第19話 地下への侵入 |
作者:
邪神
2012年07月06日(金) 15時09分14秒公開
ID:ruLD3r9Qyus
|
9月29日 午後23時13分 姿を消したレオンと彼を保護していた須田に無事再会した正志達は、一度自分の世界に戻った須田を見送り、光平の力で瞬間移動しラクーン警察署に戻ってきた。 ロビーの噴水の前で5人は話を始めた。 「これからどうする?」 光平が残りの4人に言った。 「まずマービンがどうなったのか調べよう」 正志がサムライエッジを取り出して言った。クレアとレオンが頷く。 「マービン?誰のことだ?」 光平が聞いた。 「この警察署に勤務している警官で、重傷を負った人よ」 クレアが答える。 「彼はそこの西側オフィスにいる」 レオンが言った。 「さあ、行こう。時間を無駄にしている余裕はない」 正志が言った。皆が頷く。 「そうだ!正志」 クレアが正志に話しかけた。 「どうした?」 正志が答える。 「忘れてたわ、これ……」 彼女がそう言って何かを手渡した。 「俺が落としたショットガンか。拾ってくれてありがとう」 正志はショットガンを受け取ると礼を言った。付着していた彼の血は綺麗に拭き取られている。 「いいわよ、気にしないで」 クレアが照れたような表情を浮かべて答えた。 「やれやれ……。お二人さん、行くぞ」 呆れた様子の光平が言った。 顔を合わせて笑いあった2人は、光平達に謝り西側オフィスを目指した。 「マービンは扉に鍵を掛けた。ぶっ壊すか」 正志がそう言って、サムライエッジでオフィスのドアノブに向かって2発撃った。 正志は扉を蹴り飛ばした。すると扉が勢いよく開いた。 「マービン、大丈夫か?」 正志が問いかけるが、返事はない。 (やっぱりゾンビ化したんだな……) 部屋の先へ進む。すると6体のゾンビが姿を表した。 「俺に任せろ、弾薬を使う必要はない」 光平がそう言うと右手をゾンビに向けた。 「自然発光爆破能力ね」 クレアが言うと光平は頷いた。 「はあっ!」 光平が叫ぶとゾンビ達の体が発光して爆発し、粉々に砕け散った。 「「何だ、今のは!?」」 正志とレオンの2人が一斉で同時に叫んだ。 「自然発光爆破能力。周囲の物質の原子・分子を操ることで物質をプラズマ化し、標的を体内から発光・爆発させることができる。俺が使える力の1つだ」 光平がそう言いながら答える。 「「へぇ……」」 正志とレオンが驚いたような表情を浮かべて言った。 (ゲームの『バイオハザード2』の通りなら、マービンは奥のフロアにいるはずだが……) 心の中でそんなことを思いながら、サムライエッジを構えた正志は1人歩き出した。 「でも正志、どうやったら下水道まで行けるの?」 クレアが尋ねた。 「下水道へ続く道は二つあるんだが、1つは塞がれている可能性がある。もう1つを使って行こう。署長室から続いている道だ」 正志はゲームの地図を思い出しながら言った。 「「「わかった」」」 クレア・レオン・光平が力強く返答した。 「正志、道案内は任せたぞ」 レオンの言葉に正志は笑って頷いた。 噴水の奥にある梯子を登り、正志達は2階に着いた。 「こっちだ」 2階にある扉を開けて待合室を通ると、二手に分かれた廊下に出た。炎の独特の臭いと焦げ臭い煙が充満していた。 「どっちの道なんだ?」 光平が尋ねた。 「左だ。気をつけろ、火災が起きている」 正志はそう答えた後、左の方向に進んだ。 左の廊下はヘリコプターの残骸が突っ込んでおり、その影響で火災が起きていた。炎が道を塞いでしまっていて通ることができない。 「どうするんだ?これじゃあ通れないぞ」 光平が言った。すると正志はサムライエッジを廊下の天井に向けて言った。 「あれを見ろ、スプリンクラーだ。あれを使えばいい」 (『ダークサイド・クロニクルズ』で覚えておいた知識が、まさか本当に役に立つとは思わなかったぜ) サムライエッジから銃弾が放たれスプリンクラーに命中する。 するとスプリンクラーから大量の水が廊下に降ってきた。 「火が消えていく。これで通れるわね」 クレアが安心した様子で呟いた。 道を塞いだ炎がスプリンクラーから噴射される水で消火されていく。 「よし、火が消えた。行こう」 扉を開けて中に進んだ。 「ここが署長室か……」 光平が言った。署長室には電気が点いており、絵・骨董品・剥製などが飾られていた。 「ゲームそのままの頭がおかしくなった変態署長の趣味がそのまま出た部屋だな。美術品の趣味とか「理解不能」の言葉しか出ない」 正志の言葉に3人が同意した。署長室に飾られてある美術品のほとんどがクレア達の理解を超えたものばかりだった。 「こっちだ。地下に続くエレベーターがある」 正志は署長室の奥に案内した。そこには正志の言葉通り、エレベーターがあった。ビルやマンションなどに設置されているエレベーターとは異なる、鎖などで作られた旧式のものだった。 エレベーターに乗って「B1F」のボタンを押す。するとガタンという衝撃と音が響き、エレベーターが地下に降り始めた。 エレベーターに乗ると同時に正志の表情が険しくなる。 「……正志?どうしたんだ?」 レオンが聞いた。すると正志が呟いた。 「皆、地下の部屋にアイアンズ署長がいる。だが奴は頭がおかしくなってる。気をつけろ、何が起きるかわからない」 正志の注意に3人が頷いた。 エレベーターが地下に到着した。ドアが自動で開き4人は中から出た。 エレベーターの先は道が続いていた。 「こっちだ」 道を進むと、左方向に扉が見えた。 すると、地面からペチャペチャという音が聞こえてきた。その音の正体に気づいた正志はレオンから貰ったナイフを取り出した。 「気をつけろ、皆ナイフを出せ!地面から何か出てくる!」 正志の言葉を受けて3人はナイフを取り出した。 その時、地面から何かが正志達に向かって飛び掛ってきた。 (やっぱりこいつはG幼体だな) 「こいつら数体に飛び掛かられたら、体を食い千切られるぞ。ナイフを使って倒すんだ!」 正志はそう叫びながら、飛び掛かってくるG幼体をナイフを使って切り刻んで倒した。 「気持ち悪いわね!」 「くそ!こいつら」 「まるでヒルみたいだな」 クレア・レオン・光平の3人がそれぞれぼやきながらナイフを使ってG幼体と戦っていた。クレアとレオンは次々に飛び掛ってくるG幼体に苦戦していたが、光平は一歩も動かずにG幼体をナイフで一方的にバラバラにしていた。 「ぐっ、痛い!」 クレアが腕を押さえながら倒れた。正志はサムライエッジを使って地面に這いずり回っていたG幼体を撃ち殺し、彼女の元に駆け寄った。 「クレア、大丈夫か?」 「ええ、でもちょっと痛むわ」 正志が問いかけるとクレアは苦笑しながら左腕を見せた。G幼体に噛まれたため怪我をしており、血が滲み出ていた。 「手当てするからじっとしてろよ?まったく、これで二度目だな」 正志の言葉にクレアは顔を赤くして黙ってしまった。レオンはクレアがなぜ顔を赤くしているのかわからないようだったが、光平はなんとなく気づいたようで2人を見ながらニヤッと笑みを浮かべていた。 正志はポーチから包帯・ガーゼ・傷薬を取り出し、ガーゼで血を拭い薬を傷口に噴射してから包帯を巻いた。 「これで治療完了……と」 「ありがとう、正志」 顔を赤くしたクレアがボソッと礼を呟いた。 「気にするな」 包帯・ガーゼ・傷薬をポーチに入れると、正志は大好物のライムミント味のガムを口に放り込んだ。 「ここか……?」 G幼体を殲滅した後、扉の前に辿り着いたレオンが呟いた。 「ああ。行くぜ」 正志の言葉に3人はゆっくり頷いた。 ガチャ……。 正志達は扉を開けた……。 |
|
■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集 |