時空を超えた逆転 7 成歩堂・王泥喜編-黒幕との対決- | |
作者:
太郎
2009年04月02日(木) 19時09分27秒公開
ID:NSaAlxEcU.A
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「ふむう…。分かりました。証人。次、お願いします。」 「しかし、私は関わっていない。弁護側にはナニか証拠でもあるのですか?」 「待った!」 「オドロキ君。ゆさぶりをかける以上、証拠品はあるんでしょうね…?」 「うぅ…(くそっ!証拠もないし…クセも出てこない…!もうヤケだっ!)証人が事件に関わってないと言う証言実は…ウソに違いありませんっ!」 「異議あり!」 「!!(先生っ…!)」 「オドロキ君。その荒い論証…。聞いてて恥ずかしいですね。弁護側に証拠がないのはもう分かりますよ?キミを見ていれば、ね。」 「ぐっ…!(ナゼだ?!腕輪も反応しない…!ヤッパリ、オレの思い違いだったのか?!)」 「オドロキ君っ!頑張ってっ!負けないでっ!」 「ありがとう、真宵さん!(そうだ・・・ココで引くわけにはいかないっ!)しかし、アナタは計画をたてるコト…」 「…オドロキ君。」 「っ!!」 「私は、関わってないと言ってますよ?」 「うっ…」 「そもそも私は鬼野と言う人物と面識はなく、綾里真宵さんに関しても、ほとんど知らない。成歩堂からも、助手で霊媒師だったというコト以外聞いていない。よって…私は彼女を陥れる理由はない。」 「では、弁護側が主張するように成歩堂龍一に復讐するタメの“保険”として利用した可能性はあるかしら?」 「ないです、検事さん。先にも言ったように、私は鬼野氏の名前は今日初めて聞きましたし、綾里真宵さんを計画に織り込むにしても、彼女については、本当に詳しく知らない。ましてや事件が起きたのは彼女の実家だそうですね…?獄中にいた私にはその手の情報は入ってこない。ムロン、計画も立てるコトは非常に困難。私が今回関わるコトは不可能なのですよ…。証拠がないカギリ、ね。」 『う…………ウォォォォォォォォォォォぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』 オドロキの叫びとともに、傍聴席は揺れた。 『このままじゃ、審理が終わっちゃうよっ!(オドロキ君、黙っちまった…!)』 『ここで、審理が途切れたら……大変なコトになるっスゥゥゥっ!』 『真相が…分からなくなってしまいます!』 『牙琉検事っ!どうにかならないのかっ?!』 「手は、打ったんだけど…!(…アニキっ!)」 カンッカンッカンッ! 『静粛にっ!静粛にっ!静粛にっ!』 裁判長は木槌を激しく叩きつけ、やっと法廷が落ち着きを取り戻した。 「まず、私の考えを述べましょう。証人の証言には、疑いの余地はないと考えますっ!」 「ぐっ…!」 「ご理解、カンシャします。裁判長…。」 「オドロキ君っ!サイバン終わっちゃうよ!どーにかしてよっ!」 真宵は涙目になりながら、オドロキを見つめた。 「オレだってどーにかしたいよっ!でもっ…!(証拠もないし、クセもないんだ…!)」 「狩魔検事。この特別証人の証言に新しい事実は見当たりませんでした。彼に対する尋問はココで終了すべきか…検察側の意見をお聞かせください。」 裁判長は、冥に語りかけた。しかし、冥は落ち着きなくソワソワとムチをいじっていた。 「え…えぇ…。そうね…け、検察側は…」 「!(狩魔検事が…迷ってる!)」 「メイちゃん…!(お願いっ…!)」 「…裁判長。狩魔検事はとても優秀な検事です。しかし、まだ10代の女の子でもあるのです。彼女に今、迷いがある以上、適切な判断は出来ないでしょう。」 牙琉は、うつむきながら、そして不敵な笑みを浮かべながら言った。 『な、なんですってっ?!この私に判断ができないですって?!』 「が、牙琉先生っ…!(狩魔検事の幼さを主張して、閉廷に持ち込むツモリだっ!)」 冥は、牙琉に反発したが、牙琉は冥を無視して続けた。 「裁判長。アナタの判断が一番適切かと思います。…さぁ、正しい裁定を!」 「分かりました。私はこの証人に対して、これ以上、尋問を続けても無意味だと考えます。弁護側は証人と事件の関わりを示す証拠を提示できず、検察側は、事件との関わりの有無をハッキリ立証してくれました。…ヤハリこれ以上の審理は無意味でしょう。」 「そ…そんなっ…!」 「………っ!」 オドロキも冥も裁判長の判断にショックを隠しきれない様子だった。証言台の牙琉だけは、澄ました表情をしている。 「それでは…本日の審理はココまでとし、閉廷とします!」 「異議あり!」 オドロキは、反射的に異議を唱えた。 「今度は、なんですかな?」 「えっと…弁護側には…その…異議が…」 「ダメです。弁護人。あなたはこの証人を告発できなかったのですよ?」 「うぅっ…」 「では、今度こそ、閉て…」 「異議ありっ!」 裁判長が再度、木槌を降り下ろそうとしたシュンカン、冥が異議を唱えた。 「(狩魔検事っ…!)」 「……………シツモンが思いつかなかったわ。」 「(ガーン…。)」 「そうですか。それでは、本当に今度こそ本日はこれで閉廷っ!」 裁判長が木槌をまたふり上げた。オドロキは頭を抱え、弁護席にうつ伏せになり、真宵は涙を目に浮かべながら裁判長を見つめ、冥は二の腕を掴みながら、焦り、傍聴席の成歩堂達は、マッサオになりながら法廷をなすすべもなく、見つめていた。まるでスローモーションのように流れてるこの異様な空間の中で証言台の牙琉は、うつむきながらまた不気味な笑みをこぼした。そして裁判長が木槌をおろそうとした正にその時だった。 『異議あり!』 『!!!!???』 法廷中が、異議を唱えた声の主を見た。 「!!あっ……あなたはっ…!」 「えっ…ウソ…でしょっ?!」 「も、も、もしかして…!?」 「ぐっ…ぐぅぅっ!ナゼ…キサマが…!」 「…どうやら、ギリギリ持ちこたえてくれたみたいだね、オドロキ君。」 法廷の入り口に、声の主が立っていた。 『な、成歩堂さんっ!!!!!!(来てくれたんだっ!!)』 その人物はピアニスト・成歩堂龍一だった。未来から来た成歩堂を初めて見た、裁判長、真宵、冥は彼のあまりの激変ブリに表情が固まってしまったのだ。 「ふぅ。やれやれ。間に合ったみたいだ…。」 「“手を打ってある”ってのは…成歩堂の事だったのか?牙琉検事。」 「あぁ。そうさ。ヒヤヒヤしたけど、逆転劇はどうやらココからみたいだよ!」 「アンタ、なんスかあのニット帽?」 「知りませんよ。(だけど、自分なのにナゼか少しカッコヨク見える…。)」 「わたくし、汗で手がビッチョリです…!」 傍聴席もほっと肩の力が抜けたようだ。 「…成歩堂っ…!」 「牙琉。またしてもキミの“ロジック”は崩れ去ることになりそうだよ。」 「なんですって…?」 「裁判長!ここに、証人・牙琉霧人が今回の事件に関わったコトを裏付ける証拠があります!」 「な………………」 『なんですってぇぇぇぇぇぇ?!』 成歩堂のバクダン発言によって再び法廷が揺れた。成歩堂は手に持ってる証拠の入った茶封筒をタカダカと裁判長に見せつけた。 「成歩堂っ…!今度はどんな汚い手を使ったんだ?!」 「…ぼくはキミと違う。真実を明かすためにココにいる。汚い手など使わないよ…。」 「なんだと?!」 成歩堂は牙琉のニラミを無視して裁判長にマッスグと顔をむけた。 「裁判長!弁護側は、今から10分の休廷を要請しますっ!この特別証人と事件との関わりを立証するためにです!」 「異議あり!」 牙琉は証言台から、異議を唱えた。そして彼の表情には、持ち前の冷静が戻っていた。 「裁判長。アナタ程の人ならお分かりいただけると思いますが、弁護側はこの尋問で立証できなかった。そして、今。すべり込みで入ってきたこの男の証拠品は今審理すべきではない。もう時間も超過してる上、被告人の判決も出たワケですからね。」 「ふむう…。」 「(今度は、時間の超過をエサに裁判長の心証を動かすツモリかよっ!)」 「異議あり!」 今度は検事席の冥から異議が飛んだ。 「なんですかな?狩魔検事…?」 「検察側は、弁護側の新しい証拠品の提示を認めるわっ!相手に成歩堂龍一も加わるなら、上等よ!カンペキに勝利してみせるわっっ!」 冥は、華麗にムチを成歩堂にむけて、構えて見せた。 「(なんというツンデレ…。)」 「アレでコソ、メイちゃんだね!」 「…相変わらずだね。狩魔検事。」 成歩堂は、軽く冥に微笑んだ。 「むっ!!な、なによっ!(成歩堂龍一のブンザイでっ…!)」 ビシッ! 「いてぇっ!(な、ナゼオレを…!?)」 「…フン。」 冥は、ムチをふりあげると、ナゼかチカラ一杯、オドロキを叩きつけた。 「検事さん…。いいんですか?ココで審理を拒否すれば…あなたは弁護側の主張をカンペキに押し込められるのですよ?」 「…いいかしら?弁護側に戦う意志がなくなるまで戦わなければ、カンペキな勝利とは言えないのよ。」 「…!」 「(狩魔検事…!)」 カンッ! 裁判長がタイミングよく木槌をならし、注目を引き寄せた。 「分かりました!弁護側の要請を受け入れましょう!」 「!!(やったぞっ!なんとかシンリがつながった…!)」 「ふぅ。オドロキ君の裁判も荒れるねぇ…。」 オドロキも真宵もホッと息をついた。証言台の牙琉だけは、スルドイ目付きで成歩堂をただ睨み付けてるだけだった。 「10分。それ以上の時間はもう取りません。よろしいですか?狩魔検事と、その…ぴあにすとの方の成歩堂君?」 「ええ。」 「十分ですよ。裁判長…。」 「よろしい。それでは、王泥喜君としっかり話し合って下さい。それでは、10分間、最後の休廷に入りますっ!」 カンッ! 同日 午後4時59分 被告人第2控え室- 「ねぇ!アナタ、本当になるほど君なの?」 「えっ。そうだよ。」 オドロキに資料を見せようと茶封筒を片手に持ったピアニスト・成歩堂を真宵がなめるように眺めてる。 「うーん…なんか違うなぁ…。なるほど君はもっと、頭ギサギサで、サチ薄そうで、オーラがなくて、青くて、お金もなくて…」 「…あのね。真宵ちゃん。ぼく、一応、正真正銘の成歩堂龍一だからね。(そして、お金は以前よりもさらに持っていない。)」 「あっ!そうか!確かに!本当に…なるほど君なんだよね!」 真宵は、ハッとしたらしい。 「なんだよ、それ。」 「…。(こんなにスナオな成歩堂さん…初めて見るな…)」 「おっと。何、ボーっとしてるのかなコドロキ君。」 「オドロキですっ!(失礼なっっ!何回目だよっ!)」 「そう。ソレだ。オドロキ君。じゃぁ、サッソク手元の材料を整理しよっか。時間もないしね。」 成歩堂は、茶封筒から資料を取り出した。 「今回、キミは、牙琉センセイを黒幕として告発したワケだが…実は、新たにもう1人、この計画に1枚噛んでた人物がいる可能性があるんだ。」 『えっ!?それは一体、ダレなんですかっ?!』 オドロキの大音声が控え室中にヒビキ渡り、成歩堂も真宵も耳をふさいだ。 「あ…スミマセン。」 「本当だよ。この部屋をハカイする気かい?」 「うぅ…ゴメンナサイ。(発声練習…人にほめられたコトないな…)」 「で、結局ダレなの?なるほど君。」 「それが…綾里キミ子、なんだ。」 成歩堂がそういい放ったシュンカン、真宵の笑顔が消えた。 「“アヤサトキミコ”…?誰ですか?ソレ。(…!ちょっと待てよ…!“アヤサト”って…!)」 「ウソ…。キミ子おばさま…?」 「!!(ヤッパリ、真宵さんの…!)」 「真宵ちゃんには、ショックな話しだ。また彼女が関わってるからね。」 そう成歩堂が言うと真宵は黙ってしまった。控え室に、重い空気が漂った。 「(なんだなんだ?!“また”って…?!)」 「オドロキ君はまだ知らないね。…新たな容疑者の名は、綾里キミ子。霊媒師。真宵ちゃんのおばさんであり、春美ちゃんの母親だ。」 「春美ちゃんの…母親っ!」 オドロキは、そのコトバの重みで、ゾッとなった。 「時間ないから、クワシクは話せない。だからカンタンに説明するよ。綾里キミ子はね、2度、事件を起こしたんだ。自分の手を汚さずね。」 「“自分の手を汚さず”…?」 「…。」 「そう。彼女は、念入りに殺人の計画を練り、それを他の人間に実行させた。真宵ちゃんに罪を着せたコトもあったんだ。」 「ま、真宵さんに?!ナゼ?!(だって…“おばさん”だろ!?)」 オドロキは、ミケンにシワをよせ、表情をケワシクさせた。 「倉院流の家元を春美ちゃんに継がせるためだよ。真宵ちゃんがシッキャクすれば、春美ちゃんが家元だからね。モチロン、今回もそれが狙いだと考えられるんだ。」 「で、でも、ナゼ、牙琉先生と…?!関わりはないハズです!」 「もし、関わりがあったとしたら…?」 「えっ…?」 成歩堂はいつにもまして、シンケンな表情でオドロキを見つめた。 「ガリューさんとおばさまに関わりなんてあるの?」 「それがあるんだ。コレを見てくれ。」 そう言うと成歩堂は資料の中の1枚を見せてきた。その紙には、牙琉霧人の字でなにやら書きなぐられていた。オドロキはゆっくりとそのメモ書きを読み始めた。 「………………!へ…“閉心術”の心得…?(牙琉先生が…ナゼ、こんなコト…。マッタク興味なさそうなのに…)」 ⇒To Be Continued... |
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