逆転裁判小説集 逆転のグラス
作者: 東条   2010年02月22日(月) 17時15分48秒公開   ID:Uk/VlOgR0.A
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逆転のグラス

プロローグ

9月1日にy市にオープンした中華料理レストラン『尼威波嗚(にいはお)』。

人気は高く、ほかのレストランの客を独り占めする勢いだった。

しかし、2ヶ月後人気は落ち今は閉店すれすれの店である。

店員も3名に減り、見るべきものはない.......だが....。

この、レストランで恐ろしい殺人事件が起きようとしており......。

それは、刻々と迫っていたのだった。




つづく




       逆転のグラス
              探偵

11月15日 13時21分 成歩堂法律事務所

「ふぅ〜今日も美味しかったね!みそらーめん」

真宵ちゃんは相変わらず味噌ラーメン好きの様だ。
3日連続みそらーめんだと言うのに飽きもせずに食べていた。
さすがに僕は飽きてきていた。

「みそらーめんもお腹いっぱい食べたし、私は寝るね♪」

と言ったその刹那.....。
僕の携帯が鳴り出した。
チャクメロのトノサマンの曲が不思議と何時もより重々しく聞こえてきた。

「もしもし、こちら成歩堂法律事務所です」

『成歩堂さんですか、僕は稲瀬 洋蔵(いなせ ようぞう)と申します、レストラン『尼威波嗚』の店長やっておりました』

尼威波嗚か.....。
確か2ヶ月ぐらい前までは人気だったよな。
弁護の依頼かな。

『今は殺人事件の容疑者なんです、どうか弁護を頼めないでしょうか?』

弁護の依頼だったか、勿論僕は今すぐ伺うと言って電話を切った。
そして、真宵ちゃんを連れて僕は留置場へと向かった。


同日 某時刻 留置場

「どうも、成歩堂さん!野球場の事件や撮影所の事件で噂は聞いております
 大活躍みたいですな!」

「いえいえ、僕は当然の事をしただけですよ
 それより、話を聞かせてください」

一体彼は何故疑われているのか?
事件の事を聞くのが一番だろう。

「事件は尼威波嗚で起こりました
 被害者は見ない客で名前は滝川 水湖(たきがわ すいご)と言うらしいです」

見ない客と言う事は動機なんて生まれようがないんじゃないか。

「被害者はグラスのジュースを飲んですぐに死んでしまいました」

ジュースを飲んで死んだ。
毒殺ってわけか。
それより何故疑われてるんだろう。
聞いてみると。

「本当に冗談じゃありませんよ〜〜!
 僕のロッカーに青酸カリのビンが入ってたりとか!
 あのジュースを運んだのが僕で僕以外だれもジュースに毒を入れることができなかったのが理由らしいですけど
 それでも、やってないんです!やってないんです!!やってないんです!!!」

稲瀬さんにこの話題を振ると大変な事になりそうだな。
詳しいことは現場に行って調べてみるか。
僕は尼威波嗚に向かうことにした。

同日 15時34分 尼威波嗚

現場は警察の人が慌しく捜査している。
これでは捜査はむずかしそうだな。
するとここに何時もの顔が見えた。

「あんた!なんでここにいるっスか!」

「いや、僕は弁護を依頼されたもので」

すると、納得して。
捜査はできないが情報は教えると言ってくれた。

「これは、何時ものあれっス!解剖記録っス
 現場写真も貰っていくといいっス
 それと事件概要を説明するっス!一回しか話さないからよく聞くっスよ」

いよいよ事件概要か。

「事件は13時頃に起きたっス
 店長の持ってきたジュースに客が突然苦しみ出して机に倒れたっス
 グラスの中に残っていたジュースから青酸カリが検出されたっス
 これは、すごい勢いで猛毒っス
 さらに、店長のロッカーから青酸カリのビンが発見され
 被告人は逮捕されたっス」

これが事件概要か法廷記録に色々書き込まないとな。
うん?こちらに猫が向かって来た。
猫は店に猛スピードで入り込んできた。

「大変っス!皆さっさとその猫を捕まえるっス!」

捜査員が猫を捕まえようとするがひらりと身をかわしとうとう被害者が毒殺されたテーブルに辿り着いた。
そして、テーブルにこぼれたジュースを舐めてしまった。

「なるほどくん!!どうなっちゃうの!あの猫!」

そして猫はすぐに店から逃げ出していった。

「あの猫は気の毒っスね、死んでると思うっスすぐ近くで」

首輪に名前がかかれていたどうやら名前はドラの様だ。
飼い主は本当に気の毒だな。
あの猫のために僕は真相を解明しないとな。

「とりあえず、情報は集まったな、後は明日だ」






つづく


逆転のグラス
               法廷1

11月16日 10時00分 地方裁判所第1法廷

「これより、稲瀬 洋蔵の法廷を始めます」

「弁護側準備完了しています」

稲瀬さん緊張で顔を隠している。
でも大丈夫だ、僕が何もかも立証して見せるのだから。

「検察側準備完了しています」

「2ヶ月ぶりですね、成歩堂君」

「あの......どなたでしたっけ」

残念ながら覚えていなかった。

「私ですよ!私が貴方を育てたようなものなのに忘れたのですか亜内です!
 とにかく、どれだけ強くなったのか見てあげましょう胸を借りるつもりでかかってきなさい!」

僕の師匠は千尋さんだし、何を言っているのだろう。
亜内検事かそんな検事がいたような気がするな。
いよいよ最初の証人が登場した。


「糸鋸 圭介 殺人課の刑事っス!早速証言するっス」

証言開始!(事件概要)

「事件は尼威波嗚の店内で13時に起きたっス
 店長の持ってきたグラスを飲んだ瞬間被害者は苦しみ出したっス
 そして被告人のロッカーから青酸カリの子ビンが発見されたっス
 しかも、店長以外毒を入れることは不可能だったっス
 以上の事から被告人の犯行を完璧に立証してみたっス」

予想通り序盤はピンチだな。
ゆさぶってみるか。

「待った!どうして店長以外毒を入れる事が不可能なのですか」

「それは、次の証言で証言するから待つっス」

う〜ん無駄か、でもけちぐらいはつけないとな。

「異議あり!糸鋸刑事の立証には動機が存在しません
 たまたま来た客を殺害する動機を検察側は立証できるのですか!」

「異議あり!そ......それは......きっと個人的な事情があったのでしょう....」

「それを立証するのがあなたの仕事でしょう!!」

「ぎゃあああああああぁぁぁぁ!!!」

意外と効いたな、この反撃。
でもこれぐらいで判決は動かないだろう。
僕の人差し指に力がこもってきた。
そして、次の証言に移った。


証言開始!(被告人に対する新たな証拠)

「尼威波嗚には他に二人の店員がいるっス
 米村 幸輝(よねむら こうき)と柿沢 美奈(かきざわ みな)っス
 米村は水をテーブルに運び
 柿沢はジュースのストローを運んできたっス
 店長はジュースを運んできたっス、ジュースをついだのも店長となれば
 犯行は間違いなく被告人っス」

さらにピンチになってしまったな。
開廷前に貰った調書にも少しは書いてあったが。
待てよ、調書の中で気になることが書いてある。
つきつけてみるか。

「異議あり!残念ですが一つ大きな見落としがあります。
 調書にも書いてありますが、ジュースを購入したのは米村さんです。
 米村さんなら購入したジュースのボトルに青酸カリを入れることぐらい簡単だったはずです!」

「残念ですが、成歩堂君検察側はさらなる証人を用意しております。
 米村 幸輝自身をね」

米村さん自身を召喚する気か。

「米村 幸輝、レストランの店員をしている.......」

髪はリーゼントっぽく、目つきは悪い。
ちょっと恐ろしく見えた。

「今こっち睨み付けられたよ......怖いよなるほどくん...」

真宵ちゃんも怖がっている。
色々話しているうちに証言が始まった。

証言開始!「犯人ではない証明」

「弁護士は俺を疑っているようだが、それは間違っている。
 確かにジュースを買ってきたのは俺だ。
 だが、被害者のオヤジがジュースを飲む前に一人客が来たんだ。
 その客は俺が買ってきたジュースを飲んでも死ななかった。
 つまり、元々ジュースのボトルに毒は仕込まれてなかったって事さ。
 これで、俺が犯人じゃないってわかったろ?」

馬鹿な。
これでは、不味いな。
とにかく、尋問してみよう。

尋問開始!

「待った!そのお客さんはいったい誰だったんですか?」

「はい?弁護士は細かいことを聞くな
 誰って?レストランは客に名前なんて聞くのかい?
 それに..「その通りです、また何時もの弁護人の苦肉の...「俺が喋ってるんだよ!!ひっこんでろ!!」

確かに、その通りだよな。
それにしても、米村さんは
やっぱり、イメージどおりの人だな。
とは言ってもどう攻撃したらいいんだ。
証言に矛盾は見当たらない、つっこめそうな証言もない。

「そうでしょう、さぁ、ぎゃふんと言いなさい!」

今時、ぎゃふんっていうのは古くないか。
そんな事より、元々ジュースに毒が仕込まれてなかったのなら。
一体どうやって毒をジュースに入れたんだ。
稲瀬さん以外に犯人がいるとすれば何か方法があるはずだ。
こういう時こそ発想を逆転させるんだ。
待てよ、そうか分かったぞ。
今までの考え方はまだ犯人の罠の中ってことだったのか。

「裁判長、成歩堂君は黙ったままです有罪判決をいただけますか?」

「異議あり!」

これからこの不可解な毒殺トリックを解明してみせる。



つづく




  法廷記録

人物ファイル

稲瀬 洋蔵(36) 尼威波嗚の店長、今回の事件の被告人。

滝川 水湖(39) 尼威波嗚に来店した客、この事件の被害者。

米村 幸輝(26) 尼威波嗚の店員、検察側の証人。

柿沢 美奈(24) 尼威波嗚のウェイトレス。

亜内 武文(??) 検事、頼りなくはっきりしない。


担当検事 亜内 武文



証拠品ファイル

弁護士バッジ 僕の身分を証明してくれる大切なバッジ

解剖記録   被害者 滝川 水湖
       死亡推定時刻 1時13分
       死因 青酸カリによる毒殺

現場写真   死体がテーブルに倒れている。
       グラスが横向きに倒れグラス内に少量のジュースが残っており残りは毀れてしまった。

グラス    被害者が飲んだジュースの入っていたグラス
       ジュースから青酸カリが検出された。

青酸カリの小ビン
       被告人のロッカーから発見された。


ドラ     猫、机にこぼれたジュースを舐めてしまい、死亡したと思われる。





       逆転のグラス
              法廷2

「裁判長、彼以外が毒を入れる方法と真犯人がわかりました、これからそれを証明して見せます」

「異議あり!とりあえず異議を.......」

「却下!弁護人説明してください」

まず、初めに説明いする事は...。

「まず、最初に毒の仕込み方です、検事さん貴方はどう思いますか」

返ってくる答えは予想通りだ。

「それは、ジュースを持ってくる前にグラスに青酸カリを.......」

その考え方じゃまだ真犯人の罠の中だ。
毒の仕込み方を説明するんだ。

「0点です、そもそもグラスの中に毒を仕込んだその考え方自体間違っています!
 毒は別の場所に仕込まれたんです」

そう、その仕込まれた場所が真犯人が誰かを証明しているんだ。

「毒が仕込まれたのは.....ストローだったんです!
 犯人はストローに毒を仕込み、その後こっそりグラスの中に青酸カリを入れたのです
 ストローを運んだのは確か貴方でしたよね?」













「柿沢 美奈さん!
 弁護側は告発します!滝川 水湖殺人事件の真犯人として」

こうして、僕の行き成りの告発に法廷は柿沢さんを証人として召喚する事になった。
そして、10分間の短く感じた休廷をして。
真犯人との対決に迫ろうとしていた。

「柿沢 美奈、レストランのウェイトレスやっています」

実際に見ると意外と可愛い人だな。
告発してしまったけど、実はちが...。

「なるほどくん、人を見かけで判断しちゃいけないよ
 それに、なるほどくんの考えが正しければ絶対この人が犯人だよ」

少し苦笑した。
何時もと立場が逆転しちゃったな。

証言開始!「犯人ではない証明」

「確かに、私が毒を入れる事は可能だったようですね。
 でも、可能だったというだけで、証拠ないですよね?
 そもそも、あのお客さんとも初対面ですし動機もありません。
 証拠があるのでしたら見せてください」

やはり、証拠がないことをついてきたな。
この証言を覆せばこの戦いも終わる。

尋問開始!

「待った!被害者とは初対面それは稲瀬さんも同じです!」

すると、すぐに反論してきた。

「でも、稲瀬さんの場合はロッカーから青酸カリが発見されたと言う証拠があるんでしょう?
 私が犯人だと言うなら証拠をみせてくださいよ」

確かにそのとおりだよな。
証拠か、彼女が毒を盛った証拠......。
発想を逆転させ法廷記録を見ながら考えてみよう。
彼女が毒を盛った証拠、それはグラスには初めから毒が盛られていないと証明するか、
ストローに毒が盛られた事を証明するかその二通りだ。
どちらかを証明するんだ。
待てよ、もしこれが事実なら。
これで証明できるはずだ。

「異議あり!」

⇒To Be Continued...

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