逆転裁判小説集 禁断の逆転 前編
作者: 東条   2010年02月22日(月) 17時18分01秒公開   ID:Uk/VlOgR0.A
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禁断の逆転
       プロローグ

麻薬を買いにきた人間と麻薬を密売する人間が椅子に座っていた。

「麻薬密売にこんな凝った部屋でするとはね、禁断の間なんて部屋で」

麻薬を買いにきた人間は無気味そうに笑う。
麻薬を密売する側は麻薬を取り出し麻薬を買う側は金を取り出した。
本来なら、これで取引は成立。
事はここで収まったはずだった。
しかし。

「貴方に最高のプレゼントがあるんです」

麻薬を密売する側は恐ろしい声で言う。
その声に少し買う側はびびるが、プレゼントは何なのかと楽しみにしていたのであった。
その正体も知らずに。
そして、密売する側は何かを取り出した。

「地獄への切符をね、さようなら林間さん」

銃声が響いた。
弾丸は容赦なく、林間の頭を貫く。

「さて、後始末をしないとな」


つづく

法廷記録

人物ファイル

一之瀬 健太郎(24)昔、僕の弁護で無罪になった人、一之瀬コーポレーションの次期社長。

一之瀬 健  (53)一之瀬コーポレーションの社長、かなり無愛想。

証拠品リスト

弁護士バッジ 僕の身分を証明するバッジ。

勾玉 嘘を暴くことができる

指紋採取セット
       昔、御剣からもらった、ある人物との思い出の品でもある。

禁断の逆転
          探偵

10月17日 8時56分 成歩堂法律事務所

「なるほど君、マヨイ様!おはようございます!」

この子は綾里 春美、礼儀正しくてマヨイちゃんの従姉妹。
ちょっと、おませな事を言って僕を困らせるけど、千尋さんを霊媒できるほどの霊力を持っている。
それより、用もなくここを訪ねてくるはずがないな、何があったんだろう。

「じつは、なるほど君持っているその勾玉事情があってちょっと返してもらえませんか、2〜3日で返しますから」

なるほど、勾玉か僕は勾玉を取り出す。
春美ちゃんは勾玉を受け取った。
そしてマヨイちゃんは、大江戸戦士トノサマンのDVDを春美ちゃんに貸してあげていた。

「では、なるほど君、マヨイ様お二人のお時間を」

やれやれ、まだ僕達の事を勘違いしているみたいだ。
うん?勾玉がない、そうなると・・・・・・あっ!

「なるほど君、今最悪なこと考えちゃったんだけど勾玉なかったらサイコロック使えないよね」

この間に依頼がきたら、大変だよな。
そうすると、妙に電話やドアに目が行ってしまう。
そして、とんでもないタイミングで電話が鳴った。
僕は恐る恐る受話器を取る。

「俺だよ!冴子ちゃんってこれ成歩堂のケータイじゃねーか!じゃあな!」

あまりにも、むかついてしまった。
相変わらず矢張の奴振られる事に懲りてないらしいな。
でも依頼じゃなくて良かった。
すると、また電話が鳴った。
こんどは、通販の回し者だろうか。

「はい、もしもしこちら成____「成歩堂先生!お久しぶりです健太郎ですよ!」

健太郎、一之瀬 健太郎君か。
彼は、僕が新人弁護士の時期に弁護した人間だ、確かその頃はマヨイちゃんは修行中だったけ。
社長の息子だから、緊張したな弁護席に立つときは。

「あの、会社も落ち着いてきたので、もう一回お礼がしたいんですよ!お客なら他に五月蝿い関西人もいますから。他に用件がなければ来て下さい」

健太郎君、あの頃は社長の息子とは思えなかったからな。
リーゼントだったし、敬語が普通に使えるようになってるから成長したんだろうな。
後、五月蝿い関西人って誰だろう。
案外知り合いだったりしてな。

同日 12時45分 一之瀬邸〜門〜

「社長の息子と知りあいだったんだ、いいな私も会いたかったよ」

マヨイちゃんは羨ましそうな目で見つめている。
どうせ、意地汚いことでも考えてるんだろう。

「ほら、着いたよここが、門だ」

すると、すぐに健太郎君ともう一人女性が現れた。

「こんにちは、成歩堂先生!あれ隣の女の子は?」

「綾里 真宵です!成歩堂法律事務所の助手兼副所長をしています」

健太郎君は、さすがにリーゼントはやめたようだ。
革のジャケットに黒いズボンを着ているのは相変わらずだが。
そう言えば、隣の女の子は。
僕は健太郎君に聞くと。

「そう言えば、あの頃は大学生だったからね僕の妹だよ」

「宜しくお願いします、一之瀬 美羽です」

妹か、健太郎君に妹がいたなんて聞いたこともなかったな。
僕達は中に入る事にした。

同日 12時58分 一之瀬邸〜お食事の間〜

さすが、会社の社長物凄い長い机に、食欲が増す高級料理が沢山あった。
すると、会社の社長さんの一之瀬 健さんが話し掛けてきた。

「お久しぶりですね、成歩堂さん」

無愛想で怖い声は新人の頃の僕をびびらせたっけ。
さすがに今は動揺しないな。
一人、知らない顔がいるな誰だろうか?
一之瀬さんに聞いてみると、中野 四郎、執事だそうだ。
それが分かった瞬間、どこかで聞いたような関西弁が聞こえてきた。

「おお〜ナルホドーやん!」

この声は間違いない、大沢木 ナツミさんだ。
この人には酷い目に合いっぱなしだな。
でも、何で彼女がこんな所に。

「あの〜どうしてナツミさんが?」

すると、ものすごい勢いで形相が変わり。

「それは、こっちの台詞や!なんでこんな所にナルホドーがいるんねん!うちは、父の友達である一之瀬一家に父が招待されたんやけど、何故かその日風をひいてしもうて、全く運のないとーさんや!」

僕らも事情を話すと、ナツミさんも驚いた顔をしていた。
その後、僕らは部屋を中野さんに案内してもらう事にした。

同日 1時00分 廊下

正直、長い廊下だった。
どこまでも同じ風景が続いている。

「部屋の名前が書いてあるよ、百日紅の間、鯨の間、ならずものの間、禁断の間」

禁断の間と言った瞬間、中野さんの顔が変わった。
過去にここで何かがあったのか。
名前からして、縁起のいい部屋ではないんだろうな。
勿論、この、禁断の間で殺人事件が起きるなんて思いもしなかった。

つづく

法廷記録

人物ファイル

一之瀬 健太郎(24)昔、僕の弁護で無罪になった人、一之瀬コーポレーションの次期社長。

一之瀬 健  (53)一之瀬コーポレーションの社長、かなり無愛想。

一之瀬 美羽 (23)健太郎の弟、殺人事件の被告人。

中野 四郎  (39)一之瀬邸に仕える執事、大きな眼鏡以外特徴が少ない。

大沢木 ナツミ(??)芸能カメラマン、この人とは良い思い出が少ない。

証拠品リスト

弁護士バッジ 僕の身分を証明するバッジ。

指紋採取セット
       昔、御剣からもらった、ある人物との思い出の品でもある。



禁断の逆転
           探偵2

先程、通った禁断の間、間違いなくどこかで聞いたことがある。
間違いなく、どこかで聞いた事がある。
一体どうして。

「なるほど君!何ボーっとしてるの、さっきからずっと呼んでるのに」

マヨイちゃんに呼ばれ僕は考えるのをやめた。
今の事は少し気になるがそれより昼食の方が気になるからな。

同日 某時刻 食事の間

長い机、かなりの椅子の数。
そんな、ゴージャスな状況の中その机の端で10人程度の人間が座っている状況を見てどう思うだろうか。
一之瀬家、中野さんと他の使用人、大沢木さん、後は僕たちだが一人知らない人物がいた。
健太郎君に聞いてみると、雪村 冬彦詩人だそうだ。
一之瀬社長に高いお金を出し、ここで詩を1日前から書いてるらしいが。

「何で、こんな所で詩を作る必要があるんだろうね、お金まで出してね、マヨイちゃん?」

「お食事まだかな、味噌ラーメン大盛りかなそれとも味噌ラーメンチャーシューx5かな」

こんな所で味噌ラーメンが出てくるわけがないだろう。
しかも、チャーシュー×5って。
とにかく、僕の話を聞いていないみたいだ。

同日 23時09分 廊下〜ギザギザの間前〜

「じゃあ、おやすみなるほど君、私はちょんまげの間にいるから」

ちょんまげにギザギザ僕らの髪の毛から部屋を選んでいるのか。
とにかく、僕はギザギザの間に入った。
そして、長い夜が始まった。

10月18日  某時刻 ギザギザの間

ドアをひたすらノックしてくる人がいる。
マヨイちゃんかな。
僕はドアを開ける。

「銃声や!銃声が!」

銃声、そんな音聞いてないぞ。
ナツミさん、思い込みが激しいからな。

「何かの間違いじゃないんですか、僕聞いてませんしふぁ〜あ」

つい、欠伸をしてしまった。
ナツミさんは不機嫌そうに帰っていった。

同日 5時24分 ギザギザの間

「ギャオーン、グルグル!!フゥゥゥウゥゥゥウゥ〜〜〜!!!!!」

なんだ、この近所迷惑なこの音は。
まるで、ホラー映画の曲みたいな音を聞き食事の間に向かった。

同日 5時34分 食事の間

もうすでに、マヨイちゃんに一之瀬家中野さんがいた。
いないのは、あの詩人とナツミさん。

「なんや、このホラー映画のBGMは!」

ナツミさんもそう思った瞬間に来た。
すると、健太郎君がしゃべり始めた。

「これってもしや禁断の間のせいじゃ」

禁断の間、またこの名前を。

「健太郎、禁断の間なんてただの部屋だ、あそこでたまたま悪いことが起き続けてるからそう呼ばれるだけであって__」

一之瀬社長は珍しく声を荒げた。
しかし、その声を遮る様に。

「とにかく、この騒音を止めるのが先やとりあえず言って見ようや禁断の間に!」

同日 某時刻 禁断の間

禁断の間という名札を見て僕達はそこで止まった。
どうやら、何かの慣わしでここの鍵は美羽さんが持っているそうだ。
彼女は鍵を取り出し開けようとした。
しかし____。

「開きません、何かが詰まっています」

鍵穴に何かが詰まっているおかげで、鍵では開かない。
僕は持ち前の才能を駆使することにした。

「僕がドアをぶち壊します、皆さん入る準備を」

ドン、ドン、ドーンそんな音がしてドアが開けた。
その奥にあったのは、薄暗い部屋の中椅子に座るようにして死んでいた変わり果てた雪村さんの姿だった。
そして、死体を見た瞬間白い煙が部屋を包んだ。

「有毒ガスかもしれません、ここは逃げましょう」

中野さんはそう言い僕たちはそれなりに遠い所に逃げた。
やはり、まだあのBGMは流れつづける。
あの、BGMはうるさすぎるな。
その時、中野さんはある提案をした。

「ご主人様たちは、音が流れている所を探してください、成歩堂様と綾里様と大沢木様は雪村さんの部屋を見に行ってください、私は警察に電話をかけます」

僕たちは、雪村さんの部屋に向かった。

同日 某時刻 〜???の間〜

「いないで!雪村はん、やっぱりあの光景は現実だったんやな」

やはり、見間違いではなかった。
本当に殺人はあったのだ。
僕たちは、殺人現場に戻る事にした。

同日 5時51分 禁断の間

BGMも消え、警察ももう少しで着くそうだ。
僕達は、会話を一度も交わさず静寂に時は過ぎていった。
何も、語る言葉がなかったわけではない。
語る言葉があっても、語れないのである。
誰もが、この話にくい雰囲気で誰かが口を開ける事を待っているのだ。
やっと、一之瀬社長が話し始めた。

「こんな所にいても気味が悪い、食事の間に行こう」

同日 5時55分 食事の間

一之瀬社長が話し始めたおかげで、泣き言を言ったり犯人に対する怒りを言ったりし始めるものも出てきた。
すると、マヨイちゃんが耳元で呟いた。

「死体を調べてみようよ、誰かが逮捕されるかもしれないし」

「馬鹿な事を言わないでよ、それに逮捕される人が無罪とは限らないし」

すると、マヨイちゃんは少し頬を膨らまして。

「冒険心がないな、私一人でも行くよ」

そう言われて仕方なく二人で殺人現場に向かった。
死体を見てこんな事を言える女の子なんて普通いないだろうな。
まぁ、沢山事件に巻き込まれてるからな。

同日 6時00分 禁断の間

「あれ、開かないよ!」

ドアをぶっ壊したはずなのにな。
仕方ない、もう一回。
ドン、ドン、ドーン扉が壊れ開いた。
やはり、恐ろしい光景だ。
大沢木さんの言った銃声は本当だったようだ。
と言う事は、被害者は銃殺と言うことか。
机には血が沢山飛んでいる、よく被害者がみえないなもう少し近づいて。

「何やってるんですか!こんな所で!」

突然、後ろから声がした。
中野さんだ。

「弁護士って捜査権ないんですよ!それに、警察もまだ来てないんですし犯人がここにまだ潜んでるかもしれないんですよ!」

中野さんの言うとおりだな、僕達は食事の間に向かった。

同日 6時04分 食事の間

僕達は食事の間に戻ってきた。
警察がその20分後にやってきた。
やはり、事件になるとよく会うあの顔も見てしまった。

「警察っス!殺人があったみたいっスね今すぐ行くっス、殺人現場に案内してほしいっス!」

同日 6時28分 禁断の間

イトノコ刑事とその部下は禁断の間に入っていた。
そして、今日は沢山の驚きを味わうことになるが、その一つ目の驚きが今僕達の前に姿を表した。

「ないッス!死体が何処にもないッス!」

死体消失、僕達が味わう最初の驚きだった。

⇒To Be Continued...

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