時空を超えた逆転 7 成歩堂・王泥喜編-黒幕との対決-
作者: 太郎   2009年04月02日(木) 19時09分27秒公開   ID:NSaAlxEcU.A
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「………。」
牙琉がそういい放った後、控え室はイッシュン、沈黙に包まれた。
「…ま。おデコ君がどーだろうと、それこそ今はカンケーない事だ。…そろそろ休廷時間も終わる。後は、狩魔検事にお任せして、ボクらは席に戻ろうか?御剣検事。」
「…うム。そうだな。そうしよう。」
御剣は、少し考えて、首をタテにふった。
「じゃぁな、メイ。またアトで会おう。」
「そうね。」
御剣が冥にアイサツをすると、響也も手でアイサツをした。そして2人は控え室をアトにした。するとイキナリ、霧人はハナで笑いだした。
「………フッ。」
「…?ナニかしら?(なんだかブキミな人…ね。)」
「イヤ、シツレイ。狩魔検事。アナタ程の人がナゼ、弁護側の特別証人の召喚を許可したのか…フシギでならなくて、ね。」
霧人は、冥を嘲るように、静かに言った。
「…狩魔は、相手の戦う意思がなくなるまで戦い続けるの。ココで引いたら、狩魔の名が汚れるわ。」
「…そうですか。ソレは心強いですね。」
「え?!」
「どうやら、私は、オドロキ君の戦う意思を、ネジ伏せるお手伝いができそうですよ。」
霧人は、ブキミな程、ニコやかだった。冥は彼の笑顔に寒気さえ感じたという。
「フッ。どーやら、弟や御剣検事は、弁護側のミカタのようですからね。アナタだけなんですよ。私のミカタは、ね。」
「み、ミカタとか…そーゆーモンダイじゃぁ…。」
「フフッ。解釈はあなたの自由ですよ。狩魔検事…。おや、そろそろ時間のようですね。」
冥は、とっさに時計を見た。
「そ、そうね…。いきましょう。」
「仰せのままに…。」
霧人は最後にまたまた微笑み、2人は控え室を去った。

同日 午後4時23分 地方裁判所 第4法廷-

カンッ!

「それでは、審理をサイカイしましょう。」
裁判長が木槌を鳴らし、審理が再開された。
「…オドロキ君。」
「ん?何?真宵サン。」
「なんで私、引き続き被告席なの?!無罪判決受けたのにっ!」
真宵は怒りながら、イスをバンバンと叩きチラした。
「それは…狩魔検事の指示みたい…ダヨ…」
「うえっ!?メイちゃんの?」
「フッ。そーゆコトだから、アナタは引き続きその席にカンペキに座ってもらうわよ!綾里真宵っ!」
冥は、ニヤっとフテキに微笑みながら言った。
「うぅっ…。(検事席から言っちゃってるよ…。)オドロキ君っ!早くこのサイバン、終わらせてっ!」
「わ、分かったよ…。(シンリを早く終わらせられたらこんなに苦労しないんけどなぁ…。)」
「あのぉ…弁護側と検察側のゴタゴタは、アトにして下さいよ。」
裁判長がヨワヨワしく入ってきた。

バシッ!

「ひぃっ!」
「弁護側とのイザコザは、検察側の勝利でもうすでに終結したわっ!」
「ふむぅ。それは…オメデトウございます。」
「(なんだよ、“勝利”って…。しかもなんで祝福してるんだよ…。)」
「もう!オドロキ君のコシがひけてるからだよっ!」

カンッ!


「えー。コホン。それでは、気を取り直して審理に入りましょう。狩魔検事、特別証人の召喚をお願いします。」
「心得たわ。先日起こった、“御剣怜侍誘拐事件”の容疑者・牙琉霧人を証言台へ!」
冥は、そういい終えると、スグサマ係官に連れられた牙琉霧人が入廷し、証言台にゆっくりと立った。
「いよいよ、ヤツの証言か…。」
「オドロキ君もメイもやりにくいだろうな。」
傍聴席の御剣と成歩堂が静かに言った。
「なんか、オーラがすごいッスねぇ…。アノ人。」
「わたくし…あの殿方、こわいです。」
春美は、そう言いながらツメをかんだ。牙琉は自分の兄を見て、おびえてる春美に気付き、頭をなでてあげた。
「がりゅう検事さん…!」
「安心してよ、お嬢ちゃん。おデコ君と狩魔検事なら大丈夫さ!」
「…。そうですね!あのお2人なら、大丈夫ですよね!」
春美は、アンシンしたように笑顔になった。
「そーいえば牙琉検事、アカネちゃんはどこいったの?さっきからずっといないみたいだけど…」
「確かに…。彼女の姿がないな。」
「カリントウ買いにいったッス!…自分の勘ッスけど。」
「(恐ろしくムセキニンな発言だな。)」
成歩堂は、心の中でツーレツにイトノコにつっこんだ。
「刑事クンには、特別任務を与えてるんだ。7年後の世界で今、仕事をしている。」
「まぁ!“とくべつにんむ”なんて!さすが前世から結ばれたウンメイのお2人…」
「ハハッ!そうだよ!ボクらはマギレもなく“運命のお2人”だよ!」
「(春美クンのノリに乗ったのは牙琉検事が初めてだな。)」
「まぁ、トニカク見守るしかないよな。出方を。」
「そうだね。(気になるのは…アニキのあの余裕ップリだ。おデコ君、頼むよ…!)」

バシッ!

冥は検事席をムチでチカラ一杯叩きつけて、気合いを入れ直した。
「証人!名前と職業をお願いするわ。」
「…牙琉霧人。元弁護士。…現在は、“ロンリーマスター・オブ・ロンリーキャッスル”…とでも言っておきましょうか。」
「?」
「平たく言えば、囚人ね。」
「あっなるほど…。」
裁判長は目をまんまるくしながら牙琉を見つめた。
「…。(なぜそのようなハッソウになるのかがオレには理解できん。)」
「オドロキ君、平たく言わないとどーゆー意味?」
「…アトでね。」
「ちぇっ!つまんないのっ!」
「…オドロキ君。頑張ってますね。」
牙琉はニッコリしながら、かつての弟子に語りかけた。
「は、ハイ。どーも…(なんだイキナリ…。)」
「…フフ。では、オドロキ君。なぜ、この私が召喚されたのか…教えてくれますか?」
「は、ハイ。(うぅ。本当にやりにくいなぁ。)…アナタは、先日御剣検事を誘拐し、オレに罪を着せました。そして、事件を起こした動機は、成歩堂さんやオレに復讐するためです。」
「成歩堂君と王泥喜君に“ふくしゅー”…ですか?」
裁判長はゆっくりと復唱した。
「そう。牙琉霧人は、7年後に起こるある出来事を引き金に、成歩堂龍一と元弟子の王泥喜法介を恨むようになった…。コレは事実よ。」
「なんと…弁護人はこの証人のお弟子サンだったのですか!」
「その通り。…オドロキ君には、弁護士と言うモノを叩き込んだつもりだったのですがね…。」
「…。」
牙琉は眼鏡をイジリながら答えた。
「…。トニカク。証人は、動機がある以上、裏でこの事件を操っていたと弁護側は主張します!」
「異議あり!」
冥はスグサマ異議を唱えた。
「アナタの発言には、なんのコンキョもショーコもないわねっ!王泥喜法介!証人は服役中だったのよ!?」
「異議あり!」
オドロキも机を叩き、異議を唱えた。
「証人は非常に計画的な人ですっ!彼は現に刑務所にいながら人を殺めている!動機さえあれば、彼にとって今回の事件を起こすコトはなんとでもなかったハズですっ!」
「異議あり!」
冥も負けじと異議を唱える。
「確かに彼は、7年後、刑務所にいながら人を殺めている。しかし!それは、偶然起きたコト!あなたはその時の審理にタズサワっていたハズよ!王泥喜法介っ!」
「うっ…(バレていたか…。)」
「トニカク!」

ハジッ!

冥は検事席を再度ムチで叩いた。
「証人のハナシを聞きましょう。彼はこの事件にタズサワってないというコトを、検察側はカンペキに立証するわっ!」
「ふむう。頼もしい。それでは証言をお願いしましょう!」
「仰せのままに…。」
「(牙琉先生のヨユーの表情が気になる…。だけど、こっちの主張を必ずリッショーしてやるっ!)」
「オドロキ君!オーレッ!バーモス!」
「…グラシアス。(真宵さん、被告席をイヤがるアマリ、壊れちまった…) 」
「壊れてないっ!」

〜証言開始〜

「弁護側が主張するように、私は確かに御剣検事の誘拐事件にタズサわりました。」
「しかし、私は今回の事件には断じてタズサわっていない。」
「ナゼなら、7年後の世界の独房にいましたカラ。」
「動機があるように取られてもシカタがないかもしれません。」
「しかし、私は関わっていない。弁護側にはナニか証拠でもあるのですか?」

「ふむう。よくまとまってる証言ですな。」
裁判長はカンシンしたように言った。
「弁護人にとってはムダなハナシよね。」
「はぁ。(確かにスジの通ったまとまった証言だな…。)」
「それでは、弁護人。ムダですが尋問をお願いします。」
「…ハイ。(なんでムダ扱いなんだ?)」
「カンゼンにモンダイジ扱いだね。オドロキ君。」
「うん。(この尋問で、くつがえしてやるか!)」

〜尋問開始〜

「弁護側が主張するように、私は確かに御剣検事の誘拐事件にタズサわりました。」
「待った!」
「…。」
「誘拐事件にかかわったなら、動機はジューブンありま…」
「異議あり!」

バシッ!

「いってっ!」
「いい加減になさい!王泥喜法介っ!何度も同じコトを繰り返すマエにリッショーしなさいっ!」
「うっ。(ヤッパリ言われた…。)」
「検察側の言う通りです。弁護人、もっと考えて尋問しなさい!」
「うぅ。スミマセン。」
「もう、これじゃ誰が裁かれているのかわからないね。」
「…そうだね。(オレばっかりが叩かれてるもんなぁ…。)」
「では、証人。続きをお願いするわ。」
「しかし、私は今回の事件には断じてタズサわっていない。」
「待った!」
「何でしょうか?オドロキ君。」
「“断じて”と言い切れますか?!」
「言い切れますよ。オドロキ君。」
「し、しかし、アナタは、計画をたてるコトはできたハズですっ!」
「…その、無礼な人差し指をどけるコトですね。オドロキ君。」
「えっ…」
「やっぱり、教える者が変わると、こんなにも変わってしまうのですね。再確認しました。…キミの新しいセンセイ…成歩堂龍一ゆずりのそのハッタリ…そして運マカセなスイリ。非常にミニクイ。エレガントさのカケラもありませんね。」
「はぁ…。」

「カナリ言われてるな。成歩堂…。」
「うん…。ケッコー、心に来るよ…(だってその通りだと自分でも少し自負してるし…。)」

「ツマリ、変な言いがかりをつけるな。と証人は言ってるのよっ!王泥喜法介っ!」
「うぅ…ゴメンナサイ。(オカシーな…。ココがウソなら腕輪が反応すると思うんだけど…)」
「キンチョーしないように頑張っちゃってるのかな?がりゅーさん。」
「そーなのかなぁ…(牙琉先生はオレの“チカラ”について知っている…。対策をしていてもフシギではない、か…。…。それは、だいぶ困るな。)」
「…弁護側は、黙ってしまいましたね…。検事さん、次にいってもいいですか?」
「ええ。モチロンお願いするわ。」
「ナゼなら、7年後の世界の独房にいましたカラ。」
「待った!」
「なんでしょう?」
「そのアリバイを裏づけてくれる人物はいますか?」
「モチロンいますよ。オドロキ君。」
「…!」
「それは、誰なの?」
「その人物は…ピアニストの成歩堂龍一、です。」
「ぴあにすと?!成歩堂君が?!そもそもあなた、ピアノ弾けるんですか?」
「(…裁判長、傍聴席の成歩堂さんに問いかけてるぞ…)」
「ぼ、ぼく弾けませんよ!ピアノなんて、今は!」
「ピアノの弾けないピアニスト…それが7年後の成歩堂龍一よ。」
「ふむう…。ヤッパリ、ピアノは弾けないんですね。」
「(弁護士からピアニストになってるって事実の方をツッこめよ!)」
「そりゃ、なるほど君がピアノ弾けたら、気味悪いもんね!」
「はは…(言うなぁ。さすが助手。)」
「そんな弁護士でもない、ピアニストの彼がずっと私につきっきりで取り調べを行っていたのですよ。」
「(確かに成歩堂さん、取り調べしてたからな…。)分かりました。次、お願いします。」
「動機があるように取られてもシカタがないかもしれません。」
「待った!」
「…。」
「その動機と言うのは…?」
「モチロン、御剣検事を誘拐し、人質にとるコトで、成歩堂やキミに復讐をしようとしたコトです。そして、失敗した時の保険にこの計画も同時に練っていた、といったトコロでしょうか…。」
「そうです!あなたはそうやって復讐を…」

バシッ!

「わぎゃっ!」
「さっきから何度も言ってるでしょう!弁護側は、主張に沿った証拠を提示するようにとっ!」
「狩魔検事の言う通りです。弁護人、証拠品はありますかな?」
「…ない…です。」
「オドロキ君。何度も教えたでしょう。裁判でモノを言うのは“証拠品”だと。…新しいセンセイにハッタリのテクニックを叩き込まれすぎて、そんな大事なコトも忘れちゃったのですか?」
「うぅ…」
「あのヒト、ムカつくよオドロキ君っ!さっきからなるほど君の悪口バッカリ!」
「まぁ、フクシューするホド恨んでるからね。成歩堂さんのコト。」
「確かに…。なるほど君って知らないウチに他人のウラミを買う天才だからね…。もしかしたら、なるほど君にも知らぬまに責任、生じてるカモ。」
「(その復讐の対象は、オレも含まれてるんだよなぁ…。)」
「トニカク、まとめると、証人は疑われる点はあったコトは認める。というコトね?」
「そうゆうコトですね。検事さん。」

⇒To Be Continued...

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