少年事件1 ―僕達の逆転― |
作者:
茜
2010年02月28日(日) 14時19分38秒公開
ID:mxrKH0pol5k
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『キーンカーンコーン』 学校のチャイムが鳴った。皆いっせいに外へ飛び出した。でも、僕達三人は部屋(教室)に居た。一人は本を読み、もう一人は僕にむかってずっと話しかけていて、僕はただボーっとしていた。 「なあなあ、聞けよ。助けてやったろ、学級裁判!」 僕はあくびを一回して話しかけてくる男を無視した。 「そういうのは「脅迫罪」として訴えることができるんだぞ。解って言っているのか。」 もう一人の男は本から少し顔をはなしていった。 「じゃあ、先生に訴えるよ。」 さらっと一言答えた後、もう一回あくびをして眠ろうとした。 「む、先生じゃなくてしっかりと警察に言うことができるぞ。」 (え、こいつ本気で言っていたのかよ。) 僕はうっすらと目をあけて思った。 「なあなあ。だから「ひょうはくざい」ってやつで訴えてもいいから聞けよぉ。」 「「漂白剤」ではなくて「脅迫罪」だ!」 僕はそんなうるさいなかで眠れるはずもなく昼休みは終わった。 「一時間目は家庭科です。」 不器用な僕には今日使う包丁は少し怖かった。 まあ、御剣(みつるぎ)には包丁は使えないな。(だから、先生が隣でつきそってるし。) 「な、な、な、成歩堂(なるほどう)!わ、私がいくら貴様より不器用だからといってば、馬鹿にし、し、しないでもらい・・・たい。」 (ところどころ聞き取りにくいうえに声が震えているよ。) 「あ。」 僕が御剣につっこもうと思った時その声でかき消された。 「包丁2本しか持って来てなかった。もう一本持ってくるぜ。」 ったく。矢張(やはり)、自分の分を普通忘れるか?まあ、それが矢張か。 「矢張くん、待って。一人で包丁を取りにいくのは危険よ、先生も行くわ。 皆、それまで何かに触ったり歩いたりしちゃ駄目よ。」 こうして二人は第2理科室へ行った。しかし、それがあの事件の「まえぶれ」だとは誰も知らなかった・・・・。 先生と矢張が包丁を取りにいこうとした三分後。 「きゃあああああああっっっ!!」 恐ろしい先生の悲鳴が聞こえた。 「せんせいっ!?」 僕が叫んでも誰も返事はしなかった。クラスの皆は三人の班で固まって震えていた。それは御剣も一緒だった。 「僕はいくよ!御剣はそこにいて皆を見ていて!」 「む、でも先生に歩くなと言われ・・・。」 僕は御剣を無視して先生の声のが聞こえた方向にはしった。 「せんせ・・・!」 その目の前には信じたくない光景が広がっていた。第2理科室より一階下の廊下に先生が横たわっていた。その背中には家庭科で使うはずの包丁が突き刺さっていた。先生のすぐ横の窓が何故か割れていた。 「おい・・・。」 僕のすぐ後ろで声がした。そこには手が血のようなもので汚れた矢張がいた。 「まさか、矢張・・・、お前!」 「・・・・・・・。」 矢張は無言のまま立ち尽くしていた。 続く |
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