第13話 探索、アルケミラ病院
作者: 邪神   2012年07月05日(木) 20時11分08秒公開   ID:ruLD3r9Qyus
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血の臭いが耐えることのないアルケミラ病院の3階を進みながら、俺はサムライエッジとライトを構えた。

『ここはおかしくなってる。気をつけて』

リサという名前のパペット・ナースの言葉が脳裏をよぎる。「おかしくなっている」とは、一体どういう意味だろうか。

廊下は静かだ。物音が一切ない。

赤の書を開くと、また新しい記述が書かれたページが増えていた。

『3階の304号室に今この手帳を持っている君が、この世界を旅するために絶対必要なパートナーがいる。その人物は君と同様、並行世界を救うために白ワンピースの女に選ばれた戦士だ』

俺は赤の書をポーチに入れて304号室に向かった。

(そういえば、須田恭也と白ワンピースの女が言ってたっけ。俺以外にも残り六つの並行世界を救うために、6人の人間がそれぞれの世界に放り込まれたって)


――ザッ。

すると足音がした。俺のすぐ近くだ。

「誰だ!?」

俺の叫び声に反応はない。

ライトの光を足音の方向へ向けた。


「ギャアアァァァァッっ!」

凄まじいといえる程の叫び声が上がった。

――パペット・ナースか!

その直感が頭をよぎった瞬間、俺は走り出した。

「ヤメロオォォォォォーっ!」

叫び声が聞こえた方向に俺は、サムライエッジを向けて銃弾を放った。

ドサッ……!

倒れる音がして俺は駆け寄った。

30センチ程の血だまりが地面に広がっていた。そして、どす黒く変色した血が付着している青色のナース服を着たパペット・ナースが倒れていた。

「君は人間か?」

誰かが英語で俺に向かって問い掛けてきた。

「ああ、日本人だ」

すると目の前に光が照らされた。眩しい光のせいで俺は一瞬目を閉じた。

「そうか、悪かった…!助かったよ」

俺は持っているライトで声の主を照らした。

「気にするな」

ぶっきらぼうな返事を返す。


声の主の姿が徐々に見えてきた。

身長は俺より7センチくらいは高い。ハンサムと言える顔立ちをしていて、茶髪のツンツン頭だった。年齢は20代後半に見える。

サムライエッジをレッグバックに入れて俺は英語で喋った。

「西山正志だ、よろしく」

俺は自分の右手を彼に差し出した。

「ジェームズ・キットだ、こちらこそよろしく」

キットと握手をした。彼が笑顔を見せた。

このジェームズ・キットこそ、赤の書に記されていた「サイレントヒルの並行世界を救う戦士」なのだろう。

とりあえず俺達は近くの病室に行き、そこで話し合いをすることにした。
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