双子の逆転 | |
作者:
田委
2010年03月31日(水) 14時55分32秒公開
ID:mxrKH0pol5k
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「・・・・。そうか、気づいたのか。」 いきなり成歩堂さんはおかしなことを言った。そして、俺に小さい小物を手渡した。 「これ、勾玉(まがたま)って言ってね。《人の心を鎖と錠といった形で見ることが出来る》物なんだよ。なんせ《霊力入り》だからね。」 (え…、れ、霊!?) 俺はうさんくさそうな目で成歩堂さんを見つめた。 「ははは、信じないのも無理はないよ。だって僕だって《最初は》信じてなかったもん。」 「最初はってことは後から信じたってことですよね。」 すると成歩堂さんはにやけ顔で言った。 「それは、すごい力を秘めている…。いつか解るよ。」 「な、成歩堂さん。」 (だから、その何かをほのめかす癖直してくれぇ。) 俺は「はあ」とため息をついた。 「ねえ、そんなことより目撃者!!」 みぬきちゃんが俺の袖を引っ張った。 「えーと、確か…ね、「4672」号室に目撃者はいたわよ。」 茜さんが目撃者の部屋を言った直後に俺は猛ダッシュで走る準備が出来ていた。そしていざ!走りだそうとした時。 「待って」 成歩堂さんに呼び止められた。 「思い切り走って行って。休憩無しで、ついたら電話して僕のケータイに。」 「はい!」 成歩堂さんが俺にそうしろと言った理由はわからなかったが、きっと何か理由があるはず。そして、全速力で走っていった。 「ぜえ、はあ。つ、つきましたぁー。」 俺は指示どおりに走った。 『9分…。』 そう聞こえたような気がした。結局俺は疲れ果てていて成歩堂さん達が来るまで休んでいた。 「ありがとう、オドロキ君。」 成歩堂さんは笑顔でお礼を言ってくれた。しかし、俺に走らせた理由は言ってくれなかった。 『ピンポーン』 気がつくと茜さんがインターホンを押していた手にはすでにメモ帳が装備されていた。 「はい。」 男の声が聞こえた。 「ん、警察の方々ですか?こんにちは。俺、 【可誌 憲太】 (かし けんた) 会社員です。事件のことならどうぞ中へ。」 「あの、もしかして付き合っていますか?誰かと。」 みぬきちゃんだ。急に可誌さんにそんなことを聞き始めた。 「え?解るんですか?そうなんです。実はツンデさんと最近付き合い始めたんです。」 幸せそうに話す可誌さんに茜さんは少しイライラしている様子だった。 「あの、部屋に入って事件のことお聞きしてもよろしいでしょうか?」 あ、本気で怒っていた。 「ああ、すいません。どうぞお入りください。」 部屋の中は以外に広くて俺達は余裕ではいれた。 「あ、そうそう。あんた、メガネ返して。」 「え?」 気がついたら俺だけがまだメガネを付けていた。少し恥ずかしくなり茜さんに急いで返した。 「部屋から一度も出ていませんか?」 「え?いいえ。《一度ビールを買いに部屋を出ました》。ここのマンションの中の近くに売店があるんです。」 「何時に戻ってきましたか?」 「えっと、少しお待ちください。」 そう言って可誌さんがポケットから出したのは一枚のカードだった。 「部屋を出てから鍵をかける時カードをドアに当てるんですよ。そうすると出ていく時間が登録されるんです。しかもカードを当てないと鍵が掛からないんですよ!あ、時間でしたね。すいません…、科学になるとどうも興奮しちゃって、午後一時26分です。」 俺は本当か確かめるためにカードを見せてもらった。 『4672ゴウシツ ゴゴ1ジ26プン 1カイメ』 確かに一回目と書かれているから一回しか部屋をでてないことが解る。 「あれ?」 気がつくと壁に手紙がいっぱい張ってアルトコろに成歩堂さんが居た。 「何やってんですか?」 「いや、ちょっと気になって。」 どうやら成歩堂さんが一番気になっている手紙は英語で書かれた手紙らしい。 「ありがとうございました。」 振り向くと質問は終わっていたようだった。 「すいません、可誌さん。ちょっと事件に関係する実験をやりたいんで今から僕の言う言葉を英語で書いてください。」 いきなり変な実験をやり始めた。 「ご協力ありがとうございます。」 そう言うと今度は可誌さんに気づかれないようにさっきの手紙を茜さんにコピーするように頼んだ。 「やっぱり。」 何かを確信したような笑顔だった。 「成歩堂さん、いったい何が書かれて…ああ!」 2枚の紙の文字を見るとよくわかる。2枚とも丁寧な英語なのに文字の書き方が全然違う。 「これ、この手紙は誰かから来た手紙じゃないでしょうか?」 しかし、成歩堂さんは首を振る。 「でも、英語を読むとどこにも可誌憲太なんて書かれていないんだよ。つまり、これは《贋作》だ。」 (がっ、贋作!?) あまりのことに声が出なかった。もう一人の贋作師…。 「オドロキ君、《あの手紙》持ってる?」 「ああ、はい!」 俺は被害者の部屋で見つけたあの手紙を出した。 「これこれ。 『可萌・え・テンネ』 のところ、変なところで区切られてるし、可という漢字が使われているし。つまりこれは可誌憲太の元へ送られてきた物だったんだよ。」 「ええええっ!?」 いつも以上に大きな声を出した俺。しかし成歩堂さんはそんなの無視して続ける。 「焦った可誌さんは急いで上の部分だけ消してお得意の贋作の力を使ったのさ。ところがこの日に慎さんに死なれたら困るということで殺しに行った。そして萌え・テンネの名前を使ったが上手く消してなかったので『可・』の部分だけ残ってしまったというわけさ。」 (す、すげー!) 短時間でここまで推理してしまう成歩堂さんを俺は尊敬した。 「ん?なんだこれ。」 手紙の横に優勝カップがあった。 「あ、それはですねぇ、《高さ60mの崖を縄1本だけで登って降りるという競争でみごと優勝した》んですよ。」 可誌さんが急に説明をし始めた。俺は関係ないと思うが念の為記録しといた。そして、もう一度だけ被害者の部屋にいってみることにした。 エレベーターの中 「そういえば茜さん、被害者の死亡推定時刻は?」 「ああ、解剖記録はまだらしいけれどおそらく午後10時18分らしいわよ。」 「ふーん…ってあれ?」 いやな予感がしてカードの記録を見た。 「ご、午後…1時26分…。」 力が無くなってきたような気がした。成歩堂さんも顔が青ざめていた。ど、どうすりゃいいんだ! 「はあ。」 調査にも力が入らない。適当に引出しを開けてみると《星などの写真がいっぱい》入っていた。 「《被害者は星マニア》かぁ…。」 (ん?まてよ。《今日は流星群》…。) 俺はベランダに飛び出した。かなり《上には可誌の部屋が見える》。下を見ると《赤いテープが貼ってあった》。俺はそこにたってみた。すると空の全体が見回せた。被害者は《ここに立って撮影をしていた》みたいだ…。 「そうか…。」 いつのまにか成歩堂さんが隣に居た。 「まさか、事件…解決したんですか?」 「うん。ここに立って《上からあんな重い黒いケースが落ちてきたら》どうなる?」 成歩堂さんのおかげですべてがわかった。 「ありがとうございます!」 「それより、もうすぐで面会が終わっちゃうよ。」 それを聞いて俺は急いで面会室に走っていった(みぬきちゃんも一緒で。) 「遅い…。」 声の主は以外な人物だった。 「テンネ…さん?」 「遅いって言ってんだろコノヤロー。」 (まさか、《二重人格》!?) 俺はビビッて話せなかった。みぬきちゃんも同様で。 「おいおい、本性戻しなよテンネ。」 「あ、ナル兄。」 (まじ!?) 成歩堂さんの一言で静かになったテンネさん。 「《テンネよりツンデ》だよ。」 「…なんだよ。」 むすっとした感じでツンデが影からでてきた。 「あなた、可誌さんについて何かかくしてませんか!?」 「なっ!」 その時 『がががが ガシャン』 「何じゃコリャぁーー!?」 思わず叫んだ俺。鎖と錠が1つ。 「それがツンデの秘密《サイコ・ロック》だよ。その勾玉を《つきつけて》みて。そして証拠品でロックを解除する。」 言われたとおりにしてみた。 「「「くらえ」」」 ―可誌のこと― 「何だよ、私と可誌憲太となんの関係があるんだ!」 「それなら何故可誌さんの名前をしっているんですか?」 「さっきお前が可誌っていったからだろ!」 俺は首を振った。 「名字だけです。」 「ああ!」 「あなたと可誌さんは付き合っていたんですよ。」 「ぐぐっ!」 『パリン』 ―解除成功― ツンデはあきらめたようにため息をついた。 「あのな、昔姉貴と可誌さんは付き合っていたんだ。でも、慎さんにとられちゃって。だから動機は十分にあるんだよ。」 ツンデさんは泣きながら話した。俺は可誌をぜったいに明日の裁判で勝ってやると思った。慎さんを殺してテンネさんに罪を着させた事、ツンデさんを泣かせたこと、絶対に許せない。 「あ、そうそう。勾玉返してくれる?」 「え?」 第4話 裁判 《前編》 に続く |
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