名探偵コナン×逆転裁判 創世者の日記 序章
作者: 真実の追求者   2011年10月03日(月) 03時28分56秒公開   ID:B3lXHCgMg/Y
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「日付の事を聞いて、私は携帯でその当時のカレンダーの日付を調べただろう? 全く違う曜日だったよ。」
自分の軍のチェスの駒を並べ終わった御剣が、顔を歪めながら言った。
「私としても、こういうSF染みたことは信じたくないが、証拠がある。」
ナイトの駒を一手進めながら御剣は続けて話した。
「証拠?」
成歩堂はその言葉に首を傾げた。
「昨日の夜、一通の手紙が送られてきたのだ。当然の如く、差出人の名前は書かれていない。読んでみてくれないか。」
そう言って御剣は、今自分が着ているワインレッドのスーツの内ポケットから、手紙を成歩堂に渡した。成歩堂はその手紙を受け取り、手紙を開いた。

【御剣 怜侍様
貴方の検事の御活躍ぶりを新聞で読ませて頂いています。そんな貴方にどうしても頼みたいことがあります。
今、私たちが住んでいる街で、もうすぐ何かが起きようとしております。それを貴方と成歩堂龍一様とともに阻止してほしいのです。貴方が探偵ではなく、検事であることは重々承知しております。ですが、この頼み事は貴方は絶対に引き受けるものです。それを忘れないでください。
書き忘れるところでしたが、何枚か新聞の記事を同封させました。貴方が住んでいる世界では絶対に見ることは出来ないものです。しっかりと目を通しておいてください。】

「この世界では絶対に見ることは出来ないもの……。」
成歩堂は、個人的に気になる部分を復唱する。一番気になる部分、といえばそこだ。
「記事には、服部平次という高校生探偵が事件を明らかにするもの。彼は大阪を中心に、事件を解決しているらしいな。」
そう言いながら、御剣は記事を成歩堂に渡した。見出しに大きく映っているのは、色黒の高校生と思しき男性だった。おそらく、この男性が服部平次なのだろう。
「もう一枚は、東京を中心に活躍する名探偵、毛利小五郎だ。」
そしてまた、御剣は新聞記事を渡した。見出しに映っているのは、中年の男性が高らかに大きく笑っているものだ。この男性が毛利小五郎なのだろう。と成歩堂は思った。
「これのどこが、異世界からのものっていう証拠になるんだ?」
「簡単なことだ。この二つの新聞の名称を見てみろ。」
命令されるように言われると、成歩堂は少々イラっと来たが、我慢して二つの新聞に目を通すことにした。
「日売新聞ってなってる。そういえば、工藤新一失踪記事の新聞も…。」
貴重品は肌見離さないタイプの成歩堂は、事務所にあった奇妙な記事を持ってきていた。直ぐに御剣から見せてもらった記事と照らし合わせる。
「やっぱり、日売新聞…。これも異世界のものなのか……。」
「そういうことだ。そんな新聞、日本には存在しないからな。しかし……、先程貴様に見せてもらった記事を見て、ある疑問が出てきた。」
「ある疑問って?」
「時期が近すぎるのだよ。」
「時期?」
訳の解らない、と言わんばかりの表情を成歩堂は作り出した。
「“工藤新一失踪”の記事の日付は一月六日。そして毛利小五郎が事件解決したという記事の日付は一月二十日。…………こんな偶然があると思うか、成歩堂?」
「御剣……。」
新たに増えた謎に、二人は黙って考え込むしかなかった。

成歩堂と御剣が新聞記事の謎について考えている頃、真宵は商店街にて買い物をしていた。とは言っても、本来の目的は買い物ではない。買い物をした際についてくる福引き券が目的である。福引きの特賞が、“生きる遺跡 イグニート王国”への旅行券で、成歩堂に楽をさせてあげようと、独断で任務(?)を遂行しているわけである。
「よっしゃ、いっちょいくよ!」
真宵はその一声で気合いを入れると、福引き券の枚数を確認し始めた。
(福引き券の枚数はたったの一枚! この一枚に全てを賭けるっ!)
順番に並んで、待ち続けた。福引きに挑戦した者たちは全てハズレ。所謂、“残念賞のティッシュ”が当たっている。
そしてとうとう、真宵の順番が回ってきた。
絶対に当たる、と念を込めながら回す。やがて、結果を導く円形の穴から玉が落ちた。玉の色は、金色。その色を確かめた瞬間、真宵の表情はまるで向日葵のように晴れ渡った。
カランカラン、とベルが鳴り、福引き屋の店員が、「特賞、大当たり〜っ!」と叫んだ。




GYAKUTEN SAIBAN SIDE……
〜4月9日 午前10時20分 成田空港〜

「よーし、今日は思いっきり楽しもうね!なるほどくん!」
ぐっとガッツポーズをしながら、真宵は成歩堂に言った。
「あのさ、真宵ちゃん。」
死んだ魚のような目をしながら、成歩堂は真宵を尋ねる。
「ん、なに?」
そんな成歩堂とは対照的に、真宵は笑顔で成歩堂に振り向いた。
「………何で、こんなことになってるのかな?」
旅行用のケースを右手で引き摺りながら成歩堂は聞いた。
「決まってるじゃん、ナルホドくんに楽をさせようっていう訳だよ! ね〜、はみちゃん!」
真宵は自分の従妹、綾里春美に確かめるように言った。
「そうですとも、ナルホドくん! 真宵さまがせっかくなるほどくんのために旅行券を当ててくださったのですよ!」
春美が右腕の装束の袂を腕まくりしながら成歩堂に言い放つ。
「まぁ、それはありがたいんだけど…。」
そう言うと、成歩堂は後ろを向いた。
「何で、こいつらまでいるわけ!?」
そう言って成歩堂は後ろの人物たちに指を指した。
その人物たちとは…御剣怜侍、糸鋸圭介、狩魔冥、矢張政志、のことである。
ちなみに、成歩堂がこいつらと言って、冥が愛用の鞭で彼を叩いたのは別の話。
「真宵くん、すまないな。私や冥、イトノコギリ刑事ならともかく、この馬鹿まで連れて行ってくれて。」
御剣が言った“バカ”とは、当然矢張政志のことである。
「おい、御剣! お前、バカは余計だぞバカは!」
プンスカと矢張は怒るが、御剣に軽くあしらわれてしまう。
「フッ、まさか自分がバカだということを自覚していたとはな。」
「バカのバカによるバカバカしい反論、ご苦労様。」
「ちょっとは進歩したってことかな、矢張?」
御剣、冥、成歩堂の順番に小馬鹿にされると、流石の矢張も結構、心が傷付いたようだ。そしてそんな矢張を、糸鋸が慰めていた。
「それで、なんで誘ったの?」
糸鋸が矢張を慰めているシーンを見てから、成歩堂は真宵と話を再開した。
「あたしが誘ったんだよ。旅行券が二人一組の四枚だったから。」
真宵の答えに成歩堂は、なるほどねと言いながら、飛行機の搭乗口まで向かった。つられて他のメンバーも、成歩堂の後についていった。




この日の天気は、まさに旅行日和と言えるほどの快晴だった。




DETECTIVE CONAN SIDE……
〜20××年 10月31日 成田空港〜

「へ〜、まさかみんな来るとはね!」
前方を見回しながら園子が言った。
「ホンマ、ありがとな! あたしまで誘ってもろて!」
平次の幼なじみ、遠山和葉が園子に礼を言った。
「いいのいいの、気にすることないって! 旅行はみんなで楽しくやんなくちゃね!」
「ホンマにスマンなぁ…。オレらまで誘ってもろて。」
和葉の横で、平次が頬をポリポリとかきながら言った。
「いいわよ、なんか服部君も悩み事があるって、このガキンチョが言ってたからね。」
そう言うと園子はこつん、と右拳でコナンを軽く叩いた。
「しっかしなぁ…ちょっと多すぎやしねぇか?」
明後日の方向を見ながら小五郎が言った。
「スマンのぉ、ワシらまで連れて行ってくれるとは。」
ペコペコとお辞儀をしながら阿笠が言った。
「ありがとうございます! 園子さん!」
「姉ちゃん太っ腹だな!」
「ありがとう、園子お姉さん!」
円谷光彦、小嶋元太、吉田歩美がそれぞれ礼を言った。
「まぁ、少なくともガキどもはいいとして、何でお前までいるんだ? 英理。」
小五郎にとって不満だったのは、何故別居中の自分の妻、妃英理がいるのかということだったようだ。
「あら、どういう訳か、蘭が誘ってくれたのよ。悪い?」
英理の発言を聞いて小五郎は蘭の方向へ向いた。蘭はヒュ〜、と口笛を吹きながら目を逸らしている。いつものヨリを戻そうという魂胆だろう。
「さぁ、とにかく行くぞー!」
エイ、エイ、オー! と最後に園子が言うと、元太たちもエイ、エイ、オー!と言った。




この日の天気は、曇りだった。いつ雨が降り、雷が落ちてもおかしくないくらいの。




DETECTIVE CONAN SIDE……

飛行機が離陸すると、それぞれのメンバーは雑談を始めた。何せ、この飛行機は鈴木財閥専用のものといっても過言ではないからだ。しかしただ一人、コナンは雑談をする気にはなれなかった。ただなんとなく、という訳ではない。異世界の弁護士、成歩堂龍一のことでもない。先行きが不安なのだ。
「どないしたんや?」
どこか無気力さを感じさせるコナンの顔を覗き込みながら平次が呼びかけた。
「いや、こんな天気でよく行く気になったよなぁって。」
ボーッとした顔のまま、コナンは答えた。
「せやな。確かに、今にも雷さんが落っこちてきそうな雲やからな……。」
コナンの右側にある窓を覗きながら平次も相槌を打つ。
その時、ピシャーンという音が飛行機の近くで鳴った。そしてほぼ同時にゴロゴロ…という音が聞こえる。
「ひぇぇぇ…か、雷ですよ皆さん!」
当たり前のことを光彦が叫んだ。少々パニック状態になっているようだ。
「お前ら、落ち着けよ!」
コナンが元太たちに向かって忠告する。
「な、何なん?あれ…」
窓をなるべく飛行機の先端側に覗き込ませながら和葉が言った。
何故か灰色のような、銀色のようなオーロラが前方に発生しているのだ。
いくら飛行機が抵抗しようとも、オーロラはまるで呑み込むように飛行機との距離を縮めていった。やがて、オーロラは飛行機を吸い込んだ。
悲鳴を上げる余裕さえ無く。




「大…夫……君?」
誰かが俺を呼んでいる…。一体誰だろう?
「大丈夫かい、君!!」
「うわっ!!」
青年の大きな声で、コナンはビクッと身体を痙攣させながらも起きた。
「ふう、やっと起きた。真宵ちゃん、そっちはどう?」
目を擦りながらコナンが見た青年。それはあの弁護士だった。青いスーツ、その胸元に輝く弁護士バッジ。そして何より一番目に付く、その後頭部に尖ったヘアースタイル。
(この人、もしかして…。)
そう思っている内に、今度はあのワインレッドのスーツ、そして特徴的なフリルの服装。
(この人も見たことあるような…。)
そう思っていると、青いスーツを着た青年がコナンに話しかけてきた。
「とりあえず、他の人たちも起きると思うから、待ってて。」
青いスーツの青年が言ってたことに、コナンは戸惑うばかりだった。むしろ何故、彼等がここに乗っているのだろう。
成歩堂龍一と、御剣怜侍の二人が。




CONAN&GYAKUSAI……

コナンが目を覚まして十五分後、コナンは成歩堂に呼び出されるがままについていった。そこでコナンが見たものは、紛れもない、先程まで自分たちが搭乗していた飛行機の機内だった。
「とりあえず、自己紹介から始めませんか?」
円を囲むその隙間に成歩堂とコナンは座り、そして促した。
「そういうものは普通、言い出しっぺが始めるものだがな。成歩堂。」
ワインレッドのスーツを着た青年が成歩堂に指をさしながら言った。
「バカバカしいから早く始めなさい、成歩堂龍一。」
鞭をしならせる女性が偉そうに促す。コナンはこの人、典型的な女王様ってやつかという、変なことを思っていた。
「はは、それもそうだね。じゃあ、僕から。僕の名前は成歩堂龍一。職業は弁護士。まぁ、そんなところです。」
自己紹介、というより自分に対して簡単な説明を終えると、ワインレッドのスーツの青年に目線を当てた。どうやら、次はお前だと、目で合図を送っているようだ。青年はバツが悪そうな顔を一瞬見せながらも口を開いた。
「ウム…、私の名前は御剣怜侍と申す。職業は成歩堂とは対照の検事だ。まぁ、その、よろしく。」
緊張しているのか、御剣はずっと真顔で自己紹介をしていた。コナンは、こういう場面が苦手なのだろうと推測していた。
「はいはいはーい、次はあたし、いいでしょなるほど君、みつるぎ検事!」
先程の御剣とは対極的な雰囲気を見せた少女は、ちょんまげのような髪を結っていて、装束のようなものを身に纏っていた。
「あたしの名前は綾里真宵って言います!職業は霊媒師やってます!よろしくね!」
霊媒、という言葉がコナン達にとってはピンと来なかった。念を確かめるようにコナンが聞いてみる。
「霊媒って……どういうこと?」
コナンは代表して真宵に質問した。
「うーん、何て説明したらいいのかな…。………なるほど君、任せた!」
「ええ、僕かよ!?」
真宵は成歩堂に説明を押し付けてしまった。
「ううん、ちょっと長くなるけど…。」
そう前置きをしてから成歩堂は説明を始めた。

真宵ちゃんの故郷は、“倉院の里”っていう所なんだけど、そこで生まれ育った女性は霊力があるんだ。真宵ちゃんは、その倉院流霊媒道の家元の娘で、霊力がものすごく高いんだって。同じような装束着てる春美ちゃんもね。さて、その霊媒についてだけど…まぁ、簡単に言えば霊媒師が死者に自分の身体を貸すような感じかな。死者が霊媒師の身体に乗り移ると、その人の体格や顔つきが全て生前の状態になるんだ。唯一変わらないのは、髪型くらいだね。一応、こんなところだよ、霊媒に関しての説明は。

⇒To Be Continued...

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