レイトン教授×逆転裁判 暗闇の時計塔 逆転旅行 [2]
作者: たこやきDJ   URL: http://gyakutensaibansaikoudesu.rakurakuhp.net   2010年07月31日(土) 13時46分31秒公開   ID:kccVdmsyCdk
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「…なんですか。」

「…あなたに矛盾を指摘されているうちに…やっぱり自分には嘘がつけないということがわかりました。…真犯人、必ず捕まえてください。」

高ノ宮さんは笑顔で言ってきた。その笑顔は今日の法廷では一番の笑顔だった。

「…はい。」

「それでは、これ夜15分の休憩をとります。成歩堂君、ちゃんと聞くべきことは聞いておくように、それでは、休廷!!」

カンッ

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5月25日午前10時30分 法廷第2控室

「アリスさん!!」

ぼくは大声で言った。

「な!!……なんですか…」

アリスさんは一瞬ぼくの大声でキャラを失いそうになりながらも返事をしてきた。

「…なんで平平さんを殴ったんですか。」

「…ガシャーン…ゴロゴロゴロゴロ…ドッカーン…」

ジャーンガラガラガラガラガシャンガシャンガシャンガシャン

アリスさんの意味不明な一言と共にサイコ・ロックは発生した。しかも四つ。

       くらえ!!

僕は勾玉を突きつけた。ここでBGMがサイコ・ロックを解くときのあの音楽に変わった。

「…普通は言えませんよね。なぜ人を殴ったかなんて。」

「…」

アリスさんは無言のままこちらを見ていた。

「しかし、あなたは平平さんを殴ったはずです。」

「…何でですか。決定的な証拠は?」

アリスさんはだいぶキャラが崩壊しかけている。凍るような冷たい目つきでこちらを睨んできた。それは今まで全く見せたことのない表情だった。

「決定的な証拠…もちろんありますよ。あなたが平平さんを殴ったという証拠…それは!!」

       くらえ!!

    (証拠品・凶器のツルハシ)

「もちろんこれですよ。あなたの指紋が付いていますからね。」

「キャァッ!!」

アリスさんは冷や汗で少しドレスがぬれていた。

パリィィン

「(まずはひとつめか…)」

「まだだ…凶器に指紋が付いていたからって…別に決定的ではない。」

アリスさんのキャラは完全に壊れた。長くさらさらだった髪は少し乱れドレスはぐしゃぐしゃになっていた。ついに口超まで変わった。

「…ありますよ。もっと決定的な…目撃証言がね。」

       くらえ!!

   (証拠品・高ノ宮さんの証言書)

「ここに確かに、あなたがいたと書かれています。」

パリィィン

二つ目が割れた。

「すーはーすーはー…確かにそう書かれていますね。」

アリスさんは深呼吸をしてキャラを取り戻したようだ。

「しかし…私には殴る動機がありませんよ。」

アリスさんは悪魔のような微笑みを浮かべながら言った。

「アリスさん…あなた被告人席である程度は話を聞いたはずですよね。」

「……」

アリスさんは無表情で、無言でこちらを向いてきた。

「糸鋸刑事が言っていましたよね…被害者の平平さんはあなたにしつこく復縁を願っていたと。」

「……」

パリィィン

アリスさんは動揺はしていなかったが確実に心のカギはとかれていった。

「…ふぅぅぅぅぅぅ……すっきりしました。全て話すって…すっきりしますね。」

パリィィン

アリスさんのため息とともに最後の錠が砕け散った。そしてアリスさんに付きまとう忌々しい鎖はどこかへ消えていった。

「……あなたにはなんでもわかってしまいますのね。伝説の弁護士、成歩堂龍一さん。」

アリスさんは真剣な顔つきでこちらを向きながら話した。

「…アリスさん、そのキャラクター、一回やめていいですよ。」

やはり話を聞くときはキャラを外したほうがいいだろう。

「…ふぅ、疲れるのよね、あのキャラクター。」

アリスさんは体中の力が抜けたかのように肩を落とした。

「アリスさん。…お話、伺ってよろしいでしょうか?」

「別にいいわよ。」

アリスさんは承知済みみたいな顔で言ってきた。

「…まず、なんであんなキャラクターを作っていたんですか?」

僕がさっきから一番聞きたかった事を聞いた。

「こんな不況時代、キャラでも作らなければ友田とも彼氏もできないというか…」

キャラづくり…確かにキャラが全くない人なんてめったにいないしな…

「そういえば…アリスさん、あなたに似た人物が平平さんを殺した…と高ノ宮さんが言っていたのを聞いてましたか?」

「ええ。」

アリスさんははっきりと答えた。

「…心当たりはありませんか?あなたにそっくりな人。」

「…一人だけ…心当たりがあるわね。」

アリスさんがつぶやいた。

「だ、誰ですか!!」

「さっきの休憩にも話したわね…有程度溺屡…私の彼氏よ。」

アリスさんの口から出た言葉は予想外の言葉だった。

「彼氏…ですか。」

「ええ、髪型や体つき、さらには顔までそっくりでね、私と同じ格好をすれば全く同じに見えるわ。」

アリスさんははっきりと言った。

「…要するに…」

「彼になら犯行は可能だわ。」

アリスさんはそういうとこちらに一つの封筒を差し出してきた。

(証拠品・有程度溺屡について)
「名前・有程度溺屡
 歳・22歳
 昔、音戯アリスと付き合っていた。
 高層恐怖症である。」

「…あなたなら…うまい感じに彼を追い詰められますよね。」

アリスさんは僕の目を見ながら言った。

「…任せてください。」

僕もアリスさんの目を見ながら言った。

「ナルホド君。どうやって有程度さんを証人召喚するの?登録されていないはずだよね。」

真宵ちゃんが初めてこの部屋で喋った。

「うーん…どうしよう。」

「私に任せてください。やっぱり私はキャラをかぶっていたほうがとても楽ですね。」

アリスさんがキャラを取り戻したかのように喋った。

「一体どうするんですか?」

「私が証人として法廷に立ちます。その間に彼を探してください。」

アリスさんが胸に手を当てながら言った。

「…本当にいいんですか?これでもし有程度溺屡が見つからなかったら…」

僕は少し不安げに言った。

「…私は大丈夫です。…必ず見つかるはずです…彼は…」

アリスさんは覚悟を決めたようだ。

「…真宵ちゃん。裁判長に伝えてきて、有程度溺屡を特別証人として呼んでほしいと。」

僕は真宵ちゃんに言った。

「分かった!!真宵ちゃんに任せておいて!!」

そう言うと真宵ちゃんはやや大股で裁判長の所まで走って行った。

「そろそろ…開廷しますね。」

アリスさんが言った。

「開廷時間になります。弁護人は出廷するように。」

法廷係員が言った。

「よし…アリスさん、時間稼ぎ、よろしくお願いします。」

「はい。」

アリスさんはさっきとは違い明るい顔で返事をした。…僕も頑張らなきゃな…

5月25日午前11時 第2法廷

『ざわざわざわざわ』

やっぱり傍聴人たちが騒ぎだす。

カンッ

「えー、では開廷します。成歩堂君、ただいま係員たちが探しておりますので。」

よかった…真宵ちゃんちゃんと裁判長に伝えてくれたみたいだ。

「ふふーん、あたしだってやる時はやるんだからね。ラーメン、今夜おごってもらうからね♪」

「(…自分で言いに行けばよかった。)」

僕はそう思いながら自分の財布の中を確認した。…チャーシューメンはあきらめてもらおう…

「あの、裁判長、何の話をしているのでしょうか?わたくしにはさっぱりです…」

亜内検事が冷や汗だらだらになりながら裁判長に尋ねた。

「…亜内検事、これは成歩堂君と私の秘密です。ねー、成歩堂君。」

裁判長…女子高校生の交換日記を人に「なにこれ?」と聞かれたときにこたえそうなことを言うのはやめてくれ…気持ち悪いし。

「…裁判長、事態が余り飲み込めませんが…まぁいいでしょう。」

亜内検事もやっと首を突っ込むのをやめてくれた。

「では成歩堂君。ちゃんと依頼人に聞きたいことは聞けましたか?」

「はい、それで裁判長、一つ証言をしてもらいたい人がいるのですが…」

ぼくは裁判長に頼んだ。

「…よろしいでしょう。それで、誰なのですか?」

「…被告人の、音戯アリスさんを。」

「…よろしいでしょう。係員、連れてきてください。」

裁判長が了解してくれた。



キイィ

扉の開く音とともにアリスさんがやってきた。

「とりあえず証人、名前と職業を。」

「音戯アリスと申します。職業は…容疑者、やっています。」

…職業は容疑者…昔どこかで聞いたことがあるような…

「いえ、容疑者やる前の職業よろしくお願いします。」

裁判長が突っ込んだ。

「勇盟大学の…芸術部やっています。」

勇盟大学の芸術部…僕と同じだ…

「ほう…それで何について証言してくれるのですかな?」

「え?いや、何と言われても…」

アリスさんは目で合図を送ってきた。

「…高ノ宮さんを殴ってしまった時のことについて証言してください。」

僕はとっさに答えた。

「成歩堂君、ではあなたは、証人が被害者を殴ったことを認めるのですね。」

亜内検事が頭をぺしぺしたたきながら言った。

「はい、しかし!!アリスさんは殴っただけで殺してはいません!!」

僕は「殺してはいません!!」の部分を強く言った。

「あくまでもそれを主張するのですね…まぁいいでしょう。それでは、証言をよろしくお願いします。」

「…はい…」

       証言開始

 平平平平を殴った時のことについて

「…確かに…私は被害者の平平平平さんを殴りました。」
「しかし…殴っただけで殺してはいません。」
「私…つい殴ってしまったのですけどね…そのとき手に何か付いてしまいました。」
「最初は…血かと思ってしまいました。本当はスイカジュースだったぽいですけどね。」
「だから…駐車場の近くにあった水道で手を洗いました。」
「近くに怪しい人物や怪しいものはありませんでした。」
「私…誰も殺していません。間違いなく。」
「時間は…12時45分くらいでした。」

「(時間は12時45分…解剖記録では被害者は12時50分に殺されいる…そして高ノ宮さんの証言ではアリスさんが殴った5分後に被害者は殺されている…矛盾はしていないな…)」

僕は矛盾がないか頑張って考えてみた…いや、矛盾がないほうがいいからな。

「…成歩堂君、…一応聞いておきますが…尋問しますか?証人はあなたに有利な証言をしていますけど…」

「一応しますよ。弁護人には尋問の権利がありますからね。」

僕はいつも言っていることを言った。

「では弁護人、尋問してください。」

裁判長がこちらを向きながら言った。

「はい。(…いきますよ…アリスさん!!)」

僕はアリスさんに目で合図を送ってみた。

「(は・い)」

アリスさんも目で合図を送ってきてくれた。…少しうれしい。

       尋問開始

「…確かに…私は被害者の平平平平さんを殴りました。」

       待った!!

「…それは、もう事実と認めてよろしいんですね?」

アリスさんに尋ねた。

「…はい。これだけは私は事実と認めます。しかし…」


「しかし…殴っただけで殺してはいません。」

       待った!!

「…間違いなく殺してはいないんですね?」

僕はその答えに期待しながら言った。

「はい。殴りはしましたが殺してはいません。」

アリスさんは声の小さいキャラを捨ててはっきりと言った。

「おや、被告人。キャラクターは捨てたのですかな?」

裁判長は聞いてはいけないことを聞いてしまった。

「………………メッ。」

アリスさんはとびきりの笑顔で言った。もう大声で叫ぶことはなくなってくれて非常にうれしい。

「ナルホド君、良かったね♪」

真宵ちゃんもとびっきりの笑顔で答えた。

「は、はい!!続きをよろしくお願いします。」

裁判長はちぃちゃんに誘惑された時みたいにメロメロになってしまった。…裁判長、こりない人だ…


「私…つい殴ってしまったのですけどね…そのとき手に何か付いてしまいました。」

       待った!!

「…一体何をつけてしまったんですか?」

たぶん「この後言います。」的なことを言われそうだがとりあえず聞いてみた。

「…成歩堂さん。こんな質問なんかやめて次の証言に移りましょう。」

アリスさんはちぃちゃんにも負けないほどの小悪魔な笑顔で言ってきた。

「…はい。(キャラがころころ変わるな…)」


「最初は…血かと思ってしまいました。本当はスイカジュースだったぽいですけどね。」

       待った!!

「アリスさん!!あなたは間違いなく血とスイカジュースを見間違えたんですか!!」

「その通りですけど…」

…見つけてしまった…矛盾を…

       異議あり!!

「アリスさん!!血とスイカジュースを見間違えるはずがありません!!このジュースの色を見てください。深緑色です。」

僕は自信満々に答えた。

「な、成歩堂君。依頼人を不利な状況にしてどうするのですか!!」

裁判長に突っ込まれてしまった。そう言えば僕も千尋さんに矛盾を暴かれたことがあったっけ…

「しかし裁判長、どんな小さな矛盾でも、僕の依頼人がウソをついたということには変わりません!!」

「うほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

…なんだ、この妙な空気とやり取りは…

「なかなかいい心構えですね、しかし!!成歩堂君。世の中正義だけでは生きていけませんよ。」

⇒To Be Continued...

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