作者: ライチ   2010年11月20日(土) 19時08分17秒公開   ID:pZbt4T5VtiM
?月?日 ?????
「・・・つるぎ!」
「・・・・?」
この声は…誰の声だ?」
「御剣ッ!」
…なるほどう、か・・・?
「御剣…死ぬなッ!」
それ以前に殺すなッ!

・・・既視感を感じる。確か―前にもこんなことがあったような気がする。15年程、前のハナシだ―











15年前 成歩堂 龍一・御剣 怜侍小4
「御剣ィッ!」
「成歩堂・・・?」
「お前、階段の一番上から落ちたんだぞ!!大丈夫か!?」
そうか。私は、矢張に押されて階段から落ちたのか。…しかも、一番上から。
「痛むトコロはないか!?」
「む・・・大丈夫だ。」
「…ホントはどこか痛むんじゃないのか?」
う。…コイツの観察力はこういうときばかり、何故か鋭い。
これ以上嘘を吐いても更に追求されるだけと思い、私はスナオに言うことにした。
「少し…後頭部が痛む。」
「後頭部!?大丈夫か!?」
彼は、心配そうな顔で、私の後頭部をさする。
「だ・・・だいじょうぶ・・・だ・・・」
ああ、意識が遠のく・・・
「御剣ィ!」




「・・・るぎ!・・・つるぎ!」
なる、ほどう・・・?此処は・・・?
「死ぬな!御剣!」
勝手に殺すな!
「御剣!お前はホントにいいヤツだったよ…」
矢張までッ!だから・・・
「勝手に人を殺すなっ!!」
そう叫んで体を起こすと、成歩堂と矢張は驚いた顔でこっちを見た。
「それ以前に矢張!キサマのせいだろうがッ!」
「み・・・御剣、大丈夫だったの?」
「当たり前だッ!   ・・・ッ!」
大丈夫だと思ったが、矢張りまだ少し痛みが残るようだ。
「ほらほら、まだ寝てないと!」
「う、うム・・・」
私は彼にいわれるまま、再びベッドに横になった。



私が再び目を開けると、白い天井が目に入った。
成歩堂達は・・・いない。当然か。もう授業は始まっているのだからな。
「あら、レイジくん。起きた?」
白い白衣を着た、保健医の先生が問いかける。
「この調子だと大丈夫みたいね。でも、くれぐれも今日は安静にね。」
「はい。」
「誰かがすぐに首の辺りを安定させてくれたのも大きかったわ。一体誰がやってくれたのかしらね?」
保健医の先生がイミありげに微笑む。
私には―思い当たる節があった。当然―あのオトコだ。

その日の帰り道は、矢張、成歩堂、私の3人で帰った。“その日は”といっても、ほとんどはこの3人で帰っているのだが。
「なぁ、御剣・・・」
「なんだ、成歩堂。」
「僕さぁ、やっぱ御剣が無事で良かったと思うよ。」
それはキミのおかげだ、成歩堂。と云いたかったけれど・・・云えなかった。
・・・つくづく、自分のこの性格が嫌になる。
「いやァ、助かって良かったよなァ、御剣ィ。」
「お前はもう少し反省しろッ!」
そういう成歩堂の言葉は、今までにない・・・なんというのだろうか。迫力・・・?とりあえず、今までにない、何かを感じた。
・・・おかげで矢張は半泣きになっていたが。
そんなこんなで、しばらく歩き、分かれ道。
「じゃあな、御剣。」
「あ、ああ・・・」
と、礼を言えぬまま、15年が経ってしまった。
(懐かしいな・・・)
そう思った。しかし彼はこの頃から、馬鹿でお人好しで、人を信じることしか取り柄が無い、成歩堂 龍一≠セった。
それからまもなく、私はあの事件に遭遇し、15年間、彼と逢っていなかった。
しかし、この出来事は、彼でいう学級裁判と同じくらい、私にとっても大切な
思い出だった。






?月?日 ?????
「・・・つるぎ!」
誰だ・・・?
「なる・・・ほどう?」
目を開けた途端、
「御剣ィィィィッ!」
と叫びながら成歩堂が飛びついてきた。
「成歩堂?どうしたというのだ!?」
聞けば、この成歩堂 龍一≠ヘ弁護士の成歩堂らしい。
そして、此処は―お馴染み、成歩堂法律事務所。
どうやら戻れた――みたいだな。
「御剣さ、叩いても蹴っても起きなかったから心配したんだよ?昨日から様子もおかしかったしさ!」
・・・まぁ、此処には弁護士・御剣 怜侍がいたのだから、当然といえば当然、か。
「御剣死んだらどうしようかと思った・・・」
「縁起でもないことを云うな。」
冷たく言い放つと、成歩堂はニコニコ笑っている。
「何を笑っている。」
矢張り冷たく、彼に訊く。
「いや、だってさ。戻ったなぁ、と思ってさぁ。」
この疑問の一言について、もう少し訊いてみることにした。
「どういうことだ?」
「いや、だってさ。やっぱりこれが御剣 怜侍だなぁ、と思って。」
私はモノではないのだが。
「冷たく言い放つとこも、無愛想なとこも、照れ屋なとこも、不器用なとこも、全てがあって御剣 怜侍≠ネんだよ。昨日のお前には、そういうとこが感じられなかったから心配だったんだ。」
彼は、少し間を置いて、云う。
「おかえり、御剣。」
最高の微笑で。この言葉に多少の疑問は感じたものの、今回ばかりは、私も微笑み返した。

成歩堂 龍一。矢張り、コイツはこの世界に―いや、この宇宙に―一人しかいない、最高の幼馴染で―最大の好敵手なのだ。
そして―彼も、私のことを同じように思っていてくれたのか。
私と君は、考え方まで一緒、ということか。何しろ、最高の幼馴染で―最大の好敵手なのだから、な。
■作者からのメッセージ
この物語のEDには色々考えました。
・御剣がカンタンに戻れない
・今までのこと全てが夢
・なんだかんだいって向こうの世界で弁護をする
など考えましたが、長くなったり、後味悪くなったり、矛盾しちゃったり。うまくまとめる自信がなくてですね・・・(-_-;)
ちょっとありきたり(かな?)になっちゃいました;

さてさて、まだ説明されてないことがありますね―向こうでのメイちゃんの言葉。成歩堂の態度。これはいつか解明されていくのでお楽しみに!
とりあえずは、これで完結ですので。
今までありがとうございました。m(__)m(まだまだ小説は書き続けますよ(*^^)v)

とりあえず今回も、ご意見・ご感想よろしくお願いします

11月20日追記:検索避けのためURLを記入しておりません。マイサイトのアドレスは「http://misakitachibana/rakurakuhp/net」の「/」を半角コンマに直したURLとなっておりますので。

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