逆転の力を合わせて 第1章 | |
作者:
最終兵器
2008年07月20日(日) 13時30分21秒公開
ID:Om9q4VDFwHE
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第一章 「発生」 3月6日 午後10時27分 波風湾第3倉庫 「入り口へにげたぞー!」 怒声と銃声が飛び交う第3倉庫。今、警察と鹿羽組が激突している最中だった。 俺は所轄の組織犯罪対策課で鹿羽組を追い続けて9ヶ月。とうとうしっぽをつかんで銃撃戦まで追い込めた。 「八ノ巣警部補。幹部2人を逮捕しました。」 部下がつれてきた連中はいかにも顔が暴力団とものがたっていた。 「よし、署に連行しろ。」 これでDL10号事件の復讐ができるぜ。 3月7日 午前11時28分 警察署 取調室 「とっととはけ!!脅迫してぶんどった金はどこにやったんだ!!」 オレは腹の底から叫んだ。むこうには頭がやられたとしか思えねぇふざけた野郎がいる。 「あいや、刑事殿。このすばらしき名推理でもわかりませぬな。」 オレは顔にかかった肩まである長い髪を上にあげる。このままやっても時間の無駄だと思ってどうしようかと悩んでいると、とてつもねぇお偉いさんがはいってきた。 「御剣検事、神雪車刑事部長、お疲れ様です。」 どうやらまた忙しくなりそうだぜ。 3月7日 午後1時 上級検事執務室・1202号 私は、八ノ巣警部補と大蛇刑事、そして本庁から神雪車刑事部長から届いた資料を見ていた。 「DL10号事件か。」 気がつくと外には雪が降っていた。 3月12日 午前10時3分 成歩堂法律事務所 「なるほどくん。トイレ掃除ばかりしてないでテレビでも見ようよ!」 葉桜院の事件で有名になった成歩堂法律事務所。でも依頼はまったくこなかった。 ちなみに今しゃっべたのは綾里真宵(あやさとまよい)ちゃん。怪しげの装束に身をつつんだ僕の助手(自称影の所長)で倉院流霊媒道次期家元である。 言われたとおりにテレビをつけてみると、こんなニュースがやっていた。 「次のニュースです。昨日起きた殺人事件の容疑者として、御剣怜侍(みつるぎれいじ)検察官が逮捕されました。」 「な、なんだってーーーーーーーー!」 事務所いっぱいに響く絶叫。きのうせいか、チャーリー君の葉っぱが揺れている。 御剣怜侍。僕の親友でありライバルである天才検事。あいつには何度すくわれたことか・・・。 プルル 「はい。もしもし、成歩堂法律事務所ですが。」 目にもとまらぬ速さで真宵ちゃんが受話器をとる。こんなに速く取れるのも霊媒師の力かな? くだらないことを考えていると受話器から馬鹿でかく、聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「大変ッスゥゥゥーーッ!2分以内に留置場にこないと逮捕するッスよッ!」 ブチッ・・・・ 今のは糸鋸圭介(いとのこぎりけいすけ)。完璧な外見と行動力、そして貧乏を誇る刑事だ。 「よーしなるほどくん。ひさしぶりに留置場にレッツゴーだよ!」 留置場は遊ぶ場所じゃないんだけどな。それは自分が2回入ってるからわかっているはずなんだけどな。そういえば僕も2回入ったけ。7年後にもう1回入いることになるとは・・・。運命はいたずら好きだなぁ〜。どうやら来月分の家賃までなんとかなりそうだ。 こうして僕たちはまだ寒い道を全力疾走で新たなる物語の舞台へかけだすのであった。 同日 10時6分 留置場 事務所からここまで全速力で走ってきたが、タイムリミットまでまにあわなっかた。息切れして動けない。 「まったく、なるほどくんたらこの程度で息切れするんだから。もうおじさんだねぇ〜。」 「ほっといてくれよ!」 そうこうしているうちにイトノコ刑事が現れた。 「遅いッス!逮捕ッス!裁判ッス!有罪ッス!死刑ッスゥゥゥーーッ!!!」 イトノコ刑事が大騒ぎしている。あいかわらず薄汚れたコート着ている。そいえばマコちゃんからもらったコートはどうしたんだろう。 「あれは額縁にいれて飾ってあるッス。」 マジかよ! 「イトノコさん。人の心を読まないでください・・・」 ビシッ 「イテェ!」 突然ムチがおそってきた。 「すぐ心を読まれるくせによく弁護士が務まるわね。成歩堂龍一ッ!」 また懐かしい再会だな。このムチ使いは狩魔冥(かるまめい)。天才検事だ。イトノコ刑事は彼女をおそれている。 「メイさんまだ日本にいたんですか?」 真宵ちゃんが質問する。 「ちょっと日本の勉強をしてたのよ。」 似合わないな。 「今回つかまったのはレイジよ。有罪なんかにしたら死刑台におくってやるわ!」 こ、怖い。 「成歩堂。やっときたか。」 どうやら主役の登場のようだ。 「御剣。どうしたんだ?」 「見ての通り、また捕まったのだ。」 そういえば、こいつもここに入るの2回目だっけ? 「事件のことをおしえてくれ。」 「わかった。事件が起きたのは昨日の午後3時。<時雨院>でおきた。」 なんだ、時雨院って。考えていると真宵ちゃんがわりこんできた。 「それって綾里家の分家で修行場のあの<時雨院>ですか?」 そんなに怪しいところなのか。葉桜院と同じような所かな。しかし葉桜院は寒かったよな。 「その<時雨院>だ」 そうなんだ。待てよ、どうして御剣がそんな所にいたんだ? 「おい、御剣。なんで霊媒をなかなか信じなかったお前がそんな場所にいったんだ?」 ガン ガラガラガラガラ・・・・・・ガシャンガシャンガシャン サイコ・ロックか。人は心に秘密がある。その秘密を実体化したのがサイコ・ロックだ。 錠の数は3個。そこそこの秘密だな。 「すまない。今は言うことができない。」 うーん。無理にでも聞こうかと思ったけどとなりでムチが動いているからやめておこう。 「被害者は色飾緑(いろかざりみどり)。警備課の警部補で以前、ある事件で面識があった。」 きっとそれが動機なんだろうな。いったいどんな事件なんだろう? 「DL10号事件だ。警察に資料がある。」 また話がややこしくなってきたな。後で資料室にも行くか。 「ところでイトノコ刑事。明日の担当検事は誰なんですか?」 やっぱり1番気になるのはここだ。御剣はありえないし、狩魔検事がやるとは思えないし、ゴドー検事も今は警察病院に入院している。それに被告人は天才検事だから亜内検事もないだろう。 「明日の担当検事は、刀条竜聖(とうじょうりゅうせい)検事ッス。」 聞いたことないなまえだな。 「刀条検事は21歳で検事になってから8年間5回しか負けたことがないッス。しかも真実を追究していてルックスも抜群なことから大人気ッス。」 すごい検事だな。これは大変だぞ。 「しかもそれだけじゃないッスよ。」 イトノコ刑事がふてぶてしく笑う。い、いったいなにがあったんだ? 「なんと、なんと自分の給料をあげてくれたッスゥゥゥーー!!!」 涙ながらに言うイトノコ刑事をみているとこちらも泣けてきた。看守泣いているよ。 ビシッ 「バカがバカらしくバカげたことでバカ騒ぎしないで情報も集まった所でさっそく現場へレッツゴーよ!」 レッツゴーってはやりなのか?時間は少ない。なんとしてでも御剣をたすけてみせる! こうして再び、下手すれば自慢のギザギザが凍りそうな大地へ4人で飛び出していった。 同日 10時39分 時雨院・正面門 「そういえば今回ってイトノコ刑事の担当じゃないですよね?」 時雨院は山奥にあったものの、そばには穏やかな小川がながれていて桜が咲いていた。 僕の質問にイトノコ刑事が答える。 「そうッス。自分は検事と親しいことから捜査をはずされたッス。今回の担当は大蛇猛牙(おろちもうが)刑事ッス。またこのあたりには鹿羽組の残党がいることから、組織犯罪対策課の八ノ巣丸満(はちのすがんまん)警部補と本庁から神雪車斬鋭(かみそりざんえい)刑事部長がいるッス。他にもひき逃げ事件があって、交通課の鬼塚政良(おにづかまさよし)警部もいるッス。挨拶しといた方がいいッスよ。」 そんなにたくさん事件があったのか。 鹿羽組が全滅したには最近ニュースでやっていた。鹿羽権太は自殺し、息子であり幹部であった鹿羽吸太(しかばねすいた)は逮捕されたらしい。 「ねぇねぇイトノコさん。あれが大蛇刑事ですか?」 真宵ちゃんが指を指したさきには髪が肩まで長く、赤いスーツを着てサングラスをかけてやくざみたいな人だった。 「そうッスよ。」 いくら刑事が私服で行動するものでもありゃないよな。 そんな思いをいだきつつ、僕は大蛇刑事にこえをかけた。 「あの・・・すいません。」 おそるおそる声をかけると般若のような形相で怒鳴りつけてきた。 「なんじゃ貴様ーーーーーーーー!!!」 「ひゃあ!!!ごめんなさいごめんなさい。」 真宵ちゃんがびっくりして謝りながら僕の後ろに隠れる。イトノコ刑事もおどおどしながら大蛇刑事に説明する。 「あの、大蛇君。この人はギザギザだけどけっして怪しい者のじゃないッス。弁護士ッス。」 とりあえずなんとか収まったようだ。大蛇刑事が髪をいじりながら言ってきた。 「ほう、弁護士先生か。オレは大蛇、刑事だ。しかしここに来るってことは御剣の弁護士か。」 よし、分かっているみたいだからいっきに情報を聞きだそう。しかしそうもうまくいかないものだ。 「あいにく検事様の弁護士に売る情報はねぇ。消え失せろ。」 さらっと言った大蛇刑事だったが密かに敵意を感じた。あきらかに御剣を嫌っている。それを狩魔検事やイトノコさんもかんじとったようだ。大蛇刑事をにらみつけている。 「どうしたんだ、大蛇。この人達は?」 今度は背中に銃を背負い、手にも銃を持った危なそうな人がやってきた。 「よう、八ノ巣。こいつらは御剣検事様の弁護軍団達だ。」 180pぐらいある身長。そしてショートカットの髪の毛。運動神経は抜群のようだ。 そして特徴的なのはキレのある目。御剣並の眼力がある。 「一般人は立ち入り禁止だ。出て行け。」 この人にも感じる。御剣への敵意を。あいつはどれだけ敵をつくったんだ。 「俺らはそうでなくてもイライラしているんだ。速くいかないと蜂の巣にするぞ。」 そう言って銃を取り出した八ノ巣警部補。これは危険だ。そこへ狩魔検事がムチを取り出してきた。 「八ノ巣丸満ッ!大蛇猛牙ッ!事件の説明をしなさい!」 ビシッ。なぜかムチが僕を直撃する。 「おやおや検事サマ。愛しの方が捕まって怒ってらっしゃるのですか?へっへっへ。」 大蛇検事の言葉に顔を真っ赤にして狩魔検事がムチを振り回す。 ビシッ、バシッ、シュバッ。 「いてっ!」 「うぎゃーッス!!」 どうして僕とイトノコさんが叩かれなくちゃいけないんだ!!! 「私とレイジはそんな関係ではない!」 背中がヒリヒリする。 突然声が聞こえてきた。 「まあまあ、大蛇君も八ノ巣君も名弁護士の成歩堂さんに現場を拝見してもらおうじゃないか。」 そこに現れたのは、微笑をうかべた40代の男。筋肉が引き締まっていて、白髪混じりの頭は亜内検事とちがってフサフサだ。 男が現れたと同時に現場にいた捜査官全員が敬礼した。 「お疲れ様です!神雪車刑事部長!」 「ご苦労。さて成歩堂さん。少しお話をしましょうか。」 この人に敵意は感じない。絶対に話を聞き出してみせる。 「さて、何から聞きたいですか?成歩堂さん。」 余裕の表情で話しかけてきた神雪車刑事部長。まず、被害者のことを聞くのが一番だろう。 「被害者はどんな方だったんですか?」 なんと言っても気になるのはこれだ。 「彼女はかつて警視庁の捜査一課に配属されていました。人柄は良く信頼できる人でしたよ。」 相変わらず微笑を崩さない神雪車刑事部長。とりあえず動機は誰にでもある訳ではない。つまり御剣にはそれなりの動機があるのだろう。「DL10号事件」という名の動機が。 「事件の概要を教えてください。」 しかし一番重要なのはこれだろう。 「事件は昨日午前11時5分に発生しました。場所は修行の間。凶器はそこにあった日本刀です。被害者は背後から一突きでした。これが上面図、凶器のデータ、解剖記録です。」 <時雨院の上面図> 手前から接待の間、本堂、修行の間、トイレとなっている。 <日本刀> 刃の先30pまで血が付着している。柄の部分から御剣の指紋が検出された。 <色飾緑の解剖記録> 死亡推定時刻は11時から11時10分の間。背後から刺され即死。体内から睡眠薬が発見された。 結構データがそろった。問題は目撃者なのだが・・・。 「目撃者は今の所3人です。」 そ、そんなに!?思ったよりまずい状況だ。 「そんなにいるんですか!?」 どうやら真宵ちゃんも同じことを思ったらしい。 「こんなんで勝てるの!?成歩堂龍一ッ!」 いちいちムチで叩くには勘弁してもらいらい。 「1人はカメラマンの大沢木ナツミ(おおさわぎなつみ)さん。」 ズコッ。それを聞いた僕達は思わずこけてとにしまった。ナツミさんとは僕達が何度か事件で出くわしたカメラマン。まさかここでナツミさんがでてくるとは。 ⇒To Be Continued... |
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