ハッピーバレンタイン 午前
作者: 土筆   2010年03月10日(水) 16時49分40秒公開   ID:mxrKH0pol5k
午前9時3分 倉院流霊媒堂

緊張でどうにかなりそうだった。数回コール音が鳴り電話にでてくれた。






「あああ、あのっ!ナルホド君!?」


緊張のせいで思わず舌を噛みそうになった。


『そうだけど・・・。』


私は少しほっとした。だって、いつものナルホド君だもん。
・・・、ちょっとねぼけてるけど。


「ねえ、今・・・起きたの?」
『? そうだけど・・・。』


私は少しため息をついた。


「もう、9時だけど。」
『!? ・・・、あ。』


私は少し笑った。

『で、何の用?』

私は本当の目的を忘れていた。



「えええ、えーと・・ね・・・。」


いざ言うとなるととても緊張する。


「今日の午後8時できれば近くの公園にきて!」


やっと言えたと思ったら。





『近くってどこ?』


「え?」


考えてなかった。公園?えー・・・と。



あ!



「ビタミン公園」


出てきた名前がそれだった。



『え?でも、あそこちょっと遠いよ。それにほら、マコちゃんの事件に関わってるし、縁起悪いような・・・。』


ごもっともです。でも、それしか思いつかないの。おねがーいっ!


「わ、わ、私、ふ、フルーツ好きだし・・・。」

適当に理由を言った。



『ふーん。よくわかんないけど真よいちゃんらしいや。わかったよ。午後8時だよね。』




こうして「あれ」の待ち合わせ場所を決めた。



「今年こそは・・・。」


きっと叶うという決心を残して私は昨日から作っておいたチョコをのラッピングを始めた。



同じく午前9時3分 検事局


「や、やっぱりレイジはこんな物受け取ってくれないわよ・・・。」



あーっもう!確かに渡したいのはやまやまだけど、完璧主義の私が万が一ふ、振られたら、・・・っ。



「そんなことありませんよ。十分かわいいですよぉ。冥さぁん。」



うう、こんな年下に慰められるなんて情けない私!



「だーかーらー、大丈夫ですって!ほら、きたら渡す。渡さないと私が盗んでたべちゃいますよ。」
「あら、それなら盗んでいいわよ。」



この際、盗まれたほうがましよっ!



「ちょ、ちょっと、冗談ですよ!!いくらおお泥棒ミクモヤタガラスでも人の愛と命は盗まない主義ですから。」


「でも、無理よっ!」


その時


「あ、来た。」

ええええっ!?


「む、おはよう三雲君。そしてめ・・・?」


私は顔を赤くしてすみに立っていた。



「ど、どうしたのだ?」



(ほら、渡して!!)


一条ミクモのサインによりわたしは渡すことにした。



「れ、レイジこれっ!」


レイジはびっくりしている。




「バ・・・、「なぜだ?」


レイジの声で私の勢いは消された。



「え?」


一条ミクモと私の声はほぼ同時に出された。


「何故、チョコレートなのだ?
玄関前にもたくさん来ていた
のだが・・・。」



《玄関前にもたくさん来ていた》


この一言がかなり私の胸に突き刺さった。


「バ・・バ・・ばかああッ!!」


おどろくレイジに構わず私はチョコを投げ捨て泣きながら検事局を飛び出していった。


「む、なんだ冥?どうしたというのだみ・・!」


ミクモの平手打ちが御剣のほっぺたに思いきりあたった。

「三雲君まで!?」


叩かれたところをなでながら御剣は言った。


「見そこないました!!いくら御剣さんが空気読めない人だからといって、ここまでとは・・・。バレンタインに言う言葉じゃないでしょう。」


御剣ははっとしたような表情をした。



「この、KY男っ!!」



そう言い残し、ミクモは冥の落としたチョコを拾い冥の走っていった方向に行ってしまった。


「バレンタイン・・・、すまない・・・冥。」





そのころ事務所では・・・



「お、熱心にラッピングしてるね。」


みぬきは一生懸命にラッピングをしていた。




「おどろき君は・・・、チョコ待ってるねぇ。」



パパはにっこり笑いながらオドロキさんのほうを見た。


「むっ!失礼な。そういう成・・・。」


オドロキさんはいきなり黙ってしまった。それもそのはず。パパにはたくさんのチョコが来ていたからだ。



カミヤキリオ


スズキマコ


アヤサトハルミ


ホウヅキ・・・、あれ?茜さんの字ってこんなんだっけ?

「それは巴。《ともえ》って読むんだ。」




「ありがとう。」


ホウヅキトモエ


タチミリカ


マレカ


オキョウ


アヤメ



「うわー。いっぱいあるね。」


みぬきは感心した。


「うん。ほとんど仕事関係のお礼なんだけどね。」


「おれ、仕事してるけど、だれからも。」


すねるオドロキさんを無視してみぬきはパパにラッピングをしたチョコをあげた。(ついでにオドロキさんにも。)



「はい!」



オドロキさんも機嫌をもどしたようだった。


「う、うまいっ!」

「おいしいよ。みぬき」

「うん!」




一生懸命に作って良かったな。うれしいや。



そのころ茜の家では



「もう!お姉ちゃんもラッピング手伝ってよ。」


「自分でやんなきゃ意味無いの。」



姉妹で喧嘩するのはなれているけど、チョコを作りながらっていうのは始めてだった。



「どうせ、成歩堂さんには振り向いてもらえないわよ。」



お姉ちゃんのいじわるっ!でも、本当のことだしいいかえせないな・・・。


「それは、私がよくしっている。だって、成歩堂さんが好きなのは真宵さんだもの。見ていればわかるよ。でも、気持ちが伝わればそれでいいのっ!!」




私は今にも泣き出しそうだった。


「茜・・・。」



気がつくとお姉ちゃんが「どれどれ」と見にきてくれた。おかげでラッピングは上手にできた。



「さて、直接渡す?渡してもらう?」


私はむっとして言い返した


「当然直接わたすよ。私にだってそこまで勇気が無いわけじゃないもん!!」



こうして、全員の午前が終わった・・・。






ハッピーバレンタイン 午後に続く
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