逆転NOTE4 |
作者:
10join
2008年06月01日(日) 17時56分04秒公開
ID:66HwSpSwEOQ
|
同日 午前10時 クリムゾンジャック病院 現場である林ビル跡地から続いていた血痕を追ってたどりついたのは、前の事件でお世話になったクリムゾンジャック先生の病院だった。お世話になったとは言っても入院したわけではない。事件の解決に協力してもらったという意味だ。 「ここで血痕がとぎれてるってことは頭にけがをした誰かはここで入院してるってわけだよね。」 真宵ちゃんが言っていることは間違ってないだろう。クリムゾンジャック先生が病院に来たけが人を放っておくはずはないからな。 「でもここに来るってことはなんかやましいことでもあったんじゃないでしょうか。」 春美ちゃんが鋭い指摘をした。クリムゾンジャック先生の医療費はかなり高い。それでもここに来る人はよっぽど誰かにつきとめられたくないことでもあると考えるのもムリはないかもしれない。 「確かに普通はそう考えられるよな。」 「自分の意思でここに来たんならな。」 無限君と零樹君が意味ありげに言った。じゃあここに来たのは自分の意思じゃないってことなのか? 「ねえ茜ちゃん。正体不明の人はどれだけ血を流してたの?」 「結構すごい量だったと思いますけど。」 紫音ちゃんと茜ちゃんのやり取りを聞いてようやくピンと来た。 「倒れてた所をクリムゾンジャック先生が連れて来たかもしれないって事ですか?」 星歌さんも気付いたようだ。つまり這ってる間に力つきたその誰かをクリムゾンジャック先生が見つけてつれてきた可能性もあるということだ。近くに病院がなかったら自分の所でやったほうがいいと思ったのかもしれないな。 「憶測ばかりで話してても意味ないだろう。はやく現場に行こうぜ。」 空悟君が言った。確かにうだうだ考えててもしょうがないな。とりあえず中に入ってみようか。 中に入ってみるとクリムゾンジャック先生と緋ノ子ちゃんがお茶を飲んでくつろいでいた。緋ノ子ちゃんというのはクリムゾンジャック先生の所に住んでいる女の子だ。娘には見えないので、もしかしたら助けられなかった患者の子を引き取ったのかもしれない。 「またあんたか。今度は一体なんのようだ?」 「聞きたいことがあって来たんです。昨日誰か大ケガをした人を手術しませんでしたか?」 やっとセリフが回ってきた。セリフが回ってこないんじゃないかってずっと不安だったんだよ。 「なんでそんなことを知りたいの?」 緋ノ子ちゃんの疑問も最もだ。いきなりそんなこと聞かれても困るだけだろう。 『そりゃ白夜の事件に関係あるからだろ。』 おい作者。なんであんたはこんなところにいるんだ? 『ちょっと交通事故に巻き込まれたんだ。幸い命には別状がない。少し学校に行くのに支障は出るんだけどさ。』 学校に行くのに支障が出るって一体どれくらいの傷を負ったんだろう?そこまでひどくなければいいんだけど。 「え?なんで無傷なのに学校に行くのに支障が出るの?」 「大方自転車がぶっ壊れたんだろう。」 緋ノ子ちゃんとクリムゾンジャック先生がそういうんなら間違いないだろう。それに自転車がないと少しは学校に行くのがきつくなるかもしれない。それにしてもなんで交通事故があって無傷なんだ。せめてくだらないことが書く余裕がでないように左手にケガをしたほうがよかったんじゃないか? 「うーん。何人かいたと思うけど。」 まあ何人かいても不思議じゃないな。 「じゃあ林ビルあたりで誰か倒れてなかったか?」 「あの出血量からみて頭を殴られたと思うんだけど。」 「私たち血痕をたどってここに来たんです。」 どうやらクリムゾンジャック先生は無限君と零樹君と紫音ちゃんの言葉を聞いて思い出したようだ。 「ああ。確かに私が道に倒れてるのを連れて来たよ。」 「他に病院はなかったのか?」 空悟君が最もなことを口にした。 「頭から血を流してる人を見て気が動転してな。気がついたら自分の病院に運び込んでた。」 クリムゾンジャック先生ってそういうのに慣れてると思ったから少し意外だな。 「その人と今話はできるでしょうか?」 星歌さんが少し焦ったような調子で聞いた。 「まだ話せる状態じゃない。多分明日には話せると思う。彼氏が被告だから焦る気持ちはわかるけどもう少し待っててくれ。」 クリムゾンジャック先生の言葉を聞いた星歌さんの頬が赤く染まった。どうやらクリムゾンジャック先生は白夜さんと星歌さんのことを知っているようだ。 「残念ですけどしかたありませんね。」 「すまないね。そういえば君とは初対面だったね。私はクリムゾンジャックだ。君は?」 クリムゾンジャック先生が茜ちゃんに自己紹介をした。どうやら茜ちゃんとはあったことがなかったらしい。 「宝月茜です。よろしくお願いします。」 茜ちゃんの名前を聞いたクリムゾンジャック先生の肩が一瞬ピクッと反応したように見えた。 「ああ。よろしく。」 クリムゾンジャック先生は自然に応対したさっきのはどうやら気のせいだったようだ。 手がかりを得ることができないならしかたない。明日の法廷が終わったら行くことにしよう。 「やあクリムゾンジャック。ひさしぶりだな。」 そう思って出て行こうとした時病院に入ってきた男の人がいた。白い長い髪をして、左目に眼帯をつけていた。 「誰もお前に来るように頼んだ覚えはないぞクルケ。」 クルケ?もしかしてあいつの名前を一文字ずつずらしたわけじゃないよな。眼帯の位置は知らないけどな。 「あんたの想像どおりおれは死神と呼ばれてる。なぜ法律で安楽死が認められてるのにそう呼ばれなきゃならないのか理解に苦しむ。」 確かに法律の改正で認められたような気がしないでもない。でも安楽死には条件があるんじゃなかったか?それを守ってなかったら殺人罪になるぞ。 「あいにく治療ができない患者はいない。他をあたってくれないか。」 「ほう。あいつを証言台にあげてもいいのか?」 もしかしてその正体不明の患者には何か問題があるのか?それにしてもなんでクルケって人はそこまで把握してるんだろう。病院に運ばれる人の情報を得る手段でもあるのか? 「患者がそれを認めるんならな。しかたないだろう。」 「まあ意地を張るな。もう少しよく」 バン! クルケはそれ以上言葉を続けることができなかった。いきなり頭をかすめていった白球が壁にぶつかった音を聞いて呆然としたからだ。クルケはヘタをすれば某ジャイロボーラーの父親と同じ死に方をしていたかもしれない。そしてその跳ね返ったボールをキャッチしてポケットに押し込んだ男がいた。 「な、なんなんだ今のは…」 クルケは信じられないような顔でボールを投げた男に言った。 「トカレフ。」 男はどこかで聞いたことがあるようなセリフを言った。 「たいしたトカレフやなあ。あんな危険な球を投げた理由を説明してみい。」 どうやらクルケはネタを知っているようだ。どう考えても外人にしかみえないだけど。どうやらもうすでに立ち直ったようだ。 「証人になるかもしれないやつを殺されたくなかった。それだけだ。」 そう言ってその男の人は去っていった。クルケもどうやらあきらめたらしく、恨みがましい目を向けて去っていった。 「あれって赤坂巧じゃなかったか?」 空悟君が言った。誰だその赤坂巧って。その名前が製作者からとったものじゃないってことだけはわかるんだけど。 「プロ野球で活躍したピッチャーだったらしい。おれたちの親父がファンでよく話を聞かされてたよ。」 「引退した後は大学までバッテリーを組んでた人の指導のかいあって検事になったらしい。」 そのバッテリー組んでた人ってまさか…。いやありえないだろ。いくらなんでも名前が同じだからってそれはない。それじゃもしかしてあの人が明日の担当検事なのか? 「普通に考えたらそうだよね。」 多分真宵ちゃんの言う通りだと思う。そうじゃなきゃここまで来ないはずだ。 「あの人ってすごいんですか?」 春美ちゃんが誰にともなく質問した。 「そう言えば冤罪じゃない事件で神之木さんに煮え湯を飲ませたっていう伝説を聞いた気がします。」 紫音ちゃんはそう言うけど別に伝説でもなんでもないだろ。いくら神之木さんでも事実を捻じ曲げることはできないんだからさ。 「少し違うだろ紫音。もっと正確に言ってくれ。」 「神之木さんに煮え湯“しか”飲ませなかっただろう。」 え?そ、そんなバカな話があるのか?毒を飲まされてゴドー検事になったときにもあれだけ飲んでいたコーヒーを全く飲ませなかった? 「それだけ早く終わったってことですか?」 茜ちゃんは見たことないかもしれないけどあの人がそんなに早く負けるとは思えないんだけど。 「確か伝説ではトカレフでコーヒーカップをすべて撃ちぬいたことになってます。確か星影先生の痔もトカレフがお尻に当たったことが原因とか。」 それはすごい検事だな。どこまで本当かわからないけど。明日は厳しくなりそうな気がしてきた。 「なあ。一応聞いておくけどその頭にケガをした人の名前ってわかるか?」 空悟君がクリムゾンジャック先生に質問した。これって普通ぼくのセリフなんじゃないのか? 「わからない。まだ聞いてないし、免許証を見る気にもならなかったからな。」 ガラガラガラガッシャーン! 久しぶりにサイクロックが3個出てきた。そこまで患者のことを言いたくないのだろうか。それを見て無限君と零樹君は何かがわかったようだ。まだ確証はないみたいだけど。 「わかりました。それじゃ明日来るからまた話を聞かせてください。」 サイコロックは気になるけどまだ解けそうにないからしかたない。一体明日はどうなるんだろう。ぼくはそのことで頭がいっぱいだったせいか全く酔わずに事務所へと帰っていった。 |
|
■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集 |