メリークリスマス |
作者:
秀侘
2010年05月17日(月) 16時19分51秒公開
ID:mxrKH0pol5k
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窓をの外を見ると雪がつもっている。 とてもキレイ……。 「どうした?窓なんか見つめて。」 振り返るとそこには見覚えのある顔が不思議そうに私を見つめていた。 「レイジ……。」 「今日はクリスマスだったな。」 一瞬、私はありもしないことを考えていた。 ――――好きだ 彼の口からその言葉を期待した。 絶対に言ってくれないと思ってるのに 私の心のどこかで期待していた。 「そうね。」 気の無いそぶりをした。相手に私の心を悟られぬよう…。 「フッ…。」 彼は鼻で笑うと検事局から出ていってしまった。 「待って!!」 まわりの検事たちが不思議そうに私を見つめる。 私はそんなのに気を取る暇も無く外へ飛び出した。 「寒い……。」 雪が私のまわりをチラチラと舞っている。 いろんな足跡があったけれど私はただ一点の足跡に向かって走った。 タッタッタッタッ…。 「!」 雪に足がとられた。 「きゃっ!」 ドサッ………… 雪の冷たさが体に伝わってくる。 急いで立ちあがるが足に痛みが走る。どうやらくじいてしまったそうだ。それでも私は歩く、足を引きずってまでも。 「はあ、はあ、レイジ…。」 「……。」 彼は無言のまま私を抱きしめた。そして私の唇にそっと自分の唇と触れた。 「好きだ。」 「…遅いわよ…。」 私はレイジに一言いった。それが精一杯だった。 「メリークリスマス。 大好きよ、レイジ」 END |
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