時空を超えた逆転 6 王泥喜編‐霊媒師の罪‐ | |
作者:
太郎
2008年11月22日(土) 11時22分08秒公開
ID:NSaAlxEcU.A
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牙琉がホホエミながら言った。 「そうね…。今度こそ、あの証人の負け、ね。」 カンッ!カンッ! 『静粛に!静粛にぃぃぃぃぃぃ!!!!従えない者には、退廷を命じますぞ!』 裁判長の顔にもさすがに疲労の色が見える。 それを察知したかのように傍聴人は静まった。 「コホン。さて…証人…えーと…うーん…」 「…どーして鬼野刑事がオレの事を知っていたか…ですよね?裁判長。」 「あっ!あーそうです!!それです!証人っ!答えなさい!」 「…それは事件にカンケーない。答える必要はない。」 鬼野は開き直ったが、アキラカに目が泳いでいた。オドロキはそれを見逃さなかった。 「(カンゼンに目が泳いでいる!しかし…ナゼココまできても開き直れるんだ…?!)」 「証人はもうズルズルね。あとはどう行くか、よ。」 千尋が言った。 「確かに、この証人がキサマの事をしっているという事実は非常に不可解。…でも、それは殺人事件にはカンケイないコト、よね?」 「ふむぅ…そーですねー…。しかし狩魔検事。私としては、ヤハリ、証人に理由を聞きた…」 バシッ! 「おほっ!?」 冥はまたまたムチを握った。そして気の毒なコトに裁判長を攻撃した。 「お黙りなさいな、裁判長。この弁護人が未来人だろうが宇宙人だろうがそんなコトはどーでもよろしい。」 「う、宇宙人…」 「今は、被告人の殺人の容疑に関して審議しているのよ!そうしたらこのバカな弁護人があろうコトかこの証人を告発した。」 「バ、バカ…」 「コクハツした以上、そのルート、及び証拠を提示するのが先でしょ?…今度わき道にそれたら、このムチがいつも以上にモノを言うわよ!王泥喜法介!!」 冥はそう言うと、ムチを構え、オドロキをイカクした。 「…!(狩魔検事が…道を作ってくれた…!)」 「どうやら…あの検事さんも分かってくれたみたいね。真実を…。」 千尋はマッスグに鬼野の顔を見つめた。オドロキでなくても分かった。彼が“動揺”してるというコトを。 カンッ! 「狩魔検事のいう通りです。弁護人!アナタのスイリの続きを!」 「分かりました。」 オドロキはユックリと頷いた。 「では、ダイブそれてしまいましたが、続けましょう…。先ほどは証人が捜査中にハギレを焼却炉に捨てたところまでいきましたね?」 「捨ててないと言ってるだろう!」 カンッ! 裁判長が絶妙なタイミングで木槌を鳴らした。 「証人。キリがありません。最後まで聞きなさい。」 「ぐっ!」 鬼野はすごいギョーソーで裁判長をにらみつけた。 「(裁判長…!)」 「弁護人、続けなさい。」 「あっ!ハイ!えっと、ハイ!ハギレをを処分して、綾里真宵を身体検査し、あらかじめ用意しておいたトリカブト毒をあたかも彼女が所有してたかのように見せ、さらに王さんのマイ・ユノミに被告人のシモンをフチャクさせ、証拠をでっちあげた!そして彼女をタイホしたのです!」 「ふ、ふむう。スジが通りますな…」 「…ぐ、ぐぅ…!」 「…。」 鬼野はワナワナ震え、冥は相変わらず、ムチをいじりながら聞いていた。 「なかなかいいわよ。オドロキ君!さぁ続けて!」 「はいっ!…続けましょう!順調に証人は、綾里真宵を逮捕し、計画は完了したかのように見えましたが、ココでモンダイが起こりました。」 「モンダイ、ですか?」 「ハイ。入院先で王さんが意識を取り戻したのです!」 「あっ!」 「!!」 鬼野は、汗だくだ。 「そう。鬼野さんは、解毒剤といって、トリカブト毒を固体にしたものをあらかじめ王さんに渡していた。それで彼のイノチを奪うハズだったが、王さんは一命をとりろめてしまった!」 オドロキはツクエを叩いた。 「だから、イシキを取り戻した王さんの息の根を止めようと考えたのです!」 「異議あり!」 沈黙をしていた冥がついに異議を唱えた。 「いい加減にしなさい、王泥喜法介!そんな証拠は、どこにもないわ!!!」 「異議あり!」 オドロキも異議を唱えた。 「ショーコはあるんですよ!狩魔検事。」 「な、なんですって!?私は聞いてないわよ!王泥喜法介っ!」 冥は思わず叫んだ。 「しょ、証拠を提出しなさい!王泥喜法介!」 「は、ハイ。(な、なんだこのレンサは…)」 「フフ。その写真のイミがよーやく分かったわね。王泥喜法介!!」 「は、はい!(チヒロさんまで…)」 「さぁ、早くトドメを!」 「わ、分かりました!(オレ、なんかショッカーみたいだな…。)」 オドロキは千尋に相づちをうつと、法廷記録から、堀田クリニックの看護婦・若林ワカナが撮った画像をとりだした。 「こ…この写真は!…先ほどもでましたね…」 「それがどうかしたの?王泥喜法介!そんな写真、証拠でもなんでもないわ!」 「…!」 「…これは、王氏の担当看護婦が撮影したものです。」 オドロキは資料を読みながら言った。 「これが…何の証拠になるのですかな?」 「裁判長。この写真を良く見てください。テンテキがカンゼンに外れているのが分かりますね?」 ドクンッ! 「…!!!」 オドロキはそう言い放ったシュンカン、誰かの動揺を感じとった。 「お、オドロキ君、どうしたの…?大丈夫?」 「…ダイジョーブですっ!チヒロさん!…今、オレ、ハッキリ感じました!鬼野刑事の“ココロのウゴキ”を!!」 「まぁ…!じゃあ、イッキにいきましょう!」 「ハイっ!」 オドロキは力強くヘンジをした。 「弁護人!ヒソヒソ話しをしてないで、早く続きを!!!」 「…っ。」 「あ、ハイ、すみません。では、いきましょうか…!証人!」 オドロキはふてぶてしく笑った。 「いいわよ。オドロキ君…!」 「まず、鬼野刑事にお尋ねしたい。ナゼ、あなたはこの写真を見て、動揺されたのですか?!」 「な、なに!?」 「…!どーゆーコト、かしら?」 冥が静かにに尋ねた。 「あなたはこの写真を見たトキ…ある“シグサ”をしたコトにお気付きですか?」 「またそれか!イイ加減にしてくれ!」 「オレはあなに質問しているんですよ、証人。ナゼ、あなたはこの写真を見るたび、落ち着き無くツバをのみこむのでしょうか?!」 「えっ!?」 鬼野は、反射的に返事をした。 「…。」 「アナタはナゼこの写真を見て、動揺しているのかと聞いているんです!」 オドロキはマッスグ、鬼野を指さした。 「ど、動揺なんてしていない!」 「そうですか?もしかしたら、アナタ、回復しつつある王さんに何か、したのではないのですか?」 オドロキは再び、写真を取り出した。 「これを見てください!…何か不自然だと思いませんか?」 「ふむう…不自然ですか?」 「…。」 「鬼野刑事は、王さんのお見舞いにきていたハズ!なのにナゼ、点滴が外れるまで王さんは、暴れたのでしょう?!」 「異議あり!」 冥は叫んだ。 「トリカブト毒は、猛毒なのよ!神経をムシバミ、人のイノチを奪うっ!死の間際に苦しみもがいてもおかしくないわ!」 「た、たしかにそうです!弁護人、そこのトコロはどー説明するんですか?!」 裁判長も冥に便乗した。 「オドロキ君。もう、分かってるね?あの証拠のイミを…!」 「ハイ!大丈夫なハズです!(多分。)」 「…もっと自信を持ちなさい。オドロキ君。(このアイマイなトコ。なるほど君にやっぱり似てるわね…。)」 「は、ハイ!(ぶつけてやるしかないな…。)」 「弁護人。分からないしのなら、スナオになれよ。セツメイなんて、できないんだろう?」 鬼野はアンシンしたように、いい放った。 「いえ。説明は可能です!」 「な、ナニ?!」 「オモシロイ。早く説明しなさい。王泥喜法介っ!」 ビシッ! 冥はムチで、検事席を叩いた。 「では、コレをご覧ください。」 オドロキは静かに、法廷記録から、病院のベッドにフチャクしていた王の足の指の指紋を突きつけた。 「これは、王さんが寝ていた、病室のベッドで発見しました。」 「何か…文字のよーなモノががかいてあるわね。」 「な、ナニっ?!!」 鬼野は形相を変えた。 「も、文字ですか?私には何も見えません。」 「(老眼鏡、使えよ…)いいですか?この指紋、文字になってます。“ON;”と。」 「“オンセミコロン”…!…………………!!!!!こ、これって!」 冥は、二の腕をぎゅっと掴みながら動揺してる。 「“おん…せみころん”…。“;”は“せみころん”と読むのですね!」」 バシッ! 「うほっ!」 冥のムチが裁判長を直撃した。 「(“せみころん”が読めなかったのかよ…。)」 「ぐっっっっ!」 鬼野は、証人席を、ギュッと掴んだ。もはや、リセイを失ってる。 「もうお分かりでしょう。“ON;”は、被害者のダイイング・メッセージだったと考えられます!」 「えぇぇっ?だって弁護人!せみころんですよ?」 「(いいカゲン、そこから離れろよ…)いいですか?もし、この“セミコロン”が“i”、だとしたら?」 オドロキは腕を組み、ふてぶてしく笑った。 「“i”っ…!」 「モチロン、つなげて読めば、もうお分かりよね。…証人。」 千尋が、ふるえる鬼野にむかって言った。 「“オニ”…。」 「その通りです。狩魔検事!」 オドロキはコブシで弁護席を叩いた。 『王さんは、足の指を使って、アナタを告発しまたのです!』 オドロキのヒトコトに、傍聴人はまたも、ビンカンに反応した。 カンッカンッカンッ! 『静粛にっ!静粛に……………』 『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』 「な、ナンダっ!?(び、ビックリしたぁ…)」 裁判長が最後までいい終える前に鬼野がイキナリ叫びだし、法廷は、イッキにチンモクに包まれた。 「ど、どうしたんだ?イキナリ…(お、オドロいたぁ…)」 「知るか!(マッタク、シンゾーに悪い。)」 成歩堂は汗まみれになりながら御剣に話しかけた。 「う、うぅぅ。わーーん!怖いですっ!わたくし、びっくりしました!わーーん!」 「は、春美ちゃん!ホラ、泣かないで!」 「…もっとマシなジバクの仕方はないもんか…」 春美は泣き出し、茜が必死に慰めてる。響也もイキナリの鬼野のジバクに苦言をはいた。 「し、しょ、しょ証人!あ、アナタ…。」 「つまり、証人は被害者のダイイング・メッセージが致命的になったってコトです!」 『異議あり!』 冥は叫んだ。 「ちょっと待ちなさい!“ON;”が、証人を指してるとは限らな…」 「いや。私のコトだ。」 冥が最後まで言う前に鬼野は衝撃のコトバを発した。 「しょっ、証人!アナタ…!」 「ま、マジかよ…。」 「…。予想外ね。」 「ちょっと!どーゆーコトよっ!証人っ!」 裁判長もオドロキも、千尋も、今までカタクナに容疑を否認していた鬼野の態度の変化にトマドイを隠せず、放心状態だ。冥だけは、悔しそうに検事席をガンガン叩いてる。 「全てをジハクしよう。今回、綾里昭子の殺害を図ったのも、綾里真宵に罪を被せたのも…モチロン、王劉蚕氏を殺害したのもこの私だ。」 「証人…!!」 裁判長は口をパクパクさせながら、言った。 「私は、綾里真宵に罪を被せた後、ケチをつけてキサマと御剣検事を拘束した。その後、意識を戻した、王氏の元に行き、押さえつけて注射を打ち、息の根を止めたのだ。彼はその時に、チカラを振り絞り、私を告発したのだろう…。」 「・・・。鬼野刑事…今のはジハクととらえてよろしいですね?」 「あぁ。キサマのスイリは、全て的中していた。…認めるさ。ムロン、綾里真宵は無実、だ。」 「…(オカシイ…。アッサリ認めすぎてる。やっぱり、この時がきたか…!)」 「…オドロキ君?」 オドロキは自分の真横から、少女の声を聞いた。 「わっ!真宵さんっ!!!(ビビったぁ…)」 「お姉ちゃん、いなくなっちゃったんだよねぇ…。で、どうなった??私のサイバン。」 「そーなんだ。(“いなくなった”って…)今、チョード、証人がジハクした所だよ!真宵さんは無罪だよ!」 「本当に?!さすがはオドロキ君!なるほど君の“マナ弟子”だね!ありがと!」 真宵はハチきれんばかりの笑みを浮かべた。 「いやぁ!オレは何も……。」 「あぁ!テレてるー!」 オドロキは顔を真っ赤にした。 カンッ! 「綾里真宵!証言台なあがりなさい!」 「おっ!検事席の冥ちゃんのあのカオ!こりゃ本当にムザイになったみたいだね!私。」 真宵は、さっと証言台に上がった。 「それでは、被告人に判決を言い渡しましょう!」 無罪ー 「それでは、少々この裁判も長引いたようですしね。閉廷としましょう!」 裁判長は、ほっとした表情を浮かべながら木槌を手にとり、鳴らそうとした。しかし、その時だった。 『異議あり!』 |
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