プレゼント大作戦
作者: 毬亜   2008年09月13日(土) 20時51分01秒公開   ID:mNUcIBX4vNY


これはあの事件が土双六の事件が終わった後の話。



「パパ!」
「成歩堂さん!」

成歩堂なんでも事務所に声が響く。

一応プロの魔術師成歩堂みぬきと
新米(?)弁護士の王泥喜法介。
「何かな…二人とも」

そしてその二人に返事をする
元・弁護士でみぬきの義父である成歩堂龍一。




―――――――――――――――――

「パパ…何かほしいものってある!?」
「んー…ないけど?」
「それじゃあ…」
「みぬきちゃん!」

成歩堂さんに問いをかさねるみぬきちゃんをとめ連れて行く。

「みぬきちゃん…いきなりどうしたの?」
「よく考えたら…みぬき、今までパパにプレゼントしたことないんですよね」
「え…」

七年も何年も一緒いるのに?
一度も?

「それは…ちょっと問題があるんじゃ…」
「分かってますよ!だから…」
「ついでに…何の日のプレゼント?」
「え…」
問いにしばらく考える様子のみぬきちゃん。

「裁判員制度成功記念?」
もはやプレゼントする理由でもなくなってるのでは…
「それで…何を渡すの?」
それは置いておくことに。

「パパは…何をもらったら喜んでくれると思いますか?」
「そういわれても…」
「…何かプレゼントするっていっても、みぬきお小遣いないんですよね」
この調子でいけばオレがお金を出すハメになるのだろうか。

「それなら…お金を使わないこととか?」
「それって…何でしょうか?」
「魔術の子でしょ?何かないの?」
「そうですね…」
またしばらく考えるみぬきちゃん。

「じゃあ…パパと昔の知り合いを再会させたあげましょうよ!」
結局魔術は関係なしなんだ…

「パパ…弁護士やめてから昔の知り合いに全然会ってなくて…」
「…じゃあそうしようか」
「はい!」

こうしてみぬきちゃんとの成歩堂さんプレゼント計画≠ヘスタートしたのであった。


「それで…誰に会わせるの?」
「…分かりませんね」
ほとんど予想通りのみぬきちゃんの言葉。
「誰か知らないの?」
「知りませんね」

「「………」」
そしてしばしの沈黙。

「あっ!でも…パパの昔の裁判の資料ならありますよ」
「本当?」
「はい…あの棚に」
みぬきちゃんが指差した先にはみぬきちゃんの手品の本や成歩堂さんの法律書がしまっている棚。

「そんなところにしまってたんだ…」
「はい。えっとー…」
ということで棚を探すことに。


「どれだけ入ってるんだよ…」
探してみるとたくさんの本が入っていてなかなか資料を見つけられない。
「あ!ありましたよ…資料!」
そういってみぬきちゃんが棚から出したのは古びた紙。

「ずいぶん古びてるな」
「まぁ…七年前のものですし」
「そういわれれば…」
「人物ファイルもちゃんとありますよ」
オレとみぬきちゃんはその人物ファイルに集中する。

「えっと…綾里千尋さん。パパのお師匠さんですね…
ってことはチャーリー先輩の…」
チャーリー先輩というのは事務所に置いてある観葉植物のこと。
成歩堂さんの師匠が残していったものらしい。
「ある事件に巻き込まれて亡くなったみたいですね」
「あぁ…」

「次は綾里真宵さん。そのお師匠さんの妹みたいですね…
お師匠さんが亡くなった事件がきっかけでパパの助手になったみたいです」
「そうなんだ…」
「備考に…トノサマンシリーズのファンらしいです」
トノサマンシリーズのファン…?
何故かいつの日か見たたくさんのビデオを思い出した。
「そして、誘拐や被告人になったことも何回かあるそうです」
何回も?誘拐や被告人に?

「御剣怜侍さん。天才検事でパパのライバルでもあり親友でもあるそうです」
「成歩堂さんの…」
「そして今も検事をやっているみたいです」
どうやったら昔の人物ファイルからそこまで分かるんだ。
知っていたのか?
「法曹界の人ならそれくらい知っといてくださいよ」
何故かみぬきちゃんに怒られる…

「狩魔冥さん。同じく天才検事で…法廷ではよくムチを振り回していたようです」
え…法廷内で?
ムチを?
「パパはよくムチの的にされていたみたいですね」
成歩堂さんの…大変だったんだな。

「あとはー…糸鋸圭介さん。刑事さんでよくパパの扱う事件の担当をしていたみたいです。
そして…よく事件の情報を流してくれたみたいです」
それは刑事として駄目なんじゃ…
よくクビにならなかったな…
「そのせいでクビになりかけたことも何回かあるそうです」
そうりゃ…そうなるだろうな。

「最後に…綾里春美さん。お師匠さんと真宵さんのイトコで…現在みぬきと同じくらいの歳ですね」
「そうなんだ…」


―――――――――――――――――――


「こんなかんじですね」
「成歩堂さん…今まで波乱な人生をおくってるんだな…」

他の資料を見てみるとよくわかる。
橋から落ちたり、毒物飲まされそうになったり…

「パパ…悪運強いですから」
運の問題なのか?


「それで…どうするんだ?」
「そうですね…何か…何か…」
ブツブツ言いながら資料に目を通すみぬきちゃん。

「あ…倉院流霊媒道?」
いきなりみぬきちゃんの口から出た初めて聞く言葉。
「何それ?」
「簡単にいうと…霊を霊媒師とは、霊をよぶことができる人ですね」
そうなのか…
霊をよぶことが…

「真宵さんはその倉院流霊媒道の現・家元だそうですよ」
「その倉院霊媒道って…」
「倉院の里≠ニいうとこにあるそうです」
「じゃあ…」
「行ってみましょう!倉院の里に!」

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電車に乗り二時間…
オレとみぬきちゃんは倉院の里に来ることができた。

「何もないところですね…」
「みぬきちゃん…それを言ったら…」
そうはいうもの本当に民家や公衆電話しか見当たらず何もないといいたくなるのも分かる。

「失礼ですが…どちら様でしょうか?」
急に後ろから声がする。
振り向くとみぬきちゃんと同じくらいの歳の女の子が立っている。
変わった格好をしているところを見るとここの子だろう。

「えっと…」
「成歩堂龍一のことを知ってますか?」
オレが何を言えばいいか考えていると先にみぬきちゃんが言葉を発する。
「成歩堂龍一…なるほどくんのことですか?」
すごく驚いた顔をしている。

「パパのこと知ってるんですか!?」
そしてさらに驚いているみぬきちゃん。
「え…まぁ…知ってますけど…パパと言いますと…なるほどくんの…」
その先言いたいことはだいたい分かる。

「娘ですけど…血はつながってません」
そういう普通なら言いにくいことを笑顔で言うみぬきちゃん。
「そうなんですか…」
やっぱり驚いた顔をしている。
「あ…申し遅れました。わたくし…綾里春美と言います。霊媒師です」
ずいぶんご丁寧なあいさつ。
綾里春美といえばみぬきちゃんが言っていた…

「みぬきは…成歩堂みぬきと言います。えっとー…魔術師です!」
あくまで魔術師という自己紹介をするのか…
「王泥喜法介…一応弁護士です」
「弁護士…ということはなるほどくんのお弟子さんですか?」
春美ちゃんが聞くけど…
実際どうなのかは自分でも分からない。

「はみちゃーん!」
返事に困っていると遠くから声が聞こえる。
「あ…真宵さま!」
その声にやや大きな声で返事をする春美ちゃん。

「いたいたー…ってあれ?」
オレとみぬきちゃんに気がついた様子。
「成歩堂さんの娘さんとお弟子さんだそうです」
春美ちゃんの中ではオレは成歩堂さんの弟子ということになったらしい。

「なるほどくんの!?」
さっきの春美ちゃんと同じような反応。
「はい。成歩堂みぬきです」
「王泥喜法介です」
「倉院流霊媒堂家元の綾里真宵です」
そう言って微笑む。


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その後オレたちは客室に案内された。

「それで…なるほどくんの弟子さんと娘さんが何でこんな所に?」
不思議そうに首を傾げる真宵さん。

「何で…オドロキさん。何ででしょう?」
急にオレに振らないでくれ

「成歩堂さんの…」
「あぁ!そうでしたね」
本気で忘れていたんだろうか…?

「真宵さんたちはパパにしばらく会ってないんですか?」
「そういえば…会ってないね。ビデオは送ったりしてるけど…」
最後のほうに小声で言ったのが聞こえたけど…
やっぱりあのビデオは真宵さんの物だったのか

「それがどうかしたんですか?」
今までいなかった春美ちゃんがお茶を持って部屋に入ってくる。

「パパにプレゼントをしたくて」
色々と言葉が抜けていると思うが…

「なるほどくんに?」
「何のプレゼントですか?」
「色々です」
普通に答えるみぬきちゃん。

「そうなんだ…何をプレゼントするの?」
「物じゃなくて…ちょっとしたサプライズです!」
笑顔を見せ答えるみぬきちゃん。

「「サプライズ?」」
「はい!だから真宵さんに春美さん…ご協力お願いします」

「楽しそうだね!できるかぎり協力するよ」
「わたくしも、ご協力させていただきます!」
「ありがとうございます!」

何だかオレを抜いてだんだん話しが進んでいてるような…

「それじゃあ…計画は…」
いつの間にそんなものを立てていたんだ?
「うん…分かった!」
「それはこことかでしょうか…」
ゴニョゴニョ小声で話している三人。

三人とも楽しそうだが
真宵さんに関しては一番年上だが一番はりきっている気がする…


――――――――――――――――――――

「次はどうするんだ?」

次の日。
オレとみぬきちゃんは事務所を出て歩いていた。

「そうですねー…」
「決まってないのか…」
考えて言葉が止まるみぬきちゃん。

「茜さんに会ってみますか?」
考えた結果に出た言葉。
「茜さんか…」
「昔、知り合ってたみたいですし」
果たして知り合いと呼び方が正しいのか?
正確に言うなら弁護士と依頼人だったんだろうけど…

「茜さんならきっと何かありますよ!」
何かあるって…
「そうだな…」
「じゃあ…茜さんに会いに行きましょう!」


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「成歩堂さんの子じゃないの」
毎度毎度お決まりの台詞を言う茜さん。

「今日はどうしたの?」
「パパのことで聞きたいことがあるんです」
そう言って笑うみぬきちゃん。

「成歩堂さんのこと?」
「はい!あのですねー…」

その後みぬきちゃんが今までのことを説明する。
成歩堂さんにプレゼントすることや
真宵さんや春美さんが協力してくれることなど…


「へー…たまにはいいことするのね」
「たまにはって…」
「お世話になってるんだからしっかりお礼をしないとね」

世話になってるのか?
そんなことを考えながらも何も答えることができなかった。

「私が知ってることね…」
そう言って考えている様子の茜さん。

「あ!じゃあ…」


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■作者からのメッセージ
馬鹿すぎるので法廷ものではありません!

更新が遅くなると思いますが…

ご了承ください。

感想、意見などもまっています!(エ

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