逆転裁判小説集 逆転のホームラン 前編
作者: 東条   2010年02月22日(月) 17時18分58秒公開   ID:Uk/VlOgR0.A
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プロローグ


5年前、ある野球場で事故が起きた。

「さあ、最終回この打席でホームランを打てば逆転勝利だ、さぁピッチャー投げた!」

だが、ピッチャーの球は緊張のせいか、手を滑らせノロノロした球になってしまった。

それを、見逃さずバッターは思い切り打った。

しかし、この事で客席のある人物に当たり、当たり所が悪く死ぬことになる。

この事故は、新聞でも少ししか取り扱われず、やがて人々の頭からこの事件の事は忘れ去られてしまう。

だが、この事件5年後に起こる大事件の序章にしか過ぎないことを・・・・・・・・

この時、誰が想像しただろう


つづく



人物ファイル

角田 英明 この事件の被害者、野球のコーチ。

秋山 勝  この事件の被告人、なんと罪を認めているらしい。

椎名 幸雄 僕に弁護を依頼してきた、小学4年生で秋山を信頼している。

矢張 政志 事件の陰にヤッパリ矢張と言われる、僕の友人。

鶴田 麗子 今回の事件の目撃証人、ホテルの管理人である。

青山 周平 椎名と同じ学校の生徒で、同じ野球部、怪しい人。

担当検事 御剣 怜侍


証拠品

弁護士バッジ これを身につけると身が引き締まる。

真宵の勾玉  マヨイちゃんから貰った、人の嘘を暴くことができる。

被害者の解剖記録
       死亡推定時刻、8時30〜9時30分
              後頭部への衝撃の撲殺

現場写真   死体はうつ伏せに倒れ、濡れている。
       足跡がはっきり残っている。

秋山のバット 凶器、秋山の指紋が付着、死体近くに持ち手を空に向け立っていた。

秋山の帽子  秋山の帽子、事件時には、なくなっていた。


逆転のホームラン
         探偵

10月4日 3時21分 成歩堂法律事務所

「チャラッチャラーラチャララン!」

「頑張れ!トノサマン!」

マヨイちゃんは相変わらず、トノサマンに夢中だ。
僕は、成歩堂 龍一実力派弁護士との呼び声も高い。

そこで、トノサマンを見ているのはマヨイちゃん彼女には物凄い特殊能力があるのだが・・・・・・

「成歩堂先生助けてください!」

行き成り、事務所の扉が開いた。
その声とともに、扉の方を見ると汗だくの半泣きの小学生ぐらいの子供がいた。

「秋山さんを秋山さんを!助けてください!」

事情を聞いてきると、合宿中にコーチの秋山 勝さんが逮捕されたらしい、勿論殺人罪で。
小学生の子の名前は椎名 幸雄君、秋山さんをとても信頼しているみたいだ。
僕は、早速留置場で彼の話を聞いてみることにした。

同日 4時10分 留置場

「何しに着たんですか、弁護士さん」

何しにって、この先が思いやられそうな予感が。

「それは、勿論あなたの弁護を」

「僕は罪を認めています、どちらにせよ今日国際弁護士の方がくるので本気で弁護をするのなら断りますが」

罪を認めてるって、これはますます厳しそうだ。
仕方ない、断るか。

「そう言うコ・・・・・・・」

その声をさえぎるように。

「それでも、なるほど君は弁護します」

マヨイちゃん・・・・・・・
僕は、留置場を出た。

「でも、これじゃあ秋山さんは犯人だよ」

小声でつぶやくと、椎名君が。

「秋山さんは、犯人じゃありません!僕分かるんです!1年前から知り合いなのですが、僕が野球が下手で、上手くなりたかったから秋山さん何時も付き合ってくれたんです!休日も僕が練習したいといったらいつでも!きっと事情があって罪を認めているんです!お願いです!秋山さんを助けてください・・・・・・・・」

僕は、彼の言葉を聞いて決心した。
僕は、早速現場にいくことにした。

同日 5時21分 ホームランホテル

「なるほど君、これ完全に球場だよね」

マヨイちゃんの言う通り確かに球場だ。
広い観客席、広いグラウンド。
誰が、どう見たってホテルと勘違いできるはずもない。
その時、何やら聞き慣れた声が聞こえた。

「ナルホドーじゃねぇか!こんな所で何してんだよ!」

こいつは、矢張。
事件の陰にヤッパリ矢張と言われているが・・・・・・
今回も事件に謎を作ってたりして。

「この、球、じゃないホテルで起きた事件の調査だよ、依頼を引き受けたからね、矢張おまえこそ何してんだよ」

「俺ね!画家になるために道具を買うためのアルバイトをしてるのよ、後新しい彼女のプレゼント用も」

そう言えば、こいつはある事件のおかげで画家を目指す様になった。
けど、相変わらず彼女をつくって毎回振られる事にはこりてないらしい。
こいつには、一つ質問でもぶつけておくか。

「矢張!気になってたんだけど、どうして球場がホテルになってるんだ?」

「俺も詳しく知らないが、5年前事故があったらしい、それで誰もここで試合をしなくなり、ここの管理人が1年前に引き取ったらしいぜ」

なるほど、5年前の事故か今の所関係なさそうだが、一応頭に入れておこう。


つづく


 逆転のホームラン
         探偵2

僕は、矢張と別れ、殺害現場といわれている、グラウンドに向かった。
そこには、忙しく捜査を続けている警官とその中に死体近くを部下と調べているイトノコ刑事がいた。

「イトノコ刑事、相変わらず捜査中ですね」

「あんた、今回の弁護引き受けたんすか、罪を認めている依頼人を」

それは、普通の人から見たらそういわれるだろうな。
でも、僕はそれでも信じている、被告人の無罪を。

「そう言う事なら、マコ君を助けてもらったお礼もあるっすから色々情報をあげるっス!」

被害者の解剖記録と現場写真を貰った。
でも、敵に情報を渡して良いものなのだろうか。
僕は、イトノコ刑事に事件の事を聞いた。

「事件は、2校の合同合宿の最中、このグラウンドで起きたっス、事件時には雨が降っていた事で地面は足跡がつく状態だったッス!しっかり残ってたッス秋山氏の足跡が、後現場には濡れた死体と被告人の指紋つきの凶器のバットが残ってたッス!しかも!」

まだ、あるのかよ。
相変わらず、絶体絶命の状態から始まるな。

「被告人はアリバイがないッス、後アリバイがあるのはホテルの管理人以外全員ッス!、犯行時刻も濡れた死体からして、9時10〜20分弱ッス!その時そこにいる椎名君を含め2校共ミーティング中ッス、殺せるはずがないっス」

聞けたのは今回の、担当検事が御剣と言う事と、被害者、角田 英明は秋山さんとは違う学校のコーチであることだけだ。
そうなると、動機はあるのか。
これだけが、疑問だった。

僕は、現場を一通り調べて証拠になりそうなものは、リストに加えここを後にした。

同日 某時刻 管理人室

「初めまして、鶴田 麗子です、ここの管理人をしております」

鶴田さんは、僕をすぐ出迎えてくれた。
何故、ここに来たかといえば。
この人だけが、アリバイがない、怪しいと考えたからだ。

「事件のことで気づいたことはありませんか」

「勿論、だって目撃してるからね〜この事件」

目撃だって、目撃証人までいるのか。
明日の裁判、厳しすぎるだろ。
何時もの事だが、あまりにも骨が折れそうで一気に力が抜けてってしまった。

「後、帽子拾ったんだけど、これいるかい?」

帽子、事件とは関係なさそうだが一応貰っておくか。
僕は管理人室を後にした。

「ナルホドさん、この帽子秋山さんのものですよ!6時にないって騒いでましたから」

と、椎名君。
秋山さんの帽子だったのか、とりあえず渡せたら渡しておこう。

これで、調査は終わったが・・・・・
後ろに気配が。

「・・・・・・・・」

「きゃあああああ!」

行き成り、マヨイちゃんが叫んだ。
僕も驚いた、ここまで、近づいてこなければ気づかなかったのだから。
子供は、すぐに逃げ出した。

「この人は、僕の学校の野球部のメンバー青山 周平です、無口で、怪しいけど力が凄く強いんです僕たちが3人で運ばなきゃいけない荷物でも、一人で余裕そうに持っていくんですよ」

その時疑問を感じた。

「何で、子供がまだ残っているんだい」

「それは、事情聴取があるからまだ帰れないんです、僕はこっそり帰って依頼しましたが」

それって不味いんじゃ。
とりあえず、その事は触れないでおこう。
証拠は集まったが、明日本当に勝てるのだろうか。
心配で、仕方がなかった。


つづく


逆転のホームラン
           法廷

10月5日 10時34分 被告人第4控え室

「成歩堂弁護士、調子はどうですか?」

相変わらず、罪を認めていると言った感じだ。
質問をぶつけてみるか、無駄かもしれないけど。

「秋山さん、犯行時刻学校関係者には全員にアリバイがありました、何故貴方だけにアリバイがないんですか?」

その質問に少し黙った後。
そんな事、わかるでしょと言った感じの態度をとられ、裁判長に呼ばれてしまった。
やはり、無駄だったか・・・・・・・・はっ!
しまった、秋山さんに返すはずの帽子を返し忘れた。
裁判の前にこんな状況で大丈夫か・・・・・・・


同日 11時00分 地方裁判所第4法廷


「これより、秋山 勝の法廷をはじめます」

いよいよ始まる。

「弁護側準備完了しております」

「検察側もとより」

御剣・・・・・・・
僕の親友でもあり、ライバルでもある。
相手は、御剣この法廷に弁護側に有利な事は何一つない。

「冒頭弁論を」

「うむ、事件はホームランホテルグラウンドで起きた。
 死体はうつぶせに倒れており、後頭部への一撃による内出血死だ。
 凶器はバット、これは被告人のものであるが、他の者の指紋は一切残っていなかった。
 さらに、足跡が残っており捜査の結果、被告の者と判明した。
 よって、アリバイもない、被告しか犯人とは考えられない!」

「異議あり!御剣検事の立証には動機が存在しません」

「異議あり!成歩堂、被告は罪を認めている、さらに目撃証人までいるのだぞ」

くっ!動機がない線で攻めようとしたら・・・・・・・
御剣、やはり目撃証人を召喚するみたいだ。
何としても、嘘を暴いてやる。

「では、証人に登場してもらおう!」

「証人、名前と職業を!」

だが、鶴田はホームランホテルの宣伝をはじめるだけで、名前すら言いそうになかった。

「名前と職業だ!」

御剣の声でやっと名前と職業を言った。
やはり、御剣は名前と職業を聞くのが苦手みたいだ。
いよいよ、証言が始まった

「あれは、コーヒーを飲んで休もうとしている時でしたね。
 窓から、外を見たんです。
 そしたら、秋山コーチが死体の前でバットを持って立ってました。
 すぐに、秋山コーチはバットを投げ捨てて、去りました」

「待った!」

鶴田氏は行き成りの大声に吃驚して、文句を言い始めた。
仕方ない、とりあえず不自然な点でも上げてみよう。

「証人、バットを投げ捨てたのであれば、凶器のバットは何で持ち手を空に向け立っているのでしょう。
置いても、難しい事を被告人は投げ捨ててやってのけたのですか」

「そ、それは」

よし、矛盾点をあげた。

「異議あり!成歩堂!ならば、投げ捨ててバットが立たなかったと立証できるのか」

「えっ!」

「立証できなければ、そんな矛盾に意味はない!」

「そんな、ばかなぁぁぁぁぁぁ!」

僕は、目を白目にして大口を開け驚いた。
さすがは、御剣一筋縄ではいきそうもない。
もっと、はっきりした矛盾を探さなければ。

「弁護人の主張には決定的さが欠けております、証人バットについて証言を!」

ここで、決定的な矛盾を突きつけないとな。

「バットは、間違いなく凶器のバットです。
 投げたことも間違いありません。
 だって、見たんですから死体から離れた場所に落ちていくバットを。
 バットについて言えるのはそんな事ぐらいですかね。」

やった。
ついに捕まえたみたいだ。
後は、矛盾を叩きつければ。

「異議あり!」

「ついに、ボロを出しましたね」

「バットの状況を思い出してください、死体近くにあったようですね。
 それなら、何故貴方は遠くにバットを投げたと証言できるのですか!!」

「きゃあああああ!!!」

矛盾を叩きつけたは、いいが。

「なるほど君やったね!」

「いや、まだだよ」

御剣、まだ笑っている。
どうやら、まだまだ勝負は続くみたいだな。
この、証言の矛盾決定的なものを一つあげれば。

「では、証人グラウンドで見た秋山氏について証言してもらいたい」

頑張って、この証言を崩すんだ。
僕の人差し指にさらに力が入った。

「秋山さん、恐ろしい顔をしてたよ。
 ただ事じゃないと、思ったね。
 それで、バットを投げるもんんだから、思わず叫びそうになっちゃったよ。
 他に変わった事はなかったね、秋山さんには。」

証言の口調からして、かなり焦っているはずだ。
叩き潰すなら、今しかないけど。
矛盾点なんて見つからないよ。

「なるほど君、秋山さんも焦ってるよ、どうしてだろう」

これ以上審理をしてほしくないのか。
でも、普通に考えたらこの状況で焦ってたら犯人だけど。
待てよ秋山さん!
そうか、まさかあれが、こんな時に役に立つなんて。

「異議あり!今の証言はこの帽子と矛盾しています」

⇒To Be Continued...

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