支払いの逆転
作者: 無料雑誌   2007年12月17日(月) 04時16分42秒公開   ID:HUHUl1daMr2

〜七年前 矢田吹屋にて〜

「へい、いらっしゃい! お、また来たねぇー、大将。!!」
「また、来ましたー。」
「なんでまたここに・・・・」

今晩は、真宵ちゃんと、ラーメンを食べに来た。 ・・・・いや、正確に言えば今日<も>なのだが・・・・。

「なんで、よりによって、またここなの!!」
「いいじゃん。!! おいしいんだから。」
「でも、一週間連続で、ラーメンじゃないか。!! たまには他のものでも・・」
「なによ、!!なるほどくん。!! 矢田吹さんのラーメンおいしくないって言うの。!!!」
「い、いや。そういうわけじゃなくて・・・・」
「おうおうおう、うちのラーメンがまずいって言うのか。!!!!!!いつも来てくれる常連だからって・・・・・・・・・・・・・容赦しねぇぞ。」
<キラーーーーン!!>

「うわぁーーーー!!!違います違います。!!!! 違いますから、その包丁しまってくださいーーーー。!!!」

結局、また味噌ラーメンになってしまった。
ここの、屋台のラーメン屋さんには、ぼくが、新人だったころから来ている常連だ。
店主は、屋号にもなっている、矢田吹さん。
味噌ラーメンに愛着を持ち、味噌ラーメンの屋台を営んでいる。 

だから、ここには、味噌ラーメンしかない・・・・。
せめて、普通のラーメンでもあれば・・・・。 
ちょっと聞いてみるか。

「あのーー、矢田吹さん。」
「おう、なんでえ。」
「ここは、そのーー、ラーメン屋ですよね・・・・。」
「違うぜ。」
「え。」
「<味噌ラーメン屋>だ。!!!!そこらのラーメン屋といっしょにすんじゃねえ。!!!」

(どう違うんだよ。!!!!!)

「うちは、ずっと味噌ラーメンひとすじで、やってんだ。それ以外のラーメンなんざ認めねぇ。ラーメンといえば、味噌ラーメン。そうだろ、大将。」

「はい。!!!!その通りですね。!!!」
「お、わかってるねぇ、嬢ちゃん。!! で、あんたはどうなんだ。!!!!」
<ギロッ。>

「なるほどくん。!!!!」
<ジロッ。>

「そ、そうですね・・・・。」
(ふたりとも目つきが半端じゃない・・・・。)

「なのに最近の客ときたら、
‘‘普通のラーメンありませんか。’とか聞いてきやがって。
ふざけんじゃねぇってんだ。
出刃包丁持って追っ払ってやったわい。」

「そ、そうですか。」
(聞かなくてよかった。・・・・)

「あのーー、味噌ラーメンまだですか。」
「おう、ちょっと待ってくれよ。」
そう言って、矢田吹さんがラーメンを作り始めた。


はぁ、普通のラーメンでもいいから、他のもの食べたいや。毎回毎回味噌ラーメンじゃ飽きちゃうよ。

ぼくの母校、勇盟大学のキャンパスの学食にあったラーメン。あれはおいしかったなぁ。

確か、<利口坦麺>とか言ったっけ。
あれのために勇盟大学に決める人もいるぐらい、すごく旨いラーメンだったとか。


けど、真宵ちゃんは、味噌ラーメン以外食べたくないって言うから、いつもここに来るんだよなぁ。



「へい、お待ち。」
やれやれ、やっとできたみたいだ。・・・・うん?いつものとちがうぞ。

「あれ、矢田吹さんいつものとちがいますよ。??」
「おう、気づいたか。こいつは、新開発の矢田吹屋特製<泥味噌ラーメン>だ。!!!!」
「どろみそらーめん??」
「おう、味噌ラーメン好きには、たまらないほど味噌をぶち込んだ、極うまラーメンだ。・・・・まぁ、試作品だが、たっぷりと味噌をいれといたぜ。!!」
「わーーーーーい。いただきまーーーす。」
「い、いただきます・・・。」
(底の方に味噌が溜まってるぞ・・・・。)


「どうだ、旨いか、譲ちゃん。」
<ズルズルズルーーーーーーーー>
「ふぁい、ふぉいひいれす。<はい、おいしいです。>」
「そうかそうか。 で、あんたは。!!」
「お、おいしくいただいています・・・・。」
(味噌だらけで、食いづらい・・・・。)

「そうかそうか。いつかは、こいつを完成させてやるぜ。」
(・・・・・・・・うぅ、味噌の香りだけで、もう、お腹いっぱいだ・・・・。)



「はぁ、おいしかった。」
「ごちそうさま。」
(明日こそ、他のものを食べよう。)

「おう、ありがとな。」
「さ、帰ろうか。真宵ちゃん。」
「うん。!!!」

「ちょっと待て、!!!大将。」
「はい?なんですか。」
「お代のほうを忘れてるぜ。」
「うぐっ。!!」
「・・・確か、一週間ずっ〜〜〜〜と払ってもらってなかったなぁ・・・・・。」

「そ、それはその〜〜〜、す、すみません・・・・。」
「おうおうおうおう、ごめんで済めば、警察はいらねぇんだよ。!!!!!
滞納金しめて、1万円きっちり払ってもらおうか。」
「そ、そんなに食べてませんよ。!!!!!」
「そいつは、利息分よ。!!!」
(利息がつくのかよ!!!!!)

「えぇーーーー。!!!!なるほどくん。一万円も食べてたの。!!?」
(それは、真宵ちゃんが食い過ぎたせいだろ。!!!!)



ぼくは、財布の中を見た。・・・・・・500円玉しかない。

「あの〜〜〜、すいません。今は、持ち合わせがなくて・・・・・。」
「なんだと〜〜。!!!!払えねぇってか。!!!!だったら・・・・・・・・ただじゃおけねぇなぁ。」
<キラーーーン。>

「うわわわわ。その包丁しまって下さい。!!!!!!!!」


うううぅ、どうしたらいいんだ。あ、そうだこんなときは、


くらえ!  
〜弁護士バッチ〜


「んん?こいつはなんでぇ、こいつは。」
「その〜〜〜、ぼくは、弁護士でして・・・・・
今度、キチンと払いますから、今日はコレで勘弁してもらえませんか・・・・・」

「ほお、弁護士さんだったのか。だったら、今日は、勘弁してやるか。
いつか、ちゃんと払ってくれよ。」

(ほっ。なんとかなったか。)
「そのかわり、いつか、なにか困ったことになったら、よろしくたのむぜ。」
「は、はい。わかりました。」





〜そして、現在 矢田吹屋〜
「と、まぁこんな、コトがあったって、先代の店主が言ってたぜ。
だから、あんたのとこに屋台捜しを依頼したわけよ。」

「そうなんですか。」
「へぇ〜〜、みぬきも知りませんでした。」
「あったねぇ。そんなことが。」



「というわけで、払ってくれよ。滞納金。」
「・・・・え。は、払ってなかったんですか、成歩堂さん。」
「うん、そうなんだよ。ビックリくん。」
「オドロキです!!!!」

「パパ、どうするの。!!?」
「大丈夫だよ、みぬき。ここにいる弁護士の王泥喜くんが、払ってくれるから。」
「え。」

「いやーー、ぼくは、もう弁護士じゃないし、そんなに収入がなくて。」
「え。え。」

「ありがとうございます。オドロキさん。」
「え。え。え。」

「おうおうおう、にいちゃんよろしく頼むぜ。利息含めて10万円。」
「え。え。え。え。」

(・・・・・こうなったらもう叫ぶしかないか。7年前の成歩堂さんに・・・・)




異議あり!!




■作者からのメッセージ
こんにちは。無料雑誌と言います。逆転裁判の二次小説に憧れて、初めて投稿しました。
おもしろく思ってくれたら幸いです。
感想をぜひお待ちしています。

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