逆転NOTE7
作者: 10join   2008年06月30日(月) 22時21分23秒公開   ID:66HwSpSwEOQ
同日 午前11時23分 被告人第2控え室
 そろそろ休憩も終わりだな。次の証人はおそらく吉良警部なんだろう。あの人かなりエリートぶってたけど本当にそこまで優秀なのか?
「頭がいいのは確かだよ。高校の模試じゃ常にぼくと全国1位と2位を争ってたほどだからね。勝率は6割って所かな」
 白夜さんに4割の確率で勝つなんて確かに頭はいいみたいだな。
「性格は悪すぎだけどね。ある意味一番やっかいな証人かもね」
 な、なあにつけいる隙ぐらいあるさ。あの人白夜さんがデスノートで脅して上に行ったとか言ってたし、多分思い込みが激しいんだろう。
「まあ一応デスノートも出世の要因であることも間違いはないね。あいつ多分計算ミスは多くても部分点でカバーしてきたんだろうさ。ほとんどそうとしか思えない点数ばかりだったからな」
 つまり吉良警部の出す答えは真実にかすってはいるってことか。少しは参考になったような気がするな。
「時間です。入廷してください」
 いつものように名前もわからない係員の声が聞こえたのでぼくたちは入廷することにした。

同日 午前11時30分 地方裁判所第4法廷 
カッ!
「それでは審理を再開します」
「弁護側準備完了しています」
「検察側もとより」
 さすがにもうカール・ムアッグウォーがいてももう驚かなくなった。もういることがわかってるんだから当然かもしれない。
「それでは証人を呼んでください」
「それでは被告人を逮捕吉良警部を」
「え?キラ自ら証言するんですか?」
 なんで白夜さんが自分で自分を逮捕できるんだよ。
「吉良という名前の警部に証言させるに決まって折るだろう」
「すみません。少しボケてみました。それでは証人を呼んでください」
 わざとかよ。はっきり言って全くウケてない。なんというか空気が死んだという感じがした。

「証人。名前と職業を」
「吉良真。警部だ。ちなみに遺伝子操作は受けていない」
 吉良警部って冗談も言えるんだな。どう考えても元ネタを知らないとわからないけどな。
「それにしてもあいつはよほど人望がないようだな。恩を仇で」
「では証言にうつるぞ」
 吉良警部の言葉はすぐにカール・ムアッグウォーにさえぎられた。それにしても吉良警部もカール・ムアッグウォーのことを知ってるのか?いやもしかしたらカール・ムアッグウォーが狩魔豪だと見破り、白夜さんがデスノートで死刑を失敗させたから生きてるっていう結論に達したのかもしれない。これは確かにやっかいな相手かもな。

《白夜を捕まえた時の状況》
〈あれは私が林ビル跡地の近くにいた時だった〉
「待った!なんでそんな場所にいたんですか?」
「捜査上の機密とだけ言っておこう」
 それならしょうがないか。さすがに事件に関係があるとも思えないからな。
「それでは次の証言に移ってもらおうか」

〈いきなり爆発音らしきものが聞こえたのだ〉
「待った!それはいつ、どの方向から聞こえてきたんですか?」
「一四○○時、左舷方向からだ」
 あんたはその時どこの軍のどの艦に乗ってたんだよ。
「事件が起きた時刻と一致するな。先を続けてくれ」
 カール・ムアッグウォー検事は吉良警部なりのジョークなのかもしれない言葉をはっきりとスルーした。

〈それからすぐに現場に急行した〉
「待った!つくのにどれくらいかかりましたか?」
「せいぜい10秒ぐらいだったと思う」
 いくらなんでこ早すぎだろ。なんでそれだけ早く現場につけたんだよ。
「それだけ近くにいたからだ。捜査上の機密だがな」
 そりゃさっき言わなかったものを今言う理由がまったくないからな。
「そんなことはどうでもいい。現場についてからどうしたか言ってみろ」
 確かにそうだな。でも吉良警部に文句を言ってもしかたないだろ。これはためしに投稿したら思ったよりもバイト数が全然少なかったのを見て明日までに消されることがないように文字数を稼いでいる作者の責任のほうが大きいと思うぞ。
『くだらないこと言ってないで早く次に行こうぜ』
 書いたのあんただろ。もっといろいろつっこみたいことはあったんだけど、これじゃまた文字数を稼がせるだけだから放っておこう。ここでこんなことを考えてる時点で文字数を稼ぐのに協力してる気はするけどさ。

〈現場の状況を理解した私はすぐに白夜を逮捕した〉
「待った!なぜそこまで早く逮捕したんですか?」
「あいつが何をやったか一目でわかったからだ」
 もしかして吉良警部は白夜さんが実行犯だと思っているのか?だとしたらつき崩すチャンスはあるかもしれない。

「異議あり!白夜さんが実行犯だということはありえません。」
 ぼくは自身ありげに解剖記録をつきつけてみせた。
「これは解剖記録ですか?これがどうかしましたか?」
 裁判長は本当にわかってないのか?作者もそれぐらいはわかったことにしてくれよ。こっちの手間がふえるだろ。
「死亡確定時刻か…」
 カール・ムアッグウォー検事はやっぱりわかっているみたいだな。なら話は早い。だれにでもわかるような気がするけどね。
「白夜警視が現場に到達したのは爆弾が爆発する少し前です。それにこの写真をとるまで爆弾に気付いてなかったのでしょう。それなのにどうやって被害者を殺すことができるんですか?」
 どうだ!これで少しはあのメガネ警部をだまらせることができただろう。これで少しはこの裁判を進めることができるはずだ。ぼくは勝ち誇った表情で吉良警部のほうを向いた。
 
「ハ、いまさら何を言ってるんだ。傷跡をみた瞬間に死後10分程度経っているのはすぐわかった。それにあの程度の音しかしない爆弾で誰かが死ぬとは考えられない。しかもパトカーのドアは開けっ放しだったし、まだエンジン音がしていた。その状態で白夜が実行犯だと考えるほどバカじゃない」
 なんで傷跡を見ただけで死後10分程度だとわかったのかとか、音で爆弾の威力がわかるのかとかつっこむ気力もない。それだけ自信を打ち砕かれたのかがショックだった。
「そ、それでは白夜警視がやったことというのはなんなんですか?」
 現場を見て白夜さんが実行犯じゃないことがわかってたんなら、どうしてあんな思わせぶりなことを言ったんだ。
「あいつは爆風から星歌とかいう女をかばうふりをして押し倒していたように見えることをしていた。あれは事情を知らない人から見たら強姦罪か強制わいせつ罪ものだったな。あの状況を衆目にさらしたら警察の腐敗が騒がれるかもしれなかったから一刻も早くひきはがす必要があったのだ」
 …もしかして吉良警部は自分に彼女がいないからひがんで白夜さんを逮捕したのか?

「まさか。現場の状況を見たら後で駆けつけてきた凡人の刑事どもはすぐに白夜が犯人だという結論に達して、私情を捨ててあいつに手錠をかけなければならない状況になっただろう。それだったら私が私情で逮捕したほうがまだマシだ。それに私にも彼女くらいいる」
 彼女いたのかよ。それにしてもその言い方だと吉良警部は状況にかこつけて白夜さんを逮捕したかっただけのようにしか聞こえないぞ。
「だからしかたないと言ってるだろう。それに白夜を犯人として逮捕すればすぐに検察局長は自動的に起訴する。そうすれば事件の真犯人にたどりつきやすい。白夜が捕まったら動くやつらは多いからな」
 検察局長が自動的に犯人を起訴していたとは知らなかった。そういえばぼくが担当した事件はもっと調べたら他の犯人が出てきたんじゃないかと思えるものが多かったな。でも
白夜さんが犯人として起訴されたら動く人が多いって言うのは確かだな。探偵の無限君と零樹君だけじゃなくて、ヘルジョーカーである空悟君まで出てくるくらいだからな。事件の真犯人にたどりつきやすいのは事実だ。
「その計画にワガハイも巻き込まれたというわけか」
 カール・ムアッグウォーが恨めしげな顔をして言った。いくらなんでもそれはやつあたりしすぎじゃないか?
「正直あんたが出てくるとは思ってなかったがな。そこまで検察局長がもうろくしてるとは思ってなかった」
 つまりカール・ムアッグウォーが本当にフランスから来たと思ってたってことか?名前と顔を見て気付かなかったのかよ。

「その話は今はおいといていいです。それよりまだ証言することがあるんでしょう。まだあのことが出てません」
 このままじゃ吉良警部がカール・ムアッグウォーの正体を語りだしそうになったので一応助け舟を出した。
「そうなのですか吉良警部」
 裁判長は苦虫を噛み潰したような顔をしたカール・ムアッグウォーを軽くスルーして吉良警部に言った。
「さすがにハッタリ弁護士にもわかるか。そこまで言うなら証言してやろう。法廷の人たちの妄想が白夜の不利な方向に加速しても知らないがな」
 吉良警部は一々むかつく言い方をしてくる。でも意外にも白夜さんが犯人じゃないと頭ではわかっているようだ。これなら少しはやりやすくなるかもしれない。吉良警部の余裕を崩せないのはかなり残念だけどさ。

                 つづく

 
 
  
■作者からのメッセージ
次回でようやくデスノートのことが出てきます。3で吉良が白夜が犯人だと思っているようなことを言ったのは、場の空気を読んだ上であえてああ言ったということにしといて下さい。

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