司る者の逆転3
作者: 厄介   2007年07月29日(日) 17時16分38秒公開   ID:a2NPBN.0RBI
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かなり、申し送れましたが、逆裁判4のネタバレがあります。注意。(以降、ネタバレあり)
 





   同日 午後3時30分 成歩堂なんでも事務所
忙しくなった一日だった。だいたい疲れ気味だったけれど、捜査をする気にはなれた。
「行くのかい?オドロキくん」
成歩堂さんの質問には答えられなかったけれど・・・、オレはやっぱり捜査をすることにした。
「行きましょう、成歩堂さん」
「・・・行くんだね。僕は・・、家で本でも読んでるよ」
「・・・・むぅ・・」
ま、仕方ないでしょう。オレはまた、現場へ直行した。

   同日 午後3時55分 榎家内広場
またまた、アカネさんが科学捜査をしていた。それが何故かオレは不自然のように思えた。
「アカネさん、またやってるんですか?」
「ああ、アンタ。アンタね、そのワインボトル貸して」
「いいですけど、何に?」
「話は後。使わせて」
と、オレが保存していたワインボトルを棚から取り出し、いきなり割り出した!
「うわっ、何するんですかっ!」
「やっぱりね・・・」
なんか、科学捜査官になりきったのかのように言うアカネさん。何が、なんなのさ!”やっぱりね”って。
「どうしたんですか?」
「この酒、半分減ってるわね」
「え・・・?」
「つまり、調べれば分かるのよ。誰が飲んだか・・・・」
「そんな、出来るわけが・・・」
そこで、アカネさんはニヤッと涼しげな笑いをして、
「アンタ、バカねー」
と言った。えらそうに思えたが、やっぱり、怒りは隠しておいたほうがいい。
「最新のカガクは凄いのよ。ワインの汁を調べるだけで、誰が飲んだかわかっちゃうの」
「へ、へえ〜(凄いな、アカネさん・・・)」
「やってみなさい、アンタ」
と、アカネさんは器具をオレに手渡した。
「ええ!そんなの、出来るわけが・・・」
「簡単よ、簡単なの。以外に」
「じゃあ、やってみようかな・・・」
「それじゃあ、いくよー!」
ここから、アカネさんの説明が始まった。
「汁を調べても意味ないだろうと思うけど、人はそれぞれ、唾液を持っているの」
「それは、知ってます」
「・・・。小さい頃に一度、検査が行われるんだけど、そのときに唾液がとられて保存されるのよ。そこで、これに実用されるの」
「へえ、恐ろしいね。案外」
「唾液の種類は全部、”特徴”としてデータに保存されるわ。比べるときはそれを使ってね。これ、名づけて”唾液比較調査器具”よ」
「へえ、すごいですね・・・」
早速、実践だ!・・・ええと、ワインの汁を取り出して、何か当てて唾液を取り出す・・。そして、比べる!
「・・・結果、出ましたよ。”灰汁智稼取の唾液”が出ました」
「じゃあ、彼が飲んだのね。・・いや、飲まされたのね・・」
「・・・?」
「アンタには話してないだろうけど・・・被告人が見つかったときの状況は・・・”棚が開いてそこから出された状態で発見された”の」
「え、ええ?そ、そんなっ!」

     〜発見された状況〜
「この棚を見て思うことは一つ。ただ、広すぎることだけなの。子供一人は入れそうな、ね」
なんだよ、じゃあなんで、逮捕したんだよ。
「だったら、冤罪じゃないですか。灰汁智さん」
「いや、違うの。それを理由に異議をとなえたのもいたけれど、結局は逮捕になったの」
いやいや、それ、言い訳に過ぎないから・・。
「・・・・・検証してみますか」
ちょっと棚に足を入れた。
「・・・・・・何やってるの、アンタ、死ぬつもりっ!?」
アカネさんは必死になって、棚をこじ開けた。
「入れましたよ、オレ。ただ、数ミリの隙間をあけないと、息は出来ませんね・・・」
「数ミリなら目立たないわよ。じゃあ、あたしの推測だけど・・・」

     〜アカネの推測〜
「この棚の中で、灰汁智さんが、誰かに酒を飲まされたんじゃないかと思うの・・・」
「オレもそう思いました・・・ってああ!」
誰かっていうと、そうだ。あの、”指紋なんとか器具”だ!(半分忘れてるけど)
「な、なに?」
「やればいいじゃないですか、科学捜査。ちょっとやってみますよ。・・・・・・・・・・・、結果、”指紋はふき取られてました」
「ふき、ふき取られた!?」
「なんか、こすった跡見えましたし、絶対そうです」
「ふうん・・・、そうなんだ・・・。じゃあ、一体誰にやられたんだろう・・・」
椅子に座って考え込むアカネさん。まわりで捜査をする捜査官たちは、やっぱりアカネさんが科学捜査をすることを、影でしばしば不審に思っていたことだろう。オレはワインの汁を人指し指でちょっと触ってみると、何か、違うものを触れた。
「あ、アカネさん・・・・」
おもわず、声をあげてしまった。
「なに?」
・・・オレの指に・・、ガラスがくっついていたのだから。アカネさんは、オレの人指し指をじーっと見つめていたが、そのうちに、ガラスを取り上げてしまった。
「ああああああっ!」
「・・・何よ、見るだけだから」
・・・・そして30分経ち、オレの顔は真っ青になった。
「分かったわ、これは”もう一つのガラスコップ”ね」
アカネさんはしゃがんで、こぼれたワインの汁に”欠片”が付いていないか、指でさわっていた。
「あ、アカネさん・・」
「何ボケッとしてるのっ!さっさと探す!」
・・・今日の裁判で少し、話題となった二つのコップ・・。オレもアカネさんと協力して、欠片を探すことにした。・・・が、一時間経った今も、欠片は”手で掴む部分”しか見つかっていない。
「駄目ですねえ・・」
オレはとうとう、疲れ果てて、アイスが溶けたかのように、床にうつぶせになった。
「あ、アンタ・・・あきらめるつもり・・・?」
「諦める・・って・・・」
「・・・別に、なんでもないわ」
ふっとアカネさんは立ち上がって、窓の上にある、張り紙を見つけた。そして、少しの沈黙の後、アカネさんは目を丸くして、怯え始めた。なんなの?アカネさん、何か・・・、とは、言えっこない。
「どうしたんですか?アカネさん・・・」
「あれを見なさい・・・」
どうしたんだろう?手が震えてるぞ、アカネさん・・・。その先には、あの張り紙があった。あれに、一体何が書かれているというんだ?
「・・・”子供は客であろうとも、9時に寝る。ただし、手伝いは11時10分まで”・・・!」
「でも、それは赤城さんが居たから出来たことで、実際には居なかったから・・やりたい放題よね・・・」
(ただそうだとしても、どこかに居たはずだ・・・。なんで”注意しなかった”んだろう)
(”榎家の家訓”の張り紙の縮小版を頂戴した)
それにしても・・、あのときの赤城さんの笑顔が、気になる・・。オレはあの棚をじっと見つめていた。そのとき、『ドゴンッ』とか音がしたが、最初は気のせいだろうと思っていたが、またしたので、不自然に思い・・・サッと棚を動かした。すると・・・。
「う、うわああああ!」
「どうしたの!」
「ひ、人が・・・いる・・・ッ!」
そのとおり、人がいた。つまり、地下に人がいたことになる。オレはそのショックで、2時間は気絶した。

「・・・丈夫ですか?」
ささやくような声がしたので、サッと起き上がった。そこで、椅子に座ってるアカネさんと、誰か。
「だ、誰ですか・・?」
オレは立ち上がって、みたこともない人に”疑惑の目”をした。しかし、何故かその知らない人は、わざわざ挨拶をしに来てくれたのだ。
「・・僕、僕は・・、株水木(くいぜみずき)といいます。ここのバーの・・、マスターです」
優しい人なのか、臆病な人なのか・・・。オレにはさっぱりだった。
「オレは王泥喜法介です。宜しくお願いします」
「こ、こちらこそ・・・」
なんか、こいつ・・・どうしたんだ?オレを見て怯えてるぞ・・・。オレを見つめる株さんと、株さんを見つめるオレは、椅子に座って話をすることにした。

   〜どこで何をしていたのか?〜
「僕・・ですか・・・?」
「ええ、どこで、何をしていたのか・・話してもらえませんか」
・・そのとき、株さんはオレの弁護士バッジをじろじろと睨みをきかせていた。
「・・・何か?」
「い、いえ・・・。弁護士だなんて、珍しいなと・・・思っただけです」
「席、外した方がいいですか?」
「いや、いいんですよ。オドロキさん・・・」
本当に大丈夫なの・・?この人。手に少しずつ汗が溜まってきてるけれど・・・。まさか、”緊張している”のか・・?
「大丈夫ですか・・?」
「ええ。ただあの日・・・、僕は地下で牛を見てました」
牛・・、牛なんか飼っていたのか・・。
「声とか、聞こえませんか?」
「声・・声・・・、ここの家は、地下の天井のみ、声が通らないようになっているんです。そう、例えばですけど、人の声って、1100Hzぐらいですよね?」
「ああ、それなら分かります」
「最高で90000Hzまで抑えることが出来るんですよ!」
「きゅ、きゅうまんへるつ・・・(超音波も抑えられるのか・・・?)」
「ねえ、凄いでしょう!?さぁ、地下へご案内しましょう」
調子に乗った株さんは、ふっと立ち上がって、ふっと地下につながっている鉄で出来た階段を、ステップを踏むように降りていった。アカネさんは、オレを見て
「行ってらっしゃい」
その一言だけだった。何が起きてるか分からないけれど、オレも階段を降りていった。

  同日 午後5時55分 榎家 牛家畜場 (地下)
なんだか、時間を無駄にしてしまったような気がするけど・・・、まあ、大丈夫だろう。ただ、まわりには大きな牛が左右に並んでいた。そして目の前に、株さん。
「ここが、家畜場です。よろしく。・・・さあ、わらの上で話でもしようか」
株さんは気軽に座るが、オレはどうしても座る気にはならなかった。・・・理由は言えないんだけどね。
「あの、オレ、立って話しますから」
「そうなの?残念だなあ」
そして、話は始まった。でも不自然な感じがしてならない。まわりには牛もいるし、ハエがたかって邪魔にしかならないし、そして、奥で物音もする。たわらを一歩踏みにじる音が、何か違う感覚がした。
「株さん、奥から音がするんですけど・・・」
「ん?奥はオレの寝床。中で犬飼ってるんだ」
・・・犬ねぇ、それにしても、泣き声すら泣かない犬って・・・、ああ、あの天井だけだっけ、声が通らないってのは・・。ついでに、株さんから一言。
「あの犬暴れやすいから、鍵閉めてるんだよ。分かってもらえるかい?」
わからないよ!・・・とは言えないし、駄目・・とも言えない。
「・・・なんとなく、分かります」
「さぁ、話でもしましょうよ♪」
話っていうか、出来るか分からないど・・・。

     〜建築と設計〜
むしむしするんだけど、暑いんだけど・・・。株さんは慣れているのか・・?
「ええと・・、株さん・・」
「なんだい?」
「・・この家の設計と建築って、誰がしたんですか?」
牛の手触りが心地よいのか、触りながら、笑顔を作る株さん。少し間を置いて、オレに視線を戻した。
「建築は別だけど、設計は切儀圭(せつぎけい)っていう人でね。切儀氏にあるとき注文が出たんだよ」
「だ、誰から・・・」
「夫喬さんだよ。”牛を飼うから”っていう理由で、きゅうまんへるつまで抑えられるこの天井を作ったんだ」
株さんは顔を上げ、天井を見た。確かに、重たそうな天井である。
「この前、切儀さんは設計図を置いてったんだけど・・・。あげるよ?」
「ああ、貰います!」
(榎家の設計図を受け取った)
「意外と、細かいんですね・・・」
「んん?まあね・・・。細かいのは当たり前なんだけどね」
と、オレのポッケからあの”株価表”を取り出した。すると、以外な顔が。株さんは眉間に皺を寄せた。
「どうしたんですか・・?」
おそるおそる聞くと、株さんは顔を眉間から皺を離した。
「んん?ああ、あのね。”タコージCTEL”社。一ヶ月でこんな株価上がるなんて、凄いなあ・・・って、思っただけだよ」
「一ヶ月って、10月の・・?」
「うん。これは新聞にも”大記事”として掲載されていたんだ。切り抜きあるから、一枚あげるよ」
(報道紙・10月の株価表の切り抜きを受け取った)
株さんだから、株に興味があるのかな・・・。って、ダジャレだけど・・。あと、例の”アクアジカ”について聞いてみるかな。

   〜アクアジカの情報〜
「株さん!アクアジカさんについて知っていること、ありませんか?」
「アクアジカ・・ねえ、灰汁智のことじゃないの?」
「彼は、まだ十五歳です。動機でもなければ、何も出来ないはず・・・」
そのとき株さんは、手を止めて、こっちを睨んできた。
「・・・王泥喜さん、書原清のことは、やめろ」
どうしたんだ・・・。株さん、いきなり口が悪くなって。
「どうしたんですか?何か、悪いことでも・・」
「王泥喜法介、出て行け・・!」
「そんな、どうして・・・」
「うるさい!出て行くんだ!もう、地下に顔を見せるんじゃない!絶対・・・」

⇒To Be Continued...

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