世界一幸せな絵本作家
作者: 秀侘   2010年05月21日(金) 20時03分47秒公開   ID:mxrKH0pol5k
「なあああるううほおおどおおおっっ!!」

俺は思いっきりとある事務所にかけこんだ。・・・グチを伝えるために。

「・・・・・、はあ。」

男は呆れたようにため息をついた。
俺としては、かな――――――り真面目なんだけどなぁ。

「実はさあ・・・。」
「グチを言いに来たんだろ。」

うんうん、わかってるじゃん。さすがさすが・・・。

「じゃあ、帰ってくれる?」

は?どーいうことだ?帰れって・・・、グチを聞いてくれるんじゃないの?

「僕は忙しいの。」
「どこが?」
「とにかく・・・・。」
「グチを聞いてくれええええっ!」

頼む!お前しかいないんだっ!!頼むっっ!!

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ。」

ながーい沈黙の後に仕方なさそうなため息が聞こえた。

「本日2回目だぜ。ため息。」
「で?」

実は・・・、
・朝起きたらドアの鍵を無くしドアの鍵をかけることが出来なかった。
・仕方なくコンビニで朝飯を買おうと思ったら自転車の鍵も無く1時間歩いてコンビニについた。

「ほかのところに買いに行けばよかったじゃん。」
「っ・・・・・・・・・・黙って聞けええええっ!!」

・ところが財布を忘れ家に戻った。
・帰り道、犬に噛まれ、ドブに落ち、雨に濡れ、鳥の糞をかけられ、蜂に刺された。
・戻ると鍵が掛かってなかったので空き巣に入られ、財布が盗まれていた。

「どーだ?」

俺は自慢げに言った。

「悲惨だな・・・・・。」

男は哀れな人を見るように俺を見つめた。

「だから、金貸し・・・」
「それとこれは別。つーか、鍵を無くした矢張が悪いんじゃないか。」

ぐっ!さすが弁護士、矛盾を見ぬかれた!

「それ、矛盾って言う?」

男は俺を見つめると呆れたように首を振った。ってか、俺ってどんだけ呆れられてるんだ?こいつに・・・。

「お前はまだ幸せじゃないか。」

は?

「だって帰り道、あんなに悲惨な目に会ったんならそんなに服がキレイなはずがない。蜂や犬に噛まれたり刺された傷が消毒されてるからな。おそらく、最初に御剣のところに行ったんだろう、ちがうか?」

おおっ!すごいっ、パチパチパチ!!

「・・・・・、呆れた。朝飯、まだなんだろ?残り物でイイならあげるよ。」
「おおっ!!サンキュー。」

俺がそう言うと今度は呆れずにクスクスと笑った。

「変わらないな、お前は・・・。」
「なっ!なんだとうっ!」

俺は大人だっ!真面目で立派な大人だ!

でも、こうして見ると俺って幸せなのかも。
・・・・・あ、今のなんかカッコよかった!

そんなことを思いながら俺は白いご飯をたいらげる。

ああ、な―――んて幸せなんだろうなぁ俺っ!


おしまい
■作者からのメッセージ
前回はラブで小説を書いてみたので今回はギャグ?で書いてみました。
何かおかしな部分があれば教えてください。

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