外伝 闇星事件…遭遇
作者: 邪神   2016年10月27日(木) 03時19分55秒公開   ID:LmuRwrHe5Zs
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神田光平/??:??:??
闇星 夜見島海岸

オーロラの壁を越えた光平は、両耳には赤いヘッドホンを装備し、デジタルオーディオプレイヤーの電源を入れた。リピート指定しているお気に入りの曲で、V6が歌った「TAKE ME HIGHER」が大音量で流れはじめる。ヘッドホンから激しい音楽が漏れ出す。

終了条件
「手帳」の発見、蒼ノ久集落への到達



神田光平
男/22歳/光の戦士

武器
ワルサーP99
第二次夜見島事件で入手した、ドイツのワルサー社が開発・販売を手がけた拳銃。光平が改造を施しているため、威力は通常の物を大きく上回る。レーザーサイト・スコープ・フラッシュライトが装着されているため、安定した命中率を誇り、狙撃を行うことも可能。装弾数16。

闇斬り極光剣
第二次夜見島事件で入手した、光の神と炎の神の力を宿した剣。光平の意思によって彼の手に出現し、彼以外の人間には使用不可能。振ることで衝撃波を起こし、剣身から無数の光を飛び散らせたり、剣身に炎を宿して斬りつけたり炎を相手に放出させることが可能。

宇理炎
古代の祭祀に使用したと推測される、光平の祖先である光の創造神が作り出した神の武器の1つ。生命を糧として発動する。

89式小銃
1964年に自衛隊に採用され、現在でも現役で稼働している64式小銃の後継として、1989年に自衛隊に採用された自動小銃。単発の狙撃用途での使用も可能。愛称はバディ。照準器が装着されている。装弾数30。

64式小銃
1964年に自衛隊に採用された自動小銃で、現在でも大量生産され未だ現役で稼働している。単発で狙撃用途での使用も可能。照準器が装着されている。装弾数20。

サバイバルナイフ
光平が愛用している大型のサバイバルナイフ。威力は低いが、いつでも使用することが可能。小型の敵や一部の敵との戦いで真価を発揮する。

閃光手榴弾
着弾と同時に広範囲に眩い閃光を放つ手榴弾。目をくらませ怯んでしまう効果だけで殺傷能力は持たないが、光に弱い敵に絶大な力を発揮する。


所持品
9mm弾:∞
ワルサーP99・9m拳銃・9m機関拳銃に使用可能な弾丸。

フラッシュライト
ポケットに差し込むことができる、小型の白色LEDライト。自由に点灯可能。

狩猟用散弾銃
第二次夜見島事件で入手した、ポンプアクション式の散弾銃。レーザーサイトが装着されている。種類は、アメリカのモスバーグ社が開発・販売を手がけている、狩猟用途やアメリカ軍・警察で幅広く使用されているモスバーグM500の基礎型。装弾数8。

狩猟用狙撃銃
第二次夜見島事件で入手した、日本で幅広く普及している、狩猟用途で使用する民間用ライフル。照準眼鏡が装着されている。種類はレミントンM700。装弾数5。

12ゲージ弾:∞
狩猟用散弾銃に使用できる弾丸。バックショットと呼ばれる、鹿などの中型動物狩猟用・対人用に使われる、10数粒未満の弾を拡散させるタイプの大ペレット弾丸。

5.56mm弾:∞
89式小銃に使用できる弾丸。

7.62mm弾:∞
64式小銃・狩猟用狙撃銃に使用できる弾丸。

ロケットペンダント
写真を入れることができる、金色の小型のペンダント。中には光平の恋人・池田麻衣の写真が入っている。






「暗いな」

並行世界の空を見た俺は苛立ちながら呟いた。

この世界の空は夕方のように暗かった。太陽は黒い何かで覆われている。何時かは分からないが、夕方のような暗さはそれが原因だろう。

俺はクリップ型のライトを取り出して胸に取り付け、スイッチをONにした。

眩い光が辺りを照らす。

俺は愛銃のワルサーP99を構え、辺りを見渡した。闇人の姿はない。

すると海岸の奥に大きなプレハブ小屋を見つけた。窓はあったが、黒いカーテンで覆われ、中の様子を窺うことはできない。扉の上の看板には、人間には理解できない文字で何かが書き殴られている。だが、俺にはその意味不明な文字が何なのか理解できた。

闇人だけが使用する独自の文字・闇人文字。俺が光の戦士になるキッカケとなった第二次夜見島事件でも、闇人がこの文字を書き記したノートを見たことがある。

俺はライトで照らした看板の文字をあらためて見渡した。看板は白い素材で作られているが、書き殴られている文字はどす黒く変色していた。

(これは……血か?)

看板には6つの闇人文字が書かれている。それぞれを平仮名に当てはめると、「しょけいごや」と読むことができる。


「看板の文字」がアーカイブに追加された。


(処刑小屋?どういう意味だ)

俺は小屋の扉をゆっくり開けた。

ライトが小屋の中を照らす。

部屋の中はそこかしらに血が飛び散り、鋸を使った手製のギロチン・日本刀・チェーンソー・猟銃が放置されている。それ以外は何もなかった。

「狂ってるな」

俺は小屋を調べた。部屋中に飛び散った血は黒く変色して固まり、飛び散ってからだいぶ時間が経っていることがわかる。

(一体、ここで何が起きたんだ?)

そんなことを考えている途中、血まみれの床に1冊の手帳のような物が落ちていることに気づいた。

俺は手にとって見ることにした。

表紙は血だらけで赤に染まっていた。だが、開いてみると中までは血が染み込んでいなかったらしく、一部のページだけはかろうじて読むことができた。

手帳のページは闇人文字ではなく、人間が使う普通の文字で書かれていた。持ち主は女性のようで、綺麗な文字で書いた当時の様子が詳細に綴られている。

『闇の巫女・カンナの命令で視察をするためこの世界を訪れたが、すぐに闇人という化け物の集団に囲まれてしまった。銃は持っていたが、闇人達を撃ち続けていたためすぐに弾丸がなくなり、私はこの小屋に連行された。銃がなくても武術を使えば全滅させることは可能だったが、闇人達の動向を探るため、無抵抗のか弱い女を演じることにした。闇人の1人によると、この世界で人間は絶滅しているらしく、人間こそが伝説の怪物であり、排除されるべき異端の存在だという。私は一体どうなるのだろうか?』

俺は次のページを捲った。

『私の処刑が決まった。理由は排除されるべき存在であると同時に、世界を平和にするためだという。死ぬことが決まった私の心情を察してくれたのか、闇人の1人が4年程前にも突如空から人間が落ちてきたことがあった話を教えてくれた。その人間は迷彩色の服を着た若い男で、顔まで迷彩柄に染めていたらしい。その人間の男が銃を乱射したせいで、多数の闇人が犠牲になったらしい。その男を捕まえようと闇人達が捜索を開始したが、見つからなかったという。私はか弱い女を演じ終えるのを、処刑日に決めた。演じ終えるのを待つだけとなったが、この世界にまだ人間がいたことを知って少し安心した気持ちになった』

俺は手帳をパラパラと捲った。読めそうな部分がまだ残っていた。

『処刑が決行される日まであと2日となった今日、私は小屋に突入してきた1人の青年に救出された。その青年はボロボロになった迷彩色の服を着ていて、長い髪を後ろで結んだポニーテールにし、無精髭を生やしていた。見た限りではごく普通の人間に見えた。闇人が話していた、4年くらい前に空から落ちてきたという男だろうか?私は彼に一緒に逃げようと言ったが、青年は断り「健康優良日本男児に任せな」と言って、拳銃を渡して逃がしてくれた。逃げてからだいぶ時間が経っているが、彼は無事だろうか?
正体を隠して組織に潜入しているため、不本意だが私はこの世界の現状をカンナに伝えなければならない。早めに結晶の巫女・詩織様の元へ戻り、この状況をご報告しなければならない。別の世界の若い頃のお父さんとお母さんにも早く会いたい。』

手帳の記述はそこで終わっていた。


「血まみれの手帳」がアーカイブに追加された。


この手帳が何かの手がかりになるかもしれないと思った俺は、手帳を防弾防刃ジャケットのポケットに入れて、そのまま考え始めた。

(闇の巫女・カンナ、そいつは一体誰だ?それにウェスカーという男や迷彩色の人間の存在も気になる。麻衣はこの世界は人類が滅び、闇人が蔓延した世界だと言っていた。俺の他にも人間がいるのか?)

そう考えていた時だった。俺の頭にノイズが走った。

(誰かここに来やがる!)

俺は神経を集中させて、幻視を行った。

海岸を走ってくる何者かの視線を捕らえた。ザッザッという、草履で引きずったような音が聞こえる。

俺は確信した。この視線の主の正体は闇人だということを。

闇人は鉈のような物を持ち、海岸を走りながら小屋を見続けていた。

『上手に隠れたねぇ』

ぼそっと呟いた闇人は小屋の扉を開けた。

(来たな!)

俺は後ろに振り返らず、ワルサーP99を闇人がいる方向に向けた。

ためらいもなく俺は引き金を引いた。

銃声が鳴り響き、闇人が床に崩れ落ちる。頭を撃つことで1発で仕留めた。

地面には闇人の頭から流れた大量の血が広がる。

俺は宇理炎を取り出し、倒れた闇人に煉獄の炎を喰らわせた。聖なる炎が体を浄化し、消滅させる。

炎が消え去った後、闇人の死体は跡形もなくなっていた。

俺は忌々しい小屋を破壊するため、光の戦士 通常状態に変身した。

小屋の外へ出た俺は、小屋全体に向けて数倍に高まったエネルギー弾を放った。

エネルギー弾によって小屋は吹き飛び、焼け焦げた跡だけが残った。

戦士の変身を解除した俺は、幻視を行った。

他の闇人の視線をいくつか捉えることはできたが、その視線を見る限りこの付近にはいないようだった。

俺はワルサーP99に弾丸を装填し、海岸を捜索することにした。

「さて、どうするか?」

俺は海岸の堤防をジャンプして乗り越え、夜見島の中に入った。見覚えがあった。この場所は蒼ノ久集落だろう。

看板や家の表札にも、俺達人間が使用する普通の文字は使われていない。闇人文字だけだ。

それを見る度に化け物に対する怒りが増幅されていく。

再び頭にノイズが走る。

幻視を行った。俺の背後に闇人が近づいてくる。

『安心して死になさい』

闇人の言葉を聞いた瞬間、俺は飛び回し蹴りを放った。

蹴りが命中したことで首がへし折れ、闇人は崩れ落ちた。

「クズめ!」

俺は闇人の死体に唾を吐き捨て、宇理炎の炎で消滅させた。

(化け物どもが現れる限り、俺が消滅させる。それが、あいつ…麻衣との約束だからな)

俺は心の中でそう誓い、幻視を行った。

すると闇人の数が格段に増えていることがわかった。

(どうやら、マヌケな闇人達も俺に気づいたようだな)

俺は蒼ノ久集落の丘の上に向かった。その丘は夜見島全体を見渡せる場所になっている。

その途中、途中の坂道で1人の男の闇人に遭遇した。

しかし、どこか様子がおかしい。武器を持っておらず、俺を見つけても襲ってこないのだ。

すると、その闇人が突然うつぶせになって倒れた。

俺は倒れた闇人に急いで駆け寄った。特徴的な黒ずくめの服装はボロボロになり、体のあちこちから血が滲んでいた。

「おい、どうした!?襲ってこないのか」

俺が尋ねると、その闇人は苦笑しながら言った。

「また、人間か。お前らを見なれすぎたせいか、襲う気にもなれん」

闇人は苦しんでいるように見える。

「何があった?人間の俺でよかったら話してみろ」

俺が言うと、闇人はゆっくりと語りだした。

「今から4日前の話だ。金髪のオールバックの外国人の人間の男が、オーロラの壁から現れた。そいつが妙な力を使って、俺の仲間達を次々に殺しはじめたんだ。仲間達の肉体の欠片が、この島の潮降浜という場所に集められはじめている」

闇人の言葉を俺は静かに聞いた。

「その男は一体どんな奴だ?」

「筋肉質な体格で、サングラスをかけて隠しているが、赤く光る不気味な目を持っている。仲間達も立ち向かったが、返り討ちにされた。逃げることはできたが、俺もこのざまだ」

俺が聞くと、闇人はそう言うと涙を流し始めた。自分の仲間達が次々に殺されていったのが悔しいのだろう。

「そいつはどこにいる?」

俺が尋ねると、闇人は静かに笑みを浮かべながら答えた。

「潮降浜の近くに、廃校になった小中学校がある。その近くの体育倉庫にいる。妙な女も一緒だ」

闇人が俺の手を強く握りしめながら言葉を続けた。

ふと地面を見た。血だまりができている。少しずつ出血していたのだろう。闇人の生気はあまり感じられなくなっていた。

「頼……む……。あの男……を…倒して…く…れ」

そう言い終えた途端、闇人の手がばたりと崩れ落ちた。閉じられた両目からは涙が零れ落ちていた。

俺は闇人の手をそっと下ろし、遺体を静かに寝かせ、宇理炎を取り出した。

煉獄の炎で遺体を浄化させる。

俺は自分の右手を見た。血で汚れている。

(闇人が化け物なのは俺もわかっている。だが、意味もなく殺すのは理解できない。さっきの闇人さんよ、一緒に暮らしていた仲間達が無意味に殺されて悔しかったんだろう?俺がその男を潰して、仇をとってやる)

⇒To Be Continued...

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