過去 現在 今
作者: 美由紀   2010年02月27日(土) 11時09分39秒公開   ID:mxrKH0pol5k
「ふわ―・・・あ・・・っ。」

今日の俺は、寝不足気味だ。昨日の裁判は、思わぬ方向に進み夜まで続いたのだから。
(まあ、結局無罪までたどりついたから良しとするか。)
「しかし、まだ眠いなぁ・・・。もう一眠りするか。」
俺は、またソファーの上に寝転んだ。すると、目の前に妙な機械があった。
(あんな機械、この事務所に無いはずだが?)
「よっこらしょっと!」
重たい体を起こして、その機械にちかよっていった。
俺がしばらくその機械を見つめていると、横の左端に赤いボタンがあった。
(あやしい・・・。)
俺が一歩後ずさりした時、みぬきちゃんが起きてきた。眠そうな目をこすりながらゆっくりシルクハットを左手に持ちながらやってきた。
「オドロキさあぁん?」
・・・・まだ少々寝ぼけているようだ。
・・・?あれ。どこいった?って、ああ!!怪しいスイッチ押そうとしてる。
「みぬきちゃんっ。押しちゃダ・・・。」
俺がそう言った時、みぬきちゃんはすでにスイッチを押していた。





「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・」


「おーい!起きなよ。おーーーい!!」
だれか・・・・、俺を呼んでいる?


誰だ!?


目を開けるとそこには、18か19ぐらいの女の子が俺の顔を覗き込んでいた。
「あ、起きた。」
女の子は妙な服を着ていて妙な髪形をしていた。
(ていうか、ちょんまげ?)
「きみ、誰?」
いきなり質問をされた俺はとまどいながら自己紹介をした。
「へー―・・・。オドロキ君っていうんだ。私は

綾里  真宵

っていうんだ。ヨロシク。」

ま、真宵・・・?それって、成歩堂さんの助手の霊媒師じゃないかっっ!

「どったの?」
「い、いや。なんでも・・・。」

(あの機械は、過去に行く機械だったのか。)

「今、私はナルホド君の家でパーティするの。
オドロキ君も来る?」
「え・・・、いや、別にいいよ。行かないから。」
すると、真宵さんは、にっこり笑って。
「よーーーし!一名様ご案内」
と、俺を引きずって
成歩堂法律事務所
につれていかれた・・・・・。



お話変わって、みぬきはというと。



「ここ、どこ?」
みぬきは道に迷いながら歩いていると誰かにぶつかってしまった。
「きゃっ!・・・いたたた・・・って、貴方はっ!」
目の前に居たのは赤い服にフリルが目立つ男のひとだった。

「御剣・・・さん?」
みぬきは、男の人の顔を見ながら答えた。
「ム?私のことを知っているのか?」
御剣は、不思議に見つめた。
「あ、えーと・・・。そう!にゅ、ニュースでみたんです。」
と答えた。それには、御剣も納得したように首を縦に振った。
「ム、そうだ。きみもくるか?今から成歩堂の家でパーティをやるんだ。」
みぬきは、それを聞いたとたん目を輝かせた
「うん!いくいくっ!!」
元気に答えるみぬきに御剣は少し優しそうな微笑を見せた。


お話変わってオドロキ君はというと・・・。


「えーと、あ!そこの卵とって。8パックの。」
「こ、これか!?」
「そうそう。」
真宵とオドロキは、二人で買い物をしていた。
「小麦粉、卵、バニラエッセンス、生クリーム・・・っと。よし!全部ある。」
真宵はレジの前で品物を数えていた。オドロキはそのことより、レジの前にいる男の人を見つめていた。
(あの人、どこかで見たことあるような。)
「オドロキ君!早く、こっちこっち。」
真宵がオドロキをせかすように手を振った。
「はい、これお願いします・・・って、
ヤッパリさん!!」
「あ、真宵ちゃん!」
その男はいかにも頼り無さそうな顔をした人だった。
(思い出した!この人、成歩堂さんと、御剣さんの古い友人だったっけ。
矢張政志
だっけ?自称 事件のカゲにはヤッパリ矢張って言われているほど、運の悪い人。)
「ヤッパリさん。絵本作家は?」
「ああー、それね。やってるぜ。・・・今も。これは、いわゆるアレよ、あれ。バイト!」
「はあ・・・。」
真宵は苦笑いをしながら商品をレジの前に出した。
「あ、今日の夜、あれですよ。忘れてませんか?」
真宵がいきなりとってつけたように言った。
「ああ、わ、わ、忘れてなんか、い、いないぜ!」
「うん。よかった忘れてなくて。」
(絶対忘れていたよ。この人・・・。)
オドロキは、突っ込もうとおもったが心の中で我慢した。



「ふう、やっと買い物終わった・・・。」
真宵が疲れきった顔でいった。
「荷物、持とうか?」
オドロキがそういうと真宵が遠慮せずに
「じゃ、お願い。」
と、オドロキに持たせた。
(なんだ、あまり重くないじゃないか。)
とオドロキは軽々持っていった。そして、数分もしないうちに
『成歩堂法律事務所』
と書かれた事務所についた。オドロキの目の前には暖かい光が差し込んできた。

「・・・・・」
「どうしたの?」
真宵さんが、不思議そうに俺の目を見つめる。その目は透き通るようにきれいで黒ダイヤみたいに輝いていた。
「いや、べ、別に…。」
そして、事務所のドアノブに手をかけた。
『ガチャ』
一瞬、俺は緊張のあまり倒れそうになった。

一方、みぬきちゃんは…

「へー…。DL6号事件でそんなことが…。」
「むう…。その時に成歩堂が助けてくれたんだ。」
御剣さんは懐かしそうに空を見上げた。
「へー…、パ…!  な、成歩堂さんがね。」
みぬきは慌てて自分の口を手で押さえた。言ってはならないことを言いかけたから。しかし、自分の父親を名字で呼ぶのは少し恥ずかしかった。
そして、世間話をしているうちに事務所に着いてしまった。そこには、身に覚える 角
があった。
「おどろきさん!!」
「みぬきちゃん!!」
二人が懐かしがる様子を見て、真宵と御剣は首をかしげながら事務所に二人を招待した。二人が事務所に入るとすっかりパーティの準備が出来ていた。そこには、矢張さんが来ていて、その隣には刑事さんが話していた。確か、名前は…
糸鋸 圭介
…だっけ?漢字、あっているのかな?
「でさー、アイが、
『私はボルジニアに行くわ。』
だってさー。ひでーよー。」
「はあ、可哀そうっスねー…。」
などなど、二人で慰めあっていた。(ていうか、仕事しろっ!)
「無駄よ、奴らが手伝えばこのパーティはメチャクチャになるわよ。」
後ろから女の人の声がした。振り向くと女の人が鞭を振りかざして仁王立ちしていた。
「…おどろき、ほうすけ…。」
俺は一瞬、驚いたどうして自己紹介していないのにおれの名前を知っている!?
「成歩堂が言っていたわね。」
!?
どうして、成歩堂さんが俺の名前を知っているんだ!?まだ、会ってもいないのに。
……わからない。
「ガチャ」
すると、扉が開いた。
(まさか、成歩堂さん!?)
俺は、期待を胸にして扉から出てくる人を待った。
「クッ・・・、遅くなっちまったな。」
(あれ?)
俺は呆然とした。出てきたのは仮面のコーヒーカップを持った男の人だった。
「あ、髪乃木さん!やっと来た。」
真宵さんはおおはしゃぎだ。・・・ん?髪乃木さん?

あ、思い出した。
髪乃木荘龍。
(この人の漢字もよく知らないんだよな。)
たしか、ゴトー検事って呼ばれていた元・凄腕の弁護士。仮面をつけている理由があったはずだけど、なんだっけ?まあ、いいや。
「今日は客をつれてきたんだ。」
「こんばんは、皆様方。」
と、これまた変な髪形をした女の子がゴ・・髪乃木さんの後ろから出てきた。しかし、真宵さんより礼儀正しい子だ。
「あら、そこにいるお二人方は・・・?」
「クッ、こいつは気がつかなかったぜ。」
俺達、そんなにかげ薄いか!?
「えー・・・と、こちらにいるのがオドロキ・ホウスケといい、私は成・・・。」

「待ったああああぁぁぁぁっっっ!!!」

俺はおもいきり叫んだ。
「なんですか?おどろきさん。」
俺はみぬきちゃんに小さい声でいった。
(あのなあ、成歩堂みぬきなんて言ったら皆、
混乱しちゃうだろ。)
「あ、そうか。」
俺はみぬきちゃんを説得させた後「はあ。」とため息をついた。
「ま、間違えた。な、な、えーい!オドロキみぬきですっ!!」
(えっ、えええええ!)
俺は心の中でおもいきり叫んだ。
「な、なんだよそれ!」
「えへへ、ほかに思いつかなくて。」
俺はもう一度ため息をついた。
「すると、二人は兄弟?」
と、真宵さんが言った。
「へえ、そうなんですか。私は、
綾里春美
です。よろしくお願いいたします。」
と、元気よく紹介してくれた。って、何か忘れているような、・・・あああっ!そうだ。成歩堂さんだ。俺は鞭の女の人に近づいた。
「なによ。」
女の人は少しいら立っていた。
「あの、すいません。貴方のお名前を。」
「ふん、
狩魔冥
よ。」
うっ、怖い。
「あの、さっき成歩堂さんが俺達の名前を言っていたって。」
その時
「がちゃ」
「ただいま」
「な、成歩堂さん!?」
たしかにそれは、昔の成歩堂さんだった。


続く
■作者からのメッセージ
次回
最終回!!


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