逆転NOTE5 |
作者:
10join
2008年06月08日(日) 20時10分11秒公開
ID:66HwSpSwEOQ
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3月8日 午前9時40分 被告人第2控え室 思えばこの場所に入るのも5ヶ月ぶりだな。久しぶりだから正直やれる自信はない。でもやるしかないんだ。白夜さんがこんな方法で人を殺すわけがないんだから。 「確かに白夜さんがこんな自分が疑われる方法で殺すはずがないよね。」 「だってキラ様なんですから。」 真宵ちゃんと春美ちゃんが言ってることはキラ“様”と言う呼び方以外は間違っていない気がする。殺人自体はキラという名で何度もやっているだろうからな。ある意味警察の仕事とも言えなくもないけど。 「人聞きが悪いね。実際ぼくたち自身はあんまり手を下してないんだけどな。他のデスノート所持者が神ってもてはやされたいのか勝手にやってくれてるからこっちとしてはいろんな意味で楽なんだ。」 へえ。そうだったんだ。ぼくはてっきり全部の裁きを白夜さんたちがやってるのかと思ってたよ。実際は他のデスノート所持者も手を下してるんだ。つまり誰が裁いてるかはわかっていないってわけか。 「それにぼくはキラ法を破る気は全くないよ。ぼく自身が自らの行為を正当化するために作った法律を破ってまで刑務所に入りたいわけがないだろ。」 つまり今回の裁判は殺人罪だけじゃなくてキラ法違反の弁護もかねてるってことなのか。それにしてもキラ法って白夜さんが作った法律だったんだ。それだったら内容は熟知しているはずだ。少しは知っておいたら有利になるかもしれないな。 「残念ながらそんな余裕はないだろ。まだ相手の検事が誰なのかもわかってないんだからさ。」 まあ大体見当はつく。多分クリムゾンジャック先生の所に来ていた赤坂巧っていう検事だろう。伝説が本当なのかはわからないけど少なくともトカレフで成歩堂龍一のトンガリを全部へしおったとかいう伝説が増えないようにがんばろう。どうがんばればいいのかはわからないけどさ。 「そりゃ絶対伝説に伝説として語り継がれていくだろうな。」 「最も相手が本当にあの野球じーさんだったらだけど。」 どうして無限君はそこまで自信たっぷりで言い切れるんだろう。でも実際に言いたいのはそこじゃないんだろう。二人の意見の前半を無限君で、後半を零樹君という形で言ってるのはここまで来るとぼくにだってわかる。つまり赤坂検事が本当に担当なのか気になってるってことだ。でも普通に考えて彼だとしか思えないんだけど。そうじゃなければあんなところにいるわけがないと思うだけど。 「検事がいる理由が証人の話を聞くだけとは限らないだろ。」 空悟くんの言うことは間違ってないけど検事だということしか知らないぼくには何も言うことができない。彼らは他に何か知ってるからここまで言ってくるんだろうかね。 「そろそろ時間です。入廷してください。」 名前もわからない係官の声がしたのでぼくたちは裁判所に入ることにした。 同日 午前10時 地方裁判所第4法廷 カッ! 「これより白夜の審理を始めます。」 「検察側当然準備完了している。」 「……べ、弁護側準備完了しています?」 ぼくは一瞬自分を見失っていた。それだけ目の前の光景が信じられなかった。 「どうしたんですか成歩堂くん。なんで最後が疑問符になってるんですか?」 裁判長がそう言ってきたが、検察席を唖然として見ているぼくの頭には全く入ってこなかった。もし相手が赤坂検事だとかんちがいしてなくてもこの光景を見たら驚いただろう。それだけ相手の検事は意外な人物だった。 「なにを驚いているのだ。ワガハイとは前にも会ったことがあるだろう。」 「いえ。まさかフランスの検事という設定になっているあなたがここにいるとは思ってなかっただけですよ…カール・ムアッグウォー検事。」 ようやく立ち直ったぼくはカール・ムアッグウォー検事に正面から向き合った。カール・ムアッグウォー。フランスから来たということになっているけど、どこからどう見ても狩魔豪にしか見えない。むしろ名前もそのままだとしか思えないんだけど。 「それが白夜さんの事件の担当検事になりたがる人が少なかったんで結果的にかる…カール・ムアッグウォー検事に白羽の矢が立ったというわけです。」 裁判長も一応カール・ムアッグウォー検事の正体が狩魔豪かもしれないと思っているみたいだ。でももし狩魔豪だとしたらどうして白夜さんの事件の担当検事なんてしてるんだろう。死刑が失敗する原因なんて白夜さんがデスノートに書いた名前を消したか修正したかしたとしか思えない。この場合白夜さんは狩魔豪にとって恩人のはずだ。そんな人がこんな方法で人を殺すはずがないということはわかっているはずだ。まあ私情をはさまないことにしてたり、検事がいなきゃ裁判ができないからしかたなくやってるのかもしれないけどね。 「それでは一応冒頭弁論を。」 今裁判長一応って言わなかったか? 「被告人は被害者を撲殺したことになっている。検察側は真実をカンペキに立証する用意がある。」 カールムアッグウォー検事は弟子の蜘蛛巣検事と同じようにカンペキという言葉を使った。でもその求めるものはあくまで真実だという点では変わっているようだ。死刑が失敗してから人格が変わったのだろうか。 「では最初の証人を召喚してください。」 「ではとりあえずイトノコギリ検事に証言してもらおう。」 なんかさっきからカール・ムアッグウォー検事に適当さが目立つような気がする。もし本当に狩魔豪だとしても前と同じだとは思えない。しかもこっちとしては悪い意味で変わっているかもしれないだろう。真実を追い求める人の強さをぼくはよく知っている。前に戦った時以上に気を引き締めないといけないと感じながら、ぼくは証人が来るのを待つことにした。 つづく |
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