部屋
作者: miki   2010年02月17日(水) 16時51分45秒公開   ID:kMMUTuTCApY
出入り口のドアノブに手をかけて、
回そうとして手を止めた。

ここまで支度するのに、長い時間はいらなかった。

結った髪をほどいてくしでとく。
メイクを落として顔を洗う。
制服を脱いで自分の服に着替える。
すぐにでもやめてやりたい。
そう思いながら、
毎晩部屋に戻るとすぐやっていた短い作業。
それを3年も続けていたら、はやくなるのは当たり前だ。

手をかけたまま、そっと振り返る。

すぐにでも出ていきたい。

そうおもっていたこの部屋を
いざ出るとなると少しさみしい。
なぜだろう、不思議だ。

そして、そっとつぶやいた。

面白くて、明るくて。
そしてやさしかった。
DCMCのメンバーたち。
仕事の仲間たち。
ここにいられたのはきっと、
その人たちがいたからだろう。

みんなに言っている時間はない。
それに、照れくさい。

だからそっと、短くつぶやいた。
自分がいた場所へ。


――ありがとう。


「用心棒どもは片づけておいた」
2人と1匹に向けて彼女がそう言ったとき、
彼女にもう迷いはなかった。

次に目指すべき場所へ。

「いくぞ!」
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