逆転の力を合わせて 第2章 牙琉編
作者: 最終兵器   2008年08月13日(水) 22時05分26秒公開   ID:Om9q4VDFwHE
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 「牙琉弁護士。先ほどは大変でしたな。」
 私に気づいたらしくこちらに話かけてきた。顔には疲労の色が浮かんで額にうっすら汗をかいている。手で汗を拭いながら警部は話を続けた。
「さっきの話の続きだが実は被害者のズボンのポケットから麻薬が発見されたのじゃよ。」
「えっ!?」
 鬼塚警部の衝撃的な一言に私は思わず驚きの声をあげた。
「しかも鹿羽組の幹部「鹿羽吸太」の指紋が付着していたんじゃよ。」

 <麻薬>
被害者のポケットから発見された。袋には鹿羽吸太と被害者の他、一名の指紋が付着。

「他一名とは不明なんですか?」
「事件の関係者にはいなかったんじゃよ。」
 やはりそうですか。声を潜めた鬼塚警部の言葉を聞いて私は思った。もしかしたら、これは成歩堂さん事件と深いつながりがあるんじゃないだろうか。
 そのことは後で考えるとして、私は狩魔検事のことを聞くことにした。
「狩魔検事は大丈夫なんですか?」
「彼女はあの後御剣検事の面会に行ったよ。まあ大丈夫じゃろ。」
 それなら心配ないですね。あの2人はかなり仲が良さそうですし。
 最後に私は気になっていることを聞くことにした。
「失礼ですが、鬼塚警部は昔刑事課にいたんですか?」
 私の言葉に鬼塚警部は遠い過去を見つめるような視線をしてぽつり、ぽつり語り出した。
「昔わしは刑事課のキャリア組じゃった。しかしある事件で犯人を捕まえられず、特殊な捜査に頼った上にその犯人は無罪判決じゃったんだよ。」
 私には1つ思い当たる事件があった。
「それってまさか・・・」
「DL10号事件じゃよ。」
 私の予想は当たった。
「当時わしは警視じゃった。部下には神雪車など率いたが無駄じゃった。最後はマスコミに叩かれて降格に人事異動。わしは絶望した。しかしわしは逆境に負けじとがんばった。それが今君が見てる「鬼政」じゃよ。」
 これが現実。語っている鬼塚警部はどこか悲しそうだった。
 1つの事件にはいろいろな人の思いがこもっている。弁護士は真実を見つける大切な役目。絶対に真実を見つけてみせますよ。

 つづく
 
■作者からのメッセージ
 ほんとは刀条検事、いい人にするつもりだったんですけど見事にこうなりました。
 まあ続きます

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