風が冷たくて
作者: 俊忌   URL: http://herizousann1.blog109.fc2.com/   2010年01月18日(月) 21時34分13秒公開   ID:V77pQDaE4xk
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そんなこんなで店に着いた。 カラーン  ドアの上のベルが鳴る。
「やぁ いらしゃい 四人だね?」 仕事着姿の朔太郎さんが迎えてくれた。
「ウイーッス 俺ブルマンで!」片手を挙げて答える。
「まだ注文受けてないんだけどね。」朔太郎さんは苦笑いしばがら答えた。
開いてる席に座り、思い思いのものを注文する。 春彦と同じものを頼み 窓の外を眺めていた。といってもみんな飲み物だけだけど  少しオレンジかかった空を頬杖をしながらながめていた。
「何見てるの?」 佐恵が俺の顔をのぞきこんできた。
「ああ 別にとくに何も観てないけど もう冬だなぁ と思ってさ。」視線を変えずに答える。
「そうだね〜 夜とかもうすごく寒いよね。」佐恵もそんなことを言いながら窓の外を見ていた。 後ろでは春彦と梨絵がテレビの話しで盛り上がっていた。 そんな中、朔太郎さんがコーヒーなどを持ってきた。 置いている間、春彦たちの会話に入って笑っていた。
「ほら 様刻くんもなくなる前にサービスのクッキー一つは食べてくれよ。 それじゃ ごゆっくり」そういってカウンターに戻っていった。 コーヒーを飲みながら、雑談をしている。 しかし何だろう最近なにか変な気がする。 何だろう 胸騒ぎというかなんと言うか・・・気のせいって言うのは気にしなくて良いっていみだよな・・・ まぁ良いか。
「なんだぁ?最近 様刻へんだぜぇ? 気になる事でもあるのか?」 隣の春彦が聞いてきた。 「いや べつに何もないけど 寒くてね」 笑いながら言う。
些細なことなので適当なことで誤魔化しといた。
「そうか?なら良いんだけどよ」クッキーを一つ口にいれてそういった。
四人で話しているとあっという間に時間が過ぎる。冬の日は短い 外も暗くなって来たころに朔太郎さんが言ってきた。「もう日が暮れて来るから帰りなさい。」 
「そうだな そろそろ家に向かわないとな」 春彦は背筋を伸ばしながら立ち上がった。
「あっ お兄ちゃん私 お買い物するから 先にかえっていいよ」
「え? ああ良いよ 俺も付き合うよ、荷物もちぐらいはできるからな。」
「それじゃ 帰ろうか」佐恵は伝票を持って席をたった。
「ご馳走様 多分また来週くるよ。」飲み物代を払って春彦が先に出て行った。
「お邪魔した。 またきます。」梨絵は一礼して店から出て行った。
「ああ またいつでも いらっしゃい」 笑顔で朔太郎さんは俺たちを送ってくれった。
帰り道 佐恵が袖を引っ張ってきた。 「ん? なんだ?佐恵」
「いや・・・何でもないんだけど 私も買い物手伝おうか?」佐恵にしては歯切れの悪い
言い方だった。 「大丈夫だよ そんなに買い込まないと思うし 佐恵も寒くなる前に帰れよ」 佐恵の肩を叩きながら答える。 あまり佐恵に迷惑をかけられないからな 
「平日に夕飯作ってもらってるだけで 十分だよ ありがとう」久々に本心から感謝の声がでた。 佐恵は少し黙って「そ そう? 様刻がそういうんなら・・・」そういって曲がり角で別れた。
「ねぇ いいの? 手伝ってもらわなくて」少したって梨絵が聞いてきた。
「ああ べつに大丈夫だろ」 特に何も考えなしに答えた。

「そう もうすぐお父さんの七回忌だね。」 梨絵はどこか遠くを見ながらつぶやいた。
「ああ そうだな 久しぶりに母さんの顔をみるな・・・元気にしてるかな?」 俺の父は俺が小学3年生の時になくなった。 死因は働き過ぎからくるストレス 詳しい話は子供の俺のにはわからなかった。 父が死んでお母さんは変わった。 暴力的になり、よく怒鳴るようになった、前の心優しい母の面影はなくなり 母の足音で背中が寒くなる想いがした。 一週間ほどして、学校から帰ると 手紙があった。 母からだ 内容は良く覚えていない。 わかったことは母が実家に帰るということ、捨てられたなのだとすぐに
理解した。 ここからはあまり覚えていない。気づいたら春彦の家で寝ていた。
それから5年間春彦の家 迎槻家に住むようになった。 春彦の母 恵美おばさんたち
は、俺たち驚くほどやさしくしてくれた。そんな中 父の死から5年後に祖母からいつまでも迎槻家に居させてもらうのは悪いということで祖母名義であるアパートを借りた。
そこが紫荘 ちょうど迎槻家から近く 春彦の祖父がやっているアパートなので恵美おばさんたちも納得はしてくれた。 今でも恵美おばさんはいつでも帰ってきて良いよといってくれている。 そんなこんなでここ2年は紫荘で生活している。
「再来週だっけ? めんどくさいな」 アクビをしながら帰った。
今さら両親のことを考えるのは馬鹿らしいな なんて考えたら 今日が終わっていった。
 
10月22日
七時前に梨絵に起こされ。朝食を食べて学校に行く。
行きに春彦と合流して学校へ向かった。 ちなみに佐恵の家は学校の学校の向こうがわだから学校であったほうが早いのだ。
春彦は朝に弱いから眠いなど言いながら歩いている。春彦を支えて学校までいく、下駄箱で佐恵と合流し階段で梨絵と別れ教室へ向かう、二年生は三階なので春彦を連れてのぼるにはぎりぎりな感じ、三年になるときは直して欲しいものだ、
教室に入り春彦を席において窓際の自分の席についた。かばんを置いた佐恵がやってくる。
「今日はいつもより寒いね。けど良い天気・・・」 窓の向こうを見ながら佐恵はそういった。 確かに朝方寒くて起きた気がするようなしないような あまり覚えていない。
いつも朝の学校では佐恵とこんな会話をしている。 そんな佐恵の横顔をみながら思う、
「ん?私の顔に何かついてる?」突然こっちを観ながら言う。
「い いや何もついてないよ・・・」窓の外を見ながら言った 教室に生徒がそろったころに担任の江本先生が入ってきた。 それじゃと手を振って佐恵は席に戻っていった。
この学校 そんなに有名でもない公立学校 学校名に数字があるくらい、ありきたりな学校、 みな将来の夢などないから、高校ならドコでもよかったらしい。 名前からして 校風もたいしたことない、 絵に描いたような平凡校 けど嫌いではない。 俺は本当に平凡で簡単が好きなのかもかも知れない。 寂しくても物足りなくてもそれは足りないのでわなくそう感じている俺たちが補うべきなのかもしれない 足りないのではない俺たちが書き足せるんだ。これは可能性なのだ。 その可能性を完成させるために       僕たちの両手はあるんだ どんなに汚く見えても希望も可能性も未来をつかむのはこの両手なのだから たまには意味のある事を考えていた、珍しいな・・・・
いつものように適当にしてると学校の授業も終わって、下校する、いつも春彦と佐恵たちと適当に過ごして 散歩して かえる、家で夕食を食べ、佐恵を家に送る途中に公園で話し 休日に遊びに行く そんな生活をして早、二年、何も感じないわけでは無いが、この時間 この関係 この少しもったいない生活を俺は楽しんでいる。大切で大切でかけがえのない家族たちと共に  だが
そんな、二年間いうささやかな時間は一度目の曲がり角に到達した。

11月6日
今日は父の六回忌 学校が終わってすぐに向かった、長い時間、正座してるだけなのであまり苦はないが、退屈だ。 小一時間で終わり、一年ぶりに母と祖母に会った。 祖母がこれからどこか 夕食を食べに行こうとの事で四人であまりしゃべらずに食べた。
突然、祖母が真剣な顔で
「様刻、今すぐじゃなくても良いし、誰にも言わず、心の奥底で思ってるだけでも良いから、 絶対に守りたいものを作るんだよ・・・」 脈絡もなく突然言い出したが 合うたびに必ず居ているような気がするが 「大丈夫だよ、ばあちゃん 俺が一番、大切にしているのは 梨絵だから、 血と心がつながった唯一の家族ぐらい俺が守るよ」 梨絵の前で言うのは初めて少し恥ずかしいから梨絵の顔が観ない用に言った。けど偽りはない 
そんな俺を、母は少しタバコの煙をくゆらせながら横目で俺を見ていた。 あきれたような顔をして ただ・・・
少しして梨絵と祖母が席をはずし俺と母だけになった、 母は相変わらずタバコをすっていた。 「母さん タバコは吸いすぎるなよ、 体に悪いから。」 空気を和ますために適当なことを言った。母は 灰皿にタバコを置いて「ああ わかってるわよ そのくらい」 
母は俺たちのことが嫌いだから 必要以上に棘のある言い方である。しかたない事だが
「ガキにそんなこと言われる筋合いはないんだけどね・・・」小さな声でつぶやいた。
「何だよ そんな言い方ないじゃないか!」 目に見えた挑発 母は本当に神経を逆撫でする。「べつに? 私はなにも言ってないよ?」 しらばっくれるような、目に見えた嘘、
「ところで、あんた 何か夢でもあるのかい?」馬鹿にしたような言い方で聞いてきた。
「夢なんてべつにないけど 梨絵や春彦たちと楽しく生活していきたいとは思ってる。」
少しにらむように言い返した。 母は腕を組みながら
「そうかい そうかい、その心と血のつながった妹と周りのお友達とかい? これだから子供はいやだね。 観たものしか信じない、わがままの塊みたいだね」はっ とはき捨てるように行った。
何だろう 今日の母はいつにもまして不機嫌だ 何かそんなに気に入らないことがあったのだろうか・・・本当に棘がある。
「いきなりなんだよ! ダメなのかよ! 何もない空っぽの俺がただ一つ望めるならこのくらいのことは望んでいいだろ!」怒鳴るように言い切ってしたを向く、 母は相変わらずタバコを吸っていた。 窓の外を輝きの消えた瞳でただ見つめている。外の町並みを 歩く人をにらむように、世界を憎むように 数分お互い黙ったままでいた。 ドコからか祖母と梨絵が戻ってきた。梨絵は俺の顔をのぞきこみながら聞いて来た。
「何かあったの? 怖い顔してるよ?」 
「ああ べつになんでもない それじゃ帰ろうか」無理な笑顔を作り、梨絵の手をひいて店を出た。
祖母たちが会計を済ましているあいだに俺たちは店の外で待っていた
今 思えば確かに俺は目に見えたものしか信じないかも知れない、けれど春彦たちを疑いたくはない 今もこれからも・・・こんなときに俺は頑固なのかも知れない。
こんな頑固ならかわいいものじゃないか それに・・・
梨絵もあまり話さず空を見つめていた。空に星はなく町の明かりでうっすらと雲が見える。
母は会うたびに不機嫌だ そんなに俺たちが嫌いなら会わなければ良いのに 無理にでも祖母が連れているのかも知れない。 母たちが店から出で来る。
「そうだ 様刻 あんたが信じてやまない 梨絵と 本当は血もつながっていない赤の他人なんだよ。 ねぇ? 梨絵、随分前のこの話はしたよね? まだ様刻に伝えっていないのかい? とんだうそつきだよ、あんたは」俺たちに聞こえない声で 嘘つきに愛される資格はないとつぶやいていた。 しかし今の梨絵にはいやと言うほど聞こえていた。
「り 梨絵 今の話は本当なのか? いままで騙していたのか? なぁ梨絵・・・」
足元のおぼつかない足取りでヨロヨロと梨絵に近づいていく。手を伸ばしたがその手は梨絵の肩をつかむことはなかった。きづいたらそこには梨絵の姿はなかった。後ろでは母と祖母が何か口喧嘩をしていたが、何をいっているかまでに俺の思考は追いつかった。
絶望的だった、信じていたものは脆く、偽りの上になりっ立っていた、その嘘と偽りに俺は気付けなかった。ただそれだけのことなのに、騙されていたのか・・・俺は空を見上げる、とさっきと変わらず星ひとつない虚ろで悲しく深い黒とも紺ともいえない絶望色の空は俺たちを飲み込むような空は落ちてきている、そんな錯覚におちいる。 街灯で光る道を歩きながら感じた 裏切られて悲しいのはそれを、梨絵を信じていたからだ。家に帰ることなく俺は佐恵と良く行く自然公園にいた。 ベンチに腰をかけ屋根を見上げていた。そういえば人口知能は完成、秒読み段階らしい 時計もパソコンも携帯電話も ゲーム機も今世間を騒がしている情報も改ざんの聞く電気信号 医学的には心は脳の物理的な活動の結果。すなわち電気信号 じゃあこの想いも痛む心も電気信号なのだろうか?
俺と同じ思考パターンの人口知能があれば同じ気持ちを考えているのだろうか・・・  無駄だ 世界の科学も 俺のこの考えも 俺たちの基準はあいまいだがやはり意味のあるものだろう、そう考えないと心がつぶれてしまいそうだ。いま俺の心を突き刺すこの痛みの正体が電気信号でも何でもわかった時点で何も変わらない けどもういいな 何でも

⇒To Be Continued...

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