逆転裁判小説集 禁断の逆転 後編
作者: 東条   2010年02月22日(月) 17時17分32秒公開   ID:Uk/VlOgR0.A
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「何故、犯人は鍵穴にガムを入れたんですか、そんなの何も意味はない!」

「異議あり!被告人がガムを鍵穴に入れた!それがどうしたと言うのだ、重要なことではない!」

やはり深追いは禁物か。
しかたない、とりあえず無理やりでもけちを。

「待った!部屋は暗かった、死体も見つかっていない被害者が銃殺された証拠はありません!」

「異議あり!裁判長この弾丸を提出しよう、弾丸には被害者の肉片と血が付着していたおそらく、体を弾丸が貫通したのだろう、隣の隣の部屋で発見された、線条痕も部屋で見つかったピストルと一致している。」

弾丸か、証拠品に加えておこう。
うっ!もう突っ込みきれなくなっちまった。

「もう十分だろう、成歩堂!糸鋸刑事次の証言をしてもらいたい」

証言開始!(事件詳細A)

「まず、明確な事件の流れを説明すると予めテープに余白を20分入れることにより、ホラー映画みたいなBGMが設定した時刻に流れるようにしたっス!
 そして、現場に誰かが入るとガスが出る機械を用意したッス!
 残念ながら、それは現場からは見つからなかったッス!
 死体と一緒に捨てたと思われるっス!
 以上が糸鋸の証言っス!」

尋問するしかないみたいだな。
テープか、一応聞いてみよう。

「待った!テープと言う事は、ラジカセかCDラジカセだったんですか?」

「そうっス、それは一之瀬廷でちゃんと発見されているっス!」

あまり、突込みどころがないな。
不味いぞ、これでは被告人が圧倒的に不利な状況だ。
ピストルに麻薬に密室、何時判決が下されてもおかしくない。

「どうやら、もう審理する必要はないみたいですね」

裁判長!?
不味い、このままでは武器を出さずに終わってしまう、証拠法によって事件との関連性が明白にならなければ、あの麻薬も提出できない。
どうすれば。

「異議あり!検察側の立証はまだ終了していない!」

御剣!?
御剣、チャンスをくれるのか。

「しかし、検察側の立証は十分だと考えますが」

「とんでもない!検察側は新たな証人を召喚する!大沢木 ナツミを入廷させてもらおう」

ナツミさんか。
いよいよ、ここからが本番みたいだな。

つづく


禁断の逆転
                 法廷2

「大沢木 ナツミ!芸能カメラマンや!久しぶりやなーナルホドーどうや、調子は、大___」

「証人!無駄なおしゃべりはやめてもらいたい!証言をお願いする!」

いよいよ、証言が始まる。
これで、この状況が打開できなければ。
審理は終わる。

証言開始!(銃声を聞いた事)

「うち、この事件があった時刻ぐらいに銃声を聞いてるんや!
 時間ははっきり覚えてないで!でもな・・・
 ナルホドーの部屋に行ったんや!
 ナルホドーに聞けば、正確な時間が分かるかもな!」

なんだよ、この証言。

「そうなのですか、弁護人!」

「僕に聞かないでください」

こんなの尋問するのか、いやこれはたいした証言じゃないな。
問題は次だ。

「それでは、尋問を!」

「尋問はしません!この事はたいして重要ではありません!次の証言へ進んでください」

次の証言こそが本番だ!
おそらく、御剣はこの証言で死体が見つかってないことから、全ては雪村の自作自演でおわらさせる事を防いだのだろう。
勿論、そんな手は使わないし、僕には被害者の生死を立証できる。
真犯人、中野 四郎を引きずり出すんだ。

証言開始!(現場状況!)

「ホラー映画のBGMによって不安を感じたうちらは禁断の間に向かうと
 雪村の死体を見つけたんや!
 鍵穴に何かが詰まっていたらしいけどな、それも自分の疑い晴らす偽装工作やった
 そして、麻薬が机に散らかっていたことから犯人は麻薬密売人または常習者
 その条件を満たしている犯人、一之瀬 美羽以外考えられへん!」

「異議あり!本当にそうでしょうか?」

ついに武器を出すときがきたな。

「これは、百日紅の間で見つけた麻薬です!調べてみたところ百日紅の間に一番多くついていた指紋と麻薬についていた指紋は一致しました!
 そう!もう一人条件を満たしている人物がいるのです!
 その人物の名前は、中野 四郎あの部屋の主です!」

法廷はざわめいている。
当然だ、先程まで追い詰められっぱなしの弁護士が行き成り状況を変えてしまったからな。
御剣も行き成りの事態に驚きを隠せないみたいだ。
しかし、平静を取り戻しふっと笑った。

「しかし、これでは一つの条件を満たしただけで、密室の謎が残っているそれはどうするのだ!」

「まだ、分かりません!しかし尋問を進めて行く事で明らかになると思います!」

「ふっ!分からないくせに随分と自信満万だな!」

自分でもそう思う。

それにしても、危なかった。
状況は打開できたが、被告人が圧倒的に不利な状況だ。
尋問を進め全てを明らかにするんだ!
そうすれば、意味のわからないあの証拠品の意味もおのずと答えは出てくる。

「中野 四郎、一之瀬廷の執事でございます」

「今までの審理を聞いていたと思うが失礼だが、貴方は麻薬密売をしていたのだろうか」

行き成り、それですか。

「はい、やりました」

それで、あっさり認めてしまうのか。
まぁ、これだけの決定的証拠だ、認めざるをえないだろう。
とにかく、あいつは自分の無実を主張するはずだ。

「がんばって!なるほど君!」

証言開始!(犯行との関わり)

「私は無実です、確かに麻薬密売はしていましたが。
 それに、わたしはあの密室に入る手段がありません。
 雪村 冬彦なんて人に麻薬を売ったこともありません。」

今の証言、明らかに嘘だ。
しかし、その矛盾を指摘しても、状況は。
いや、僕はもう進むしかない。

「異議あり!雪村 冬彦と会ったことがない、それは嘘です!これは部屋で見つかった麻薬密売のスケジュールです、事件当日に林魔 薬蔵とかいてありますが雪村 冬彦の身元は分からない!
この林魔 薬蔵こそが、雪村 冬彦の本名の可能性があります!」

「異議あり!それを立証できるというのか!」

「異議あり!ごく簡単にね、林魔 薬蔵の家にある髪の毛や皮膚と現場の周りの血とDNAが一致すれば、この二人は同一人物となる!
 そして、被害者の存在がまた、真犯人の動機にもなります!
 被害者は本当は刑事です!そんな人が麻薬を買いに着たと知ったらどう思うでしょうね?
 明らかに逮捕されると思うでしょう!それが中野さんが被害者を殺害した動機です!」

まずは、一歩前進だな。
とにかく、今は前へ前へと進むしかない。
その道が何処に繋がっていたとしても。

「すいません、検事さんもう一度証言をしてもよろしいですか?
 弁護士からの疑いを晴らすためですから」

御剣はふっと笑い、中野に証言をさせた。
矛盾を見つけるんだ。
必ず。

証言開始!(事件との関わりA)

「確かに、その日私は麻薬を売ろうとしました。
 しかし、彼は来ませんでした。
 あの場所には3人の麻薬常習者がいたわけですから。
 おそらく、最初に美羽さんが麻薬を被害者に売り殺したのでは。
 彼がこなかった理由も説明がつきますし。」

この証言、以外に矛盾しないぞ。
どうすれば、良いんだ。
このまま言い返さなければ間違いなく美羽さんが犯人にされてしまう。
考えるんだ、成歩堂 龍一!
必ず矛盾を暴くんだ。
法廷内に沈黙が訪れる。
僕がこの証言に納得しちまったと思っているんだろう。
諦めたら終わりだ、こんな時は基本に立ち返るんだ。
千尋さんから受け継いだ、発想の逆転と被告人を信じる事この中にこの状況を覆せるものがあるはずだ。

「なるほど君、さっきから黙りっぱなしだよ、どうしたの!」

そうだよ!彼女は麻薬密売の罪を否定しているんだぞ!
それが、酷い濡れ衣だと証明できれば!
大切なのは被告人を信じることだ、信じるんだ、必ず真相は見えるはずだ。
まず、あの麻薬!一度開封されてるし明らかに袋には不自然な点が多い。

「どうやら、もうこれ以上の審理は必要ないみたいだな」

まてよ、開廷前に聞いた彼女の事、まさか真犯人は彼女のあれを利用して。

「裁判長!判決を!!」

「異議あり!.........いいえ、まだ審理は終わらない!」

「彼女の麻薬密売を決定付ける証拠になった、麻薬です。
 一度開封されている事と、彼女のある日課が彼女の無実を物語っております!
 彼女は、食事の後薬を飲む日課があります!
 重要なのは薬の中身ではありません、その袋です!
 被告人、その袋は何時もどうしているんですか?」

「え..ええ、何時も中野さんや使用人さん達が片付けてくれます」

やはりな。

「聞いたでしょうか、もうここまで聞いたら誰だってわかります!被告人の指紋つきの一度開封した袋をそのまま使ってその中に麻薬を入れたんですよ!
 それを、そっと被告人の部屋に入れておけばOKだったんです!」

さっきまで、沈黙だった法廷は一気にガヤガヤしだした。
裁判長が木槌で静粛にと言ってやっと納まったところで御剣の異議ありがきた。

「異議あり!あまりにも馬鹿げている!そんな事を証明できるのか」

「異議あり!麻薬の袋をよく調べてみることですね!少し前まで薬の入っていた袋だ!薬の痕跡があの袋に残っているはずです」

「う...むむむむ」

御剣も困っているみたいだ。
ここまでは、中野の計算通りだっただろうが、これであいつも。

「ふふふふ、皆さんパーティーでも始めるつもりですか?
 私も混ぜてくださいよ!仲間はずれなんて酷いな〜。」

余裕そうだぞ、聞いてたのかいまの。

「確かに、貴方の言い分では僕の証言に矛盾が起こり得てしまうから喜んでいるのでしょう。
 でも、彼女が麻薬密売人でもなく個人的に呼び出して禁断の間で殺人を起こしたのなら筋はとおりますよ。」

「そ.....そんな馬鹿な!!!!!!!!」

白目を見せて驚いてしまった。
せっかく、ここまで証明したのに水の泡だ。
待てよ、矛盾。
今の発言、何か矛盾してないか。
法廷記録でも見てみよう、そうかこんな簡単な矛盾に、引っかかるとはな。

「異議あり!裁判長今の証言現場状況と決定的に矛盾しています!
 机には白い粉、麻薬が散乱してたんですよ!
 どう考えたって密売があったに決まっています!」

「く....くそがーーーーーーーーー!!!!!!」

眼鏡が外れて、目に古傷をおった悪人面の素顔が僕たちの間に姿をあらわした。
今まで、大きな眼鏡のせいで隠れていたあの面、あいつは今大ピンチに追い込まれている。
精神的に追い詰めるんだ。

「そして、あそこで麻薬密売を行うことができたのは、麻薬密売人であるあなたしかいない!」

「し..しかし!密室殺人の謎はどうするのだ、彼が犯人だというのなら密室トリックが存在するはずだ。それを説明できるのか」

「え...ええ..まぁ、何とかならなくもないかもしれません」

「コラ!弁護人!ちゃんと質問に答えるように!」

「いちから考えてみようよ!なるほど君!」

今までの話を整理してみよう。
まず、僕達が近所迷惑なあの音に吃驚して入っていった。
その時に死体を見つけたんだよな。
そして、ガスが出て僕は、雪村さんの部屋へに行ったんだよな。
もう一度僕は死体現場に入った時には間違いなく死体はあった。
何故か、警察が到着したときに消えた。
この話を整理すれば、必ず真相は見えるはずだ。
法廷記録をもう一度読もう、現場状況だ。
それより、犯人は何故鍵穴にガムを突っ込まなければならなかったんだろう?
こう言う時は、発想を逆転させるんだ。
犯人がガムを鍵穴に入れざるを得なかった理由を考えるんだ。

「なるほど君、密室の謎は解けた?」

「.....今、大体真相は見えてきたまだ、答えを出せていない部分もあるけど突っ走るしかない」

「弁護人は黙ったままの様だ、これ以上この証人を苦しめないで頂こう!」

間違いない、あの方法ならあれが移動する方法も。

「けっ!やっと分かったか!!私に濡れ衣を着せようなんて酷い事考えるね!」

証人も限界だな、もう戻るわけにはいかない!

「異議あり!これからこのマジックのような、密室殺人の謎を解き明かしましょう!」

傍聴席も行き成りの告白にざわざわ。
ここで止まったら人騒がせなお兄さんだ。
いや、止まるつもりもない。

つづく


人物ファイル

一之瀬 健太郎(24)昔、僕の弁護で無罪になった人、一之瀬コーポレーションの次期社長。

一之瀬 健  (53)一之瀬コーポレーションの社長、かなり無愛想。

一之瀬 美羽 (23)健太郎の弟、殺人事件の被告人。

中野 四郎  (39)一之瀬邸に仕える執事、大きな眼鏡以外特徴が少ない。

大沢木 ナツミ(??)芸能カメラマン、この人とは良い思い出が少ない。

雪村 冬彦  (36)詩人、謎が多い、今回の事件の被害者。

担当検事 御剣 怜待


証拠品リスト

弁護士バッジ 僕の身分を証明するバッジ。

指紋採取セット
       昔、御剣からもらった、ある人物との思い出の品でもある。

⇒To Be Continued...

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