Sekai No jumin history 2006-7(SS)vol.1
作者: 世界の住民   2007年08月27日(月) 22時01分01秒公開   ID:X3VGA/8VXOs
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1、WILL〜彼らのその後〜(成歩堂ver)


 僕の名は成歩堂 龍一。
 現在は、コンビニでバイトをしている。月給は20万以下だ。
 おんぼろアパートで一人暮らし。毎日がつまらない
 そんな僕にも、輝かしい時代があった。3年も前のことだが……


 3年前、僕は弁護士だった。ちょっぴりだが、名の知れた弁護士だった。
 被告人はいつも絶体絶命!!!そんな時でも、僕は彼らの無実を信じ、
 つなわたりの、半分死にかけの裁判で、無罪を勝ち取ってきた。
 思えば葉桜院の事件。あれが最後だったように思う。大きな依頼。
それからは、小さな依頼が少しずつきてたぐらいだ。確かに、お金には少々困ってた。でも楽しくやってきたんだ。
 僕には、そう、友がいた。
 たくさんの友達彼らはいつも、僕を支えてくれた。昔は。
 今はどうだろうか?

 事態が急変したのは、そう、3年前の秋ごろだろうか?
 ある大きな出来事があったのだ。
 僕の事務所によく来ていた、助手の綾里 真宵って子が突然……

 ――結婚してしまった――

相手は、御剣 怜侍という。小学校の同級生で、検事をやっている。そして……

 ――僕の親友だ――

 どうして、こんなことに? 僕には何も言ってくれなかったんだ。誰も……
 結婚報告を、真宵ちゃんから受けたとき、彼女は、御剣について、こう話していた。
「大好きなのよ! なるほどくんより好き!!」
 ショックだった
 身を切られるような思い……
 彼女とのさまざまな出来事が浮かんできた……

 初めて会ったときのことだ。

 千尋さんが死んで、真宵ちゃんにであった。
「弁護士さん……私を信じてくれますか?」
 彼女の顔、今でもはっきり覚えてる。

 コロシヤに誘拐されたとき、僕は必死だった。
 あの裁判の感覚、今でも忘れない。
 いろんなことを、彼女とともに歩んできた。それなのに、どうして!
 何も言ってくれなかった? 御剣と結婚した?



 正直、御剣をうらんだ。でも、そんなことしても意味がない。


 そして、結婚式。和人は、ゴドー検事だった。
 どうして、僕じゃないんだ?僕は御剣と真宵ちゃんが幸せそうにしているのを見て涙がでてしまった。
 すぐにハンカチでぬぐう。
 真宵ちゃんは、御剣を手伝うというので事務所に辞職願を出して春美ちゃんとともに

 ――出て行ってしまった――

 辞職願には一言、こう書かれていた。
「なるほどくん、幸せになるからね!」
 そして、僕は一人になってしまった。

 でもまだ、友はいるのではないか?


 確かにまだいるのかもしれない。
 たとえば誰がいる?
 カルマ検事……彼女は、アメリカに行ったままだ。
 矢張……あいつは恋人とついにゴールイン。スイスにいる。
 ゴドー検事……あの人は今も消息を僕にあかさない。真宵ちゃんの結婚式には、御剣に特別に招かれた。
 イトノコ刑事……マコちゃんと結婚し、一人子供をもうけた。

 みんな幸せになった。
 僕だけ、一人ぼっちだ。

 結婚式の帰り、事務所で一人泣いた。

 そして、僕の中で何かが始まった。


「なんで、僕は一人なんだ?」
「そもそも、誰のおかげで真宵ちゃんは生きてこれた?」
「僕にいけなかったところはあるのか?」
 気がついたら、朝になっていた……



 僕は、その夜は一睡もしなかったのだろう。依頼もない。あったとしても、僕につとまるのだろうか? 自信に満ちていたあのころ……

「あなたを絶対に無罪にしてみせます!」
 って、言ってたっけ。
 でもあのころは、彼女がいた。
 真宵ちゃん……
 僕は君が好きだったのかな? 答えはカミサマにもわからないだろう。
 誰にも……
 唯一、知る人物がいる。まぎれもない、僕だ。でもわからないんだよ、真宵ちゃん。
 どうして、どうして、御剣なんだい?

 また涙がでてきた……



 どれくらいたっただろう。僕は今、ビタミン公園にいる。
 僕には今、時間、場所、距離の感覚がない。自分自身が保てるのか自信はない。
 ベンチにもたれてただただ、ぼーっとする。何も考えない、一番楽しい時間。
 でも、涙があふれてくる。こんなとき、励ましてくれる人は……今はいない。
 昔はいた。かけがえのない友たちが……
 
 気がついたら、外はもう真っ暗だった……もう帰ろう。ベンチから離れ、ぼーっとしながら歩き出す。
 なにか、考えるたびに涙がでてくる。すべてを失った気分だ……

 途中、誰かにぶつかってしまった

「すいません」
 僕はぼそりと言った。相手は髪にない傷だらけの老人だった。すると、僕を呼ぶ。
「待て」
 僕は驚いた。すぐ振り向く。
「君はもしかして、成歩堂 龍一殿かね?」
 うれしかった……僕はまだ、存在してる。それだけでよかった。
「はい」
 その老人はうれしそうに言った。
「おお! そうか! 孫が世話になったのう。昨日、刑務所から出てきたもんでな……」
 孫? 僕は、この人の孫とかかわりがあるのか?
「あの、お名前は……」
 老人は握手するように手をだし、言った。
「鹿羽 権太と申す。」

 ……鹿羽。ウラミさんの事件のやつだ。あの事件が浮かんでくるなあ。
 偽者の僕。あのころ、偽者のことで真宵ちゃんともりあがったよな……
「どうかされたか?」
「いえ、何でも」
「少し、我が家に来ないか?」 


 このことが、僕の運命を決定づけるなんて知るよしもなかった……


 鹿羽家にやってきた。何人かのやくざがうろうろしていた。うらみさんのおじいさんがお茶をだしてくれた。
「ささ、飲んでくだされ。落ち着かれよ」

 そのお茶はあったかくて、涙がとめどなく出てきた。その時、一人のやくざが近寄ってきた。
「どうかされたか?」
「いえ……何も……」
 すると、やくざはいった。
「悲しきことありのようだな……」
 すると、やくざは、腕をまくり、大きな傷を見せてくれた。
「これは昔、俺が親から付けられた傷だ。親はひどいやつだった。酒ばっか飲んで仕事の憂さ晴らしに俺がよく使われたのさ。学校はもっとひどかった。ずーっといじめられ続けたもんだ。誰も味方のいない、一人ぼっちだった」
 ”一人ぼっち”この言葉が僕に響きわたった。
「そんでよ、今、俺を唯一受け入れてくれる場所……それがここさ」
 そう言うと、やくざは泣いていた。

 その時、鹿羽氏が言った。
「どうだろう? おぬしが孤独なのは何となくわかっとったよ。ならばここに入らないか? きっと、きっと皆が助けてくれるだろう」  

 僕がやくざに……なる。考えてもみれば、あってはならないことなんだろうな、でも……

「はい……」
 こうして、僕は鹿羽組に入ることを決意した。



 僕は、鹿羽組に入った。服装は、黒のスーツ、サングラスで決めた。
 鹿羽氏を尊敬し、”組長”と呼び、敬語を使う。それ以外は、組内で迷惑をかけないぐらいしか決まりはない。あの傷を見せてくれたやくざは、”首きり屋の七男”と呼ばれているそうだ。
 そいつの隊に僕は入った。
 第五隊というそうだ。隊長は、”惨殺王 黒次郎”である。


 僕のやくざ生活が始まった。




 まず、朝起きたらすぐに、隊長の家に向かう。
そこでミーティングをしてから、任務を言い渡される。
 任務にも階級があり、上から、組長命令、本部命令、隊長命令、自己任務
自己判断や、臨機応変に仕事をこなさなければならない。

 とても大変だった。新人やくざは、上からの任務が多く、自己任務はあまりない。組長も「3年ぐらいは上からの任務でいい」と言っていた。いろいろあるが、やはり楽しい。昔のことなど、忘れられたのだった。
 いつしか、七男、黒次郎とは親友と呼べるようぐらいの仲間になった。楽しく、明るく、時には苦しくとも友がいる。そんな生活が1年続いた。


 一年たって、僕は「冷徹な鬼 龍一」の名で知れ渡り、やくざ界では有名になった。黒次郎、七男とともに、「鹿羽組3人のつわもの」になった。
ある日、組長からこういわれた。

「お前はやくざの天才だ。一年でここまでくるとは……その功績は無視できん。そこでお前に組をもつことを許す・・」
「ほ、本当ですか!ありがとうございます!」
「ただし、独立にはまだ早い。そこで、会社でいう子会社のようなものをお前にやろうではないか」

 組をもつ。それはやくざ界ではそれはそれは名誉なことである。
 黒次郎と、七男は、やはり組長から組をもつよう言われたが「3人で組をつくりたい」と言っていたそうだ。あの二人も僕の組に入ることになった。

 そして、成歩堂組が誕生した。副長にはもちろんあの二人を迎えた。組員数はざっと200人ぐらいはいるだろう。ぼくは、幸せの絶頂にいた。



 あの電話がくるまでは……


 半年がたち、僕は久々に自分が昔いた事務所に帰った。なつかしい弁護士時代……もう戻ることはないが。
 やくざに入ってから、弁護士の資格は捨てた。ソファーにもたれかかり、ぼーっとしてると、電話がなった。

「誰だろう?」

 電話を手にとった。
「もしもし?」

「なるほどくん? なるほどくんなの!」
「君は、まさか……」
「あたしよ! 真宵! 忘れてないでしょう!」
「ま……よ、い……」

 あの時の、すべてを失ったあのときが、頭によみがえってくる……

「ねえ! 聞いてるの?」
「え、ああ……」
「今ね! 怜侍と一緒にパリにいるの! 子供もいるんだよ! 明日帰国するんだ」

 な、なんでそんなことを、いまさら、僕に?

「そ、そう……」
「弁護士、ちゃんとやってる? あたしがいないとだめかな〜」
「もう、僕は……」
「え、どうしたの?」
「……」
「ちょっと、なるほどくん? ねえ?」

 僕は、電話を切った。そして誓った。
「真宵ちゃん、君を殺す!」

 電話のことは二人に打ち明けた。二人はかんかんに腹を立てていた。
「なんだ! その女! 龍一をふったやろうのくせに! ふざけやがって!」
 黒次郎が憤慨する。

「首を……切ろうか? 龍一?」
「そうだね、僕も、許すことはできない!」

「成歩堂組はいまや600人の大きな組だ」
「そうだな、殺して、もみ消すには、十分だぜ」
「よし……フランスに帰国を見計らって、空港で射殺!」
「それでいこう」
「誰がやる?」
「適任がいる。成歩堂組、第一隊長で、瞬殺スナイパーの大島だ」
「確かに大島なら、確実だな」
「明日、成田空港で、血しぶきがあがるだろうぜ」



 そして、次の日の朝がきた。
 僕は何もしない。大島の朗報を待つだけだ。

 2時間後、電話がなった。
「もしもし……」
「組長! もうしわけねえ、失敗した!」
「なんだと!」
「いや、確かに、女を殺しやした! ただ、夫に、か、肩を打たれて……」
「御剣か……」
「もう、逃げられない……世話になりやした!」

 電話の向こうから銃声が鳴った。

「大島……」
 
 それから、夕方になった。
「大島……今までありがとう」
 その時だった! なんと警察が成歩堂組に入ってきたのだ!
「家宅捜索だ!空港で女性を殺した男の組を捜査させてもらう!」
「ふざけるなー!!」

 組員が激しく抵抗する、しかし、それもかなわなかった。。
「成歩堂組 組長 成歩堂 龍一! ならびに、副長、加賀見 黒次郎、細田七男! 任意同行願う!」
 こうして、僕らは、警察に連行された。


 そして、警察の留置所の中にいた。取調べが行われたが、あの事件に関係した証拠はどこにもない。明日にでも釈放されるだろう。


 留置所に来た、鹿羽氏からこう言われた

「残念だ。本当にな……はっきり言おう、最善は、お前たち3人がやめることじゃ……」
 ぼくは鹿羽組のことを考え、言った。
「わかりました。長い間、ありがとうございました」
 僕は職業を失った……

 その次の日、僕らは釈放された……

 黒次郎は大賀組というところに雇われ、七男は。これまで犯してきた殺人をあばかれて死刑になった。僕はまた一人だ。しかも、弁護士バッチはもうない。
 ――すべてを失ってしまった

 そして一年、今現在、僕はコンビ二でアルバイトをしている。もう少しで正社員になるだろうか……今思えば、あのときが一番楽しかったなあ。弁護士のころが。
 
 ――真宵ちゃん、ごめん――


              
2、吟遊詩人〜矢張ver〜
                

 (あ〜あ……またふられちまった……)

 俺の名は天流斎 マシスだ。もともとは、矢張 政志と言う。
 今日、また彼女にふられちまった。
「あなたより、写真をとるわ」この一言だ。
 俺はこんなことを繰り返してきた……でも、俺には忘れられない、女がいる。
 そいつは、無差別に殺されちまったけどな。
 俺は被害者になっちまったけど、成歩堂が助けてくれた。

 そいつに、もう一回、会いたい、そして、話がしたい。

 やれやれ、何考えてんだか……
 ちょっとぶらぶらしよっと……

⇒To Be Continued...

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