逆転のジョーカー 探偵パート1 |
作者:
らいす
2008年05月14日(水) 23時04分22秒公開
ID:ucfkX7cG1UY
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「ショーダウンだ。」 「また、負けましたな。」 テーブルを向かい合う二人の男がいる。 「まあね。これで君も3回目だな。」 テーブルにはトランプがばら撒かれている。どうやら勝負が終わった跡のようだ。 すると勝った方の目がいきなり変わった。 ――――――「約束だよな、あれはもらっていくからな――!」 「な、なんですと!」 「なんですとじゃあねえよ、お前だろ?あれの持ち主はなあ!」 「う、うぐっ‥‥‥‥しかし、約束など知りません!!!」 「さっき約束しただろう!?なあ?」目が恐ろしく光っている。 もう一方はさっきから否定している。 ーー「とぼけるな!さっさとよこせ、さもないと、お前の娘がどうなってもしらねえからな!フッヒッヒッヒッヒ・・・・!」ーーーー 悪魔のような囁き声だ。 もう一人の方は青ざめている。 「!!!!!!!ひ、ヒキョウな!!く、くそおおおおおおお!!!」 「な、何!!や、やめろ!!」 ボコッ!!! 一人の男が床に倒れる。たくさんの血が床に溢れる。 「―――――マズイな。」 男がそういったのは今の近所に聞こえたかもしれないからだ。なにより時間がない。 「とにかく逃げよう」 哀れな死人を置き去りにしたまま男は逃げ出した。 そのあと、部屋には無惨な死体と大きなビンと散ったカードだけが虚しく取り残された‥‥‥‥ 11月15日 11時39分 成歩堂なんでも事務所 「ねえねえパパ、そろそろお昼じゃない?」 娘がお腹を鳴らしながらいう。 「そうだなあ。それじゃあ昼は外食でもいくか、みぬき。」 「わ〜い。さすがパパ!」 ぼくの名前は成歩堂龍一(なるほどうりゅういち)。 しがないピアニストだ。 「オドロキさんも外食どうですか?」 この子は成歩堂みぬき。ぼくの娘で大魔術師だ。ぼくは7年前までは凄腕の弁護士としてふるっていたんだけど、丁度その頃に扱った裁判で証拠品を“捏造”した疑いで、弁護士バッジを取り上げられてしまった。 「え!?外食ですか、成歩堂さん!もちろんオレは、大丈夫ですよ!」 この青年は王泥喜法介(おどろきほうすけ)。通称“オドロキくん”。まだまだ新米弁護士だ。 実際には彼には師匠がいたけど、その師匠は今‥‥‥‥刑務所で刑の執行を待っている。 だから今はこのぼくが二人の面倒を見ている。 「じゃあ、みそラーメン食べに行こうか。」 「えー、でもパパ昨日もみそラーメンだったでしょ?たしかに矢田吹さんとこはおいしいけど。」 「そうだなあ、どう思う、オドロキくん。」 「え、なんですか。」 「なんかここらへんでおいしいところない?」 「えええ!!!で、でも、ここらへんは成歩堂さんのほうが詳しいんじゃないんですか?」 「あはは、そうだなあ。はっはっはっは。」 「ワケわかりません。」 ふう、今日も賃金少ないしやっぱり外食なしにしようかなあ。家賃もマトモに払ってないし‥‥‥ 「えー、パパだめだよ。せっかく久しぶりの外食なのに。」 どうやら、思っていることがわかったらしい。 「はっはっは。みぬきにはかなわないなあ。」 オドロキくんが嘘っぽいなあとでも言いたげな顔をしている。 そう、実際のところみぬきは本当の娘じゃない。だけど、今は僕しか引き取る人がいなくて、僕がこの子を支えてる。 しかたない、今日もラーメン屋にするか。うーん、でも・・・ 「でもそれは難しいんじゃないかなあ、みぬき。今月の給食費もまだ払ってないし。」 「そんな‥‥!いやだなあ」 「まあそれでもオドロキくんがおごってくれるんなら話はべつだけどね。」 「えぇ!!‥‥また、オレですか」 「わあい!オドロキさん、いい人だあ。」 「ちょっと待ってくださいよ!だいたい昨日もオレのおごりじゃないですか!」 オドロキくんはカンカンだ。 ちょっと気の毒かもな。 「まあ、いいじゃないか今日もってことで」 ぜんぜんよくないと思っているんだろう。 「とにかく、腹減ったし早くいきましょうよ!」 「ううう‥‥‥」 少しオドロキくんがかわいそうに見えた。 まあ毎日こんな感じだけどね。 ーーーーーー 同日午後1時 矢田吹屋前 「矢田吹のオジサーン!」 みぬきが元気よく、叫ぶと、 「おう!!みぬきちゃんに大将!!それと、屋台が盗まれたときに世話になったアンタじゃねえか!!」 「久しぶりです!オジサン!!」 みぬきが再び言う。 「あ、はい、どうも久しぶりです。」と、オドロキくんが継いで言うので、僕もあいさつをした。 「今日もお願いします、矢田吹さん。」 「おうよ!で、今日は三人かい!」 「まあこの赤スーツはついでです。」 「‥赤スーツ‥‥」 オドロキくんはしょげてしまったようだ。まあ、ぼくも昔は一部の人に“青いスーツの青年”として認識されていたけど。 「別に、たいしたことじゃないよ。ビックリくん。」 「オドロキです。」 とここで、矢田吹さんが 「おう、それより昨日あったこと知っているか?」と言った。 ああ、それって‥‥‥ 「あれですよね、たしかひょうたん湖ってとこの落雷。」 とさっきまで黙って座っていたみぬきがいきなり言った。 昨日ニュースでやっていたけどたしか、ひょうたん湖に落雷が落ちて、しかもひょうたん森が全焼したというやつだな。 「ああ、オレも知っています。なんか、湖の周りの林が全焼したとか。コワイ話ですよね。」 たしかにコワイ。 「昨日は、消防署の人とか救急車とか大勢来てたなぁ。はい、オマチ!」 ラーメンが出来上がって、みぬきが歓声をあげる。 「わぁーい、やった!いただきまぁーす!」 みぬきがすぐに食べ出す。よほどお腹が空いていたんだろうな。 「じゃ、じゃあ、オレも。アチィッ!!!」 どうやら手にスープが跳んだようで、熱そうだ。ちょっと気の毒だな。 「救急車もってことは、被害者いたんですね。」 オドロキくんがそう言う。 たしかにそうなるのか? 「ああ、14人重体らしいな。」 「えええええ!!14人も!!!!!」 たしかに酷い数だ。まあ、あんなに広範囲で燃えたから、あり得ないでもないだろう。 「コワイですね‥‥‥‥‥。」 みぬきが麺にがぶりつきながら言った。 すると、側にあったラジオが流れてきた。 「‥‥‥それでは、次のニュースです。昨日、ひょうたん湖公園入り口で殺人事件が発生しました。被害者はカタイビンか何かで殴られ殺害されたと見なされています。警察は今回の操作方針を‥‥‥」 え、ひょうたん湖?殺人だっついったよな!? 「パ、パパ!!さ、殺人だって!」 「しかも、場所はひょうたん湖ですよ!火災のあった!」 「まったく、ブッソウなもんだぜ、火災の次は人殺しとは。」 なにか、関連性があるのか? そこへ、 ♪プルルルル〜〜〜〜プルルルル〜〜〜〜♪ オドロキくんの電話だ。しかし当の本人は気付いていない。 「オ、オドロキさん!!電話鳴っていますよ!」 やっと本人は気付いたみたいだ。 「あ、ああ!!」 ピッ! 「はい、こちら成歩堂なんでも事務所です。‥‥‥‥‥‥‥‥あ、ハイ!‥‥すぐウカガイマス!大丈夫です!!」 ピッ! ぼくはオドロキくんに聞いた。 「なんだったんだい、もしかして?」 「どうやら、依頼のようですです。」 やっぱりそうか。 「しかも、例のひょうたんの。」 「殺人?」 「ですね。」 「依頼ですか、オドロキさん?みぬきも行きます!」 「え、あ、ああ、ありがとう、みぬきちゃん。」 「腰が抜けています!オドロキさん!」 みぬきがオドロキくんの背中をたたく。 「いてえー!!なにすんだよ!!」 オドロキくんがわめいている。 「ごめんなさい、オドロキさん!」 ーーーーーーー ーーーーーーー ということでオドロキくんはぼくの方に勘定をまかせたままみぬきといっしょにいってしまった。 「ありがとうよ、大将!」 ぼくは全然食べてないのに。 つづく |
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