時空を超えた逆転 7 成歩堂・王泥喜編-黒幕との対決-
作者: 太郎   2009年04月02日(木) 19時09分27秒公開   ID:NSaAlxEcU.A
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「い、今の異議は誰ですかっ?!」
「オレです。裁判長。」
「えっ?!お、オドロキ君!?」
真宵は、もの凄いイキオイでオドロキのいる弁護席方向にふりかえった。
「どーゆーコトかしら。王泥喜法介…?」
冥はムチをウネらせながら、オドロキに尋ねた。
「この審理を終わらせるには、まだ早すぎますよ。裁判長!」
「えっ?!ナゼ?」
裁判長はポカンとしてる。
「まだこの事件のクロマクについて、まだ審理していないからですっ!」

『く、クロマクですとっ?!』

「そうです。この事件には“クロマク”が存在するのです!」
オドロキは机をコブシで叩きながら言った。
「ちょっと待てっ!もう判決は出ただろう!この事件は、私がスベテ計画し、実行したんだぞっ?!クロマクなんていねぇぞっ!」
「じゃぁ、聞きます。動機はなんですか?」
「ど、ドーキは…今は、黙秘するっ!」
鬼野は、頭をかきながら、ハギレ悪く言った。
「それと…アナタは先程の質問にまだ答えていません。ナゼ、オレが新米弁護士だというコトを知っていたのですか?」
「そっ…それは…。」
「それに、牙琉検事の件もナゼ、知っていたのか?!確かにオレ達は未来から来ました。しかし、その事実を知っているのは、一部の人間と先日の成歩堂弁護士の審理に立ち会った人しかしらないハズです!」
「ちなみに、先日の審理の傍聴人の記憶は処理班によって消されてるわ。」
冥はオドロキの発言に付け足した。
「つまり、こー考えられます!この犯行はアナタ以外の人物が計画した。そして、その人物に言われるまま、アナタはその犯行計画を実行した可能性があるんです!!」
オドロキは、マッスグ、人差し指を鬼野に突きつけて言った。
「ぐぅっ!!」
「お、オドロキ君っ!鬼野刑事、アカラサマに反応したよっ!」
「あぁ。絶対にこのままでは終わらせないさ。(必ず、彼を証言台に引きずりだす!)」

カンッ!

裁判長が、木槌を打ち、法廷内の注目をこちらに引き寄せた。
「弁護人が主張するように、“黒幕”の存在も否定できないでしょう 。ただ、本審理は、すでに時間を超過していまし、被告人の判決も出ました!本日はココで閉廷し、明日に持ち越すことにします。」
「異議あり!」
オドロキはとっさに異議を唱えた。
「ココまできたからには、審理を今、続けるべきです!裁判長っ!(今、終わられたら…真相は永遠に闇に葬られる!)」
「しかし、時間を超過しすぎてます。判決もでたコトでしょう?弁護人には弁護する相手がいなくなる。区切りとしてはちょうどいい。」
「し、しかし…!裁判長っ!お願いしますっ!審理をつづけ…」

バシッ!

『ぎゃぁっ!』

「異議ありっ!」
ムチの先がオドロキのヒタイを叩いたのと同時に冥が異議を唱えた。
「クロマクについて審理を進めたいのなら、モチロン、キサマはその人物について心当たりがあるのよね?」
「え?」

バシッ!

今度はオドロキの全身にムチが走った。

『いてぇっ!(ムチを誰か取り上げろよっ!)』

「質問をちゃんと聞いてなさいっ!王泥喜法介っ!キサマにもし、その“黒幕”に心当たりがあるのなら、検察側は特別証人としての召喚を許可するわ!」
「!!(狩魔検事…!)」
冥は、早口で言った。どことなく少し照れ臭そうだった。
「いやいや、狩魔検事。その許可をするのは、私…」

バシッ!

『はひっ!』

「検察側は召喚を許可してるの…!弁護人が戦う意思がなくなるまで…私は戦い続けるっ!・・・もしかしたら“逆転有罪”もありえるでしょ?」
冥は裁判長をムチで構えながら、睨み付けた。
「(こ、こ、こぇぇっ!)」
「え、あっ、はいっ!そ、そ、そーですね・・・。では、し、し、審理を…続けましょうか!ハイ。」
「(どもりすぎだよ・・・。でも助かった。)」

バシッ!

「いってぇっ!」

またもや、冥はオドロキをムチで攻撃した。
「さぁ!王泥喜法介っ!アナタが考えるクロマクとは、誰なの?!」

『やめろっ!この事件に黒幕などいないっ!私、単独の犯行だっ!』

鬼野は、係官に挟まれて座っていたが、彼らをふりきろうとしながら叫んだが、オドロキは無視した。そして、鬼野はイッタン、係官に引きずられながら、退廷していった。そう。自分が主犯だと主張しながら。
「………いいですか?続けましょうか。…黒幕は…。牙琉霧人だと弁護側は考えます。」

『!!が、が、が、牙琉霧人ですって?!』

「…。」
裁判長は驚きのあまり叫んだが、冥は冷静にムチをいじっていた。
「ご存知だとは思いますが、この世界での牙琉霧人は天才弁護士。しかし7年後からきた彼は、御剣検事誘拐を計画した張本人です。彼なら、“ミライ”を知っているし、動機も十分にある!」
オドロキがそう言うと、傍聴席は、お通夜のように静まり返った。ゾッとするような静けさに法廷内が包まれた。
「……。なんてコト、でしょう…。」
「(裁判長、なんで小声なんだよ…。)」
「ならば、ハナシは早い。彼を召喚しましょう。」
冥は、静けさをモノともせずに言った。
「あっ、でも、誰が召喚の手続きをとってくれるのでしょう?確か、牙琉霧人は今、7年後の未来にいると聞きましたが…。」
「ボクが召喚の手続きをとらせていただくよ。裁判長サン。」
響也が傍聴席から名乗りをあげた。
「が、牙琉検事!アナタ、そんなはいてくな事ができるのですか?」
「(おいおい…。ハイテクの使い方が間違ってて、訳の分からないニホンゴになっちまってるぞ…。)」
オドロキは痛烈に心の中でツッこんだ。
「ボクは、未来の“管理者”だからね。準備もほとんど整ってる。あと10分もあれば召喚は可能だよ。」
「ふむう…。…分かりました。それでは、牙琉検事。召喚の方をお願いします!」
「オーケイ、だ。」
牙琉はキザに指をならしながら言った。
「さっ、刑事クン。仕事だよ!行こうか!」
「…。フン。言われなくても行きますカラっ!命令しないで下さい。」
「(相変わらず、この2人は…。)」
成歩堂は、軽く微笑んだ。
「じゃっ、行ってくるよ!」
「行ってきます!御剣検事っ!成歩堂さんっ!」
「ちょっ、ちょっと!刑事クンっ!」
茜は牙琉をムシして、彼以外の人にエガオを振りまきながら、牙琉と法廷をアトにした。
「まぁ!あかねさん!!がりゅう検事さんに優しくしなければダメですよ!お2人は、前世からチギリを交わした、運命のメオト…」
春美は、牙琉検事と茜を最後までうっとりしながら目でおった。
「(…春美クンの発想はオソロシイな…。)」
「トニカク…。ここからがまた大きな勝負だね。オドロキ君達は。」
「あぁ。そうだな…。(メイ…。)」

カンッ!

「それでは、特別証人召喚の手続きが完了するまで、ココで15分の休憩をとりましょう!弁護側・検察側共に準備をお願いします!」
「ハイ。裁判長。」
「…心得たわ。」
「よろしい。…それでは、イッタン、休廷っ!」

カンッ!

同日 午後4時10分 被告人第2控え室−

控え室には、安堵の表情を浮かべて座ってる真宵に付き添うように、オドロキが横に立っている。
「さすがオドロキ君だよ!私が霊媒してる間にムザイ判決までこぎつけちゃってさ!」
「チヒロさんが、オレにたくさんアドバイスをくれたからだよ。オレ1人だったら、まだ審理が続いてるカモ。(ショージキ、一時、マジで死ぬかと思ったよ…。)」
オドロキは前髪をいじりながら、少し照れ臭そうに言った。
「さすがなるほど君のお弟子さんだね!…ありがとう。」
「あはは…。」

ガチャ!

『真宵さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

控え室のドアがイキオイよく開き、春美と成歩堂が入ってきた。春美は迷いなく、真宵にとびついた。
「ハミちゃん!」
「真宵さま!本当におめでとうございます!わたくし、本当に嬉しいです!」
春美はうれしさを隠せず、ピョンピョンととびはねた。
「おどろきくん!さすがです!わたくし、もう本当にソワソワしながら見ていました!」
「はは。ありがとう…(それは、褒められてるのかな…?)」
「オドロキ君、やってくれたね!毎度、限りなくユーザイに近い、真宵ちゃんをムザイにしてくれちゃって!スゴイよ!」
「成歩堂さん…!(真宵サンって…そんなにヒンパンに捕まってるのか…?)」
しかし、オドロキは素で嬉しかった。憧れだった時代の成歩堂に褒められたコトは、彼にとっては、勲章に近かった。
「だけど、ようやく新しいスタート・ラインにたどり着いたまでだ。気をひきしめていこう!」
「ハイっ!(ついに…ついにここまで来たんだ…!必ず真実を探りだす!)」
「確か、がりゅう検事のお兄様が召喚されるのですね。」
春美はツメをかんだ。
「しかも、そのがりゅうって人、オドロキ君のお師匠さんだったんだよね?(オドロキ君…カワイソウ…。)」
「あぁ。そうだけど、大丈夫!オレは、必ず真相を見つけるよ!妥協はしない。」
オドロキはマガオで言った。
「そうだね。とりあえず、数分後の法廷はマッタク予想はできない…。君にはもう弁護する相手がいないからね。」
「そっかぁ。私、もう、ムザイになったもんね…。」
真宵はナットクしたような表情をした。
「つまり、キミは牙琉霧人をコクハツしようとしている…。これからキミは、“検事”のシゴトをするんだ。 」
「そ、そーなりますね…。(シンリをつなげるコトに夢中で、そんなコト、考えてもいなかったぞ…!)」
「“オドロキ検事”かぁ。…パッとしないし、オシが弱そうだね。」
「ぐっ。」
真宵はヨウシャなく言った。
「トニカク、焦ってもしょーがないか。…今までの事を整理しておこう!」
「ハイッ!成歩堂さん!」

同日 午後4時16分 検察側 証人第一控え室-

控え室には、御剣と冥の2人しかいなかった。証人・鬼野は緊急逮捕され、別の部屋で取り調べを受け、牙琉と茜は、牙琉霧人の特別証人召喚の手続きをとってていない。
「メイ。あのばでヨク審理を続ける決断をしてくれたな。」

バシッ!

「うぐっ!」
冥はムゴンでムチで御剣をうった。
「うるさいわね。レイジ!弁護人を打ち負かすまで、私は検事席に立つ。これができなければ、狩魔のニンゲンではないの!」
「…。(またそんなコトを…。)」

バシッ!

「うわっ!」
「ムシするの?」
「あ、イヤ…。その…………どうた?オドロキ君は?」
御剣は、額をおさえながら、質問をやっとの思いで振り絞った。
「(フン。うまく逃げたわね…。)…王泥喜法介。彼は、本当に成歩堂龍一に酷似した弁護人ね。やりやすいハンメン、とてもじゃないけどユダンができない。」
「そうか。彼も、ピンチになるとトッピョーシもないスイリを展開してくる…。まさに師匠のユズリだな。」
「…。王泥喜法介は、この後のシンリから弁護する相手がいない。そして、これから特別証人をコクハツする気でいるわ…。」
冥は資料に目をとおしながら、サラリと言った。
「そうだな。読めない展開になるだろう…。だが、成歩堂を師事してるからには、後半、彼のコクハツのオシは、イマイチ甘いだろうな、メイ。(真髄まで弁護士だからな…成歩堂は。)」
御剣は冥を見て、ニヤリと笑った。
「な、ナニよ。その何かいいたげそうな表情。とてもハラが立つわっ!」
「ぬっ…。(ガーン。←効果音)」
「トニカク、私は自分にできるコトをする。特別証人…牙琉霧人を私は“弁護”するカタチになりそうね。イザと言う時のタメに一応、綾里真宵には、まだ被告席にすわっていてもらうわ。」
「……そうか。(メイもメイなりに、やるコトは分かっているみたいだな。)」

ガチャ

その時、控え室のドアが開き、響也が兄・牙琉霧人を連れて入ってきた。
「!!(牙琉…霧人…!)」
「オマタセ。特別証人サンだよ。」
「…牙琉検事、ご苦労だった。」
御剣は、霧人をにらみつけながら言った。
「これはこれは、御剣検事殿。先日はどうも…。そのハンサムなお顔にキズをつけてしまってすみませんでした。」
「…。その謝罪は、すべての真相がアキラカになった時に受け入れよう。(よくもまー。こんなニコやかに言えるものだな。)」
御剣は、いっきにフキゲンになった。
「…それはどーも…。おや。…アナタが狩魔検事殿、ですか?ウワサ以上にお美しい。」
「そんなコトは知ってるわ。」
冥は即答した。
「(本心なのか…それとも照れからか…。)」
「アニキ。言っとくけど、法廷にはアンタに逃げ場はないよ。」
「そんなコト、重々ショーチしてますよ。響也。」
霧人は弟にニコっと微笑んでみせた。
「だからこそ、ワタシは今回の件は無実である。と証明したいですね。あの成歩堂2世がどんな安いハッタリをかましてこようが、カンケイないコト。」
「自分のかつての弟子だろっ?オドロキ君はっ。」
御剣は、イキナリ感情的になった。
「確かに。かつては、手塩をかけて育てた弟子…。しかし、今はあのいまいましいハッタリ男の部下だ。もう私には…関係ない。」

⇒To Be Continued...

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