暗闇の中の逆転――。
作者: 毬亜   2008年08月31日(日) 13時42分55秒公開   ID:eWPPFoLX9zw

?月?日 ???


「――やっぱり…思ったとおりだった…」
暗闇の中。
何かを拾い小さく呟く少女。
「…それを…渡して頂きましょうか?」
そんな少女の後ろに静かに立つ人物。
「悪いけど、これを渡すわけにはいかないわね…
これはあの子≠フ仇をとるための重要な証拠なんだから」
「それは困りますね…」
「…当然の報いね。アンタは…あの子を苦しめたんだから…ッ!!」
ここにいる人物のせいであの子は苦しんだ。
だから…
「そうですか…だったら力ずくでも!」
「な…何をする気…?」
「怖がることはないですよ…眠ってもらうだけですよ…
         
――――永遠にね」

「キャァァァァ…ッ!!!」
何回もとこだまする甲高い叫び声。
そして…

ゴロゴロゴロ…

一面に広がる血とともに響く雷の音と
雨が地面を濡らす音。

「すいませんね…まだバレるわけにはいかないので」
手にはべったりと血のついたナイフをもった人物がフッと笑った瞬間…

ガタッ

「あ…」
震えた声で現場を見ていたらしきもう一人の人物が声を震わせている。
「貴方も見てしまいましたか…」
「わ…私…」
逃げようとしたが恐怖で体が動かない。
そして徐々に近づく距離。

「嫌…誰か…ッ…!!」



10月4日 成歩堂法律事務所


「なるほどくん!」
静かだった事務所に響く真宵ちゃんの声。

僕は成歩堂龍一。
一応弁護士をやっている。
最近では結構有名になってきたと思っている。

そして…
「なるほどくん…聞いてる?」
不思議な格好をした綾里真宵ちゃん。
僕の助手をしてくれて
霊媒師≠フ家元らしい。

「聞いてるよ…依頼がきたんだろ?」
「うん。詳しいことは留置所に来てから話すって」
「それじゃあ…行ってみようか」
僕たちは依頼人が待つ留置所に向かうことにした。



同日 留置所


「貴方が…成歩堂龍一さんですか…?」
おどおどとし、小さな声で喋る少女、
この人が今回の依頼人らしい。
「はい!あと私はなるほどくんの助手の綾里真宵です」
何故か真宵ちゃんが返事をし自己紹介。
「成歩堂さんと真宵さん…
私は…白内琴羽です。えっと…高校生です…」
「琴羽ちゃん…どんな事件か話してください!」
「は…はい…」
身を乗り出して聞く真宵ちゃんに驚きながらも琴羽ちゃんは事件のことをゆっくりと語り始めた。

「あれは…夜の学校で…
たしか…雨や雷が鳴っていました…」
「何でそんな夜の学校に?」
「それが…次の日に提出するはずだった課題をやってないまま学校に置いてきてしまったので…」
「よくあるよねー…そういうこと」
そんな真宵ちゃんの意見は置いといて…
「…その後のことはよく覚えてないんです。
気がついたら家にいて…」
「気がついたらって…家に帰った記憶はないの?」
「はい…
事件についてだから詳しいことは知らないんです…。
私が知っていることといえば…被害者は私の友人です」
「琴羽ちゃんの…?」
僕の問いに静かに頷き…
「壱野日乃…優しい人でした」
そう言う琴羽ちゃんの目は何処か遠いところを見ているようだった。

そのあと面会時間が終わってしまったので僕たちは、その事件があった現場…
琴羽ちゃんたちが通う学校へ行くことにした。



同日 平煩高等学校


「ここかー…事件のあった学校!」
何故かはりきって早足で前へ進む真宵ちゃん。
「関係者以外は入っちゃ駄目ッスよ。…ってまたアンタたちスか…」
現場のすぐ近くにいたのは糸鋸圭介。
通称イトノコ刑事。
刑事だがよく僕たちに情報をくれる人だ。
「ここにいるってことは今回の弁護は…」
「僕がやることになりました」
「そッスか…残念スね。今回も決定的な目撃者、動機が揃ってるス!!」
その台詞…
今まで何回も聞いたことがあるけど…
「あてになってないよねー…」
「ま…真宵ちゃん。そういうこと…」
「うっさいッス!今回こそは…絶対アンタに勝つッスぅぅぅぅ!!!」
「今回も証言するんですか?」
「当たり前ッス!」
うっかり者の刑事に証言を頼むことのどこが当たり前なんだろうか…



同日 二階廊下


「ここが現場か…」
「そうみたいだね」
テープと血の後などが残っている。

「ずいぶん出血したみたいだね…」
僕と真宵ちゃんは、色々と探すことに。
「あれ…これ何だろう…」
しばらく探していると真宵ちゃんが声をあげる。
「真宵ちゃん。何かあったの?」
「うん…これ…」
そう言って真宵ちゃんが差し出してきたのは…しわくちゃになって何が書いているかも分からない手帳。

<手帳>を法廷記録にファイルした。

「何て書いてたんだろう…」
「全然、読めないね」
「濡れた…みたいだな」
濡れていた後が残っている。
「そういえば…これどこにあったんだ?」
「えっと…この鏡の裏に…」
「鏡の裏…?」
真宵ちゃんが指差した先には大きな鏡がある。

「何でこんな所に…」
「誰かが投げて遊んでたのかな?」
真宵ちゃんの不思議な思考回路。
「…どうだろううね」



同日 生徒玄関


「ここは玄関か…」
「あのー…」
急に後ろから声をかけられ驚き振り向くと…
この学校の生徒だと思われる人が。

「えっと…何?」
「貴方は…琴羽の弁護士の方ですか?」
「そうだけど…」
僕の答えを聞いて満足そうに微笑む。
「私、琴羽の友人の伊頼友華と言います」
微笑みながら自己紹介をする友華ちゃん。
「琴羽ちゃんのお友達?」
少し驚いた様子の真宵ちゃん。
「はい…だから、私が協力できることがあったら言ってください」
「ありがとう」
「いえ…私も琴羽を助けたいので。
そうだ…これ一応あの子の私物なので…」
そう言って差し出してきたのは、水色の傘。
「これは…」
「琴羽、事件があった日傘を忘れていったみたいで…ずっと置きっぱなしでした」

<白内琴羽の傘>を法廷記録にファイルした。

「この傘…大事にしていたみたいだから今まで忘れたことはなかったんですけどね」
「そうなんだ…どうしたんだろうね」
「そういえば、琴羽ちゃんが事件当夜学校にいたこと知ってる?」
「…そうなんですか?」
しばらく考えた後に首を傾げて聞いてくる友華ちゃん。
「本人はそういってたけど…」
「そうなんですか…何で夜に学校に?」
「次の日に提出する課題を学校に忘れたんだって」
「…変ですね。たしかその日はそんなものなかったハズですけど…」
そんな…
「じゃ、じゃあ!琴羽ちゃんだけ提出するの忘れてたからとか…」
僕が言おうとしたことを真宵ちゃんが先に身を乗り出して聞く。
「琴羽は、提出物だけはしっかりと出してましたから…そんなことはないと…」

じゃあ…
いったい琴羽ちゃんが言ってたことはどういうことなんだ?
学校に行くのは他の理由があったってことなのか?

そして…
それを隠す意味≠ニはいったい何なんだ!



同日 留置所


僕は、友華ちゃんが言っていたことが気になり直接琴羽ちゃんに聞くため留置所に来ていた。
「成歩堂さん…学校に…行ったんですよね?」
「…うん」
「何か…分かりましたか?」
僕は頷くこともできずにただ沈黙が流れた。
「なるほどくん…」
そんな様子をただ黙ってみている真宵ちゃん。
「成歩堂さん?…どうかしましたか?」
「琴羽ちゃん…本当に君が事件当夜に学校に行った理由は課題を取りにいったってことなんだよね?」
「え…っ、いきなり…どうしたんですか…?」
驚いているのか動揺しているのか言葉がつまっている。
「…先に質問に答えてくれるかな」
「…言えません」
「え…」
予想外の琴羽ちゃんの言葉に驚く。
「そのことは、否定することも頷くこともできません…」
俯き静かにいう。
「……」
「あれ?琴羽ちゃん、肩怪我してるの?」
静かな空気をやぶったのは今まで大人しくしていた真宵ちゃんだった。
「真宵ちゃん。いきなり何で…」
「包帯が見えてるから…」
その言葉を聞きハッと驚き急いで包帯を隠す琴羽ちゃん。
「その傷は…」
「えっと…すいません…」

ガラガラガラ ガシャン――

サイコ・ロック!
やっぱり琴羽ちゃんは何かを隠している。
何を隠してるんだ…

やっぱり…それは法廷で暴くしかないのか…ッ!
■作者からのメッセージ

よく分からない話決定作です(

一応法廷などもやりますがこれを書いている

私が馬鹿なのでムジュンだらけになる気がしますが…

応援して頂けたら幸いです。

感想、意見などもお待ちしていますッ!!(エ

更新するのが遅くなると思いますが…

気長に待ってくださいッ(

■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集