逆転NOTE1
作者: 10join   2008年05月02日(金) 05時55分35秒公開   ID:TrJkEcqelgE
3月7日 午前8時46分 成歩堂法律事務所
「あー。ひまだな。」
「そうだねー。ここ5ヶ月くらい依頼来てないもんね。」
 ぼくの名前は成歩堂龍一。けっこう有名な弁護士だ。となりの変な和服を着ているのが助手の綾里真宵ちゃんだ。
「変なって言うな!それに自分でけっこう有名って普通言わないでしょなるほどくん。」
 またぼくの心を読まれた。やっぱりぼくと真宵ちゃんぐらい付き合いが長いと、お互いの考えてることはわかるということか。
『単に語り手だから読まれてるだけだけどな。』
 作者が身もふたもないことを言ってるが放っておこう。
「やっぱり二人は愛し合ってるんですね。」
 この子は綾里春美ちゃん。真宵ちゃんのいとこだ。真宵ちゃんと春美ちゃんは実は霊媒師で、真宵ちゃんはその家元だ。春美ちゃんはどうやらぼくたちが自分でも気づいてなかった気持ちを見抜いていたらしい。今では本当に恋人みたいなことになっている。どうやら作者はどうせここ1年はぼくらのことは語られないだろうから話を進展させてもいいと考えたらしい。理由はわからないけど。
「それにしてもそろそろ依頼こないかなあ。もう前の事件の依頼金も、赤いラピスラズリの懸賞金もつきかけてるから生活やばいんだよね。」
 真宵ちゃんがいうようにぼくらは依頼金とは別に、赤いラピスラズリの懸賞金ももらっていた。でも結局かなり滞納していた家賃と、真宵ちゃんの食費で消えてしまった。でも5ヶ月も依頼がなくても生活できたことから、自分がどんなに大きい額をもらったのか実感できる。
「とりあえずテレビ見てみませんか?なぜかテレビでやってた事件の弁護をすることが多いですし。」
 確かに作者の場合そういうパターンになっている。といってもたった2回しかなかったけど。ぼくは希望を込めてテレビをつけてみた。
『昨日殺された時効寸前の林ビル爆破事件の首謀者を殺した容疑者が昨夜逮捕されました。』
 そういえば昨日あの林ビル爆破事件の犯行グループが逮捕されたってニュースがやってたな。でも首謀者だけ何者かに殺されたらしい。ぼくは適当に聞きながら牛乳を飲むことにした。
『名前は…えーとこの名字なんて読むんですか? 』
 アナウンサーに読めないってどれだけ難しい名字なんだろう。
『じゃあ名前だけ言いますね。容疑者は白夜警視です。』
 ぼくはまるで狙ったようなタイミングで飲んでいた牛乳を噴出していた。それだけ聞いた名前が信じられなかった。
「び、白夜さんが?」
「な、なにかの間違いなんじゃないですか?」
 確かにありえない。仮に白夜さんが犯人だとしても、殺人事件だとわかるようにする必要はない。デスノートを使えば確実に罪にとわれないような殺し方はできるはずだ。とにかく留置所に急いだほうが…

『ここで担当弁護士になるであろう牙琉霧人さんに話を聞きたいと思います。』
 牙琉霧人。この所有名な弁護士だ。最後が消えた事件の誰が担当弁護士になるかの賭けでなぜか名前が出てきてなかった。
『仕方ないだろ。そのときそいつの存在自体知らなかったんだからさ。だれが公式発表の前にわかるってんだ。それほど管理甘くないだろ。』
 作者の発言はとにかくおいておこう。
『牙琉弁護士。あなたが担当弁護士になるという説が濃厚ですがそれは確かなんですか?』
『まだわかりませんが可能性は高いと思います。あの青田比外蔵さんが白夜さんに勧めてますから。』
 青田比外蔵通称青ひげ。何人もの金持ちの女性と結婚して、全員謎の死を遂げている。そしてその生命保険や財産で今の地位を築き上げた男だ。明らかにそのまんまだという感じがする。
『まあ結果はどうあれ全力を尽くすだけですよ。あ。そうしている間に電話がかかってきたようですね。』
 そう言って牙琉弁護士はケータイを取り出して、通話ボタンを押した。

「ようキリヒト。ひさしぶりだな。」
「最近調子どうなんだ?」
 そんな声が背後からいきなり聞こえてきた。かなり聞き覚えのある声だった。そういえばさっき5連ドリフトくらい決めたような轟音がしたような気が…
『無限君と零樹君ですか。なんのようですか?』
 そこにいたのは謎賀無限君と零樹君の双子だった。謎賀探偵団の団長と副団長で、ネクロマンサーとかいう霊能者の家系らしい。
「決まってるだろ。白夜さんからの伝言を伝えに来たんだ。」
「担当弁護士をお前じゃなくて成歩堂さんにするんだってさ。」
 それを聞いてテレビに映っている牙琉霧人の顔が歪んだ。それにしても牙琉弁護士と彼らはどんな関係なんだ?普通弁護士を名前呼び捨てお前扱いしないだろ。
『それはまたどうしてですか?』
 牙琉弁護士が冷静に聞こえるような声で言ってきた。ちなみに他のテレビの前にいる人たちには牙琉弁護士がなんて言ってるのか聞こえてないだろう。
「プ。本気で言ってんのかキリヒト。」
「その理由はお前が一番よくわかってるだろう。」
 二人はニヤニヤ笑いを浮かべながら言っていた。もしかしたら牙琉弁護士のことが嫌いなのかもしれないな。

「あんた青ひげに買収されて有罪にしろとでも言われてるんじゃないのか?白夜さんはすぐに気付いたみたいだけど。」
 いつの間にかケータイを手に持っていたのは日渡空悟君だった。彼の別人格はこのごろ世界を騒がせているあの怪盗ヘルジョーカーだ。
『なんの話ですか?』
「とぼけんなよ。どうせあのくそじじいは望みが全くない結婚の障害である白夜さんをつぶすためあんたを買収したんだろ。」
 結婚の障害?まさか青ひげが次に狙ってるのって…
「そう。星歌さんだ。あの人の家かなりの金持ちなんだぜ。」
「だから姫野家の財産を狙って彼女と結婚しようと考えてるわけだ。」
「「もちろん可能性は0をかるーく下回ってるけどな。」」
 だろうな。星歌さんには白夜さんって恋人がいるし、誰だって死ぬとわかってる男の所に嫁にやりたくないもんな。
『な、なにを根拠に…』
「へえ。じゃああんたの自宅の机の中にあった1億円が入った封筒と、わからないように白夜を有罪に追い込めって書かれた手紙は一体なんなんだ?」
 そんなもの見つけるのヘルジョーカーにとっては朝飯前だろうな。
「ま。安心しろ。ちゃーんとトレースエースがあんたに化けてあのじじいにつき返したし、証拠の手紙もおれが保管してる。なんなら賄賂を盗まれたって警察に訴えてもいいぞ。予定より早く弁護士の職を失いたいならな。」
 どうやら空悟君も牙琉弁護士のことが嫌いらしい。それにしても予定って一体何なんだ?弁護士やめる予定なんか普通ないだろ。
「てなわけでこの依頼は成歩堂さんが担当ってことになったから。」
「はやくお茶の間の皆さんに担当弁護士になれなかったって発表しろよ。」
「「じゃあな。」」
 ブツ。無限君はそう言って一方的に電話を切った。

 牙琉弁護士は一瞬怒りの表情を見せたが、すぐに気を取り直して冷静に言った。
『どうやら成歩堂弁護士になったみたいです。』
『それは残念でしたね。私たちはその成歩堂弁護士が真実を導き出すことを信じましょう。それではこのニュースをおわります。』
 どうもこのアナウンサーは白夜さんが犯人だとは思ってないらしい。何度か白夜さんはこの番組に出てるからそんなことをする人ではないとわかっているのだろう。そんなことより早く留置所に向かおう。
「そうだね。ちょうど車もあることだし。」
「いきましょうなるほどくん。」
 そしてぼくたちは車に乗りこんだ。運転席にいたのはあの仮面をかぶった謎のドライバーだった。まさか…
「今から飛ばします。しっかりつかまっていてください。」
 ぼくの願いも空しく車は超特急で留置所に向けて走り出した。ぼくは久しぶりに感じる感覚の中で、一体どうなるのかという不安を感じていた。

                 つづく



 
 
 

  

 
 
■作者からのメッセージ
次から事件に入っていきます。少し牙琉弁護士をいじりすぎたので、ファンの人にはお詫び申し上げます。

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