まいったな…。女の子に抱き着かれるのは馴れてるけど、キミみたいなカワイイ子は初めてだね!」 牙琉は春美の頭を撫でた。 「(デレデレだな…牙琉検事…。)」 「とりあえず、ボク達は戻ってアニキの取り調べを進めるよ!検事局長には掛け合うけど、5日以内にキミがこっちの世界に帰らないと、キミは戻れなくなる…!それだけは忘れないでくれ!こちらも出来る限りサポートする!じゃぁ、2日後の午後5時にまたここに迎えにくるカラね!」 「えっ!!?あっ、ハイ!大丈夫です!ありがとうございます!(初耳だぞ?!)」 「とりあえず、ボクも行く。お願いするよ!オカシラ君。」 「オ・ド・ロ・キです!」 オドロキは叫んだ。 「ハハ。ワザとだよ。茜ちゃんも、こっち手伝ってくれないか?」 成歩堂が茜に言った。 「分かりました!それじゃ、アンタよろしく頼むわよ!」 「ハイ!大丈夫です!」 「成歩堂さんに御剣さん、そして春美ちゃん!また、来ますんで!」 茜はオドロキ以外の人に会釈した。 「ありがとう!茜ちゃん!」 「茜クン、ありがとう。」 「あかねさん!また会いましょう!」 牙琉、成歩堂、茜は空間の中に入り、空間は消えた。 「それじゃぁ、オドロキ君。改めて真宵ちゃんの弁護をお願いするよ!」 成歩堂が言った。 「私も検事局から、休廷命令がきてる。今回は協力させてもらうぞ。」 御剣が続いた。 「必ず、真宵さんの無罪判決を勝ち取ります!よろしくお願いします!」 「頼もしいです!おどろきくん!真宵さまをお願いします!わたくしも協力させていただきます!」 春美は笑顔で言った。 「それでは、行くか…。」 御剣が成歩堂を見た。 「あぁ。留置所へ、な。」 成歩堂が言った。 「はいっ!」 同日 午前11時37分 留置所ー 成歩堂と御剣、オドロキに春美は、真宵の面会を待っていた。 「オドロキ君。」 「何でしょう?成歩堂さん?」 「牙琉検事がさっき言ってた、“ガリュー・ウェーブ”って何?」 成歩堂は、真剣な面持ちで聞いてきた。 「検事局長に渡すとか…とも言ってたな…。」 御剣もカナリ真剣な表情で言った。 「アハハ…。そんなシリアスなもんじゃないですよ。“ガリュー・ウェーブ”ってのは、牙琉検事がボーカルをつとめる、警察関係者5人で構成されているバンドです。」 オドロキは申し訳なさそうに言った。 「バンド?!あの検事、そんなコトもやってんの?」 成歩堂は目を丸くした。 「私は…今のシゴトでイッパイイッパイだ。時代は変わるものだな…。」 御剣が関心したように言った。 「(時代じゃなくてあの検事が特別なんだよ…。)かなり、人気のバンドでしたよ。ある事件がキッカケで解散しちゃいましたけど…。」 「おどろきくん?」 春美がオドロキのスーツの裾をツンツンと引っ張りながら聞いた。 「なんだい?」 「“ばんど”ってなんですか?」 春美が聞いてきた。 「ば、バンド?バンドはねぇ…」 イキナリの予想外の質問にオドロキは考え込んでしまった。 「“バンド”は、何人かの歌手が集まったグループのコトだよ春美ちゃん。」 成歩堂が、すかさず言った。 「まぁ!あの検事さんは歌手でもあるんですね!」 春美はうれしそうに言った。 「あら、今日はニギヤカなのね…。」 面会室に現れたのは、綾里真宵が霊媒してる綾里千尋だった。 「この人が…綾里真宵さん…!(成歩堂さん、こんなグラマラスなねぇさんを助手にしてたのか…!)」 オドロキはボーっと千尋を見てる。 「違うよ。オドロキ君。この人は綾里千尋サン。ぼくの師匠だ。真宵ちゃんが霊媒してるんだよ。」 成歩堂が言った。 「えっ、レイバイ…?」 オドロキは聞き返した。 「おどろきくん、知らないのですか?」 春美が驚いた顔をした。 「レーバイってだって…」 「なんと言うかその…真宵クンは霊媒師なんだ。そして今、彼女の姉で成歩堂の師匠である綾里千尋さんをまさに霊媒中…ってトコロだ。」 マッタク理解出来てないオドロキに御剣が説明した。 「真宵はもう…カナリ気を落としてるわ…。だから私を呼んで、なるほど君に正確に事件の詳細を語ろうとしているみたいなの…。」 千尋が言った。 「真宵ちゃんが…。そうなんですか…。てか御剣!成長したな…お前が霊媒を語るなんて!」 成歩堂が感心しながらいった。 「あっ、いや私は…」 御剣は顔、真っ赤だ。 「スゴイわね。今日は…。御剣検事さんまでいるわ!」 千尋が御剣に微笑みかけた。 「あっ…生前はどうもお世話になりました。」 御剣はナゾな挨拶をした。 「どんな挨拶だよお前…。(そう言えばこの2人、法廷で一度戦ってるんだっけ…)」 「こちらコソ!…それよりどうしたの?頭のキズは…?それに、この子は誰なの?」 千尋はオドロキを指差した。 「あっ、千尋さん…。実は…」 成歩堂は今まであったコトを千尋に話した。オドロキのコト、超時石、御剣の誘拐事件、牙琉霧人の犯行、すべてを。 「…そうだったの…。そんなコトが…。御剣検事さん、無事で本当によかったわ…!」 「うム。彼らのオカゲです。」 千尋はショックを受けた表情に見えた。 「千尋さん、だからボク今回は弁護できないんです…。今回は…このオドロキ君に弁護を任せます」 成歩堂はオドロキを見て言った。 「そうね…!お願いします。オドロキ君!」 「はい!オレ、頑張ります!」 「じゃぁ、大まかに事件の説明するわ!」 千尋は事件の流れを説明し始めた。 「事件が起きたのは昨日の、午後3時すぎ。倉院に、外国人観光客が来てたの。」 「何人程ですか…?」 オドロキは千尋に聞いた。 「1人よ。名前は、王劉蚕(ワン・リューシャン)。中国人男性で、オカルトカメラマンよ。」 「おかると…」 オドロキは呟いた。 「彼は、あらゆるトコロを撮影したあと、本堂で真宵がお茶を入れたらしいの。…そしてそのお茶を飲んでから談話したらしいんだけど…談話中に…」 「亡くなったってわけですか…。」 オドロキが言った。 「オドロキ君。今回は“未遂”だからね!生きてるんだよ。被害者!」 成歩堂がツッコミを入れた。 「あっそうでした。」 オドロキは照れ笑いしながら、頭をかいた。 「倒れたのよ。中毒症状で。その後、奇跡的に一命取り留めてね。今は入院中よ!」 「むう…。なんの毒が使用されたのですか?」 御剣が千尋に聞いた。 「名前は忘れたけど…毒は彼のお茶から検出されたそうよ。」 「お茶に毒ですか…。」 オドロキが呟いた。 「春美ちゃんはその場にいたの…?」 イヤに大人しい春美に気付いて、成歩堂が尋ねた。 「あ…イエ。わたくしは…。具合が悪くて…寝てました。」 春美は口ごもった。 「修業をサボって雪遊びをしていた。…よね?」 千尋が優しく言った。 「な、な、な、な、何をおっしゃいます!わたくしは…」 春美はカナリの動揺を見せた。 「うふふ。いいのよ。真宵は庭で見たそうよ…。楽しそうに雪だるまを作ってるあなたを。あまりにも楽しそうだったので、そっとしといたって言ってたわ!」 千尋はニコっと笑った。 「ううう…。」 春美は黙ってしまった。 「倉院では雪が降っていたのか…。」 成歩堂が言った。 「こっちも一応降ってたぞ。積もらない程度に。」 御剣が言った。 「知らなかった…。」 オドロキがちょっと寂しそうに言った。 「キミ達は法廷にいただろ。私は…監禁されてたからな。ヒマだったから窓の外を見てた。」 「(監禁中“ヒマだったから”って。すげぇなコイツ。)」 「わたくし、あの時、修業をサボってしまったからでしょうか…。最近霊媒がうまくいかないのです…。」 春美がボソっと言った。 「えっ?!(明日の法廷はオドロキ君…1人じゃないか…!)」 「それは関係ないわ。おそらくスランプね。霊媒師の。」 千尋が言った。 「わたくし、すらんぷ…なのですか?」 「多分ね。才能のある霊媒師ほど、若い時に訪れるそうよ。」 「はぁ…。(奥深いな…レーバイって。)」 オドロキは、理解しようと必死だ。 「とりあえず、私から言えるコトはこれくらいね。私から、今回の弁護士がオドロキ君になるってコトを真宵に伝えておくわ。あっ一応、真宵はあなた宛てに依頼状を書いてるから渡しておくわ。何かの役に立つはずよ!」 「ありがとうございます。千尋さん。」 成歩堂は依頼状を受け取った。 「またここに来て、真宵から直接あなたが、依頼状を受け取ってね。オドロキ君。」 「はい!大丈夫です!」 「それじゃぁ、そろそろ留置所の昼休みね。明日の法廷では、春美ちゃんが私を呼び出せないから、あなたは1人で弁護席に立つと思うけど、なるほど君に御剣検事さん、そして春美ちゃんに私があなたの味方だから!それを忘れないでね。」 千尋は微笑みながら言った。 「ハイ!大丈夫ですっ!」 オドロキは叫んだ。 「じゃぁ、また後でね。」 そう言うと千尋は面会室を去った。 「とにかく、倉院に行ってみよう!電車で2時間くらいだから…今から行けば、2時前に着く!」 「ハイ!(意外と遠いいのか…)」 「いや…私の車で行こう。」 御剣が言った。 「みつるぎ検事さんのお車ですか?わたくし乗りたいですとも!」 春美は嬉しそうにピョコピョコはねた。 「いいのか?御剣?」 「あぁ。私の車は検事局に移されたんだ。ここからそう遠くあるまい。それに…検事局で明日の検事の手配をしなければならないだろ。」 御剣が言った。 「検事の手配…ですか?」 オドロキが聞いた。 「うム。明日は真宵クンの無罪を勝ち取るだけではダメだ。我々は必ず、真実までたどり着かなければいけない。この複雑な真実に…!だから、それなりの検事を手配が必要になってくるだろう…。」 「確かにそうだ…。で、でもそれなりの検事って…まさかお前?!」 成歩堂が御剣に食らい付いた。 「キミは先程の私の話しを聞いていたのか?成歩堂。私は検事局長から休廷命令を受けてる。」 御剣は腕を組んだ。 「あっそうか。…ま、まさか?!」 成歩堂は汗タラタラになった。 「えっ何?誰ですか?!」 成歩堂の様子を見て、オドロキも焦りだした。 「あぁ…。キビシイかもしれないが…私は冥が適任かと思う。」 御剣は言った。 「かるま検事さんですね…。」 春美が真顔になった 「かるま?冥…?誰ですかその人は?」 オドロキは二人に尋ねた。 「狩魔冥。強気な女検事だ。…かなり恐い。」 成歩堂が言った。 「えぇえっ?!恐いんですか?!」 オドロキは嘆いた。 「さらに、ムチを自由自在に操る。」 御剣も言った。 「ムチぃ?!(なんだそりゃ!)」 オドロキの前髪が垂れた。 「しかし…私が出れない以上、彼女しかいないだろう?牙琉までたどり着けるのは…。」 御剣が成歩堂に聞いた。 「確かに…そうかもしれないけど、真宵ちゃん、ワリと仲いいんだぞ?!狩魔検事と。」 成歩堂が言った。 「しかし、真実を知るためだ。私が担当検事になっても、真宵クンの有罪を全力で立証するだろう。」 御剣が成歩堂を説得するように言った。 「…そうだな…。お前の言う通りだ。御剣。ぼく達は真実までたどり着かなければいけないんだ。特に今回は!」 成歩堂が言った。 「そうですね…!御剣さん!その検事さんでお願いします!」 オドロキが御剣に言った。 「あぁ。ありがとう。明日はキビシい戦いになるが…ヨロシクお願いしたい!」 「わかってます!大丈夫です!!」 「じゃぁ、決まりだ!行こうよ。検事局に!」 成歩堂が言った。 「あぁ。」 同日 午後12時8分 検事局 上級検事執務室 1202号室ー 「これが御剣さんの執務室ですかー。(“成歩堂なんでも事務所”とは大違いだ…。)」 オドロキがキョロキョロと見回した。 「この椅子もフカフカです〜♪」 春美はソファの上ではしゃいでいる。 「とりあえずここにいてくれ。私は仕事をすぐに終わらせてくる。」 そう言うと御剣は部屋を出ていった。 ⇒To Be Continued... |
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