逆転NOTE6 |
作者:
10join
2008年07月09日(水) 15時34分51秒公開
ID:66HwSpSwEOQ
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「証人。名前と職業を」 カール・ムアッグウォーは何の感情も込めずに言った。まあ一応フランスから来たから初対面に近いっていう設定なんだろう。そうでなくても狩魔豪はイトノコ刑事に何の感慨も抱いてない可能性もあるけどな。 「糸鋸圭介ッス。刑事をやっているッス。それにしてもなんで狩」 「余計なことを言ってないでとっとと証言にうつらんか!」 今イトノコ刑事明らかに狩魔検事って言いかけたよな。もしかしたら何か知ってるのかもしれない。一応白夜さんと親しいから教えてもらってるかもしれない可能性がある恐れがないとも言い切れないわけではないこともないでもない保障がないなんてこともない。一体いくつ否定語を重ねたのかヒマな人は数えてもいいかもしれない。まあ知らなくてもどう見ても狩魔豪にしか見えないし、言い間違えるのもムリがないくらい紛らわしい名前だからな。 「…わかったッス。あ。その前に解剖記録を提出するッス」 獏原銀次の解剖記録を法廷記録に加えた。 獏原銀次の解剖記録 死因鈍器で頭を殴られて即死。死後爆発に巻き込まれた。 死亡確定時刻1時50分 そういえば被害者のボスの名前全く出てなかったな。なんとなく爆破事件の犯人っぽいかもしれないな。それにしても一体なんで死亡推定時刻じゃなくて死亡確定時刻なんだろう。 「星歌さんの死神の眼でわかったんじゃないの?」 まあ確かに星歌さんの眼ならわかるだろう。でもなんで白夜さんの恋人の星歌さんの意見をそこまで重視するんだ?白夜さんに有利なようにウソをついてる可能性があると誰も考えなかったとも思えないんだけど。 「他の死神の眼を持つ者に聞いても同じ答えが返ってきた。そこまで口裏を合わせられるような時間はなかったからな。」 なるほど。それならみんな納得するしかないだろうな。いくら白夜さんでも警察内部のデスノート所有者全員の口裏を合わせるのはムリだろう。 「それでは証言にうつってもらいましょう」 「ならば糸鋸刑事。キサマには白夜を逮捕した状況を説明してもらおう」 「わかったッス」 キサマにはってことは他の誰かに証言させることもあるってことなんだろう。誰かはなんとなくわかる気がする。 《白夜警視を逮捕した状況》 〈あれは自分が爆破事件の犯人の1人を捕まえた直後のことッス〉 「待った!あの大逮捕劇にはあなたも関わっていたんですか?」 「そうッス。本当の意味で来月の給与査定が楽しみッス」 それはよかった。今までイトノコ刑事の給与査定を楽しみにしていろ=生活できるか怪しいレベルまで給料が引き下げられるだったからな。よくも悪くもやったことの報いは自分のもとに返ってくるってことなんだろう。 「それにしてもどうしてあそこまで爆破事件の犯行グループの犯人が捕まったのでしょうか。イトノコ刑事にも捕まえられるなんて何かあったとしか考えられないんですが」 裁判長なにげにひどい事を言ってないか?いくらイトノコ刑事でも犯人を逮捕することぐらいはできるだろう。ほとんどが誤認逮捕だけど。まあでも今回のは仕組まれたんだろうけどさ。 「今はその話はおいておこう。それを話すのはこの証人の役目ではないからな。」 やっぱりイトノコ刑事ではない証人が核心をつくんだろうな。できればあの人の尋問はしたくないんだけど。 「しかし…」 「黙れ!キサマはただ真実を見極めた上で、木槌を叩いて判決を叫べばいいのだ!」 やっぱり態度のでかさは同じようだ。でも言ってること自体は前とずいぶん変わってるな。死刑は失敗したけどなんらかの後遺症がのこったんだろうか。まあ単なるそっくりさんという可能性が1ピコグラムくらいないこともないけど。 「それでは次の証言にうつるぞ」 〈林ビル付近で爆発があったという報告があったッス〉 「待った!それは一体何時に起こったことなんですか?」 「記録によると2時だったようだ。」 つまり事件の10分後に爆発が起こったってことか。なんでそこまで空白があったんだろう。 「ではどんな爆弾がしかけられたとかはわからないというわけですか?」 「幸い白夜警視が写真を撮ってたッス。これがその写真ッス」 「ほう。被告人が撮ってたんですか」 爆発前の写真を法廷記録に加えた。 爆発前の写真 頭から血を流した被害者の手のあたりに爆弾らしきものがある。時計は2時にセットしてある。 撮った時間1時59分 さすが白夜さん。こんな状況でもしっかり写真は撮っていたようだ。でも白夜さんが現場についてからこの写真をとるまでどれくらいの時間が過ぎたんだろう。 「運転手によるとたどりついてすぐ撮ったものだそうだ。ヤツが白夜をかばっている可能性はあるがな」 そうなのか。つまり白夜さんが実行犯の可能性は限りなく低いということになるってことか。最もこの事件では誰が実行犯なのかはあまり問題がないかもしれないけど。 「それでは次の証言にうつってもらおうか」 やっぱり進行役はカール・ムアッグウォーになっているようだ。まあ作者の話の中では裁判長が進行役をすること事態が珍しいんだけどね。 〈そして自分が現場にたどりついた時には白夜警視はもう逮捕されてたッス〉 「待った!あなたが現場についたのはいつぐらいなんですか?」 「報告があってから10分ぐらいッス」 つまり報告したメガネをかけたいけすかない警部がそのまま逮捕したってわけか。 「ちょっと待ってください。なんでその警官はそこまで早く逮捕に踏み切ったんですか?もっとよく調べたら彼が犯人である可能性が低いことはすぐわかったはずでしょう」 裁判長の疑問は最もだ。ぼくだってあることを前提にしてなかったらそこから切り崩していただろう。 「それはこの犯行にデスノートが使われているからだ。実行犯が誰かはほとんど関係ないと言ってもいい」 やっぱりカール・ムアッグウォーもそのことはわかっていたようだな。まあ当然だけど。 「なるほど。それなら確かに実行犯は問題ではなくなりますな」 裁判長はそれで納得できたようだった。もう白夜さん=キラ=殺害方法はデスノートっていう法則が成り立っているんだろう。 「証人。キサマはもういい。本当の意味で給与査定を楽しみにして待ってるんだな」 それを聞いたイトノコ刑事はほっとした顔をしていた。まあまずいことを証言できるほど長くなかったからな。 「それでは30分の休憩に入った後に次の証人に証言してもらおう。わかったな裁判長」 それを聞いた裁判長はすぐに木槌を振り上げた。もう逆らってもムダだとわかってるんだろう。 カッ! 「それでは30分の休憩に入ります」 一体これからどんな証言が飛び出してくるんだろうな。ぼくたちは少し不安に感じながら控え室に戻ることにした。 つづく |
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