第3話 STARSが残した事実
作者: 邪神   2012年07月11日(水) 19時32分32秒公開   ID:LsmXA1cmAZk
9月29日 午後19時26分



(ゲームのステージそのままだな……)

STARSオフィスの室内を見渡した俺は、心の中で思った。

俺は扉のすぐ隣に設置されてあるロッカーを探索した。すると中にはグレネードランチャーとその弾、ハンドガンの弾丸が入っていた。

「グレネードランチャーがあったぞ。俺はショットガンがあるから、クレア持っておけ」

「ありがとう、使わせてもらうわ」

クレアにグレネードランチャーを投げて渡し、ハンドガンの弾丸の箱を開けた。

「100発入ってるな。2人で50発ずつ分けよう」

「そうね」

俺は自分用の弾丸50発をポーチに直し、クレアに残りの50発を手渡した。クレアは愛銃のブローニングHPに弾薬を装填した。

「他にも何かあるか探そう」

俺とクレアはSTARSに所属する隊員たちが使用していた机を調べ始めた。

一番左の机を調べ始めた。この机の主はSTARS随一のガンマニアだったバリー・バートンだ。

「クレア、ハンドガンの弾だ。使え」

60発入っていたので30発分を彼女に渡し、俺は残りをポーチに入れた。

次の机は、『バイオハザード1』の主人公の1人であり、STARSでNo.1の射撃の実力を持つクリス・レッドフィールドが使っていたものだ。

クリスの机には1冊の日記が残されているだけで銃器の弾薬などは残っていなかった。

「クレア、これ君の兄さんの物だぜ」

俺は緑色の日記を彼女に手渡した。彼女はそれを大事そうに受け取って読み始めた。

『……今日もアイアンズ署長にかけ合ったが、やはり信じてくれない。アンブレラがあの洋館で、恐ろしいTウイルスとGウイルスの実験をしていたのは間違いないのだ。Tに感染すると人はゾンビになってしまう』

(『1』の…つまり洋館事件のことだな)

クレアは続きをさらに読む。

『しかし洋館は自爆装置のせいで爆発してしまって証拠が残ってない。それにこの街はアンブレラの工場で暮らせているようなもので、恐れて誰も口を開かない。どうしたらいいのだ?』

クレアはさらに続けた。文面の内容からクリスが悩み続けていたことが俺には痛いほどよくわかった。

『ジルやバリーと協力してついに情報を掴んだ。アンブレラがTウイルスとGウイルスを混合した、全く新しいT+Gウイルスとやらの開発を進めているらしい。T+Gウイルスとはなんなんだ?』

(どういうことだ、日記に書かれているのはGウイルスのことじゃなかったのか……!?)

『最近、街で奇妙な事件が頻発している。住人が見たことのない化け物を目撃したというのだ。アンブレラが動き出したに違いない。3人で相談し、本格的に調査するためアンブレラの本社があるヨーロッパに飛ぶことにした。妹には連絡しない。戦いに巻き込みたくないからだ。すまない、許してくれクレア』

クリスの日記を読み終わったクレアは俯き黙ってしまった。

「落ち込むなクレア。兄さんとは必ず会える」

(ラクーンシティから無事に脱出できたら、3ヵ月後にロックフォート島で会えるさ)

俺はクレアの肩を叩きながら励ましの言葉を言った。

「そうよね…ありがとう、正志」

クレアが笑顔の表情を見せて言った。

次に俺はクリスのすぐ横にある机を調べた。この机の主は、『バイオ1』と『バイオ3』の主人公であるジル・バレンタインだ。

引き出しを開けると中から救急スプレー3個とショットガンの弾丸60発が出てきた。

俺はショットガンの弾薬を取り、スプレーを2本クレアに渡した。

「何かあった時のためにクレアが持っておいてくれ」

「わかったわ」

クレアは頷きながらスプレーを受け取った。

最後の机はジルの隣にあった。この机の主はSTARS隊員の中で最年少だったレベッカ・チェンバースだ。

俺は机の引き出しを調べたが開かなかった。マービンから託されたキーピックを使ったが、これでも開かなかった。

(もしかしたらハンドガンで撃ったら開くかもしれない)

そう思った俺はクレアに言った。

「クレア、君のブローニングHPを貸してくれ」

「いいけど…、どうするの?」

ブローニングHPを俺に渡しながらクレアは言った。

「こうするのさ!」

ハンドガンを引き出しの鍵穴に向け発砲した。

バン!バン!バンっ!

3つ全ての引き出しの鍵穴を撃って壊し、引いた。すると見事開いた。

「正志やるじゃない!」

クレアが感心したのか拍手しながら俺を見た。

「そうでもないよ…これありがとう」

ブローニングHPをクレアに返し、俺は開いた引き出しを調べた。

「これは…また日記か?」

1つ目の引き出しに入っていたのは、表紙がピンク色の日記だった。表紙の下に「Rebecca」と、女性らしい綺麗な文字で書かれている。

俺は日記を開いて読み始めた。

『あの洋館から脱出して今日で2週間経つ。私は署長に退職願いを提出した。ビリーを探すためだ。クリス先輩たちは独自でアンブレラについて調査しているようだが、多くの仲間を失った今、私はこれ以上アンブレラに関わるつもりはない』

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『リチャードの墓参りに行って来た。偶然彼の恋人に会い、リチャードの死の真相を話した。彼の恋人は「ありがとう」と私に言った。あの事件のせいで悲しみに暮れていたが、感謝されたことは嬉しかった』

(リチャードって、『1』に登場したリチャード・エイケンのことだな……。それにビリーって、『0』のビリー・コーエン)

俺はそんなことを考えながらも続きを読んだ。

『街から去る前に先輩たちに何か残したいと思い、アンブレラに就職した友人からもらった極秘資料をSTARSオフィスのロッカーに隠しておいた。ようやくビリーと連絡が取れた。南米にいる彼の所へすぐに向かおうと思う』

俺は読み終えた日記を閉じて2つ目の引き出しを開けた。中にはハンドガンが入っていた。

(ようやく見つけた。使わせてもらうとするか……)

ハンドガンを調べると、スライド部分に「KENDO」と刻まれているのとグリップに「STARSゴールドメダリオン」が填められているのを見つけた。また、銃の数か所にスコープなどの改造部品が装着されているのにもすぐに気がついた。

(STARSサムライエッジか…思ったよりもいい銃を見つけたな)

「正志、最後の引き出しは?」

銃を眺めているとクレアが言った。俺は我に帰った。

「悪い、今調べる」

俺は最後の引き出しを調べた。中には調合されたハーブが6つ入っていた。

「調合ハーブがあった。持っていこう」

「そうね」

調合ハーブをハーブケースに入れ俺は言った。

「ここも調べ終わったし、出よう」

俺の言葉にクレアは頷いた。

(ここで見つけたことは、俺がゲームで知っている事実と違うみたいだな)

俺はため息をつきながら、心でそんなことを考えてクレアとオフィスを出た。
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