逆転裁判小説集 逆転のホームラン 後編
作者: 東条   2010年02月22日(月) 17時18分27秒公開   ID:Uk/VlOgR0.A
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〜これまでのあらすじ〜

椎名に秋山 勝の弁護を依頼された成歩堂は、早速、現場の野球場の捜査を開始することになるが。
手がかりは、ほとんど見つからず法廷が始まってしまう。
担当検事は御剣、被告人自身が罪を認めている、そして証拠品のオンパレード、さらに目撃証人、絶体絶命のピンチ。
ところが、成歩堂は目撃証人の嘘を暴くことに成功した。
目撃証人の鶴田の一言は衝撃的で子供が殺したと主張したのだ。
混乱に陥る法廷、はたして鶴田の証言は嘘なのか、真実なのか。

人物ファイル

角田 英明(故人) この事件の被害者、国語が得意なエースと呼ばれていたらしい。

秋山 勝 (23) この事件の被告人、なんと罪を認めているらしい。

椎名 幸雄(10) 僕に弁護を依頼してきた、小学4年生で秋山を信頼している。

矢張 政志(??) 事件の陰にヤッパリ矢張と言われる、僕の友人。

鶴田 麗子(45) 今回の事件の目撃証人、ホテルの管理人である。

青山 周平(10) 椎名と同じ学校の生徒で、同じ野球部、怪しい人。

杉田 修一(故人) 5年前の事件の被害者。

担当検事 御剣 怜侍


証拠品

弁護士バッジ これを身につけると身が引き締まる。

真宵の勾玉  マヨイちゃんから貰った、人の嘘を暴くことができる。

被害者の解剖記録
       死亡推定時刻、8時30〜9時30分
              後頭部への衝撃の撲殺

現場写真   死体はうつ伏せに倒れ、濡れている。
       足跡がはっきり残っている。

秋山のバット 凶器、秋山の指紋が付着、死体近くに持ち手を空に向け立っていた。

秋山の帽子  秋山の帽子、事件時には、なくなっていた。

ルミノール試薬
       これで、血痕を見つけることができる、ある人物に勧められ買った。

新聞記事   5年前のホームランホテルの事故について書かれている。

ダイイング メッセージ
       被害者の部屋で発見、11対13とかかれている。

被害者の部屋の血痕
       被害者の部屋で発見、血痕おそらく被害者のもの。


逆転のホームラン
           探偵U

10月6日 11:00 成歩堂法律事務所

「なるほど君、昨日の法廷凄かったね!」

昨日の法廷は、結局彼女の本当の証言により、騒ぎが収まらず閉廷となった。
そのおかげで、裁判は明日にもう一度行われることになった。
ただ、彼女の子供を見たと言う証言の裏付けをしなければ、どうにもならない。
僕の人差し指にまた力がこみ上げてきた。

同日 某時刻 ホームランホテル

「遅いですよ、なるほど君!」

「遅いよ!なるほど君」

なんで、真宵ちゃんにまで言われなくちゃ。
しかも、椎名君からの呼び方がなるほど君になってるし。
遅れた原因はこれにあった。

____________

「なるほど君、なにこのスプレー消臭用?」

「違うよ、それは!」

その瞬間、かけられてしまった。
これは、けっして消臭用ではない、ルミノール試薬と言って。
血痕を採取するための道具である、ある人物に勧められ買ったのだが。
その事を僕はマヨイちゃんに話すと。

「なんで、そんな切り札隠してるの、持っていこうよ!」

「いや、でも、警察がもう血痕は全て・・・・・・・」

「いいから、持っていく!!」

結局、この騒動で待ち合わせ時刻に遅れ。
試薬ふきかけられ、試薬を持っていくことになった。

______________


とにかく、管理人室に向かうことにした。

同日 某時刻 管理人室

「ふぅ〜」

管理人さんは、大きな溜息をついた。
僕は彼女に聞かなければいけないことがある。

「すいません」

「成歩堂さん、すいません申し訳ございません、全部私のせいです」

昨日の事を反省しているみたいだ。
おばさんに謝られると、こちらもなんだか悪い気分がするようなしないような。
でも、話を聞くには今がチャンスだ。

「鶴田さん、貴方が法廷中に口走った、あの事とはなんですか?僕が聞きたいことは、それだけです」

鶴田さんは、少し黙った。
短い沈黙の後、走って何やら紙切れを僕に渡した。

「この新聞記事を読んでください」

新聞記事にはこう書かれていた。

10月9日、y市の野球場で事故が発生した、K・A氏の球をH・K氏が打ち打球は客席へ飛んでいった。
その打球は、客席の杉田 修一氏(30)に当たり死亡した。
この球場の過去、5年前の事件はこの事だったのか。
まてよ、K・A氏とH・K氏?
まさか、そんな馬鹿な、ありえない。
確認するんだ、違うかもしれないけど。

同日 某時刻 留置場

「何か御用ですか?」

もう、根拠なんてなくてもいい。
とにかく聞いてみるんだ。
秋山さんに。

「5年前、貴方はホームランホテルが野球場だった頃の事件に関わりましたね」

「知りません、事件なんて」

その時鎖が秋山さんを包んだ。
赤い錠4つも現れた。
これは、サイコ・ロック・・・・・・・・。



つづく


逆転のホームラン
             探偵U〜2


今こそ、勾玉の力を使うべきだな。
僕は、叫んだ。

「くらえ!」

再度、鎖が秋山さんを包み錠が4つ現れた。

「秋山さん、貴方は間違いなく5年前のあの野球場の事件とかかわっているんです」

秋山さんは動じない。
僕の弁護をみているからなのか・・・・・・・・・

「全く意味がわかりません、野球は安全なスポーツですし」

「それは、どうでしょう今回の事件だってバットが凶器です。
 万が一ですが、事故や殺人が起きたって不思議ではない」

彼は態度は変えていないが錠がが一つ割れた。

「秋山さんすべて分かってるんです、貴方の関わったあの事故この新聞記事がその証拠です」

思わぬ追求にパリンパリンと錠がわれ、秋山さんも少し動揺した、残りはひとつ一気に決め手やる。

「新聞記事を見れば答えはわかります、K・A氏はあきやま かつむ、H・K氏はかくだ ひであき、今回の事件の被告人と被害者です。」

最後の一つがパリンと割れた。
解除成功だ。

「まさか、たったこれだけの時間でここまで辿り着くとは、世間の目も伊達じゃない様だ」

秋山さんは、法廷中で見たあのあせった顔になり、真実を話し始めた。

「その通り、僕は5年前の事件に関わってました。
 あのときの事は一生忘れません、だって僕のせいで杉田さんは死んでしまったのだから。
 僕があの時、投球の時手を滑らせなければこんな事にはならなかった。
 子供達に野球を教えていたのは、その償いのつもりでした。
 でも、そんな事をしても償えなかった、だからこの5年前の事件と関係しているこの事件で有罪になれば、償えると思ったんです・・・・・・・・」

「貴方の気持ちは晴れないと思いますよ、確かに貴方にとって辛い過去です!
 しかし、それで有罪になっても貴方は後悔するはずですし、本当にやった冷酷な真犯人を見逃すわけにいきません!
 必ず、真相にたどり着いて見せます、僕は」

そう言うと、秋山さんは少し表情を和らげた。
これが、動機と言う事は間違いないだろう。
かなり、重要な情報だ。
とりあえず、僕は彼に質問して見る事にした。
被害者の情報が少なすぎるからな、聞いてみることにしよう。

「被害者の角田 英明の事は何かご存知ですか?」

「よく知りません、噂では国語が得意なエースでしたっけ、すいません」

予想以上に収穫がなかったな、この質問。
意味はないと思うが、この情報を法廷記録に書いておくか。
僕は、現場に戻ることにした。

同日 某時刻 ホームランホテル グラウンド

相変わらず、捜査が続けられているみたいだ。

「イトノコ刑事操作は?」

すると、急に暗い顔になった。
進展なしか。

「本当に手がかりが見つからないッス気づいたことといえば、現場のグラウンドに何かが擦れた跡があった事だけッス!」

何かが擦れた跡。
特に重要そうではないが、現場写真にでも加えておくか。
すると、現場に聞き覚えのある声がした。
御剣だ。
相変わらず自信満々の様子だ。
こちらに気づいて近づいてきた。

「相変わらずだな、成歩堂!」

「御剣もな!」

マヨイちゃんは、状況が分かっているかいいが。
椎名君は状況が読めないでいる。
御剣とは小学校時代のかけがえのない親友だってことは知らないし。

「鶴田氏の証言を信じているのかは知らないが彼女の証言は今までの状況との矛盾が多すぎる。
 勿論、裏付ける証拠が見つかっていれば状況は違うが」

御剣の言いたい事は大体わかる。
彼女の証言を裏付けなければ、最悪見間違いで処理されてしまう。
実際のところ、何も見つかってない。
早く見つけないとな。

「明日の法廷楽しみにしているぞ!」

と言って去っていった。
僕も現場を後にすることにした。

同日 某時刻 ホームランホテル 休憩室

僕は、マヨイちゃんと椎名君にジュースを買ってきてあげた。
散々、付き合わせてしまったからな、捜査に。
うん?あれは矢張。
あいつの存在を忘れていたな、ちょいと尾行するか。
マヨイちゃんと椎名君もジュースを飲み終わったので、矢張の尾行をする事にした。

同日 某時刻 123号室

矢張は、部屋に入っていった。
横に泊まっている人間の名前が書いてある角田?
被害者の名前じゃないか。

「って何してるんだ、成歩堂!」

「おまえこそ、何してるんだ被害者の部屋で!」

そうすると、矢張が相変わらずの口調で喋り出した

「俺は、ここのアルバイトなんだぞ!今俺は掃除をしているんだ!それにここは事件とは関係ないじゃん!!」

とりあえず、調べてみるか。
被害者の情報の手がかりがあるかもしれない。

「ああ!人が掃除してるのに入ってきやがって!!」

一通り、調べ終えたが手がかりはなかった。
被害者の荷物は警察が捜査しているらしい。
ここには、手がかりはないと思ったその瞬間だった。

「11対13?何だこの落書きは?」

「なるほど君!何この落書き!」

落書き?本当にそうなのだろうか。
待てよ、発想を逆転させるんだ。
まさか!

僕はマヨイちゃんに預けたルミノール試薬を出してもらった。
間違いない、僕の考えが正しければ。
吹きかけたらすぐに、少しだが青白い物が浮かび上がった。

「間違いない、これは角田さんの血だ」

「青白い血これってまさか!宇宙人だったのかそいつ!!」

この発言、昔どこかで聞いたような。
ルミノール試薬は血痕を探し出せて、もし血痕が見つかれば青白い光で知らせてくれる。
さらに、僕の考えが正しければ。

「間違いない、11対13は角田さんが死ぬ間際に残したダイイングメッセージだったんだ!」

「なんだ!そのダイリニングメッセージって!」

似ているようで全然違うぞ!矢張。
それより、これが事実なら。

「でも、変だよ!殺害現場はグラウンドなのに、何でこんな所にダイイングメッセージがあるの」

これが一番の問題だ、これは明日の法廷で明らかになるだろうさ。
誰かの気配がしたぞ。
僕は後ろを見てみる。
ドアで誰かが覗いている。
誰だろうと思い僕はそっとドアに誰がいるか確認することにした。
すると、覗いていた人物は逃げ出した。
だけど、僕は一瞬だけ見てしまった。

「あれは、青山 周平君だ!」

「どうして、ドアから覗いていたんだろう」

僕達を監視しているのか。
青山 周平、ターゲットは決まったな。



つづく


逆転のホームラン
            法廷U〜1

10月9日 10時30分 地方裁判所 被告人第4控え室

昨日、矢張から血痕について聞いてみると。
矢張は死体を発見する前掃除をしたらしい。
その時、赤ワインが床に1滴落ちていたから掃除したそうだ。
多分、それが血だったんだろう。

「弁護士さん、調子はどうですか」

被告人の秋山さんだ。
彼は、少しやつれている感じがした。

「正直、ほとんどの謎に答えは出せていません、しかし僕は真実を見つけてみます、たった一つの真実を」

同日 11時00分 地方裁判所 第4法廷

「これより、秋山 勝に対する審理をはじめます、御剣検事冒頭弁論を!」

「うむ、検察側は主張を変えるつもりはない。
 あくまでも、鶴田氏の見間違いであったと主張する」

やはり、そう来るか一応異議をかましておくか!

「異議あり!その根拠はなんですか!」

フッと笑われてしまった。
御剣が根拠もない発言をするはずがないな。
無駄な異議だったみたいだ。

「今までの現場状況を見れば明らかだろう、それとちゃんと根拠もある、これがその証拠だ」

御剣は紙を出した
内容は鶴田氏の診断書。
視力は0・4両目ともみたいだな、って!0・4!

「証人視力は低い!見間違えた可能性は十分ある!」

「異議あり!証人の証言を見間違いで済ますのはどうかと思います!」

「異議あり!ならば、君は見つけたというのか鶴田氏がその光景を見れた証拠が」

「う!うおおおおおおおおおおおお!!!!!」

僕は白目を剥き出しにして驚いた。
こんなに、早くこのリアクションとることになるとは。
不味い、このままでは秋山さんの有罪は確定だ。

⇒To Be Continued...

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