時空を超えた逆転 3 成歩堂・王泥喜編‐霊媒師の罪‐ | |
作者:
太郎
2008年10月22日(水) 14時15分57秒公開
ID:JsAhK5blwlg
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2月25日 午前10時14分 警察署 取調室ー 「まっこんなカンジッスね!取り調べはこれで終わりッス!」 イトノコが資料をまとめながら言った。 「これで、ぼく達も記憶処理を受けて終了なんですよね?…長かったなぁ〜!」 成歩堂が明るくイトノコに聞いた。 「そうッスけど…。もしかしてアンタ達…まだ聞いてないッスか…あの事件…?」 イトノコがとても暗い表情をして言った。 「あの事件…?刑事、何のコトだ?」 御剣がイトノコに問い詰めた。 「言いにくいッスが…また倉院の里で事件が起きたッス…。殺人未遂が…!」 成歩堂と御剣はお茶を吹き出した。 「く、倉院だと…?!誰が殺されたんですかっ?!」 成歩堂が身を乗り出して聞いた。 「綾里真宵が…」 イトノコが最後まで言う前に成歩堂が叫んだ。 「ま、真宵ちゃんが?!一体誰にっ?!」 「待て!成歩堂っ!…最後まで聞くんだ!」 御剣が成歩堂を押さえた。 「殺人じゃなくて殺人未遂ッス!自分は昨日の事件があったから担当してないんスけど…綾里真宵が観光客の殺人未遂容疑でタイホされたッス…!」 『な、なんだって?!』 御剣と成歩堂が同日に叫んだ。 「自分は…捜査してないからなんとも言えないッスが…今回も決定的だったらしいッス…!証拠が。」 イトノコが悔しそう言った。 「なんてコトだ…。」 御剣が額をおさえて嘆いた。 「真宵ちゃんは、ぼくに必ず、依頼する…。でもぼく、昨日の法廷で謹慎を受けたんだ…。」 「ほ、本当か…成歩堂?!」 御剣は乗り出して尋ねた。成歩堂は無念そうに頷いた。 「…成歩堂さん。もしかして…これらも仕組まれてたんじゃないでしょうか…牙琉霧人によって…。」 オドロキが急に悟ったように言った。 「えっ?どーゆーコト?」 成歩堂が聞き返した。 「だって、昨日、牙琉検事に連行されたトキ、かなり大人しかったですもん…。牙琉先生。」 「そうね。私も思ったわ。」 「茜さんっ!」 茜が取調室のドアを開けて入ってきた。 「成歩堂さんを復讐するなら、綾里真宵さんを利用しないワケないわ…!」 「それに…。昨日の脇役だって、不自然だった!イキナリ御剣さんを中傷して、成歩堂さんに殴らせた様に見えましたもん…!」 オドロキは腕を組みながら言った。 「な、本当か?!成歩堂?!」 「あぁ。すまない…。ヤツがお前を中傷したから…つい…!」 成歩堂は無念そうに言った。 「成歩堂…。それで謹慎を…。」 御剣は成歩堂の肩を持った。するとオドロキが急に立ち上がった。 「オレじゃ…ダメですか?」 「えっ?!」 御剣と成歩堂は同時にオドロキを見た。 「オレが…真宵さんの弁護をします!」 「でも、アンタ、帰らなきゃいけないッスよね?」 イトノコが心配そうに聞いた。 「あ゛…。」 オドロキは完全に自分が未来からきたのを忘れていた。 「そうよ!アンタやりなさいよ!」 茜が嬉しそうに言った。 「で、でも、茜ちゃん。オドロキ君は今日11時に帰らなきゃイケナイんだよ?!」 成歩堂が茜に言った。 「ジャラジャラの検事さんには私からもお願いするわ!成歩堂さんが弁護できないならアンタ!たまには役に立ちなさいよ!」 茜はオドロキを指差した。 「は、はい。(役に立ってないのか…オレ?)」 「しかし、私は管理者じゃないから分からないが、厳しいんじゃないか?そう言う極秘物体の使用は…。」 御剣が呟いた。 「でも…牙琉検事なら、きっと許可してくれると思うんです!…だからお願いします!真宵さんの弁護をオレにやらせて下さい!」 オドロキは成歩堂と御剣に言った。 「私からもお願いします。牙琉霧人が絡んでる可能性もあるし…。そしたらコノ人しか弁護できる人がいない…!」 茜もお願いした。 「ぼくらとしても、オドロキ君に是非頼みたい…!」 「私達も、牙流検事に頼み込もう。オドロキ君の滞在延長を…!」 成歩堂と御剣もオドロキの滞在延長と真宵の弁護を牙琉響也に頼み込むコトに決めた。 「とりあえず、戻ろう!事務所へ!」 同日 午前10時45分 成歩堂法律事務所ー 成歩堂と御剣、オドロキに茜は事務所に戻り、牙琉が来るのを待っていた。 「わぁぁぁん!なるほどぐーん!!」 突然事務所のドアが開き、綾里真宵のイトコ、綾里春美が大泣きしながら、入って来た。 「は、春美ちゃん!」 「なるほどぐん!みづるぎ検事ざん!真宵さまが…、真宵さまが…!わぁぁぁん!!」 春美はなかなか泣き止まなかった。見かねた茜が春美を抱いてあげた。 「春美ちゃん、大丈夫よ…!泣かないで…!」 すると春美はぴたっと泣き止み、成歩堂を睨みつけた。 「なるほど君…!あなたって人はっ!」 春美はおもいっきし成歩堂の顔をビンタした。 「ご、誤解だよ!春美ちゃん!!このコは昔の依頼人で今は刑事さんだよ!うっ、いてっ!」 春美のビンタは止まらない。 「み、御剣!なんとか言ってくれっ!」 「う、うム。春美君。この人は、刑事だ!刑事!仕事で来てるのだ!」 春美はビンタをやめて、泣き出した。 「刑事さんなんてキライです!真宵様を、真宵さまをぉぉ…。わぁぁぁん!」 春美はまた泣き出した。 「そうとう参ってるな…。春美君は。」 御剣が目頭を押さえながら言った。 「あぁ…。そうだな…。」 成歩堂はほっぺを撫でながら返答した。 「春美ちゃん。私は、真宵さんをタイホした刑事とは違うのよ。真宵さんを助けたいの!」 茜が春美の頭を撫でながら言うと。春美は泣き止んだ。 「本当ですか…?」 「えぇ!春美ちゃん、聞いてちょうだい。今回は色々あって、成歩堂さん、謹慎処分を受けてしまったの。」 「きんしん…?」 真宵が茜を見つめた。 「そうね…。言いにくいんだけど、成歩堂さんは今回だけ法廷に立ってはいけないという命令を受けてしまったの…。」 茜の言葉を聞くと、春美はまた涙目になった。 「な、なるほどくんは真宵さまの弁護が出来ないというのですか?そ、そんなの…ヒドイです!ううっ…」 「待って!春美ちゃん!今回は…成歩堂さんの代わりにこの、赤いお兄ちゃんに、真宵さんの弁護を引き受けてもらおうとしてるの!」 茜は、オドロキを指差して言った。春美は、オドロキを見るやいなや、泣き出した。 「わぁぁぁぁぁぁん!この殿方、ツノが生えてますっ!オニさんですっ!わぁぁぁぁん!」 「つ、ツノ…。オニ…。」 オドロキはショックで崩れた。 「春美ちゃん!このお兄ちゃんは、オニじゃなくて弁護士だ!しかも…未来から来たんだ!」 春美は急に泣き止んだ。 「みらい…ですか?」 「私も未来から来たのよ!このお兄ちゃん未来では、成歩堂さんのお弟子さんと言った所かしら!」 茜はニコっと笑って言った。 「そうなんですか?お兄さん?なるほどくんのお弟子さんなのですか?」 春美は手で涙を擦りながら、オドロキに尋ねた。 「うん。まぁそんなトコだよ。オレは王泥喜法介!よろしくね!(まぁ…事実上、今は成歩堂さんが先生みたいなモノだしな…。)」 「おどろきくんって呼ばせていただいてもいいですか?」 春美は笑顔で言った。 「あぁ!みんなからはそう呼ばれてるよ!(カワイイなぁ!)」 「私は宝月茜よ!今はカガク捜査官なんだから!アカネって呼んで!」 「(自称…だけどね。)」 「アンタ、失礼ねっ!」 茜はオドロキのほっぺをつねった。 「いてぇっ!(言ってないのに!)」 「あかねさんにおどろきくん!よろしくお願いします!」 春美はぴょんぴょん跳ねながら言った。 「よろしくな!春美ちゃん!」 「よろしくね!」 オドロキと茜が言った。 「だけど、オドロキ君が、真宵ちゃんの弁護するには、許可が必要なんだ。その…ミライジンだから。」 成歩堂が言った。 「そうなのよ!これから派手でじゃらじゃらした、変な検事さんが来るんだけど、春美ちゃんもその人に、この人が真宵さんの弁護が出来るようにお願いしてもらえる?」 茜が優しく、微笑みながら春美に聞いた。 「えぇ!わたくし、お願いしますとも!その検事さんに!…あれ?みつるぎ検事さん?」 「なんだろうか?」 「その…お傷はどうされたのですか?」 春美は御剣の頭の包帯を指差して言った。 「御剣はね、悪い人に昨日、捕まってしまったんだ…。」 成歩堂が言った。 「まぁ!そうなのですか?みつるぎ検事さん!わたくし、里にいたもので、マッタク知りませんでした…!」 春美は涙を潤ませながら御剣を見た。 「あ、あぁ。ちょっとスキをつかれてしまってな…。しかし、成歩堂と、オドロキ君、そして茜君が私を助けてくれたのだ。」 「そうだったのですか…。おどろきくんもあかねさんもいい方達なのですね!」 春美はオドロキと茜の手を両手で握った。 「春美ちゃんも、ようやくなついたな。オドロキ君と茜ちゃんに。」 成歩堂が御剣に言った。 「あぁ。後は牙琉検事が来るのを待つのみだ。…そうだな。後、7分程でくるな…。」 御剣が時計を見て言った。 同日 午前10時59分 成歩堂法律事務所ー 事務所内の景色が一部歪み出し、空間ができ、そこから牙琉霧也が出てきた。 「お邪魔するよ!おデコ君に刑事君。そろそろ時間だよ!あと、他の人達も記憶処理を施したいので、一応、来てくれないか? 牙琉はいつも通り、キザにユビをパチパチ鳴らしながら言った。 「あの殿方が、変な検事さんですか?」 春美が茜に聞いた。 「そうよ。とんでもなく変な検事よ。」 茜は笑顔で答えた。 「刑事クン。ひどいなぁ〜。小さなレディにそんなコト言うなんて…。どぉ?今夜食事でも?」 「ケッコウです!」 茜はぷーっとほっぺを膨らませた。 「あの検事と茜ちゃんの関係って、お前とイトノコ刑事の関係と同じだろ?」 成歩堂が御剣にぼそっと言った。 「彼らの関係は、刑事の方がジャッカン上のようだな…。」 御剣が関心したように茜を見ながら答えた。 「牙琉検事、実は今回、こっちの世界の滞在期間を少し延長して欲しいんです。」 オドロキは真面目な顔をして、牙琉に言った。 「どうしてだい?おデコ君?」 「牙琉検事、ぼくからもお願いするよ。実は、綾里真宵…ぼくの助手が殺人未遂容疑でタイホされたんだ。彼女の弁護をオドロキ君にお願いしたい!ぼくは昨日の法廷で謹慎処分を受けてしまったんだ。」 「それに、今回も牙琉霧人のカゲを感じるわ。あの人が真宵さんに手を出さないハズないもの…。」 茜が成歩堂に続いた。 「お願いします!検事さん!」 春美が茜の腕を掴みながら言った。 「それに昨日、連行された時、牙琉霧人はヤに大人しかったようではないか。」 御剣も腕を組みながら言った。 「…やっぱりそう来たか…。」 「どうゆうコトですか?!牙琉検事!」 オドロキが牙琉の一言に食らいついた。 「昨日、アニキを連行した時、ボクも態度が大人しいと思った。だからあの後すぐに取り調べをしたんだ。成歩堂龍一とね。彼は今も取り調べを続けているよ…。」 牙琉はソファーに腰をかけた。 「もしかして、さいころ錠ではないか?成歩堂?」 「サイコ・ロックだってば!」 御剣の間違えを成歩堂は言い直した。 「まいったな…。マッタク前に進まない…。」 「成歩堂さん!」 空間の中から今度は、7年後の成歩堂が出てきた。 「なるほどくん?!」 春美はひどく驚いた様子だった。 「春美ちゃんじゃないか!久々に見たなぁ…!」 成歩堂は笑顔で春美に手を振った。 「本当になるほどくんなのですか?…ミライの。」 春美は穴が開くくらい、未来の成歩堂と現在の成歩堂を見比べていた。 「そうだよ。春美ちゃん。…まぁカッコはラフになったけどね。」 未来の成歩堂は相変わらず、笑顔で言った。 「…未来のなるほどくんの方がカッコイイ気がします!」 春美は少し考えた後、照れながら言った。 「(マジかよ…。今のぼくって何なんだ?)」 「なんか、自分を見てると不思議な気分になるなぁ。」 「アニキの取り調べはどうなったんだい?」 牙琉が成歩堂に聞いた。 「残念だけど、マッタク進まないよ…。」 成歩堂はため息をついた。 「でもサイコ・ロックは…?!…どうですか?(自分と話すなんてナンカ気持ち悪い…。)」 現在の成歩堂がナゼか敬語で聞いた。 「なんか、自分と話すなんて気持ち悪いな…。サイコ・ロックは出るんだけど解けないんだ…。何をやっても…。牙琉霧人のサイコ・ロックは黒いんだよ。」 成歩堂はため息をついた。 「く、黒のさいころ錠…ですか?」 御剣が聞き返した。 「(なんで、御剣まで敬語使ってるんだよ!)」 「なんか、御剣に敬語で話されるなんて初めてだなぁ。…黒のサイコ・ロックにはマッタク歯が立たない…。すこしたったらまた挑戦するケド。」 「むぅ…。そうなのか。」 御剣は呟いた。 「んでね、キミの助手だった、綾里真宵が昨日タイホされたみたいなんだ。殺人未遂容疑で。」 「ま、真宵ちゃんが!?」 成歩堂は聞き返した。 「しかも、昨日の法廷で、こっちの成歩堂さん、謹慎処分を受けちゃったんです。証人を殴っちゃって。」 ⇒To Be Continued... |
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