逆転裁判小説集 禁断の逆転 前編
作者: 東条   2010年02月22日(月) 17時18分01秒公開   ID:Uk/VlOgR0.A
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マヨイちゃんと一緒に見に着たときには何もなかったはずなのに。
これは、一体どういうことなんだ。

同日 6時39分 食事の間

「と言う訳で、事情聴取を行うっス!皆さん一之瀬社長に会議の間を借りたッスから呼ばれたら来てほしいッス!」

事情聴取は昼まで掛かった。
まさか、また殺人に巻き込まれるなんてな。

同日 12時56分 食事の間

「事情聴取と現場状況から逮捕者が出たッス!まずその人物を発表するッス」

重要参考人、一体誰なんだ。
イトノコ刑事は意味深な間を空ける。
そして、イトノコ刑事はその人物に指を指した。

「一之瀬 美羽!あんたを逮捕するッス!」

「違います、私じゃな___「現場状況はあんたを確実に犯人としてるッス!」

イトノコ刑事の気迫と行き成りの逮捕にブルブル震えていた。
一体どうなってるんだ、僕の考えを遮る様に誰かが怒鳴った。

「おい!刑事!妹が犯人なんて如何言う事なんですか!!」

健太郎君だ、物凄い大きな声だった。
あのBGMよりも怖い気がした。

「俺の時も誤認逮捕しておいて!何かの間違いに決まってんだろが!!!」

健太郎君はイトノコ刑事の首を掴むも、正気を取り戻しやめた。
イトノコ刑事は困った表情で美羽さんを連れていった。
刑事がいなくなった途端に健太郎君が僕にどけ座をしてきた。

「妹は殺人をやるような曲がった人間じゃない!!弁護をお願いします!お願いします!ナルホドー先生!」

僕は、頷いた。
あの、健太郎君がどけ座をしてまで頼まれたら流石に断るわけにはいかない。
必ず無罪にして見せる。

同日 3時12分 禁断の間

とは言ったものの何故逮捕されたか分からないんじゃ。
現場を調べさてもくれないし。
困っていた、その時。

「今戻ったってあんた達もしかして彼女の弁護を引き受けたっスよね」

彼女とは電話でやりとりをした、イトノコ刑事が許可してくれたおかげで彼女からの弁護のお願いが早く済んだ。
彼女は、喜んで僕に命を預けるそうだ。

「死体はないっスが捜査を許可するっス!と言う事でお約束の解剖記録もないっス」

イトノコ刑事には事件の事を聞かないとな。
逮捕理由か。

「ここは、死体が発見されるまで密室だったッス、窓も鍵が掛かってるし、鉄格子の窓も人間が入れる大きさじゃないっス!鍵を持っていたのは彼女だけっス、ほかの部屋の鍵は皆が使えるっスが慣わしと言うもので彼女だけが鍵を管理していたッス!
証拠もざくざくっス!彼女の部屋から、犯行に使われたと思われるピストルが見つかったっス!
そして、ここからが特殊っス!」

特殊?
現場を見ると、机の上に白い粉が残っていた。
白い粉、白い粉?

「白い粉がありますけど!」

「よく気づいたっスね!自分は気づくのに10分掛かったッス!これは麻薬ッス!つまりこの殺人は麻薬密売の途中に起きたと考えられてるッス!
そして、麻薬の入った袋が発見されたッス!
しかも、指紋がついてたッス!言うまでもない被告人ッス!」

被告人!なんてこった証拠は十分か。
検事も御剣。
これは、大変な事になったな。

僕達は現場写真と証拠品のデータを法廷記録に書いた。
厳しすぎるぞ、次の法廷は。

つづく

法廷記録

人物ファイル

一之瀬 健太郎(24)昔、僕の弁護で無罪になった人、一之瀬コーポレーションの次期社長。

一之瀬 健  (53)一之瀬コーポレーションの社長、かなり無愛想。

一之瀬 美羽 (23)健太郎の弟、殺人事件の被告人。

中野 四郎  (39)一之瀬邸に仕える執事、大きな眼鏡以外特徴が少ない。

大沢木 ナツミ(??)芸能カメラマン、この人とは良い思い出が少ない。

雪村 冬彦  (36)詩人、謎が多い、今回の事件の被害者。

担当検事 御剣 怜待


証拠品リスト

弁護士バッジ 僕の身分を証明するバッジ。

指紋採取セット
       昔、御剣からもらった、ある人物との思い出の品でもある。

現場写真
       机の上に血が沢山。
       現場は密室。
       鉄格子の窓が隣と繋がっている。
       机の上に麻薬が少々。

ピストル   被告人の部屋で発見された。

麻薬     一度開封された、粉末で被告人の指紋が付着。




     禁断の逆転
            探偵3

同日 3時53分 留置場

何も手がかりが見つからない状態で、僕達は被告人の証言を聞きにきた。
彼女なら手がかりを持ってるかもしれない。

「成歩堂さん!私あの人を殺害していません!そもそも私一昨日初めてあの人を見たんです」

一昨日初めてと言う事は動機がないって事だよな。
動機がない線で明日の法廷は戦うしかないみたいだ。

「何か掴めましたか」

うげっ!その質問はつい目を逸らしてしまう。
それに気がついたのか、かなり落ち込んでしまった。

「そうですよね、そんなに早く見つかりませんよね、私本当に有罪になってしまうんでしょうか?・・・・・・助けてください、弁護士さん」

涙ぐんでいる。
彼女の姿を見ていると自分も悲しくなってきた。
つい顔を下に向けてしまった。
その時、自分の頭の中にあの言葉が浮かんできた。
弁護士はピンチの時ほどふてぶてしく笑うもの。
これは、千尋さんの言葉。
僕は、下に向けていた顔を前に向け余裕そうな表情を見せた。

「とにかく、悲しんでいても始まりません必ず明日までに手がかりを探します」

裁判は明日だ。
必ず、それまでに手がかりを。

同日 4時53分 禁断の間

「マヨイちゃん!窓を開いてみて」

「うん!下に川が見えるよ、流れが速いね」

下に川、多分そこに死体を捨てたんだろうな。
それは、間違いないだろう。
でも、警察はどうして川を捜査しないんだ。

「川が特殊だからだ!」

後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
御剣だった。

「この川は、阿弥陀川と言って流れも速くしかも水路が枝分かれしているので死体がここに捨てられたとしたら、捜索しても見つかる可能性は1%と言った所だ」

阿弥陀川か、法廷記録にページでも作っておこう。
鉄格子の窓か、ここから隣の部屋が見えるな。
頭が入るのが限度といったところだ。
マヨイちゃんはちょんまげのせいで頭も入らないみたいだ。

手がかりが少なさ過ぎる、ナツミさんに写真をとってないかと聞くと忘れたらしく。
完全に大変な状況だ。
誰か容疑者が出ればいいのに。

同日 某時刻 百日紅の間

とりあえず、誰の部屋か分からないが扉が開いていたので入った。
手がかりはなさそうだが。

すると、行き成り変な音が聞こえてきた。
どうやら、部屋にある楽器をマヨイちゃんが悪戯したらしい。

「何やってるんだ!誰の部屋かも分からないのに!」

マヨイちゃんを呼び出し、壁によっかかりちょっと注意をしようとしたら壁が急に動き出した。
この後、僕は2つ目の驚きを味わうことになる。

「か、隠し扉だ!」

この部屋の主、一体何を隠してるんだ。
普通、隠し扉なんて作らないはずだ。
僕たちは、恐る恐る入っていった。

「なるほどくん!ここは!」

棚に余るほどある、ビンの数々。
天井まで、完璧にビンが並んでいる。
このビンの正体から察すれば、簡単にわかる。
ここは・・・・・・・

「秘密の麻薬貯蔵庫だ」

犯人は事件時、麻薬の密売を行っていた。
と言う事は、美羽さんがやってなければ犯人はこの部屋の主だ。
指紋を調べられる手段があれば良いんだけどな。

「こんな事なら、諮問採取セットを持ってきていれば・・・・・・」

「そうなならない様に、マヨイちゃんが準備したよ」

マヨイちゃん、指紋採取セットを持ってきてたのか。
マヨイちゃんは僕の右ポケットに手を突っ込み何かを取り出した。

「じゃーん!なるほど君のポケットに入れておいたよ、次弁護士のかっこうしていく時には依頼を受けてると思ったから、それに備えてホームラン事件が終わったら入れたんだよ!」

僕もこれに気づかないなんて、馬鹿だったな。
でも、マヨイちゃんのおかげで指紋が取れる。
僕は麻薬の指紋を検出し、部屋に残っている指紋と照合してみた。
思ったとおり、一致した。
犯人はこの部屋の主だ。
現場を調べてさっさと帰るか。
一冊のノートが落ちている。
僕は、中身を見た。

10月17日 林魔 薬蔵:麻薬課刑事

10月6日  蛙田 蛇丸:カリヨーゼ 社員

9月27日  郷田 凶介:無職

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麻薬密売のスケジュールか、綺麗な字で書かれている。
10月17日と言えば、リンマ ヤクゾウと読むみたいだな、あれ確か麻薬取引をしてたのは雪村さんじゃ。
いや、雪村 冬彦は偽名と考えれば。
つまり、被害者の本当の正体ってことだよな。
そろそろ、部屋を出るとしよう。
どうやら、とんでもない手がかりを見つけてしまったみたいだ。



つづく
■作者からのメッセージ
今回も、前編後編と分かれます。
結局、感動ものよりもこちらの方を書いてしまいましたが、何時か書くと思いますので。
今回は、麻薬密売がテーマのお話です。

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