切り裂かれた逆転18
作者: 10join   2007年09月24日(月) 13時10分22秒公開   ID:BaKjuKOI7.w
同日 午後3時42分 ヘルジョーカーのアジト
 オーディションに応募してきた人を調べてもたいした証拠は出て来なかったような気がする。それにしてももう1人の人って一体どんな人だろう。本当にバロンの可能性はないのか?
「微妙な所だな。犯人の可能性がないとはいえないけどさ。」
「あいつが関係ない人間まで殺すとは思えないんだよな。」
「なんか仕事を受けてるなら別だけど。」
 いつも通り無限君たちと紫音ちゃんの息はぴったりだ。それにしても仕事って一体どういう事なんだろう。

「その話は短編に回されるだろうな。それはそうと全く収穫が無かったわけじゃない。実はこんな物を拾っちゃったんだ。」 
 空悟君の場合盗んだの間違いなんじゃないのか?そんなことはさておき、ぼくたちは空悟君の手の中にある物を見た。それは黒いワラ人形みたいな物で、赤い糸が首のあたりに巻いてあった。これってもしかして・・・。
「なるほどくん読んだ事有るの?」
 適当なこと言わないでよ真宵ちゃん。いっぺん死んでみるかい?
「恨み聞き届けたり。この恨み地獄に流しますってか。やっぱり知ってるんじゃないか。」
 流さんが正確な指摘をしてきた。それにしてもこの場合読んだ事あるのって作者なんじゃないのか?
「読んだことはないよ。見た事はあるけど。」
 何でだよ。それにしてもどこでそんなおっかない代物を手に入れたんだ。
「武羅布のところだ。まあこいつが本物かどうかも、誰に恨みを抱えてるのかも知らない。使ってない事だけは確かだけどさ。」
 そりゃ使ったら消えてるだろうからな。一応証拠に加えておくか。

黒いワラ人形 武羅布さんの部屋から見つかった。考えてる通りの物だったらかなりヤバい。

 この説明文は一体なんなんだろう。それは置いといてこれからどうしようか。
「現場に戻ろう。何か新しい情報があるかもしれないからな。」
 確かに空悟君の言う通りだ。ぼくたちはとりあえず無限君たちの車に乗って現場に向かった。

同日 午後3時59分 切札美術館
 着いてみると子羊宿さんがパソコンの画面を見てなんかひどく考えこんでいた。一体なにがあったっていうんだろう。
「あのこひつじやどさん。何かあったんですか?」
 春美ちゃんが子羊宿さんに聞いた。子羊宿さんはぼくたちの存在に初めて気付いたようだった。
「ああ君たちか。実は少し面倒なことになってな。」
「なにかバロンの手がかりがあったのか?」
 空悟君が興奮したような調子で言った。それほど赤いラピスラズリが大事らしい。だれかから預けられたって言う義務感があるのだろうか。それとも何か大切な思い出でもあるのか?
「手がかりって言ってもあの無くなってた警備服ぐらいだ。美術館の近くの店のゴミ箱に捨ててあった。最も興味深い点はあるけどな。」
 そういってその警備服を見せてくれた。中を見ると白い羽がいっぱいついていた。

警備服 近くの店のゴミ箱で見つかったらしい。中に白い羽がいっぱいあった。

 これってもしかして現場に落ちていたのと同じものなのか?
「はい。DNA鑑定をした結果一致しました。」
 突然どこからともなく茜ちゃんが出て来た。それにしてもアヒルの羽にDNA鑑定なんかするか普通。
「ある意味最も確実な方法とも言えるからな。」
 子羊宿さんが言った。それにしても一体どうしてそんなものがここに?
「体型をごまかすために入れてたからとか。」
 真宵ちゃんが最もな意見を言った。でもそれなら他の物でも出来たような気がするんだけど。
「何か事情があったのかもな。」
「それはそうとこれ見てくれない。」
「何か手がかりになるかもしれませんよ。」
 最近このパターンがおなじみになってきたような気がする。どうしてあの双子と紫音ちゃんはそこまで息がピッタリなんだろう。それにしてもなんでそこで出すのがそのワラ人形なんだよ。
「そいつを一体どこで見つけたんだ?」
「武羅布って言う人の所です。」
 これでセリフがないなんてことは無くなったな。それにしてもどうしてぼくはここまでセリフが少ないんだろう。
「武羅布ねえ。どっかで聞いたような気がするな。とにかくこいつは専門家に任せておくか。」 
 専門家?一体どんな専門家だよ。呪い関係なのか?

「専門家って言えばこんな時に頼りになる人がいますよね。」
 こんな時?一体どんな時だ?もう少しで満月だとか?
「おれはそんな呪いを抱えてないよ。おれが頼みたいのはこいつのことだ。」
 そう言ってさっき見ていたパソコンを見せてくれた。どうやら何かのファイルを開こうとしているけど入れないらしい。
「実はこいつはバロンの仇だった人のパソコンなんだ。名前は守亜堤人。あのかませ犬警部の上司だった人だ。」
 あのかませ犬警部の?それはそうと「だった」って一体どういう事だ?
「1年ほど前バロンを追いかけていて殉職した。自分1人でバロンを追いつめていたよ。どうやら部下を危険にさらしたくなかったらしい。かませ犬の場合はパクリか権力を見せつけたいだけだろう。」
 なにげにひどい事を言ってるな。でも何かわかったような気がする。子羊宿さんが開こうとしているのはもしかして。
「ああ。彼の捜査ファイルだ。あの人はどうやってバロンを追いつめたのか部下にも話さなかったからな。これを見られれば少しは何かわかるかもしれない。とにかく流に頼んでみてくれないか。」 

 子羊宿さんがそういうとなぜか無限君が携帯を取り出して電話をかけた。
「もしもしリュウ。おれだよ。」
『一体なんの用ですか?』
「つれないなあ。仮にも先輩が頼んでるんだぜ。」
『あなたたちが探偵学園を卒業したのはぼくが入る前だと思いますが。先輩とか言われても困ります。』
「よく知ってるな。本当はQクラスに入れる考えもあったみたいだけど都合があったんだ。まあいいだろ。おれたちとお前の仲なんだ。とにかく頼みたいことがあるんだよ。話ぐらい聞いてくれよ。」
『すみませんが事件で忙しいんです。また今度にして下さい。』
ツー、ツー、ツー。
「事件で忙しいんだってさ。冥王星も壊滅したっていうのに。」
「ドラマの話だろ。でも全何巻とか言ってたから同じ事か。」
「別に冥王星だけが事件を起こすわけじゃないでしょ。」
 おいおい。ちょっと待ってよ君たち。なにこんな時に世界も時空も完全に飛び越したボケをやってるんだよ。そっちだったらカズマの方に頼むよ普通。そうこうしている間に空悟君がとっくに電話をかけていたようだ。どうやらすぐに来るらしい。これからどうしようか。
「とりあえず烏賊様の家族について調べたらどうだ。一応住所はあるし。」
 子羊宿さんが烏賊様さんの家族の住所を教えてくれた。とにかく流さんがセキュリティ解くまでヒマだろうし、ぼくらはとにかく烏賊様さんの自宅に向かった。
        
                                   つづく

■作者からのメッセージ
次回でいろいろわかると思います。

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