赤く輝く記憶 | |
作者:
10join
2008年03月10日(月) 16時50分38秒公開
ID:lBGY4c4qTNg
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10月19日 午後10時25分 ヘルジョーカーのアジト オレの名前は日渡空悟。怪盗ヘルジョーカーの表人格だ。 『それでは赤いラピスラズリは無事に戻って来たのですね。』 「ああ。少しアヒルの唾液がついたけど、それもよく洗えば問題ないよ。」 今オレは赤いラピスラズリのもともとの持ち主と話している。彼女の名前はアリス ・I・ジュエル。かなり名のある宝石商の令嬢だ。 『本当に無事に戻って来てよかったです。一時はどうなることかと思いましたよ。』 「悪かったな。わざとセキュリティを切っていたせいでバロンに盗まれてしまって。」 そう。バロンが赤いラピスラズリを盗めたのは、オレがわざとセキュリティを切るように切札館長に指示したからだ。もしセキュリティが正常に作動していたら、バロンは警察にすぐに囲まれていただろう。だけど確実に死者が出る上、赤いラピスラズリを守れる保証もない。仮に守れたとしても、バロンを取り逃がしてしまったらまた同じように人が死ぬことになる。だから予告時間近くになったら、仮面をつけた防人だけを警備にまわすつもりだった。防人が仮面をつけていればあいつに効くものなんかこの世に存在しないし、バロンなんかを取り逃がすはずもないと考えたからだ。あいつは空手の有段者だし、ブラボー状態のあいつはものすごく固い。だから一発でも当たればバロンが気絶するだろうから、その時に警察につきだせばいいと思った。まさかバロンが予告時間を破って赤いラピスラズリを盗みに来て、偶然仮面をつけずに出くわした防人を気絶させて身代わりにするとは考えていなかった。まあおかげで法廷っていう逃れられない場所に追い込むことができたんだけどさ。 『いいんです。結果的にバロンを捕まえるのに役立ったんですから。あ、それと赤いラピスラズリを見つけた懸賞金はどうすればいいんですか?』 「成歩堂さんにでもあげたらいい。彼の力が無ければ赤いラピスラズリは戻って来なかったんだからさ。」 ちなみに懸賞金はかなり多い。これで家賃に困る事はないだろう。でも真宵ちゃんの食費ですぐなくなるかもしれないな。 『どうせならおれの合格祝いにくれたらいいだろ。』 いきなり作者が出て来たよ。今書いてるってことは前期に受かったからだってことはわかってた。でも普通小説のキャラにそんなこと頼まないだろ。しかも初登場の彼女に。 『あら。わたくしがお金を積んだおかげで合格できたのにまだ足りないんですの?』 それって裏口入学だろ。もちろんアリスが言ったことは単なる冗談だ。認めたくはないけど、作者は普通に実力で受かったらしい。 『それではごきげんよう。またいずれ会えるといいですね。』 「ああ。それじゃな。」 作者は完全に無視されたみたいだ。こうして電話は切れた。 「一体誰と話してたんですか?やけに解説が長かったみたいですけど。」 蓮恩。なんでお前はオレが考えてることが読めるんだ。オレ視点だからか? 「そんなの決まってるだろ。」 「聞くだけヤボってものでしょ。」 流と望がニヤニヤ笑っている。それを見て蓮恩も気付いたらしい。なんかあらぬ誤解を受けてる気がするんだけど。 「別にオレは事件が解決した事を話しただけだ。」 「ふーん。プロポーズでもしたのかと思ったぜ。」 電話でか?普通ロマンチックな場所でやるに決まっているだろ。大。 「「「「へー。アリスが好きだってことは否定しないんだ(ですか)。」」」」 オレ以外の仮面の絵札のメンバーが声を揃えていった。あいつらのことをもっと知りたいなら「切り捨てられた暗殺者」っていう話を読んでくれ。 「お前らの想像にまかせるよ。悪いけど少し1人にしてくれないか。」 そう言ってオレは部屋を出て行った。 (少しは大人になったようだな相棒。あの時は必死に否定していたのに。) あれはニュースで見て助けようとしたのをいろいろ邪推されたからだ。もう1人のオレも知ってるだろ。 (さあ。どうだったか忘れたよ。) ウソつけ。あの時はまだアリスに恋をしていたわけではなかったんだ。あの「赤いラピスラズリ誘拐事件」で彼女を救い出すまでは。あれは確か5年前のことだった。 『ここで視点をアリスに移します。』 え?オレが5年前の話を語るんじゃないのか? 『安心しろ。ついでにお前にも視点が移すから。』 オレはついでなのか。 5年前 わたくしはアリス・I・ジュエル。宝石商の娘です。昨日家に強盗が入って来て、遊んでいたわたくしを赤いラピスラズリと一緒にさらってしまったのです。幸い赤いラピスラズリに発信器がついていたおかげでわたくしの居場所はすぐにわかったようです。ですがそれから困った事になってしまったんです。 「おい父さんよお。あんたの娘の命を助けたければ全財産出しやがれ。」 その強盗のボスはわたくしを人質に全財産を要求したのです。どのみちそうするつもりだったのでしょう。わたくしを赤いラピスラズリと一緒に誘拐したのは、わたくしの家の財産をしぼりとるためだったとしか考えられません。わたくしはそんなお父様とお母様に迷惑をかけるくらいなら自分の命を断とうとも思いました。でも死ぬのは怖いですし、お父様とお母様はわたくしがしんだらどんなに悲しむことか。わたくしはどうしていいかわからず、嘆き悲しむしかありませんでした。 「おい。お前の背中にはりつけてある紙はなんだ?」 ボスが部下の方に言いました。見ると確かに何かはりつけてあります。それを読んでボスの顔色が変わりました。それでわたくしも見てみると、その紙には驚くべき内容が書いてあったのです。 『ここで空悟にうつりますね。』 誰ですか?それ。 『あとでわかる。それじゃいくよ。』 「人質と赤いラピスラズリを取り戻す?」 「かなり突然な話ですね。」 「というより昨日起きたばかりの事件でしょ。」 「おれたちが動く幕じゃないと思うぞ。」 オレが計画を説明したら予想通りの反応が帰って来た。そりゃいきなりそんなこと言われても反応に困るだろうな。 「でも警察が表で騒いだら人質の命も危ないだろ。それにオレたちが助けたらいいこともあるだろ。」 「「「「いいこと?」」」」 全員がニュースに写った顔を見つめながら言った。確かにかわいいのは否定しないけど。 「ああ。ジュエル家に恩を売っておけばもう資金に困る事はない。ついでに切札美術館に赤いラピスラズリが来るかもしれないだろ。あの伝説の呪われた宝石を見に客も増えるだろ。」 赤いラピスラズリは色が青ではなく赤っていう以外にはラピスラズリの条件を満たしていると言う貴重な宝石だ。そのせいで発見されて20年もたってないのにすごい数の犯罪の引き金になっている。そりゃ赤いサファイアとか青いルビーなんかの数百倍は貴重だからな。 「むきになって否定してる所があやしいわね。」 「どうでもいいけど赤いサファイアってルビーで、青いルビーってサファイアだよな。」 「そんなことより危険じゃないんですかそれ。」 「相手はかなり危険な犯罪グループなんだろ。」 望と大以外は不安そうな顔をしている。だけどもう引き下がるわけには行かなくなっちまったんだよな。 「それどういうことなの?」 「テレビ見ればわかるよ。」 そう言ってテレビをつけたらまさにそのニュースがやっていた。 『臨時ニュースです。あの誘拐事件の犯行グループのもとに怪盗ヘルジョーカーの予告状が届いたようです。そのことが書いたメモが警察署の入り口のドアにはさまっていたのを警官が発見したようです。予告時刻は日本時刻の明後日午前6時15分です。』 そのニュースを聞いて全員後には引けないと感じたらしい。オレたちはその計画の作戦を考えることにした。 『アリス視点に戻します。』 「ま、まさかあのヘルジョーカーが出てくるとは・・・。」 ボスの顔がかなり青ざめています。無理もないでしょう。相手はあのヘルジョーカー様なのですから。 「ど、どうしやしょうボス。」 「このままじゃ計画が全てパーになってしまいやすぜ。」 それは一体どこからとった言葉遣いなんですか? 「あ、安心しろ。こいつを赤いラピスラズリと一緒にあの部屋に放り込んでおけばいいだろう。今すぐこいつをあそこに連れて行け。」 それを聞いて子分たちがわたくしの腕をムリヤリ引っ張りました。 「キャーー。は、離しなさい。」 わたくしは必死に抵抗してみたのですがなす術もなくその部屋に赤いラピスラズリごとつれていかれてしまいました。 『フハハハハハハ。この部屋には最新鋭のセキュリティが施してあるのだ。この部屋にはアリ一匹侵入できんわ。』 その部屋のモニターにボスの下品な顔が映し出されました。 「なんでこの部屋だけなんですか?家中そうしておけばいいでしょう。」 思わず口に出してしまいました。どうやらボスは気付いていなかったらしく唖然としています。 「う、うるさい。部屋の前には見張りが大勢いる上に、この部屋のセキュリティを管理しているコンピューターに死角など存在せん。しかも窓は防弾ガラスでお前らを助け出したところ脱出もできない。お前らに希望など存在せんわ。」 確かに聞いてるぶんにはすごそうですわね。ヘルジョーカー様大丈夫なのかしら。いえ。そんな心配あの方には無用ですね。このボスかなりアホですし。 『ヘルジョーカー視点に行きます。』 「ふーん。そんな部屋に移したのか。」 「ああ。妾がバーで聞き出したから間違いない。」 さすがアリュールクイーン。もうそのような情報を聞き出したとは。どうしてグループのやつがバーにいたのかは謎だが。ちなみに今のオレは空悟ではなくヘルジョーカーである。決して間違えてはいけない。 (どうでもいいような気がするけど。) フッ。気にするな相棒。それはともかく これはサイバージャックの出番のようだな。任せていいのだな。 「心配しなくてよい。拙者に全て任せておけ。」 サイバージャックと話していると時代がさかのぼったような気がする。なぜこのような性格でハッキングだ得意なのだろうか?永遠の謎だ。 「それでは明日に備えて心の中に戻ろう。」 そういって仮面をとって空悟に体をゆずることにした。 『アリス視点に行きましょう。』 そして予告時間が近づいてきました。時差があるのでここでは夜です。もうすぐあの方がここにやってきます。しかしどうするのでしょう。この部屋のセキュリティをくぐり抜けてわたくしの所にたどりつけるのでしょうか。ここには赤外線が・・・あら。子分がご飯を持ってくるときぐらいにしか消えないはずの赤外線が消えてしまいました。変ですね。たしかコンピューターで管理されているはずですのに。そこまで考えてわたくしはあることに気付きました。仮面の絵札にそのようなことができる人がいましたね。 『ヘルジョーカー視点でいいですね。』 「セキュリティは解除できたか?」 「うむ。赤外線は切ったし防犯カメラはフリーズさせた。もはや使い物にならんだろう。」 さすがだ。ここから先はオレたちの出番のようだな。一気に救出に向かおう。とりあえず気付かれないように裏口から入り込もう。 「やけに楽に忍び込めたな。」 「うむ。さすがの余も拍子抜けしたぞ。」 確かに楽だな。もう部屋の前についたようだ。確かに子分に聞いたように見張りがいっぱいいるようだ。それでも楽勝だけどな。頼むぞトレースエース。 「了解。」 そう言ってすぐにボスの右腕と呼ばれるやつに変身した。 「てめーら。ここはおれ1人で十分だ。とっととひっこみな。」 「え?し、しかし・・・。」 「てめえ。おれに指図してんじゃねえよ。」 微妙に阿久津っぽく言ったな。これで完全におじけづいたらしく逃げて行った。完全に意味がなくなった指紋認証システムがついたドアを開けて中に入った。 『アリス視点に行きまーす。』 ドアが開いて入って来たのは全身黒ずくめの衣装の黒い仮面をつけた人でした。後ろには緑の仮面をつけた大柄の男の人もいます。やっぱり来てくれたようですね。 「大丈夫か?えーと・・・。」 「アリスです。助けに来てくれたんですね。」 わたくしが涙を流しながら飛びつくと、ヘルジョーカー様は少し照れたみたいに顔を背けました。 「ああ。そりゃ予告した以上絶対に来るのがオレたちのルールだからな。赤いラピスラズリもちゃんとあるだろう。」 わたくしが赤いラピスラズリを見せたら、ヘルジョーカー様は安心したらしいです。 「よかった。これでボスからかすめとる手間が省けたようだな。とっととここから脱出しようか。」 え?でもこの部屋の窓は防弾ガラスですよ。まさかドアから出るわけじゃないでしょうし。 ⇒To Be Continued... |
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