雪景色〜冷たい息と暖かい心〜
作者: 東条   URL: http://redbrack.anime-japan.net/   2010年03月07日(日) 16時49分03秒公開   ID:NNxMp6Mz9P6

雪景色〜冷たい息と暖かい心〜

(1)

ある冬のこと外には白銀の世界が広がっていた。
屋根も帽子を被った様に赤い屋根も白く変わっていた。
今日ばかりはあの派手なバンドーホテルも少しだけ地味になっていた。
そう外の景色を見ていると後ろから僕を呼ぶ声が聞こえた。

「なるほどくん!みそらーめん食べにいこう!」

と言っているのは真宵ちゃん。
19歳と言う年齢の割にまだまだお子様である。

「今日は寒いから家でカップ麺にしようと思ってるんだけど」

「わぁ!何おじさんみたいなこと言ってるの?」

「僕はまだお兄さんだ!」

少々声を荒げて言った。

「じゃあ行こうよ!」

そんな訳で寒い中味噌ラーメンを食べに行くために、僕はやたぶき屋に向かった。

(2)

やたぶき屋の味噌ラーメンは最高だった。
きっと寒い中ここまで来ただけあってさらに美味しく感じられた。
そして代金を聞いたら。

「兄ちゃん!ラーメン代3600円!」

3600円!?
財布は軽く心は少し重くなる。
中を見ると1000円札2枚と10円玉が7枚。
さらに心は重くなる。

「ごめんね!なるほどくん私が4杯もおかわりしたから」

真宵ちゃんがよく食べることは知っているから仕方ない。
僕はとにかくその場を切り抜けるために。

「払える分だけ払いますので今日のところはこれで勘弁してください」

と言って弁護士バッジを突きつける。
これで何とかピンチは乗り切った。

雪はまだ降っていた。
せっせと雪かきを力強くしているお爺さんが目の前にいたり。
こんな中でもスーパーに自転車で急ぐおばさんもいた。
こう言うのを見ていると寒いから外に出ないと言った自分が情けなく感じてくる。

「なるほどくんこれからひょうたん湖に行ってみない?」

ひょうたん湖公園か、冬の公園は嫌な思い出を思い出してしまうな。
食後の運動として行ってみるか。

「行こうか!真宵ちゃん」


(3)

ひょうたん湖公園は木に雪が被り。
寂しげな雰囲気が醸し出されていた。
ここではお祭りなど、ヒョッシー出現など様様な事があったがその雰囲気はなかった。
公園内ではとのさまんじゅうが売られている。
残念ながらお金がないので買えないが。

「あれ、なるほどくんあの人って!?」

あれは間違いない、ヒラヒラが特徴で長いコートの下には赤い服が隠されているはずだ。
御剣に違いない。

「お〜い御剣検事!」

先に真宵ちゃんが呼んだ。
それに気づくと力なくお辞儀をした。
元気がないみたいだった.......。

「うむ、成歩堂と真宵君か.....」

「元気ないですよどうしたんですか?」

「御剣!もしかして昔の事件をまだ気にしているのか!」

「いやそれはない、心配するな」

と御剣は言う。
すると真宵ちゃんが手に持っているものに気づく。

「それ、とのさまんじゅうじゃないですか!?一つください!」

「構わないが、成歩堂!君が買えばいいのでは?」

「だってなるほどくんお金ないですから、さっきだって大変でしたし」

自分で原因作ってよく言うよ......。
御剣は真宵ちゃんにとのさまんじゅうを手渡す。
真宵ちゃんは喜んでそれを受け取った。

「私は公園を少し散歩して帰るとしよう、成歩堂元気でな」

と言って去っていった。
やはり後姿は少し哀愁が漂っている。
昔の事件の事をまだ気にしているのだ。
ここに来たのもここが気になったからだろう。

(4)

そろそろ帰るとしよう。
真宵ちゃんもとのさまんじゅうが食べれて大満足だった。

「ねぇなるほどくん?」

と真宵ちゃんが問い掛けてくる。

「ここってなるほどくんとお姉ちゃんの思いでの場所なんだよね」

そうだったな、千尋さんと初めてこの町に来た時に訪れた場所。
ひょうたん湖まんじゅうをおごってもらいベンチで一緒に食べたあの時の事は彼女との大切な思い出だ。

「不思議だよねある人にとってはここは楽しい思い出の場所、ある人にとっては嫌な思い出の場所季節だけで取っても賑やかだったり寂しかったり.......」

子供っぽいと思っていた真宵ちゃんが少しだけ難しい事を言っている。
それに、少しだけ大人っぽく見えた気がした。

「なるほどくん今日は楽しかったよね?」

色々あったけど今日は楽しかったな。
僕は力強くうんと答えた。

さっき真宵ちゃんが答えたことを少し考えた。
皆がこの場所に対するイメージは少し又は大きく違う。
御剣と僕、春と冬全然イメージが違うだろう。

だけど.......











_____僕と真宵ちゃんのこの場所に対するイメージは今日重なった気がした。


■作者からのメッセージ
どうも東条です。
今回は普通の恋愛に近い短編小説を書いてみました。
逆転検事小説集の連載については現在検討中。
後編の連載のみが決定しているだけです。
これからはたまにこんな感じの作品を公開していきたいと思います。
最後に一言、なるまよは私のジャスティスです。
それでは。

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