逆転NOTE10 |
作者:
10join
2008年08月21日(木) 14時18分56秒公開
ID:QRqdkrt8vd2
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同日 午後2時 クリムゾンジャック病院 留置所を出たぼくらは茜ちゃんを現場に迎えに行った。吉良警部は勝手にしろとばかりに適当に送り出した。またなんか黒いオーラのようなものを感じたけど、多分気のせいだろう。というわけでぼくらは事故が起こらないほうが不思議なほどの超スピードでクリムゾンジャック病院に到着した。中に入ったらクリムゾンジャック先生と緋ノ子ちゃんが待っていた。 「あの、事件の証人の様子はどうですか?」 こんなに早くセリフが出てくるなんて珍しいな。これでセリフゼロということだけはなくなったわけだ。 「一応意識は戻ったよ。まだ万全と言える体調じゃないけどな」 そりゃそうだろう。頭を殴られた傷が1日や2日で完治するわけがない。 「それじゃ話を聞いてもいいですよね」 「ああ。話をするだけなら問題ない」 クリムゾンジャック先生は真宵ちゃんにそう答えたが、あまり乗り気ではないようだ。それになぜか茜ちゃんの方をチラチラ盗み見ているような気がする。そういえば昨日茜ちゃんを紹介した時も何かおかしかったような気がする。何か理由があるのか? 「とにかく病室で話を聞きましょう」 春美ちゃんの言う通りここで立ち止まっててもしょうがない。ぼくたちはクリムゾンジャック先生と緋ノ子ちゃんの案内で病室に向かうことにした。 同日 午後2時5分 病室 クリムゾンジャック先生に案内された病室のベッドはほとんどが空っぽだった。ただ一つカーテンが閉まっているベッドがあった。 「一体誰だ?もう面会しにくるような人はいないはずだが」 ドアを開ける音で誰かが来たのかわかったのか、そのベッドに寝ている人が答えた。それを聞いた茜ちゃんは一瞬ピクリと反応したが、すぐに気を取り直したようだ。 「あなたがケガを負った事件について話を聞きに来ました」 「ほう。それを聞きに来るということは、君は警察か何かか?」 そのケガ人は吐き捨てるような口調で言ってきた。なにか警察に嫌な思い出でもあるのか?それはそうと茜ちゃんがさっきから何か難しい顔をして悩んでいる。なにか思い当たることでもあるのか? 「なんでもありません。ただこの人の声をどこかで聞いたことがあるような気がしただけです」 そう茜ちゃんが答えた瞬間、黒い霧が辺りを包み込んだ。その中心に透明な錠が見える。これはもしかして… 「もしかしなくてもミストロックだ。そんなの見ればすぐわかるだろ」 「黒ってことはあまり思い出したくない記憶ってことだろうな」 つまり心の奥底ではわかっているけど、考えたくないってことか。おっと。聞かれたことにはちゃんと答えないとな。 「弁護士の成歩堂龍一です」 「ああ。あのハッタリ弁護士か」 この人はぼくのことを知っていたようだ。それにしてもなんで初対面の人にそんなことを言われなくちゃならないんだ? 「だって成歩堂さんと言えばハッタリじゃないですか」 紫音ちゃんにまで言われてしまった。ぼくの名前を聞いて真っ先に思い浮かぶことってハッタリなのか?せめてつっこみくらいにしてもらいたいんだけど。 『仕方ないだろ。それがあんたのイメージなんだから』 うるさいぞ作者。あんたが勝手なイメージを持ってるからそれが反映されてるだけじゃないのか? 「いえ。誰に聞いてもそう言うと思います。」 まさか星歌さんにまでとどめをさされるとは思っていなかった。どうやらぼくのイメージはそういうものだと認めるしかないようだ。しばらく立ち直れそうにないな。 「悪いが証言する気はない。ケガが酷くて証言台に立てるとは思えないからな。ここで聞いてもムダになるだけだ」 カーテンの向こうからそんな声が聞こえてきた。ケガが酷いなら仕方ないか。 「へー。そうなんだ」 なぜかカーテンを通り越してケガ人に突き刺さるほどの鋭い視線を向けていた空悟君はそう言って、トランシーバーを取り出した。なんかかなり見覚えがあるような気がするんだけど。 「よう、キリノシン。お前今使ってるそのトランシーバー貸してくれないか?」 『ハア?ふざけんじゃねえ!人の法廷デビューを奪っておいて何言ってやがんだこの』 トランシーバーから漏れてくる大きな声は、パキっという音と共に鳴り止んだ。空悟君が素手でトランシーバーをへし折ったからだ。 「チッ。あの自首すればすぐ法廷に立てることにも気付かないバカのせいで証言させる口実が使えなくなってしまったようだ」 いや、壊した君にも多少の責任はあると思うけど。それにしても証言させる口実って一体どういうことだ? 「その人が証言台に立ちたがらない理由は実はケガじゃないって言いたいの」 真宵ちゃんがそう言うと、無限君、零樹君、空悟君の3人は大きくうなずいた。どうやら真宵ちゃんの考えは当たっていたみたいだ。 「ケガの状態が悪いからだ。他に理由なんて」 「じゃあカーテンを開けてそのケガ人の顔を見せろよ」 「なにもやましいことをしてないならいえるはずだろ」 クリムゾンジャック先生は無限君と零樹君がそう言うのを聞いて黙り込んでしまった。やっぱりクリムゾンジャック病院に来るのはいわくつきの人なのか? 「一体ケガ人は誰なんですか?」 紫音ちゃんが聞いた瞬間、前回と同じくサイコ・ロックが3個出てきた。 「私には患者に対する守秘義務がある。自分で考えるんだな」 クリムゾンジャック先生がそういうなら仕方ない。まだ手がかりがないからな。ぼくたちはクリムゾンジャック病院を出て、マッハを超えそうなスピードで事件現場に戻ることにした。 つづく |
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