逆転スクール
作者: たこやきDJ   URL: http://gyakutensaibansaikoudesu.rakurakuhp.net   2011年06月20日(月) 23時23分49秒公開   ID:L1CnfYzsw4k
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※この小説では逆転裁判4の設定をとりいれていません、予めご了承ください












中学校。
小学校の教育を基礎とし、小学校の課程を修了した生徒に心身の発達に応じて、
義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする、
前期中等教育段階の学校である。
また、友達などと遊んだり、
部活動に精を出したり。
勉強以外の事も充実している。
また、青春というものも存在している。
それらを楽しみ、遊びと学びを両立したものが充実した生活を送れる。
……が、その裏には「いじめ」という残酷で陰湿な事が行われていることもある……。


?月?日?時?分 学中学校 音楽室

放課後の音楽室。
時刻は5時30分を上回り、部活動を終えた生徒たちが既に帰路についている時間。
だが、この教室に数人の生徒が居た。

「やめて! 痛い!」

その数人の生徒の一人の女子生徒は、掃除用具入れを背に立っていた。

「やめて! やめて!」

その言葉を無視し、消しゴムや濡れ雑巾、様々の物を投げつける他の生徒たち。

「やめ……」

顔に黒板消しが直撃する。
チョークの粉が口に入り、むせた所で、生徒の一人が思い切りお腹を蹴る。
彼女は掃除用具入れに叩きつけられた。
そんな彼女の姿を見て他の生徒達は笑う。
そして、音楽室から出ていった。
彼女は蹴られたお腹を押さえながらフラフラと立ちあがろうとしたが、痛くて立てない。

「なんで私だけがこんな目に……」

お腹を押さえながら彼女は呟く。

「いつか……殺してやる」

彼女の名前は佐多中 絵美(さたなか えみ)、
クラスの生徒たちからいじめを受けている。


5月17日午前8時 成歩堂法律事務所

5月17日、春なのにまだ少し寒い季節。
僕は寒さに震えながら、新聞を読んでいる。
僕の名前は成歩堂龍一。
知る人ぞ知る、名弁護士だ。
いつもはもうちょっと遅めにこの事務所に来るんだけど……。今日はいつもより早めに来た。
その理由だけど、それを説明するには一昨日の事を話さないと……。


――成歩堂法律事務所の手紙入れに、一通のチラシが入っていた。
内容は……。

「学中学校 学校見学のお知らせ
 
 木漏れ日が暖かい陽気な季節となりました。
 皆さまもお体にはお気をつけください。
 今回は学中学校の学校見学についてお知らせしたいと思います。
 
 日時・5月17日 午前9時 正門前
 概要・下部に詳しく
 

 概要ですが、学中学校が普段どんな活動をしているか、
 それを一般公開し、皆さまに学中学校の事を更に知ってもらうというものです。
 今回は、生徒の親以外でも参加できます。
 
     学中学校校長 矛盾総一郎」

学中学校とは、大分前にここの近所に出来た中学校だ。
要するに……僕でもその学校がどんなところか、見学できるらしい。
僕は数日前の春美ちゃんとの会話を思い出した。

『私……中学校とは、どんな所か見てみたいです』

『春美ちゃんの通っている小学校の周りには中学校無いの?』

『うん、倉院の里には小学校はあるんだけどね、中学校は電車で6km移動しなきゃ無いの』

『それは……不便だね』

『そうなのです……なので、もしチャンスがあったら、とても見てみたいです』

……という会話だ。
この会話には真宵ちゃんと春美ちゃん云う女の子が出てきたのだが……説明は必要ないよね。
それはさておき、これは絶好のチャンスだと思う。
この事を真宵ちゃんに話したら、物凄く喜んでくれた。
明後日の午前八時ごろ、こちらにやってくるらしい。


――とまぁ、こんな事があったわけだ。
という訳で、現在時刻午前八時十分。
後二十分もすれば来るはずだけど……。
その時、事務所のドアが勢いよく開いた。

「おじゃましまーす!」

入ってきたのはもちろん、真宵ちゃんと春美ちゃん。
いつもの格好。いつもの髪形。だけど……。

「その……背負っているものは何?」

僕は霊媒師達が背負っている赤い物体を指さす。

「これ、見ればわかるでしょ、ねーはみちゃん」

「ええ、これはどう見ても……」

そこまで言うと、二人は同時に、

「ランドセルだよね」

と言った。
そう……二人はランドセルを背中に背負っているのだ。
しかも赤い。

「いや、なんでランドセルを背負ってるの」

僕はとりあえずそこをツッコム。

「わたくし、中学校が見学できると聞いて、もう昨日は眠れませんでしたとも!」

い、いや、僕が訊いてるのはそんなんじゃなくて。

「はみちゃん、張り切ってたからねー」

誰か僕の質問に答えてくれぇ……。

「あの、なんでランドセルを背負ってるの」

「今説明したよ、張り切ってたからだって」

理由になってない!

「とりあえず、それを背負っていかないでよ」

僕がこういったのには理由が二つある。
一つ目、恥ずかしい。
二つ目、少し、本当に少しだ興奮する。
……ロリコンじゃないぞ!ただの子供好きだからな!

「えぇー! ランドセルは小学校のステータスなのに」

今から行くのは中学校なんだけど。
まずステータスって何さ。

「とりあえず、それは下ろして行ってよ」

僕がランドセルを下ろすことを強要すると、二人はしぶしぶとそれを下ろした。

「なるほどくんのけち」

ぼそっと言われた。
なんだろう、心に刺さった。
そもそもけちとかそれ以前の問題で……。

「なるほどくん、行く準備はできていますよね」

突然春美ちゃんが訊いてくる。

「え、うん」

「じゃあ早く行こうよ!」

真宵ちゃんはほっぺを膨らませながら言う。

「テンション高いね、さては真宵ちゃん、学校見学楽しみにしてたでしょ」

「えへへー、まぁね」

真宵ちゃんは照れ笑いをした。
彼女は幼いところもあるが、それと同時に純粋でもある。
まぁ、世の中では純粋すぎて起こった事件もあるのだが、それは別の話だ。

「というわけで、早く行こうよ」

何が、「というわけで」なんだろう。
照れ笑いをした事が「というわけで」にどうつながるのだろうか。

「真宵ちゃん、まだ十五分だよ。学中学校まで徒歩で五分だし……。後四十分は大丈夫でしょ」

具体的な数字をあげて説明するが、真宵ちゃんは多分あきらめないだろう。

「なるほどくん! 転ばぬ先の杖って言うでしょ。早く行こうよ」

予想通り、やっぱりあきらめなかった。
転ばぬ先の杖……使い方が違う気がする

「真宵様、それは一寸先は闇の事かと……」

「あーそれそれ、似てるから間違えちゃったよ」

「転ばぬ先の杖」、「一寸先は闇」、同じのは「先」だけじゃないか。

「どうしても認めてくれないなら、私にショーコを見せてよ!」

真宵ちゃんが突然言い出す。

「証拠?」

僕はポケットからあのプリントを取り出して突きつけた。
一応、証拠品にしておこう。

(証拠品・学中学校のプリント)
「学中学校のプリント
 (詳細)で読める」
(詳細)
『学中学校 学校見学のお知らせ
 
 木漏れ日が暖かい陽気な季節となりました。
 皆さまもお体にはお気をつけください。
 今回は学中学校の学校見学についてお知らせしたいと思います。
 
 日時・5月17日 午前9時 正門前
 概要・下部に詳しく
 

 概要ですが、学中学校が普段どんな活動をしているか、
 それを一般公開し、皆さまに学中学校の事を更に知ってもらうというものです。
 今回は、生徒の親以外でも参加できます。
 
     学中学校校長 矛盾総一郎』

       くらえ!

   (証拠品・学中学校のプリント)

「真宵ちゃん、このプリントを見る限り、午前9時、正門に集まることになってるよね。今は15分、明らかに早すぎるよ」

僕は真宵ちゃんを納得させようとしたのだが、真宵ちゃんは不満そうな顔をしている。

「なるほどくん……新鮮味に欠けてない?」

いきなり変な事を言い出した。
新鮮味って何。

「いやね……もっと、わくわくする感じが欲しいの。例えば……私が証言して、なるほどくんが突っ込む」

……へ?

「証言って……ここ法廷じゃないよ」

「いいからいいから、時代は変わったんだよ」

何が言いたいのか良く分からないけど……これで真宵ちゃんの気が済むなら、やってみるか。

       証言開始
     〜時代は変わった〜

「なるほどくんはまだ行くには早いと言ってるけどさぁ……」
「そんなに言うなら証拠を見せてよ」
「さっきも見せてもらったと思ったけど、もう一度見せて」
「やっぱり、こういう証言は新鮮味があっていいね」

「真宵ちゃん……僕はどうすればいいの?」

「うーんとね、これは御剣さんから聞いたんだけどね。事件現場で直接尋問をする事があるらしいよ」

「ふーん……でも、事件起こって無いよ」

「それは気にしない! ほら、ツッコムツッコム、まさか、尋問のやり方忘れた!?仕方ないなぁ、私が教えてあげる」

真宵ちゃんは勝手に話を進める。

「まず、相手をゆさぶって、新たな証言を引き出したい時は「ゆさぶる」、矛盾を突きつけたい時は「つきつける」で証拠品を選んで突きつけるの。ほら、やってみよ!」

よく分からないけど……法廷と同じように、尋問ができるらしい。
全く、これではチュートリアルじゃないか。
要するに、ゆさぶることも突きつけることもできるらしい。
とりあえず、やってみよう。

       尋問開始
     〜時代は変わった〜

「なるほどくんはまだ行くには早いと言ってるけどさぁ……」

       待った!

「そりゃ時間が……」

       待った!

僕が全部言う前に、真宵ちゃんが「待った!」と言った。

「そう言う時は、証拠品で私を納得させてみて」

やっぱり、ここは突きつけないと納得してもらえないようだ。
早く終わらせたいし、さっさと突っ込んでしまおう。


「そんなに言うなら証拠を見せてよ」

       異議あり!
   (証拠品・学中学校のプリント)

「真宵ちゃん、さっきも言った通り、9時に集まるの、まだ早いの」

これでやっと納得してくれる。
そう思った。

「フフフ……なるほどくん、アレアレ」

真宵ちゃんは時計を指さした。
……8時50分。
うそ、もうこんな時間?

「これでもまだ早い?」

どうやら、真宵ちゃんと色々やってる間に、時間が結構過ぎたようだ。

「うー……じゃ、行こうか」

僕は観念して行くことにした。
読みかけの新聞の続きが気になる。

「ふふふ……お二人とも、仲がよろしいのですね」

春美ちゃんが何か言った気がするが多分気のせいだろう。
僕たちは学中学校へ向かった。
だけど、この時はまだ思いもしなかった。
ただの見学のつもりが、あんなことになってしまうなんて……。


同日午前8時55分 学中学校 校門前

僕たちは学中学校についた。
見る限りは普通の中学校だ。
学校見学と言うだけあって、他の人たちも結構いる。

「ここが中学校ですか……大きいですね」

春美ちゃんがぽかんと口を開け中学校を見つめていた。

「そんなに大きいかな? 僕が行った所もこんなもんだったけど……」

「なるほどくん、倉院の里にはあまり子供が居ないの。だから、小学校もそこまで大きくないんだよ」

僕は倉院の里に何回か行った事があるけど、確かに春美ちゃん以外の子供は少ししかいなかった。
あれだけならそんなに大きい必要はないだろう。

「へぇ、そうなんだ」

真宵ちゃん達と雑談をしていると、いきなり僕に誰かがぶつかってきた。

「あ! ごめんなさい」

ぶつかってきたのはメガネをかけた女の子だった。
ストレートなロングヘアーだった。

「あ! ちょ」

ぶつかってきた女の子は、僕が言い終わる前に足早に去って行った。

「あの様子だと、遅刻だね〜」

真宵ちゃんがニヤリと笑いながら言う。
なぜニヤリと笑ったのかは突っ込まないでおこう。

「あれ? 何か落として行ったようですよ」

春美ちゃんは、そう言うと何かを拾った。

「それは……消しゴムだね、ちょっと見せて」

僕は春美ちゃんから消しゴムを受け取ると、名前が無いか確認した。
私的な意見だが、こういうのには名前を書いておくのが普通だと思う。

「えーと……佐多中絵美って書いてある」

消しゴムのカバーに名前が書いてあった。

「どれどれ……ホントだ、会ったら渡してあげないとね」

とりあえず、僕が預かっておくことにしたんだけど……一つ気になる事がある。
この消しゴム、異様なまでに汚れているのだ。ホント、異様に。

(証拠品・消しゴム)
「佐多中絵美と云う子の物らしき消しゴム
 異様なまでに汚れている」

「皆さま、おはようございます」

突然、校門から校長らしき人が出てきた。

「どうもどうも、私、校長の矛盾 総一郎(ほこたて そういちろう)でございます」

やっぱり校長先生だったらしい。
黒の燕尾服、髪の無い頭……。
これが校長じゃなかったら何なんだ。

「今回は私学中学校に来ていただき誠にありがとうございます」

校長なのになぜか揉み手をしている。
一瞬カツラを投げてきた人が頭の中に浮かんだ。

「長々しい話もなんですし、今回の詳細を言いますと、三人に一人、専門の教師がつきます。そして、その教師が皆様のご案内をさせていただきます」

⇒To Be Continued...

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